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平成20年度 鳥取県包括外部監査報告書及びこれに添えて提出する意見

平成21年2月   鳥取県包括外部監査人  勝部 不二夫

第1章 監査の概要

第1 監査の種類
 地方自治法第252条の37第1項の規定に基づく包括外部監査

第2 選定した特定の事件
 特定の事件は選定せず、鳥取県警察の財務の執行状況全般を対象とした。

第3 監査の対象とした理由
 次の理由から事件を選定した。
1 鳥取県の予算・決算に占める鳥取県警察の予算・決算の規模が小さいが、警察業務は県民の治安を守るという使命がある。
2 その業務上の使命のために、いかなる予算執行を行っているかは県民の関心事である。
3 過去の包括外部監査において部分的に監査対象となっていたが、今回はさらに視野を広げた監査をする必要性を感じた。

第4 監査を実施した期間
 平成20年6月16日から平成21年1月31日まで

第5 実施した監査の方法
1 主な監査対象部署公安委員会、警察本部、警察学校及び警察署
2 主な監査手続必要と認めた決算資料を入手し、その内容を検証するために県の条例等を確認し、事務手続を正確に執行しているかどうかを基礎資料と照合及び質問することにより確認した。

第6 包括外部監査の実施者外部監査人
       公認会計士     勝部 不二夫
       外部監査人補助者   税理士       本城 慶光
       外部監査人補助者   会計事務所職員   矢野 年宏

第7 利害関係
 包括外部監査の対象とした事件につき、外部監査人及び補助者は地方自治法第252条の29に規定する利害関係はない。

第2章 県の歳出額及び鳥取県警察の歳出額

第1 県の歳出額
 平成10年度から平成19年度までの県の過去10年間の歳出額は、鳥取県西部地震の災害復旧工事等による平成12年度の4,824億円をピークとして漸減傾向にあり、平成19年度は3,416億円まで落ち込んでいる。

第2 鳥取県警察の歳出額
 鳥取県警察は、平成14年度に米子警察署、平成15年度に警察本部庁舎、平成18年度に鳥取警察署の建物等を新築完成させた。これら大きなハード面の投資を行った年度の歳出額は200億円前後と膨らんでいるが、平成19年度の歳出額は170億円と過去10年間で最少額となった。
 警察費の中に占める最大経費は人件費であり、歳出額の約4分の3程度の130億円台から140億円台で推移している。

第3章 鳥取県警察の組織と職員数

第1 鳥取県警察の組織
 鳥取県警察は、鳥取県公安委員会の管理のもとに警察活動の中枢として鳥取県警察本部が設置され、その下に警察署9署、さらに下部機構として交番や駐在所が設けられ、県内の治安活動を執行している。また、警察官として採用された者に対して基礎知識及び柔道・剣道などの術科訓練を行う警察学校が設置されている。

第2 警察職員の数
 警察職員は、警察官と一般職員から構成されている。警察官は、治安を守るために犯罪の予防や捜査、被疑者の逮捕、交通取締りなどに従事し、一般職員は科学捜査等に従事する一部の職員を除いて、経理、庶務、統計等に関する事務に従事し、警察活動の一翼を担っている。
 平成19年度当初の警察官数は1,179名、一般職員数は218名、合計1,397名である。県条例による平成19年4月1日現在の警察官の定数は1,200名であった。
 鳥取県警察は、定員不足を非常勤職員の活用等で補っている。平成19年4月1日現在の非常勤職員数は63名。この非常勤職員の中には、交番勤務の警察官の街頭活動を強化するための交番相談員30名、県民からの相談を受け付ける警察安全相談員9名が含まれている。

第3 平成17年度の警察組織の再編
 警察署、交番・駐在所における業務負担の平準化・効率化を図り、県民に対する治安サービスを向上させ、安全で安心して暮らせる鳥取県を目指すために平成17年度において警察組織の再編が執行された。
 再編の内容は、県下11警察署体制から9警察署体制への統廃合を骨子とするものであった。統廃合により、交番・駐在所・派出所数も105か所になった。
 再編を可能にした要因の一つは、平成16年2月の警察本部庁舎の新築完成である。これにより、本部庁舎内に110番通報の受理から警察官の配備までの通信指令システムに最新機器が導入され、パトロールカーへの事件現場通報が格段に早まった。警察署と駐在所等の削減は、自動車警ら隊の新設等による機動力増強でカバーしている。

