このたびの包括外部監査の指摘及び意見の件数は、次のとおりである。
企業立地事業補助金
|
項目名等
|
指摘
|
意見
|
ナノ社
|
5
|
4
|
F社
|
-
|
1
|
デンバ社
|
2
|
4
|
TPC(株)
|
1
|
3
|
倒産企業(プロフ精密(株)、(株)大陸)
|
-
|
2
|
(株)マルカン
|
-
|
1
|
企業立地事業補助金の全体に係る指摘及び意見
|
3
|
8
|
計
|
11
|
23
|
コンテンツ・事務管理関連雇用事業補助金
|
項目名等
|
指摘
|
意見
|
L社
|
2
|
1
|
(株)ガイナックス、(株)スター
|
-
|
2
|
計
|
2
|
3
|
リサイクル技術・製品実用化事業補助金
|
項目名等
|
指摘
|
意見
|
リサイクル技術・製品実用化事業補助金の全体に係る意見
|
-
|
2
|
計
|
-
|
2
|
環境対策設備導入促進補助金
|
項目名等
|
指摘
|
意見
|
(株)芙蓉別館
|
2
|
-
|
(有)岩崎館
|
1
|
1
|
西村文人(米子湯)
|
1
|
-
|
環境対策設備導入促進補助金の全体に係る指摘及び意見
|
4
|
6
|
計
|
8
|
7
|
|
|
|
合計
|
21
|
35
|
包括外部監査報告書に記述した指摘事項及び意見のうち、特に記述すべきと思われるものについて、以下に要約して記載する。
第1 企業立地事業補助金
1 企業立地事業補助金の個別案件に係る指摘及び意見 〔報告書P39〕
(1) (株)ナノオプトニクス・エナジー(以下「ナノ社」という。)
ア 事業概要
事業内容
|
電動車いす製造 ほか
|
事業期間
|
平成24年3月28日~平成27年3月31日
|
操業開始日
|
平成27年3月31日(予定)
|
補助対象事業経費
(算定基準額)
|
投下固定資産額 2,771,302千円
(土地 542,699千円、建物 241,551千円、機械装置 1,855,292千円、その他償却資産 131,760千円)
初年度賃借料 -千円
|
補助率
|
40/100
|
交付決定額
|
309,098千円(出来高払い)
|
交付決定日
|
平成24年11月22日
|
イ 監査の結果
(ア) 企業立地事業認定の審査について【指摘事項】 〔報告書P41〕
平成24年10月の事業認定申請の際に、認定申請書の提出と併せて平成23年9月期の決算報告書の提出があり、その内容を確認したところ、損益計算書によれば当期純利益が△1,127,541千円と大幅赤字の経営成績であり、また、貸借対照表によれば純資産額が△970,830千円であったことから、事業認定時において大幅な債務超過の状況であったことが判明した。
また、事業認定の際には、対象企業の経営状況を評価するため、「経営自己診断システム」による安全性の評価を行っている。
ナノ社の事業認定の際における経営診断結果は、デフォルト企業(実質破綻企業)の数値を下回る「危険ゾーン」であった。つまり、実質的に破綻企業と同等の財務内容であったと言っても過言ではない状況であったにも関わらず、企業誘致を実施し、多額の公金を投入することとしたものである。
事業認定申請時に、ナノ社より提出されている向こう約3か年の経営計画及び資金計画においては、多額の資金調達が実現され、売上が順調に増加することによって経営成績が向上する計画内容となっているが、この経営計画及び資金計画の内容について県側に確認を行ったところ十分な説明が受けられなかったことから、精緻な検討がなされていないと感じられた。仮に、ナノ社のように大幅な債務超過の財務内容の企業を事業認定するのであれば、将来にわたって相当な収益性の改善が必要であることが絶対条件と考えられることから、経営計画及び資金計画の入念な精査は当然に必要であったはずである。
また、現在のナノ社の経営成績及び資金繰りとも計画とはかけ離れている状況であり、経営計画時における販路等についても具体性に欠けていることから、計画の実現可能性についても疑問を感じる。つまり経営計画及び資金計画の十分な精査を行うことなく事業認定を行ったとも考えられ、このような県における事業認定時の極めて甘い判断が、補助金の出来高払いの対象となった土地・建物の一部売却部分に係る補助金返還額の返還遅延という現在の状態を引き起こしていると言っても過言ではない。今後は、事業認定時の財務内容の検討及び事業認定後の経営計画及び資金計画の実現可能性の検討を十分に行うように改善し、このような認定を今後は行わないよう、再発防止に努めるべきである。
(イ) 補助事業により取得した財産の処分に関する手続について【意見】 〔報告書P45〕
当案件においては、土地・建物の先行取得に対して補助金の出来高払いを行い、その一部を株式会社イーウェル(以下「イーウェル社」という。)に売却したことに伴い、売却部分の補助金相当額の一部取消し及び返還請求を行っている。
なお、補助金返還請求額45,788,385円の算定根拠は、以下のとおりである。
(単位:円)
|
|
補助金額 a
|
売却面積 b
(平米)
|
全体面積 c
(平米)
|
返還請求額
(a×b/c)
|
土地
|
217,079,000
|
15,249.21
|
74,213.84
|
44,604,662
|
建物
|
92,019,000
|
575.63
|
44,747.70
