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3 将来ビジョン策定の視点  (2)鳥取県の持つポテンシャル(潜在的な力)等と活路を見出す方向性
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 鳥取県の厳しい現状を認識した上で、持続可能な地域社会を形成するため、次のような鳥取県の持つポテンシャル(潜在的な力)、特性等を活かした取組・方向性に活路を見出し、大きく踏み出します。
  

1.地勢的に北東アジアに近いことを活かし、
 →環日本海を始めとする「大交流新時代」へ踏み出す。

北東アジアゲートウェイ構想

高速道路の整備、定期航路・航空路の拡充、効率的な物流システムの構築等により、経済成長著しい北東アジア地域へのゲートウェイ(玄関口)としての本県の地理的優位性を発揮し、環日本海国際定期貨客船、米子-ソウル便等を活用して、本県が、人・物の、西日本における北東アジア地域への窓口となる構想。

 鳥取県は、地勢的に北東アジアに近いという特性があり、アジアの中の鳥取県という観点で見たときに、西日本と北東アジアとの間における主要な拠点・ゲートウェイ(玄関口)となるポテンシャル(潜在的な力)を持っています。

 この可能性を現実の果実に結び付けるため、高速道路の整備と鉄道の利便性の向上や定期航路・航空路の拡充などに取り組むほか、効率的な物流システムの構築などの環境整備を進め、貿易量を増大させ、「北東アジアゲートウェイ構想1」を実現します。併せて、県外・海外に向けて効果的に情報発信を行い、新たな企業立地、諸機能の集積を目指します。

 環日本海地域を中心にして、経済・ビジネス活動、観光、文化、青少年、地域活動、スポーツ、研究、大学等の多様な分野でグローバルな幅広い交流を促進します。また、今後、一時的な滞在に留まらず、鳥取県で働き、居住する外国人が一層増加することが見込まれることから、住民として安心して生活できる環境・サポート体制の整備を進めます。



2.地理的に一体化している近畿圏域との間の時間距離が短縮することを活かし、
 →中国圏域の一員として、更に、グレーター近畿(京阪神を中核とした広域的経済圏域)の一員としても地域間連携を推進。

 鳥取県では、これまで中国圏域の一員として、例えば、鳥取・島根両県にまたがる中海を囲む両県の4市を中心とした地域の活性化を図る取組や、八頭郡や日野郡の各町による島根県、岡山県及び広島県との間における観光や生活面での強いつながりなど、各県との間で連携・交流があり、今後も一層進展させていきます。

 これに加え、鳥取県は、地理的に一体化している近畿圏域との間において、今後の高速道路の整備等に伴い、時間距離が短縮することから、鳥取県から近畿圏域に豊かな食材を提供したり、逆に近畿圏域から豊かな自然環境に恵まれた鳥取県を訪問し、更には移住する人が増加したりするほか、鳥取県の企業と近畿圏域の企業とが連携して国内外での事業活動を進展させるなど、鳥取県と近畿圏域との間の双方向の結び付きを強め、グレーター近畿の一員として、鳥取県の地域経済、県民生活の発展を図るとともに、グレーター近畿の発展に寄与することができるポテンシャル(潜在的な力)が大きくなります。

 この可能性を現実の果実に結び付けるため、本県の高付加価値産品の近畿圏域への販路拡大、近畿圏域の企業との連携による新規事業の創出のほか、近畿圏域における「食のみやこ鳥取県」の展開、鳥取県の魅力の効果的な情報発信、鳥取県の地勢を活かした「北東アジアゲートウェイ構想」の実現など、鳥取県から近畿圏域へ打って出る取組を推進します。更に、それに併せて、県内の就業機会の拡大に資する企業誘致等、鳥取県への観光客の増加や、いわゆる「スローライフ」や「ロハス」に象徴されるような「心の豊かさ」を実感・体感できる地域の提案、鳥取県の文化と関西の文化との共同展開など、近畿圏域の方を鳥取県に呼び込む取組も展開し、双方向での結び付き・交流を進めます。

 また、中国圏域の一員として加入している中国地方知事会に加え、近畿ブロック知事会及び関西広域機構(関西の自立的発展等を目的として、関西の各府県、経済団体等で構成)に加入するなど、広域連携の観点から近畿圏域の一員としても活動し地域間連携を深めるほか、近隣県・関係県との地域間連携を進め、広域観光や食、防災、医療等を始めとする広域連携や新たな施策・課題に一緒に取り組みます。 


3.住民が主体となって、企業やNPO、住民団体等と協働・連携して、自らの手で地域づくり等を進めていく素地があることを活かし、
 →協働・連携の素地を活かした、新たな地域づくり・ネットワークづくりを推進。

 鳥取県は、コンパクトなまとまりがあり、コミュニケーションやネットワーク形成が容易です。また、ボランティア活動(まちづくりのための活動や自然・環境を守るための活動等)に住民が関わった割合が全国一であるなど、住民が主体となって、企業やNPO、住民団体や地域活動を行う者・団体等と協働・連携して、自らの手で地域づくり等を進めていく素地があります。

 この素地を活かし、例えば、地域住民、NPO等が、公園、河川敷等の公共空間を利活用して地域づくりやにぎわい創出をする際に、行政は協定等を活用し、その地域にあったスタイルで、円滑に活動が進むようサポートを行うなど、NPO等が行う様々な地域づくり活動に対して、行政が個別事案ごとにそのニーズに最も適した内容の支援や、その基盤となる環境づくり・基盤づくりを行うことで、新たな協働活動とこれを支える担い手の増加を目指します。

 地域で活躍する団体・人材の情報を発信・共有し、また、新たな人材を養成するとともに、そのような団体・人材が活躍できる場を作るなど、個々の活動がつながり合ってより大きな効果を生み出すといったネットワークによる地域づくりを全県で展開します。