第4章 鳥取県の犯罪等の状況と治安力

第1 鳥取県の犯罪等の状況
 鳥取県の平成19年の刑法犯の認知件数は6,261件と全国で2番目に少なく、犯罪率は10.4%と全国で17番目に少ない。また、警察官1人当たりの認知件数である負担件数は5.2件と全国で9番目に少ない。鳥取県は、犯罪の少ない県である。
 平成19年の鳥取県の交通事故発生件数は2,539件と全国で一番少ない。国の人口を約1億2,771万人、鳥取県の人口を約60万人とすると、人口1,000人当たりの交通事故発生件数は、全国 6.5件、鳥取県は4.2件と少ない。
 鳥取県は、県民が安心して暮らせる県であるといえる。

第2 鳥取県警察の治安力
 刑法犯認知件数は、平成15年の9,302件をピークとして減少傾向にあり、平成19年は6,261件となった。検挙率は、平成10年と平成11年は60%を超えていたのであるが、その後低下し平成13年の38.7%で底を打ち上昇傾向を見せ、平成18年及び平成19年は50%を超えている。
 全国の刑法犯の同10年間の平均検挙率(各年の検挙率の単純平均)が27.7%、平成19年の全国の検挙率が31.7%であることを見ると、鳥取県警察の検挙率は高い水準にある。
 パトロールカーのリスポンス・タイム(通報から事件現場到着までの所要時間)は、平成15年は11分2秒であった。平成16年3月から使用を開始した新通信指令システムが、このリスポンス・タイムの短縮に大きく寄与し、平成19年は6分44秒と全国並みになった。

第5章 時間外勤務手当の監査 

第1 問題点の所在
 監査人は、警察職の時間外勤務手当、休日勤務手当、夜間勤務手当及び特殊勤務手当の1人当たりの平均金額が、他の一般行政職、教育職ほかの職種に比較して多額であることに着眼した。それら手当の平成19年4月の警察職に対する1人当たりの平均支給実績額は82,168円、2番目に高い一般行政職に対する支給額は37,363円であった。
 平成19年度における鳥取県警察の人件費総額134億円に対し、時間外勤務手当、休日勤務手当、夜間勤務手当(以下、これら3つの手当をこの章で時間外勤務手当等という。)の支給額は総額12億円以上と高い比重を示していること、また1人当たりの時間外勤務手当等の支給額も多額であることから時間外勤務手当等を監査の対象とした。

第2 時間外勤務手当等の支給額の計算方法
 時間外勤務手当等は、各々の対象時間数に所定の方法により計算した時間単価と時間外勤務の種類ごとに定められた支給割合を乗じて得た額となっている。

第3 監査人の分析と監査手続
 監査人の実施した分析と監査手続を次に示している。
1 平成15年度から平成19年度までの所属別時間外勤務手当等の推移分析
2 平成19年度における年間1人当たり時間外勤務手当等の支給実績の多額な所属の把握
3 時間外勤務手当等支給額の個別サンプル検証(検証対象者は44名)
4 個別サンプル検証の対象者から8名に対して時間外勤務実態の把握
5 警察署別の1人当たり時間外勤務手当等支給額と刑法犯認知件数・交通事故発生件数(以下事件数という。) の対比
6 上記5の分析の結果、時間外勤務手当等の支給額に対し事件数の少ない郡家署の時間外勤務の実態の分析

第4 監査結果
 個別サンプル検証の結果、時間外勤務手当等の支給額は正確に計算されていることを確認した。

第5 意見
 1 時間外勤務、休日勤務及び夜間勤務命令簿上の従事事務に具体的記載がない時間外勤務、休日勤務及び夜間勤務命令簿(以下命令簿という。)は、時間外勤務手当等に対して承認・決裁を受ける書類である。
 個別サンプル検証の結果、命令簿上の従事事務の記載内容に具体性がないことが分かった。例えば、警察県民課の職員の場合、従事事務の内容が広報用務とだけ記載してあった。少なくとも、時間外勤務を行う必要性と、より具体的な従事事務の内容の記載は必須である。具体的な記載がなければ、時間外勤務を行ったことの説明責任を果たしたとはいえない。
 命令簿上の具体的従事事務の記載が省略されていることは問題である。改善を望む。