|
1,183,723
|
合計
|
309,098,000
|
-
|
-
|
45,788,385
|
この計算根拠によれば、当初に交付された補助金額を基礎として、それを面積按分することにより返還請求額を算出していることとなる。
なお、補助金額309,098,000円の算定根拠は、以下のとおりである。
補助金額計算:772,747千円(土地・建物取得価額)×40%(補助率)=309,098千円(補助金額)
つまり、補助金額309,098,000円は土地・建物の取得価額を基礎として算定しており、また、返還請求額である45,788,385円は補助金額を面積按分により算定していることから、県が算定した返還請求額は、土地・建物の取得価額を面積按分することにより算定した金額であることとなる。
しかし、以下の(1)から(3)のとおり、当該土地売却に関して県が返納を受けるべき金額は、県が算出しているように出来高払いを行った補助金額である309,098,000円を面積按分することにより算定するのではなく、イーウェル社への売却金額である270,000,000円に補助率を乗じた金額の方がより適正であると考え、その算定方法によれば62,211,615円の県への返納不足額が生じている結果となる。
(単位:円)
|
譲渡額 a
|
補助率b
|
県費納付額
c=a×b
|
現状の補助金返還請求額d
|
返納不足額
c-d
|
270,000,000
|
40%
|
108,000,000
|
45,788,385
|
62,211,615
|
(1) 「県の補助事業により事業者が取得した財産の処分に伴う県費納付について」(平成20年9月26日付鳥取県総務部長通知)、及び経済産業省における「補助事業等により取得し又は効用の増加した財産の処分等の取扱いについて」(平成16・06・10会課第5号)の各通知等によれば、補助事業等により取得した財産処分時の補助金返還額の算定について、県の上記の通知では、類似した国庫補助事業がある経済産業省の財産処分承認基準を準用することとされており、更に、経済産業省の上記の財産処分承認基準では、有償譲渡による財産処分の場合には補助金額を上限として「譲渡額」に補助率を乗じた額とするとされている。
また、「県の補助事業により事業者が取得した財産の処分に伴う県費納付について」(平成20年9月26日付鳥取県総務部長通知)において「従来から、財産の処分制限期間内における補助金交付目的に反する譲渡等の処分に当たっては、補助事業者は鳥取県補助金等交付規則第25条第2項に規定する知事の承認を必要としているところです。」とし、財産処分時には県の財産処分承認が必要であることを改めて明らかにしているところである。
当該案件においては、ナノ社の財産処分の事実を県側は事前に把握していたことから、財産処分前に財産処分の承認申請書を受理し、譲渡額により県費納付額の算定を行うとともに、同納付額の県費納付を条件とした財産処分の承認を行うべきであったと考える。
しかし県は、鳥取県補助金等交付規則第21条の規定により補助金交付決定の一部取消しを行うとともに、補助金返還額を取得価額を面積按分することにより算定した上で、鳥取県補助金等交付規則第22条の規定に基づいて補助金の返還請求を行っている。
(2) 平成26年3月末現在のナノ社の合計残高試算表を確認したところ、土地・建物の一部を売却した時期である平成26年3月分の損益計算書の特別利益に、固定資産売却益が156,137,291円計上されている。
これは、以下のとおり、おおむねナノ社からイーウェル社へ土地・建物を売却したことによる利益であることがわかる。
なお、以下の検証作業は、ナノ社の会計帳簿の所在が不明であることから、固定資産売却益の計上内容が不明であったため行ったものである。
(単位:円)
|
|
取得価額
合計 a
|
売却面積 b
(平米)
|
全体面積 c
(平米)
|
売却部分
取得価額 d
(a×b/c)
|
売却金額 e
|
売却益
(e-d)
|
土地
|
542,699,027
|
15,249.21
|
74,213.84
|
111,511,969
|
270,000,000
|
158,488,031
|
建物
|
230,048,207
|
575.63
|
44,747.70
|
2,959,317
|
0
|
△2,959,317
|
合計
|
772,747,234
|
-
|
-
|
114,471,286
|
270,000,000
|
155,528,714
|
つまり、ナノ社は、補助金交付を受けて取得した土地・建物を倍以上の金額で売却して約156百万円もの利益を享受し、利益計上していることとなる。
その一方で、補助金返還額は売却金額に対してではなく、取得価額を面積按分して計算していることとなるため、補助金交付を受けて取得した固定資産を売却して多額の利益を享受しているにも関わらず、その利益である約156百万円に対する補助金返還は不要とされていることから、当該売却益はすべてがナノ社の儲けとなっており、著しく妥当性に欠ける状況となっていると考える。
(3) 当該補助事業により取得した土地の一部売却部分の補助金返還請求額の算定を、売却部分と売却対象としなかった部分の各面積を基礎とした按分計算によっていることについて、立地戦略課側は以下のような見解を示している。
【立地戦略課の見解】