4.大都市圏にはない豊かな歴史、自然・環境、食、文化等があることを活かし、
 →地域の「良いところ」・「誇りを持てるところ」を再認識して「価値を実感できる地域」を創出。

 鳥取県には、大都市圏と比較したとき、豊かな歴史、自然・環境、食、文化、温泉、芸術、建築物、まちなみ、伝統技能、地域産業等の「良いところ」・「誇りを持てるところ」があります。二酸化炭素の吸収源や水の供給源としての役割を果たす豊かな森林もあり、それを源とする清らかな水があふれています。
 また、「生活する・暮らす」という面で大都市圏と比較すると、空気・水がきれいであり、自宅周辺の道路の整備状況や環境衛生(ゴミ、下水道等)が良いなどの生活環境の良さのほか、人と人、人と地域との結びつきが強く「顔が見える関係」であるという面が残っていることや、働く場所と住む場所とが近接していること、時間に追われていないことなどの優位性があります。

 「スローライフ」や「ロハス」に象徴されるような、心豊かに暮らす生活スタイルが重視される中、このような鳥取県の豊かさを知り、楽しみ、情報、交通等の利便性も確保された生活の中で、地域において自分の存在や役割に手応え・充実感が感じられる「価値実感生活」を実現します。

 これらの「豊かさ」を観光資源としても活用しながら、貴重な財産として次代へつなげていきます。


5.「食のみやこ鳥取県」を支える豊かな食材があることを活かし、
 →「食のみやこ鳥取県」を鳥取県の一つの「文化」として定着。

 鳥取県には、県内の美しい環境の中で大切に育てられたすばらしい農林水産物、加工品等があります。

 高速交通体系の整備等により、県内の新鮮な農林水産物、加工品等を県内外に流通させ、素材が良く、安全安心で、美味しい食の魅力を提供し、「食のみやこ鳥取県」を推進していくため、本県の食を健康、安全、観光等と連動させ、一つの「文化」として定着させるほか、県内外・国内外における効果的な情報発信を行います。併せて、「食」を、鳥取県で生活・事業展開する際のキーワードとし、様々な場面で本県の食に着目し、食にこだわった事業展開等を進めます。

 更に、商工業、農林水産業、観光等の各産業が連携し、素材としての農林水産物とこれまでの加工品だけでなく、地域資源の活用等によりこれらに新たな価値を付加するなど、1次産業から3次産業までだけでなく、それらが連携した新産業(いわゆる「6次産業」)も一緒になって、「食のみやこ鳥取県」の新しい魅力を創り出します。

 本県の豊かな農林水産物を単に食材としてとらえるだけでなく、「食」を、健全な心と体を育み、いきいきとして豊かな暮らしを実現する「源」としてとらえ、安全で安心できる食材を使った、家庭や学校給食等における「美味しい食」「あたたかい食」「楽しい食」を通じ、健康づくり・人づくり・地域づくりを行うなど、「食」をキーワードとした運動を全県で展開します。


6.多彩で特色ある産業が立地し、特色ある技術開発や調査研究が行われていることを活かし、
 →「高付加価値で打って出る産業」への転換と、地域の資源や技術を新しい発想で組み合わせて新しい価値や産業を創造。

 鳥取県では、二十世紀梨、らっきょう等を始めとする多彩な農業、境港に代表される水産業や、集積度が高い電子部品・デバイス(電子装置)製造業、情報通信産業、食品加工業等のように、多彩で特色ある産業が立地しているほか、鳥取県から生まれた氷温技術や、鳥取大学乾燥地研究センターや財団法人日本きのこセンターで行われている調査研究など、特色のある技術開発や調査研究が行われています。

 今後、電子・電機・液晶関連産業、自動車部品関連産業や、食品・健康科学(バイオ関連)、環境産業など次世代産業分野の集積を促進し、また、優秀な人材・高度な専門性を持つ人材の育成を行い、地域内で拡大再生産ができる土壌の形成や、県内製造業等の高付加価値化、マザー工場(研究開発部門と一体化して新商品や高付加価値製品の試作・開発が可能な工場)への転換や新規立地を推進します。

 また、商工業、農林水産業、観光等の各産業が連携し、地域資源を活用する等により、いわゆる「6次産業」を創出・推進します。


7.都市地域と中山間地域とがネットワークをつくりやすい県土構造であることを活かし、
 →都市地域と中山間地域が共生し、支え合う「持続可能な地域づくり」を推進。

 鳥取県は、東部、中部、西部の各圏域それぞれに中核となる都市地域があり、その都市地域から比較的近接したところに中山間地域があるという、都市地域と中山間地域とがネットワークをつくりやすい県土構造です。それに加え、中山間地域の生活を支える一般道路について、今後一層の整備等が必要な箇所はありますが、他県に比べれば比較的整備、改良等が進んでおり、このことが中山間地域から都市地域への通勤のしやすさ等にもつながっています。

 鳥取県の中山間地域における地域づくりに当たっては、このような特性を念頭に置き、都市部と中山間地域がそれぞれの特徴を活かし、お互いに補完し合い支え合う共生の関係を築いて行きます。また、著しい人口減少・高齢化により地域社会の力が低下している地域において地域で協力し解決する共助システムを構築します。これらの取組により、今後人口減少傾向が継続したとしても、中山間地域での生活を持続できるような地域運営の仕組みづくり等を進めます。

 また、豊かな歴史、自然・環境、食、文化等があふれる本県は、いわゆる「スローライフ」や「ロハス」に象徴されるような「心の豊かさ」を体感できる絶好の場所です。地域において自分の存在や役割に手応え・充実感を感じることができるような地域づくりを進めます。

  
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