2 避けられない時間外勤務
 事件事故等に対応する必要から警察職員の時間外勤務は避けることができない。殺人・強盗・ひき逃げ事件のような重要犯罪は、目撃者や証拠資料の確保・関連情報の入手などのため捜査員を集中的に大量動員して検問・聞き込み等の継続捜査活動を必要とする。
 また、逮捕した被疑者を 48時間以内に検察庁に送致しなければならないため業務の集中化が不可避である。そのため、時間外勤務が増加する。
 また、犯罪の多くは夜間に発生しており非番や休暇をとっている警察職員も招集し事件対応に当たるなど勤務実態も不規則であることが監査を通じて分かった。

3 正規の勤務時間の弾力運用
 日勤の警察職員の正規の勤務時間は午前8時30分勤務開始で、1週40時間勤務となっている。このことを遵守するがために発生する時間外勤務もあることが分かった。
 個別サンプル検証対象者の中には、早朝定例業務のために早出している一般職員がいた。早出が日常化しているのであれば、退勤時間を早める措置を採ることにより時間外勤務手当等が削減できると考える。聞き込み対象者との面談約束が時間外になっている時には、始業時間を遅くすることも許されなければならない。
 弾力的な勤務時間を考えるべきである。

4 時間外勤務の縮減
 鳥取県警察は、時間外勤務の縮減を図るため毎月行なわれる次席会議等において時間外勤務縮減に努めるよう指示を行っている。しかし、各職員個人の自覚を喚起させているが、業務の性質上直ちに縮減効果にはつながっていない。
 業務内容の見直しや効率性を高めるなど知恵を出し合い縮減化を推進していくべきである。

5 警察官の給与体系は抜本的な見直しが必要である
 今回の監査を通じて、県内の治安が警察職員の時間外勤務に支えられていることが分かった。
 警察官の業務は時間外勤務が常態化せざるを得ないのだから、時間をモノサシにすると時間外勤務手当等が膨らんでくる。事実、実際の時間外勤務に対して支給するだけの予算枠が確保できないため、警察官の時間外勤務手当等は実績どおりの支給となっていないのである。
 警察官の業務は、他の公務員と比べて極めて異質な業務である。警察官に対する最適な給与体系についての良い知恵が浮かばないが、勤務成績を相当色濃く反映した給与体系も一つの案であると考えている。公務員だからという理由で、公務員の給与体系の考え方を当てはめるには無理な勤務実態があると思っている。特異な業務には、給与体系にも特異性が求められる。抜本的な見直しが必要と考える。

第6章 特殊勤務手当の監査

第1 問題点の所在
 特殊勤務手当は、職員の給与に関する条例第11条第1項において、「著しく危険、不快、不健康又は困難な勤務その他の著しく特殊な勤務で、給与上特別の考慮を必要とし、かつ、その特殊性を給料で考慮することが適当でないと認められるものに従事する職員に対し、その勤務の特殊性に応じて支給する。」と規定されている。
 ここでは特殊勤務手当について、特殊勤務手当制度の趣旨に合致しないものはないか、他の手当又は給料で措置される勤務内容に対して併給の観点から検討を要するものはないか、特殊勤務手当の支給要件は明確になっているか、特殊勤務手当の支給の手続きについて条例等の規定に基づいて適正に執行されているか、という視点から監査を行った。

第2 平成19年度の鳥取県警察の特殊勤務手当と支給額
 平成19年度の警察職員に対する特殊勤務手当支給額は、総額約1億100万円であった。適用される手当数は20種類である。手当中、犯罪予防・捜査手当2,329万円、警ら手当1,849万円、夜間特殊業務手当2,829万円となっていて、これら金額の多い3つの手当で全体の約7割を占めている。
 警察職員に適用される手当は、種類数と支給延べ人数が多いため、事務量が多くなるという特徴をもっている。

第3 特殊勤務手当制度の改正
 適正な特殊勤務手当制度を目指して、平成17年度と平成18年度に改正を行った。
 平成17年度改正は、支給方式を月額固定支給方式から従事実績対応型の支給方式に変更するという大きな改正であった。この改正により適用初年度の平成18年度の特殊勤務手当支給額は1億 462万円となり、前年比2,739万円減少した。一方、平成18年度改正は、特殊性を認めた作業に限定するなどの見直しをしたもので、支給額の削減につながるものでなかった。