補助金返還金額の算定に関しては、鳥取県補助金等交付規則第21条の交付決定の一部取消しを行う場合、「当該取消しに係る部分について既に補助金を支払っているときは、(中略)、その部分について支払った額の返還を命ずるもの。」と定められていることから、県ではこの規定に従い「その部分について支払った額」として、売却面積の面積按分により算定したところである。
なお、経済産業省の財産処分基準による運用では、売却した土地の部分に対して支払われた補助金額を上限として算定されるところであり、当該案件の手続において鳥取県補助金等交付規則に基づく交付決定の一部取消しではなく財産処分承認手続によることとしても、結果的には県費納付額と現状での返還請求金額は同一となり問題とはならない。 |
上記の(2)に記載のとおり、単純に面積按分することにより売却部分の土地の取得価額を算定すると取得価額の倍以上の金額で売却し、約156百万円もの多額の売却益が生じていることとなる。
しかし、地価の下落が続いている近年の鳥取県内の地価動向を勘案すると、当該土地を取得した平成24年3月から売却を行った平成26年3月までの僅か2年間で、当該売却対象とした土地の価格が急上昇して上記のような多額の売却益の稼得が実現したとは考えにくい。
また、当該売却部分は建築物がほとんどなくグラウンドやテニスコートなどで占められた土地である。一方、売却対象としなかった土地には大規模な工場及び倉庫があることから考えると、売却した土地の方がより更地に近いため一般的には利用価値が高いと思われる。つまり、土地の状態によって地価が異なると考えられることから単純に面積按分により売却部分の取得価額を算定することは、必ずしも適正であるとは言えない。
売却した部分と売却対象としなかった部分では明らかに土地の状態が異なること、及び下落が続いている近年の地価動向から考えると、当該土地売却における売却価額である270,000,000円の方が売却部分の土地の適正時価に近いものであると思料されることから、出来高払いを行っている補助金額である309,098,000円を基準として、単純に面積按分で補助金返還額を算定するという県の算出方法は合理性に欠けると考える。
以上の(1)から(3)において示したとおり、当該案件においては県費納付を条件とした財産処分承認手続によるべきであり、また、県費納付額の算定は単純に面積按分により算出する方法よりも、売却価額である270,000,000円に補助率を乗じることにより算出する方法がより実態に即していたのではないかと考える。今後は、交付先が補助事業により取得した財産を譲渡することを事前に把握した場合には、県費納付を条件とした財産処分承認手続によることとし、更には土地の一部売却などの財産の一部を処分するケースにおける県費納付額の算定は画一的に面積按分によるのではなく、各案件の個別事情を勘案のうえ算定するよう検討されたい。
(ウ) 補助金交付決定一部取消額の返還に係る手続等について【指摘事項】 〔報告書P52〕
前述までのとおり、ナノ社の土地・建物の先行取得に対して補助金の出来高払いを行い、その一部をナノ社が270,000,000円で売却しているが、その売却により得た資金の使途について、県側の資料及びナノ社の関連資料等より確認を行ったところ、おおむね以下のような支出内容であった。
ただし、県側の資料は平成26年4月時点での資料であることから、その後の予定も含まれているため、以下の内容は実績とは異なるものである。
(単位:円)
|
相手先
|
内容
|
支出金額
|
金融機関A
|
借入金繰上返済及び借入金利息
|
59,136,601
|
金融機関B
|
借入金繰上返済及び借入金利息
|
59,119,251
|
鳥取県
|
人材育成概算払委託料返還
|
18,882,850
|
関係会社C社
|
借入金返済及び借入金利息
|
74,000,000
|
各取引先
|
資材・諸経費
|
40,868,375
|
役員・従業員
|
人件費
|
24,865,238
|
合計
|
-
|
276,872,315
|
上表のうち最も注目すべきは、「関係会社C社」への借入金及び借入金利息の返済である。C社は、ナノ社の関係会社であり、上記金額の返済前は450,000,000円の借入金があり、そのうち400,000,000円を対象債権とした抵当権が取得用地に設定されていた。
ナノ社は県への補助金返還よりも関係会社への借入金返済を優先させたこととなり、補助金返還よりもグループ企業の資金繰りを優先させたとも取れるナノ社におけるこのような行為は大きな問題である。
県側によれば、「ナノ社のイーウェル社への土地の売却価額は県側は知らなかった。また、当然に補助金返還は受けられると思っていたが、ナノ社が勝手にC社へ借入金返済を行ってしまったものである。」とのことであり、決して県側がC社への借入金返済を優先することを事前に容認していたわけではないとの説明であった。確かに、平成26年2月17日(月)に鳥取県庁商工労働部長室で行われたナノ社からの経営状況報告の内容を記録した会議録を確認すると、土地の売却により得た資金によってC社への借入金返済を実行したい旨のナノ社からの申し出に対して、商工労働部長がそれを禁じる発言をしているようである。しかし、そのようなやりとりがあったにも関わらず、補助金返還よりもC社への借入金返済を優先させた行為に対して何らの制裁措置を採っていない県の対応に対して、非常に理解に苦しむところであり、また到底納得しがたい。
