(1-1)人権
現状・課題
人権問題は多様で変化があり、引き続き、県民の人権意識の高揚と行政施策の充実が必要です。
[主なデータ等]「人権」に対して抱くイメージ、人権侵害-被害経験の有無、研修会等への参加経験
取組みの方向性等
ア 人権尊重の視点をもってあらゆる施策が展開されることを促進します。
イ あらゆる場を通じた人権教育・啓発、県民との協働による啓発事業と県民自らの実践活動の促進等により、県民一人ひとりが人権の現状を知り、思いやりの心(人権意識)が育まれ、誰もがかけがえのない存在として尊重される共に生きる社会の実現を目指します。人権教育・啓発を推進する指導者やリーダーを養成します。
ウ お互いの違いを認め合い、家庭も地域も人と人とのつながりが大切にされ、希望に溢れ、誰もが暮らしやすい社会(ユニバーサル社会)の実現を目指します。
エ 人権相談窓口設置等による相談・支援の充実等により、差別や偏見により生活や個人の能力の発揮が損なわれることがなく、行政と県民の手による支援が充実し、誰もが社会の一員としていきいきと輝き自己実現できる社会を目指します。
オ 地域住民を始めNPO、企業等あらゆる地域社会の構成員と連携した取組みを促進すること等により、いじめや虐待のない、誰もが生まれてきたことを喜び、誇りをもって生きていくことのできる、暖かい眼差しと笑顔があふれる、暴力のない社会を目指します。
カ 北朝鮮による拉致問題は、一刻も早く全面解決されるべき喫緊の課題であり、日本政府に取組みを働きかけるとともに、拉致被害者の帰国後生活の支援準備、県民理解の促進を進めます。
[主な目標指標]
項目 |
現状 |
目標 |
県民の研修会等への参加経験者(人権意識調査) |
55.5% (平成16年度調査) |
65.5% (平成28年度調査) |
(1-2)男女共同参画
現状・課題
「男女共同参画」という「言葉」は県民の皆さんに徐々に知られてきていますが、その内容やイメージは十分伝わっていません。また、家庭の力や地域社会での支え合いが以前に比べかなり弱くなっています。これらのことを踏まえ、家庭や地域、職場のあらゆる場面で男女共同参画の視点が入るよう理解者やリーダーとなる者を増やしていくことが必要です。また、女性はもちろん、男性の働き方を見直し、それぞれの役割を大切にし、家庭や地域、職場でワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)の実現を促進することが重要です。
[主なデータ等]男女共同参画推進企業の企業認定件数の推移、県内事業所における育児休業利用状況
取組みの方向性等
ア 県、市町村、男女共同参画を推進する団体の連携を強化し、職場、地域、家庭などあらゆる場面で、男女共同参画を進めるための理解者やリーダーとなる者を増やすための普及啓発・人材育成を推進します。
イ 子育て応援パスポートや家庭教育推進協力企業制度による企業の子育て支援の促進など子育て支援対策を充実します。
ウ 社会の制度や慣行を見直し、防災や消防の取組みに女性の力を活かしたり、自治会役員への女性登用促進、男性の育児休業の取得・家事等への参画を推進します。
エ 男女共同参画推進認定企業制度を通じた企業への働きかけや中小企業労働相談所の機能強化などのほか、企業経営者等の意識改革のためのシンポジウムによる普及啓発等により、多様な生き方を選べる社会を構築するため、ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)を促進します。
[主な目標指標]
項目 |
現状 |
目標 |
男女共同参画推進企業の認定企業数 |
173社 (平成19年度末) |
700社 (平成30年度末) |
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現状・課題
鳥取県内に居住されている外国人の中には、言葉等が障壁となり、日常生活を送る上で十分なサービスが受けられていないケースがあります。一時的な滞在に留まらず、鳥取県で働き、居住する外国人は、今後一層増加することが見込まれます。
また、手話は、コミュニケーション手段としてだけではなく、言語として一つの文化を形成しています。
[主なデータ等]県内の外国人登録者数の推移
取組みの方向性等
ア 環日本海諸国や東アジアを始め多くの外国人が鳥取県を訪れ、滞在・交流しやすい環境を整備し、国際交流を推進します。
イ 外国人支援・相談の窓口を市町村単位等で設置するなど、鳥取県に居住している外国人へのサポート体制を整え、外国人でもストレスが少なく、安心して働き、生活・滞在できるよう、支援します。子どもの親が外国人である場合に学校・家庭間で円滑な意思疎通ができるよう、日本語の習得支援を行うなど、事情・状況に応じたきめ細かなサポートを行います。外国人支援に関する意識啓発と基礎的体制づくりを推進します。
ウ 国際理解が進み、人種・国籍・文化の違いを認め合い、尊重する社会の実現を目指します。外国人が地域を支える一員となっている社会づくりを推進します。
エ 手話がコミュニケーション手段としてだけではなく、言語として一つの文化を形成していることに鑑み、手話通訳者等の確保・スキルの向上を図るほか、県民に手話がもっと身近なものとなるような環境整備を進めるなど、手話を必要とされる方が日常生活を送る上で十分なサービスを受け、社会参画ができる環境を整備します。
[主な目標指標]
項目 |
現状 |
目標 |
外国人支援・相談窓口の設置 |
3箇所 (平成19年度末) |