第4 意見
1 夜間特殊業務手当の適用要件の明文化が必要
 監査人は、夜間勤務手当と特殊勤務手当の夜間特殊業務手当が併給になっているのではないかと考えた。なぜなら、両手当とも支給の対象となる勤務あるいは業務に従事する時間を「正規の勤務時間として午後10時から翌日午前5時まで」と規定しているからである。
 この点について、県の人事委員会から「勤務の実態からみてその特殊性が著しいと認められるものについて夜間特殊業務手当を支給するものである。」との回答を得た。具体的には、三交替勤務等の深夜業務が正規の勤務時間として措置されている場合が対象となっているとのことであった。
 このことから考えて、現行の夜間特殊業務手当の規定では誤解を招くことにつながると考えている。特殊性が伝わってくるよう適用要件を明文化する必要がある。

2 特殊勤務手当の支給要件の明確化と手当の種類の整理統合
 特殊勤務手当の種類は20種類、適用区分で分類すると総数は86細目になる。手当の支給対象延べ人数も多く、併給禁止の規定も設けられている。警ら手当のように、作業が特殊勤務手当の支給対象となる危険性が伴っていたかどうかの判別が必要な手当もある。
 特殊勤務手当の支給額削減の効果はあったが、反面、勤務の実施者、直接監督者及び会計担当者に煩雑な作業を強いる事務量の増大を招来してしまった。
 今後は、適用事例の検討による支給要件の明確化及び手当名の統廃合だけでなく、検証を重ねて行き、86細目もある適用種類の合理的な統廃合を行う必要がある。

第7章 鳥取県警察本部の委託料の監査

第1 問題点の所在
 委託料の契約事務は、支出の原因となるものであるため、より経済的・効率的な調達・契約を行う必要がある。         平成19年度の鳥取県警察の委託料は、約5億円である。鳥取県警察の支出総額約170億円に占める割合は約3%と、全体の支出に占める割合としては少ないが、委託料における公共調達が、効率性・公正性の視点から適正に行われているかを確認した。

第2 監査人の分析と監査手続
 監査人の実施した分析と監査手続を次に示している。
1 委託料の予定価格・落札価格・落札率の分析
2 1,000万円以上の委託契約(公益法人等を除く)の分析、検討
3 公益法人等との委託契約の分析、検討及び500万円以上の契約の随意契約の適否検討
4 鳥取県警察学校等給食業務の委託料の監査

第3 意見

1 1社入札にならないような体制作りが必要
 情報システムの開発業者が同システムのノウハウを独占しているような場合であっても、そのシステムの使用者は鳥取県警察である。システム固有の専門情報やノウハウを、県警察が保有・管理し、その情報公開を行うことにより、他の事業者の入札参加への門戸を開く必要がある。「名ばかり」競争入札ではなく、真の競争入札に移行する体制が求められる。

2 委託先の固定化と高い落札率の委託契約に対する監視が必要
 契約の相手先が固定化され、高い落札率が続いている傾向があることが分かった。発注単位の見直し、業者指名の方法等の改善又は報告義務等を契約業者に課すことにより契約に係る業務の再委託状況等の監視を行う必要がある。

3 委託料を単価方式に変更することの検討
 公益法人等に対する委託契約の一部は、行政サービスを受ける人数や件数に所定の委託契約単価を乗じた金額が委託料となる単価計算方式になっている。しかし、大部分は委託先の当該委託業務に要した実費金額が県から委託先に支払う委託料となる実額精算方式となっている。
 例えば、鳥取県交通安全協会に委託している運転者講習委託は、この実額精算方式を採用している。実額精算方式では、委託先の経費削減努力を促すことにつながらず、ゆえに県の支出する委託料の削減につながらないと考える。
 実額精算方式の契約を結んでいるものを、単価契約の方式の契約に移行できないか今後検討すべきである。