このような一連の事実関係から考察すると、県への補助金返還を、C社への借入金返済よりも劣後させることを、県側が事前に容認したととられても仕方がない状況ではなかろうか。
県側は「県にとっては憂慮すべき事態であるが、それに対して県への補助金を強制返還させる根拠となる法令等は存在しない。」という見解を示しているが、このような不合理な現状に対して県民の納得が得られるか否か疑問である。
県が、補助金返還を優先させることを強くナノ社側に要請していたのであれば、返還請求に対する義務違反として、鳥取県補助金等交付規則21条(交付決定の取消し等)の適用により補助金の交付決定の取消しについて検討を行うことも必要であったと考える。
平成26年3月以前にナノ社用地を県が紹介したことから、県としてもナノ社とイーウェル社との間で売却交渉がなされていることを把握していたことを考えれば、補助金返還に係る対応は十分にできたはずである。財産処分の申請書の提出を、当該土地の売却前に受けるとともに、その申請に係る承認にあたって、「(イ) 補助事業により取得した財産の処分に関する手続について」において示した県費納付の条件と併せて、売却により得た資金から必ず売却部分に係る補助金返還を受けることとする条件を付す必要があった。このような事実に対しては、県側は深く反省するとともに、今後はこのように著しく合理性に欠けるような事態が生じないよう再発防止に努めるべきである。
(エ) ナノ社誘致案件に係る今後の対応について【指摘事項】 〔報告書P56〕
前述のとおり、ナノ社は監査時において県から認定を受けている企業立地事業の開始について見通しが立っていない状況であり、また、返還請求を行っている補助金45,788,385円も未返還の状況である。
一方で、一部の土地・建物の売却先であるイーウェル社は平成26年7月22日に企業立地事業の認定を受けていることから、後にはイーウェル社に対して当該土地も含めた投下固定資産額に対する企業立地事業補助金が支出されることとなる。つまり、ナノ社に対する返還請求額が未返還のままとなれば、交付先が違うといえど同じ土地に対して補助金が重複して交付されたままの状態となり、極めて不合理な形で公金が投入される結果となってしまう。
なお、鳥取県補助金等交付規則第21条第1項において、同規則の規定又は決定内容等に違反したときには、交付決定の全部又は一部を取り消すことができることとされている。ナノ社の場合においては、上記の「(ウ) 補助金交付決定一部取消額の返還に係る手続等について」に記載のとおり、土地売却に伴い関係会社借入金の返済を優先させることにより、補助金返還を行うべきという規定に違反して補助金の返還が遅延している。ナノ社は、多額の県税が投入されている補助金に対する返還義務を早急に果たすべきであるにも関わらず、補助金返還の義務に違反する状況がこのまま継続し、また、事業完了予定日である平成27年3月31日において、認定した事業の開始もなされないようであれば、県は事業認定そのものを取消し、補助金の全額返還を求める措置を講じるべきである。
(2) デンバジャパン(株) (以下「デンバ社」という。) 〔報告書P62〕
ア 事業概要
事業内容
|
電動バイク製造
|
操業開始日
|
平成24年4月17日
|
補助対象事業経費
(算定基準額)
|
投下固定資産額 71,400千円
(建物 2,698千円、機械装置 37,742千円、その他償却資産 30,960千円)
初年度賃借料 7,522千円
内訳:土地・建物 7,200千円
事務機器 322千円
|
補助率
|
投下固定資産部分 20/100
初年度賃借料部分 100/100
|
交付決定額
|
投下固定資産部分 14,280千円
初年度賃借料部分 7,522千円
|
交付決定日
|
投下固定資産部分 平成24年9月12日
初年度賃借料部分 平成24年12月4日
|
イ 監査の結果
(ア) 誘致企業撤退時の補助金交付対象資産の処分状況の確認について【指摘事項】 〔報告書P63〕
当交付先は、平成25年11月20日に操業停止しその後撤退しているが、県の担当者への確認を行ったところ、撤退時においては「操業休止届出書」の提出及び受理により操業休止扱いとしているのみで、補助金交付対象資産の処分状況については県側では全く現場確認等を実施しておらず、同資産の処分状況を把握していない状況であった。
包括外部監査実施時点での補助金交付対象資産等の現状の調査を立地戦略課へ依頼したところ、撤退時にデンバ社側において、補助金交付対象財産を債権者へ譲渡担保として提供するなどし、また、事業所の貸主へ無償譲渡し処分したものや、さらには処分方法や処分先が不明な資産がある事実が判明した。
企業の撤退時に、補助金交付により企業が取得した資産の処分状況を確認せず、さらには処分先等が不明なものがあることは、非常に大きな問題である。
県の担当者は、企業立地事業は多額の公金が投入されている事業であることを再認識し、また、商工労働部内においてこのような確認漏れが生じないようなチェック体制を確立し、再発防止に努めるべきである。
(イ) 5年未満の賃借期間に係る補助金交付に対する返還請求について【指摘事項】 〔報告書P65〕
