今年は、桜の花も早々と散り、慌ただしい新年度がスタートしました。
鳥取県教育センターは、昭和48年4月に現在地に開所以来、今年度で50年目となり、大きな節目の年を迎えます。
開所以来「研修・研究・支援」を3本の柱として、時々の教育課題に柔軟に対応できる教育人材の育成と本県教育の質的向上に努めてきたところですが、半世紀を経て教育を取り巻く社会の環境は大きく変化しました。
特に近年では、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い学校や教育のあり方が問われるとともに、1人1台端末を始めGIGAスクール構想による急速なICT環境の整備により、子どもたちの学びの幅が大きく広がりました。こうした流れは、デジタル教科書・教材の活用、CBT(Computer Based Testing)の導入、校務のクラウド化など、更に加速する見込みです。
このため、今春の組織改編により、教育センターに「教育DX推進課」を新設し、教育情報化に関するハード整備・セキュリティ管理と利活用推進を一体的に担うことで、デジタル社会の実現に向けて教育のDX(デジタルトランスフォーメーション)を進めていくこととしました。
一方で、大量退職、大量採用の時代を迎え、人材不足への対応や若手の育成をしながら働き方改革も求められる教育現場の負担は増加しており、喫緊の課題である人材の確保と育成・働きやすい環境の整備に向け、その解決策を模索していく必要があります。
学習指導要領の前文には、「一人一人の児童(生徒)が、自分のよさや可能性を認識するとともに、あらゆる他者を価値のある存在として尊重し、多様な人々と協働しながら様々な社会的変化を乗り越え、豊かな人生を切り拓き、持続可能な社会の創り手となることができるようにすることが求められる。」とうたわれ、他者と協働して課題解決する力を育成することの重要性について明記されています。
多忙な学校現場の課題解決を目指す大人にも同様のことが言え、校内教職員だけで対応するのではなく、保護者や地域、専門知識や技術を持つ外部人材の力を借りながら乗り越えていくことが近道ではないかと思います。
これからは、教師主導から子ども主体の授業への転換、子どもの学びを支援する伴走者としての能力が求められると言われますが、そのためには教師も子どもとともに学び続けなければなりません。
当教育センターには、「日就月将」(日になり、月にすすむ)の横額が、開所当時から掲げてあります。黄色く色褪せ、ところどころにシミがある額ですが、教育センターの半世紀の歩みと学び続けることの大切さを感じさせてくれます。
玄関のハナミズキは、今、真っ白な花を咲かせて春の日差しに輝いています。花言葉は「永続性」。額とともに先達から我々へのメッセージだと受け止めています。
あらゆることにスピードが求められる時代ですが、鳥取県教育センターは、本県教育委員会が人材育成施策の基軸としている「ふるさとキャリア教育」の実現に向け、学び続ける教師とともに着実に歩み、支え続ける存在でありたいと思っています。
今後とも教育センターの事業に、より一層の御理解と御協力をお願いします。
令和5年4月
鳥取県教育センター
所長 横山 順一