4 平成19年度の鳥取県警察学校等給食業務委託契約には反省材料がある

(1) 給食委託業務の予定価格の見込み誤り
 当初予算編成時の予定価格約697万円は、警察本部の予算原案1,000万円を財政課の査定により決められたものである。
 3回も実施した入札に落札者が現れなかったことを重く受け止めなければならない。業者が示した価格は、県の予定価格を大幅に上回っていた。この入札結果を見て、鳥取県警察の予定価格が低すぎたことを謙虚に受け止め、見直し検討すべきであったと思っている。
 予定価格が低すぎたことの答えは、年度途中の委託料の増額契約という形で現れた。当初の契約金額659万円が744万円に増額になったのである。県の見込み誤りは、予算段階での積算が甘かったといわれても仕方がない。
 このことが、県に対する業者の不信感につながらないことを願っている。

(2) 第二の委託料は歳出外支出である
 警察学校等の給食事業の中には、県が委託先に直接支払う委託料と給食の利用者が負担する給食費の二つのお金の流れが存在している。この二つのうち、利用者が負担する給食費全額は県の会計を経由せずに委託先に支払っているのであるが、その80%相当額は食材費に充当されることになっている。第二の委託料とは、給食利用者から受け取る給食費の全額から食材費相当額80%を差し引いた残りの20%相当額を指す。この20%相当額は委託先が委託料収入として経理処理するものである。
 給食委託業務は、給食利用者の個人負担なしでは成立しないものである。このような個人負担分の収納金額を、歳入として扱うことにすれば、第二の委託料も自然と歳出に含められるようになる。
 全国の地方自治体において、裏金問題が発生した。このような個人負担金の出納、あるいは県の条例や会計規則に規定されないお金の動きも、歳入・歳出として扱うことが裏金発生の余地を減らす手法になると思料する。

第8章 待機宿舎の老朽化による入居率の低さ

第1 問題点の所在
 鳥取県警察から、警察職員用の待機宿舎の入居状態に関する資料を入手して見たところ、警察職員数が約1,400人前後であるのに、待機宿舎の戸数が541戸と多いことに気がついた。また、それだけの数の宿舎を用意しているのに空室率が約40%と高いことに驚いた。築経過年数が長く、宿舎の老朽化が進行していること、また民間賃貸住宅の増加により、待機宿舎への入居が敬遠される傾向にあるとの説明を受けた。
 そこで、待機宿舎の一部を視察することにより、鳥取県警察の宿舎保全状況を感じ取ることにした。

第2 昭和49年以前に建築された宿舎の入居状況(平成20年10月1日現在)と視察結果
 昭和49年以前建築の宿舎戸数は251戸と全戸数541戸の半分近くの約46%となっている。そして、昭和49年以前建築の宿舎の入居率は、全体で37.1%と極めて低いことが分かった。
 本部管轄の宿舎(鳥取市浜坂2丁目1494番、昭和41年から45年にかけて8棟、総戸数40戸)と、鳥取警察署管轄の宿舎(鳥取市覚寺260番9、昭和44年から51年にかけて6棟、総戸数23戸)の視察を行った。築年数の経過による老朽化だけでなく、ほとんど手入れされていない状況を目の当たりにした。

第3 意見
 県の財産である待機宿舎の継続的な維持補修により、住むに値する状態にしておく責任がある。県の施設を、老朽化させないことを求める。

第9章 賃貸方式にした待機宿舎

第1 造るから借りるにした公募提案型待機宿舎

1 新しい待機宿舎の完成平成20年3月に米子市上福原六丁目に鉄筋コンクリート造り4階建て部屋数36室の待機宿舎 中央マンションが完成し、平成20年4月1日から使用を開始した。

2 この待機宿舎は、鳥取県が建設せず長期賃貸方式にしたこれまでの待機宿舎は、県が宿舎用地を自ら確保し、当該地に宿舎を建設していた。県は、平成17年度の当初予算要求にかかる米子警察署待機宿舎整備事業に対して、次に記した理由により、市部における宿舎は、原則、県で建設せず、民間の賃貸住宅を借り上げることとする方針を示した。

3 長期賃貸方式を採用した理由県が示した長期賃貸方式への変更理由は、次の6点である。
(1) 民間の施設を借り上げた場合の方が、県で建設した場合の建設費とのコスト上有利である。
(2) 公募により民間の競争性が引き出せるため、居住性の優れた宿舎整備が期待できる。
(3) 宿舎維持管理費等が不要になる。
(4) 用地取得費が不要である。
(5) 財政支出の平準化が図られる。
(6) 宿舎老朽化による施設取り壊しや建て替えの負担を回避できることになる。

第2 意見
 長期賃貸方式を採用したことを評価する。

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