当案件においては、電動バイクの組立に係る工場は賃借物件であったことから、鳥取県企業立地等事業助成条例第2条第1項12号の規定により、初年度賃借料の1年分について、規定の補助率である50%に知事特認加算の50%を加えた100%補助率を適用した金額である7,200千円を支給している。
賃借料の定義については、鳥取県企業立地等事業助成条例第2条第1項第6号に「契約期間が5年以上であるものに限る。」と規定されているが、当案件における賃貸借契約書を確認した結果、賃借期間は2年であったことが判明した。したがって、補助金の交付要件に合致しないものであるため、補助金交付金額である7,200千円については返還請求を行うべきである。
(3) TPC(株) 〔報告書P68〕
ア 事業概要
事業内容
|
農産物加工業
|
操業開始日
|
平成24年7月1日
|
補助対象事業経費
(算定基準額)
|
投下固定資産額 139,879千円
(建物 132,738千円、機械装置 7,141千円)
初年度賃借料 10,284千円
|
交付決定額
|
投下固定資産部分 20,981千円
初年度賃借料部分 7,713千円
|
交付決定日
|
投下固定資産部分 平成24年7月19日
初年度賃借料部分 平成25年4月22日
|
イ 監査の結果
(ア) 誘致企業撤退時の補助金交付対象資産の処分状況の確認について【指摘事項】 〔報告書P69〕
当交付先は、平成25年10月31日に操業停止しその後撤退しているが、県の担当者への確認を行ったところ、前述のデンバ社と同様に、撤退時においては「操業休止届出書」の提出及び受理により操業休止扱いとしているのみで、補助金交付対象資産の処分状況については県側では全く現場確認等を実施しておらず、同資産の処分状況を把握していない状況であった。
包括外部監査実施時点での補助金交付対象資産等の現状の調査を立地戦略課へ依頼したところ、撤退時にTPC(株)側において、事業を行っていた賃借物件にそのまま存置した状態、つまり、当該賃借物件の所有者へ無償譲渡した状態であり、現在はTPC(株)とは全く関係のない別の事業者(現在の当該賃貸物件の賃借人)が使用している状況であることが判明した。企業の撤退時に、補助金交付により企業が取得した資産の処分状況を確認していないことは、非常に大きな問題である。
県の担当者は、企業立地事業は多額の公金が投入されている事業であることを再認識し、また、商工労働部内においてこのような確認漏れが生じないようなチェック体制を確立し、再発防止に努めるべきである。
(4) 倒産企業(プロフ精密(株)、(株)大陸) 〔報告書P71〕
平成21年度以降に企業立地事業補助金の交付を受けた企業のうち、平成26年9月末までに倒産(事業廃止)している企業は、以下の2社である。
ア プロフ精密(株)
(ア) 事業概要
事業内容
|
コネクタ部品等の精密電子部品の製造・組立
|
操業開始日
|
平成22年12月1日
|
補助対象事業経費
(算定基準額)
|
投下固定資産額83,571千円
(建物786千円、機械装置78,175千円、その他償却資産4,610千円)
|
交付決定額
|
8,357千円
|
交付決定日
|
平成23年3月1日
|
当交付先は、平成23年12月に営業を停止し、破産手続の開始決定を受けている。なお、当交付先には、本補助金のほか、平成19年7月に28,445千円の企業立地事業補助金が交付されている。
イ (株)大陸
(ア) 事業概要
事業内容
|
とんかつ、冷凍チキンカツ等の製造
|
操業開始日
|
平成24年2月25日
|
補助対象事業経費
(算定基準額)
|
投下固定資産額31,013千円(機械装置31,013千円)
初年度賃借料6,277千円
(冷凍庫・冷蔵庫リース3,180千円、工場・駐車場賃貸3,097千円)
|
交付決定額
|
投下固定資産部分 3,103千円
初年度賃借料部分 3,138千円
|
交付決定日
|
投下固定資産部分 平成24年8月20日
初年度賃借料部分 平成25年1月17日
|
当交付先は、平成26年4月に操業を休止し、破産手続の開始決定を受けている。
ウ 監査の結果
(ア) 事業認定の際の経営状況の評価について【意見】 〔報告書P73〕
プロフ精密(株)の事業認定の際の経営状況は、経営自己診断システムによる評価は「警戒ゾーン」と評価されているが、民間信用情報機関による評点は「普通」ランクに位置付けられていることを判断材料として、「経営状況に問題なし」として事業認定が行われている。事業認定後、平成23年3月に補助金を交付しているが、同年12月に事業を休止し、破産手続を開始している。
(株)大陸の事業認定の際の経営状況は、経営自己診断システムによる評価は「警戒ゾーン」と評価されているが、「現状の経営状況は厳しいものの、今後の安定した経営に向け、安定的な取引が期待できる「冷凍チキンカツ」事業を実施することで、売上の向上が見込まれる」とコメントを付し、「経営状況は問題ないものと考えられる。」として事業認定が行われている。
両社はいずれも、事業認定時の経営自己診断システムによる安全性の評価が「警戒ゾーン」と評価されていることを鑑みると、事業認定の段階で、その企業の財務状況を詳細に分析し、民間信用情報機関による評点や事業計画を鵜呑みにするのではなく、経営状況の判断を慎重に行い、事業認定を行うか否か判断する必要があったものと考える。
2 企業立地事業補助金の全体に係る指摘及び意見
(1) 監査の結果
ア 補助金交付決定時の調査関係資料の紛失について【指摘事項】〔報告書P76〕
補助金交付決定時において、鳥取県補助金等交付規則第18条の規定に基づく現地調査等を実施しているが当該調査に係る現地調査時の調査資料がなく、また、調査報告書はコピーのみの保存であり原本がない補助金交付案件が見受けられた。調査資料がなければ、適正な調査が行われたか否か判断できないだけでなく、それらの調査資料及び調査報告書の原本の所在が不明であることは大きな問題である。
今後は、資料管理を徹底することにより、資料紛失の防止に努めるよ う徹底する必要がある。
イ 事業状況報告書の提出について【指摘事項】 〔報告書P76〕
企業立地等事業補助金の交付を受けた者は、鳥取県企業立地等事業助成条例第6条第2項の規定により、同条第1項に規定する事業継続努力義務期間内は所定の様式により、毎年10月1日時点における補助事業で取得した物件の状況や雇用の状況などの事業状況を報告しなければならない旨が規定されている。
事業状況報告書の提出状況について、平成24年度分(平成24年10月1日現在の状況を示す報告書)及び平成25年度分(平成25年10月1日現在の状況を示す報告書)の報告書等より確認を行ったところ、以下のとおりであった。
平成24年度分及び平成25年度分事業状況報告書提出状況
|
項目
|
平成24年度分
|
平成25年度分
|
要提出件数 a
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114件
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145件
|
未提出件数 b
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25件
|
27件
|
未提出割合 b/a
(小数点第4位四捨五入)
|
21.9%
|
18.6%
|
上表のとおり、約2割の補助金交付対象者が条例に反して報告書の提出を行っていないということが判明した。
県は、現状において未提出者への対応を行っていないが、事業状況報 告書は条例において提出が義務付けられているものであり、また、企業立地事業補助金の交付金額は多額であることからも、未提出者に漏れなく督促を行うことにより、補助金交付対象者の状況を的確に把握するように改善するべきである。
ウ 事業状況報告書の紛失について【指摘事項】 〔報告書P77〕
このたびの包括外部監査の対象とした期間である、平成21年度分から平成25年度分の事業状況報告書の保管状況について確認したところ、平成21年度分、平成23年度分が保管されていないことが判明した。事業状況報告書の保管期限は10年間であることから、保管されていて当然であるべきものであり、また、事業者から提出のあった報告書は公文書となるものであることから、紛失していることは重大な問題である。
今後は、このような事態が起こることのないように、保管の徹底を行うよう改善すべきである。
エ 企業立地事業認定時の審査体制について【意見】 〔報告書P80〕
企業誘致は、県内の雇用の拡大や生産による地域経済の活性化に大きく貢献するが、一方で、補助金の交付額が多額であり、補助金には多額の公金が投入されている。
近年、交付先企業の倒産や撤退などが生じているが、企業立地事業補助金の交付は、県内の雇用機会の拡大を目的としていることから、交付先が倒産するのはもちろん、撤退や事業縮小などの事態に陥ることなく、当初の事業計画どおり永続的に事業を継続することを前提として行うものである。そのため、交付先企業の経営の健全性は、企業立地事業認定時の重要な判断要素の一つということができる。
企業立地事業の認定を行う際には、企業の経営状況を経営自己診断システムによる安全性の評価や民間信用情報機関による評点を参考にしているが、評点が比較的低く、財務状況に不安のある企業を認定する際の検討が不十分で、また、財務状況に不安があるにも関わらず、認定に至った理由の記載が不十分と考えられるものがある。財務状況に不安があることをもって直ちに認定対象から外すべきとは言えないが、そのような企業を認定する場合には、認定に至った理由について、十分に記載された検討資料を残す必要がある。
また、認定の際には、財務状況だけでなく、雇用内容、事業内容の将来性やその実現可能性、設備投資や生産における下請けや物資調達等の波及効果分析を行い、総合的に判断できるように専門家などの外部有識者も参加し、審査する審査会を設置することも検討すべきである。そして、十分な議論を行った上で認定するか否か判断できるよう、事業認定の審査体制を整備すべきである。
第2 コンテンツ・事務管理関連雇用事業補助金 〔報告書P82〕
1 L社
(1) 事業概要
事業内容
|
M社のノウハウ・メソッドによる人材育成拠点の運営
|
事業開始日
|
平成24年11月1日
|
補助対象事業経費
(算定基準額)
|
26,392千円
(通信料9,282千円、借室料8,211千円、設備機器賃借料6,899千円、人件費2,000千円)
|
補助率
|
通信料・借室料・設備機器賃借料の1/2、人件費は新規常用雇用者1人につき500千円
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交付決定額
|
14,196千円
|
交付決定日
|
平成26年1月17日
|
(2) 監査の結果
ア 補助金(人件費分)の過大交付について【指摘事項】 〔報告書P82〕
補助対象経費のうち、人件費の対象となる労働者は、「鳥取県に住所を有し、当該業務に6か月以上従事した常時雇用労働者」とされている。当交付先は、新規常時雇用労働者4人分の200万円を人件費分として補助金の交付申請を行っているが、補助金の交付申請に添付されている労働者名簿を確認したところ、うち1人は鳥取県に住所を有しない労働者であった。
鳥取県に住所を有しない労働者は補助対象経費に含まれないため、本 来は3人分の150万円で補助金の交付申請を行うべきであり、結果として1人分の補助金50万円が過大交付されている。
(単位:円)
|
適正な補助金交付額
a
|
実際の補助金交付額
b
|
過大交付額
b-a
|
1,500,000
(3人×50万円)
|
2,000,000
|
500,000
|
上記に記載している過大な補助金の交付については、過大交付分の補助金の返還を求めるべきである。補助金を交付する際には、補助金の対象となる労働者が鳥取県内に住所を有していることを確認し、鳥取県内に住所を有していない労働者分に対して、誤って補助金を交付することがないように注意する必要がある。
イ 補助金(借室料分)の過大交付について【指摘事項】〔報告書P83〕
当交付先は、借室料8,211千円を補助対象経費として交付申請を行っているが、補助金の交付申請に添付されている借室料の証憑を確認したところ、当該借室料の金額は消費税込みの金額となっていた。補助対象経費となる借室料の金額は、消費税抜きの金額とすべきであり、補助金が195,500円過大に交付されている。
(単位:円)
|
補助対象
事業経費
a
|
適正な補助金
交付額
b=a×1/2
|
実際の補助金
交付額
c
|
過大交付額
c-b
|
7,820,000
|
3,910,000
|
4,105,500
|
195,500
|
上記に記載している過大な補助金の交付については、過大交付分の補 助金の返還を求めるべきである。事業所の賃借料には通常消費税が含まれていることから、補助金を交付する際には、補助金の対象となる借室料に消費税が含まれていないことを確認し、消費税部分に対して、誤って補助金を交付することがないように注意する必要がある。
第3 環境対策設備導入促進補助金
1 環境対策設備導入促進補助金の個別案件に係る指摘 〔報告書P91〕
(1) (株)芙蓉別館
ア 事業概要
事業内容
|
空調設備の改修によるCO₂削減計画
|
補助対象事業経費
(算定基準額)
|
投下固定資産額10,000千円
(客室空調リニューアル工事 10,000千円)
|
検査日
|
平成22年4月13日
|
補助率
|
1/2 (上限5,000千円)
|
交付決定額
|
5,000千円
|
交付決定日
|
平成22年1月28日
|
イ 監査の結果
(ア) 補助金の過大交付について【指摘事項】〔報告書P91〕
当交付先は、空調設備リニューアル工事(補助事業費 10,000,000円)について平成21年度に補助金5,000,000円の交付を受けている。平成26年9月8日に当交付先を訪問し、実地調査を行ったところ空調設備の一部に見積書、請求書、配置図面等と実際の現物との数量が一致しないものが見受けられた。当該不一致の原因について、当交付先に対して確認したところ、請求書、図面等の数量の誤りと判明した。
(単位:円)
|
補助対象経費
a
|
適正な補助金
交付額
b=a×1/2
|
実際の補助金
交付額
c
|
過大交付額
c-b
|
9,928,000
|
4,964,000
|
5,000,000
|
36,000
|
結果として、正しい補助対象経費の総額は9,928,000円となり、補助金36,000円を過大交付していることになるため、当該過大交付分について返還請求すべきである。
(2) (有)岩崎館〔報告書P92〕
ア 事業概要
事業内容
|
給湯・厨房機器設備省エネ化工事
|
補助対象事業経費
(算定基準額)
|
投下固定資産額8,000千円
(給湯・厨房機器ほか 8,000千円)
|
検査日
|
平成23年1月11、14日
|
交付決定額
|
4,000千円
|
交付決定日
|
平成22年7月5日
|
イ 監査の結果
(ア) 補助金申請関係書類等の紛失について【指摘事項】 〔報告書P93〕
当交付先より、交付申請時に提出された書類等のうち、登記簿謄本、決算書、納税証明等、設備に係る請求書、見積書、領収書等の支払確認の証拠書類等が保管されていなかった。登記簿謄本、決算書等は事業者の状況を把握する重要な書類である。
また、請求書、見積書は補助金の算定金額の基となる補助対象経費の金額を確認、証明する重要な証拠書類であり、領収書等の支払の確認となるものは実際に支払があったことを証明する重要な証拠書類である。
これらの重要な書類の所在が不明であることは、大きな問題である。今後は、資料管理の徹底を図り、資料紛失の防止に努めるよう徹底する必要がある。
(3) 西村文人(米子湯) 〔報告書P93〕
ア 事業概要
事業内容
|
熱源等省エネ化改修工事
|
補助対象事業経費
(算定基準額)
|
投下固定資産額15,000千円
(熱源更新・LED照明化 15,000千円)
|
検査日
|
平成24年12月5日
|
交付決定額
|
5,000千円
|
交付決定日
|
平成24年7月30日
|
イ 監査の結果
(ア) 補助事業完了時の完了検査について【指摘事項】 〔報告書P94〕
本補助金の交付に際しては、補助金交付前において交付申請者へ実地に臨場し補助金交付対象となった設備等の現物確認等を行う完了検査を実施し、そのうえで問題がなければ補助金交付を行うこととしている。
当交付先に対しても、補助金交付前において県の担当者が現地調査を行っているが、設備の現状等の確認のため、当交付先及び当設備設置工事の施工業者へ臨場し、設備の現物確認や関係書類の検討を行った。
当設備工事では、A重油焚ボイラーから業務用給湯器への更新工事を行っており、当該更新後の給湯器の現物確認を実施したところ、交付申請時の添付資料である見積書の品番と現物の品番が相違しているものが見受けられた。施工業者へ臨場し、事実関係の確認を行ったところ、誤って別の製品を納品したのではなく、単に見積書の品番の表示誤りであることが判明し、補助金の交付そのものには問題がないことが確認できた。
補助金の交付に問題がないとはいえ、品番が相違しているにも関わらず、完了検査時に作成する検査復命書には、その旨のコメント等が付されていないため、設備の現物確認が適正になされたか否か確認できない状況であったことから、今後は、当該案件のような品番相違などの特別な検査結果については、検査復命書への的確な記録を行うよう改善すべきである。
2 環境対策設備導入促進補助金の全体に係る指摘 〔報告書P94〕
(1) 監査の結果
ア 平成22年度追加募集の審査集計表について【指摘事項】 〔報告書P96〕
平成22年度の追加募集の際の審査において、審査委員4人が審査項目ごとに審査し評点を出しているが、審査委員4人のうち2人は配点以上の評点を付している状況であった。評点に誤りが生じているにも関わらず、これを基に交付決定の採否を決定しているのは公平性に欠ける。配点以上の評点を付しているにも関わらず、この評点を基に集計していることは審査の信憑性に著しく欠けるものである。
今後は、評点の内容を十分に確認することにより、このような審査結果とならないようにすべきである。
イ 成果報告書の提出について【指摘事項】 〔報告書P98〕
補助金交付を受けた事業者は、鳥取県環境対策設備導入促進補助金交付要綱第11条において、補助事業の完了後1年間のエネルギーデータを取得・保管し、設備導入前後の省エネ効果を検証して成果を報告することが義務付けられている。
なお、平成26年7月1日における、成果報告書の提出状況は、下表のとおりである。
補助金成果報告書の提出状況(平成26年7月1日時点)
|
年度
|
補助金受給者
|
報告書提出数
|
報告書未提出数
|
未提出割合
(小数点第4位四捨五入)
|
21
|
39件
|
25件
|
14件
|
35.9%
|
22
|
34件
|
29件
|
5件
|
14.7%
|
23
|
15件
|
12件
|
3件
|
20.0%
|
24
|
14件
|
3件
|
11件
|
78.6%
|
※ 平成24年度については平成26年に提出が予定されているため、平成26年7月1日時点では未提出数が多くなっている。
県は、未提出の事業者には定期的(年に1回程度)に文書、メール、電話等により督促を行っているとしている。督促の文書には提出がない場合には現地ヒアリングを行う場合があると記載しているが、実際に未提出の事業者へ現地ヒアリングを行ったケースはなかった。
上表の未提出のうち11件については、この監査期間中の1か月の間に提出されたという状況をみると、督促が十分に行われていなかったと考えられる。提出していない理由として、事業計画で期待された成果が得られなったため提出できなかったという意見が一部の未提出の事業者からあった。
環境対策に取り組むうえで、補助を受ける事業者、補助を行う県のいずれも、計画に対する実績確認と原因分析からその成果の検証を行うことは重要である。検証の判断材料となる成果の報告がないことは問題であり、そもそも成果報告書の提出は義務となっている。
未提出の事業者には、強く提出を促し、現地調査・設備の稼働状況の確認を行うなどの積極的な対応とるべきである。
第4 補助金の過大交付金額の一覧表
このたびの包括外部監査において、把握した補助金の過大交付金額は次のとおりである。
企業立地事業補助金
|
交付先
|
過大交付金額
|
内容
|
デンバ社
|
7,200,000円
|
賃借期間が5年未満である賃借契約に係る賃借料に対して補助金交付を行っていた。
|
計
|
7,200,000円
|
-
|
コンテンツ・事務管理関連雇用事業補助金
|
交付先
|
過大交付金額
|
内容
|
L社
|
500,000円
|
県外在住の従業員を対象として補助金交付を行っていた。
|
195,000円
|
補助対象となる借室料の金額に消費税相当額を含めて補助金額を算定していた。
|
計
|
695,000円
|
-
|
環境対策設備導入促進補助金
|
交付先
|
過大交付金額
|
内容
|
(株)芙蓉別館
|
36,000円
|
補助対象設備の検査誤りにより、設備の一部について数量を誤っていた。
|
計
|
36,000円
|
-
|