22箇所 (平成30年度末) |
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(3-1)高齢の方
現状・課題
高齢の方は豊かな知識と経験を持っており、様々な分野で活躍できる社会の重要な一員であり、生きがいをもって参加できる活躍の場が必要です。
高齢化の進行とともに、介護を必要とする者の割合が増えています。また、核家族化の進行とともに高齢夫婦世帯や高齢単身世帯も増加しています。
介護が必要となっても住み慣れた地域でできる限り自立して暮らしていくための福祉、医療、生活面での支援・体制が必要です。
[主なデータ等]要介護認定率の推移、高齢者施設の整備状況
取組みの方向性等
ア 就業支援等により、高齢の方が生きがいをもって暮らし、希望する就業ができるほか、豊かな知識と経験を生かして様々な分野で活躍することができる社会の実現を目指します。
イ 地域の中での社会参加活動など、高齢の方の活躍の場を拡大します。地域リーダーを養成します。高齢者スポーツ大会や作品展など、スポーツや文化活動を促進します。
ウ 行政と民間とが協働・連携した介護予防の全県的な普及を推進します。
エ 介護や医療が必要になっても、住み慣れた地域で安心して暮らせ、また、質の高いサービスを利用することのできる社会の実現を目指します。
オ 医療機関同士、医療機関と在宅支援サービス、在宅生活を支えるサービス間がつながるネットワークの構築等により、適切なサービスを受けられるよう、「医療と福祉の連携」を推進します。
カ 認知症高齢者の早期発見・早期治療体制の整備の促進と、地域支援体制の構築を推進します。
キ 地域活動の中心となる人材を育成し、地域における住民相互の支え合い(見守り等)の強化を促進します。
[主な目標指標]
項目 |
現状 |
目標 |
要介護認定率 |
17.8% (平成19年度) |
16.0% (平成30年度) |
(3-2)障害のある方
現状・課題
住み慣れた地域での暮らしを望む施設入所者や入院者の地域生活への移行が進んでいません。障害のある方の地域生活を支えるシステムの整備と地域住民の理解が必要です。障害のある方の多くが授産施設などの福祉施設を利用していますが、障害のある方のニーズに応じたサービスが提供できているとは言い難く、一般就労への移行も困難な状態です。また、自閉症等発達障害児・者の一貫性のある支援体制の整備が十分ではありません。
[主なデータ等]障害児・者数等の推移、障害児・者施設の整備状況
取組みの方向性等
ア 誰もがそれぞれの人格と個性を認め合い、尊重し合い、支え合うことによって、自己選択と自己決定の下に様々な分野に参加・参画することができる社会の実現を目指します。
イ 障害のある方が地域で自立して生活できるよう、グループホーム等の整備支援、一般住宅への入居のサポートや、社会資源として不足している事業所の創設の支援(就労移行支援事業等)等による一般就労への移行支援など、住居、就労、日中活動場等を充実します。
ウ 小規模作業所等工賃3倍計画(工賃を3倍に増やす計画)の推進等により、小規模作業所等で働く障害のある方の就労意欲を醸成します。
エ 手話がコミュニケーション手段としてだけではなく、言語として一つの文化を形成していることに鑑み、手話通訳者等の確保・スキルの向上を図るほか、県民に手話がもっと身近なものとなるような環境整備を進めるなど、手話を必要とされる方が日常生活を送る上で十分なサービスを受け、社会参画ができる環境を整備します。また、障害のある方の状況に応じたコミュニケーション手段を確保するとともに、障害のある方が適切な教育を受けることにより、自己選択と自己決定により日常生活や社会参画ができる環境を整備します。
オ 障害のある子どもが、安心して生活し、適切な支援を受け、自らの将来を選択・決定することのできる社会を目指します。
カ 発達障害のある方のニーズに応じた支援手法の確立を目指す取組みや、高次脳機能障害者支援普及事業(高次脳機能障害者支援拠点機関を設置し、社会復帰のための相談支援、医療と福祉が連携した支援ネットワークの構築等を行う取組み)等を通じ、発達障害を含め障害のある方に対する福祉、保健、雇用、教育及び医療の連携した支援体制を構築します。
キ スポーツ、文化・芸術活動や余暇活動などにおける交流等を通じてネットワークを形成するとともに、理解を深め、認め合う機会をつくります。
[主な目標指標]
項目 |
現状 |
目標 |
入所施設の入所者の地域生活への移行者数 |
87人 (平成19年度) |
513人 (平成20~30年度の累計) |
福祉施設から一般就労への移行者数 |
27人 (平成19年度) |
62人 (平成30年度) |
(3-3)社会的に支えを必要とされる方
(3-3-1)DV(ドメスティックバイオレンス)対策、児童・母子(父子)福祉
現状・課題
鳥取県のDV(ドメスティックバイオレンス)施策は、全国的に見ても進んでいますが、より一層、DVの未然防止や被害者の自立支援を充実していく必要があります。
児童虐待防止に関する市町村との連携など地域における体制整備を図るとともに、入所施設や里親制度における児童の処遇の充実及び児童の円滑な家庭復帰に向けた支援が必要です。
ひとり親家庭は、年々増加しており、所得が少ないなど経済的自立が困難な状況にあります。
[主なデータ等]DVによる一時保護件数の推移、里親委託率の推移
取組みの方向性等
ア 関係機関の連携を充実強化し、県や市町村による教育・普及活動を充実させ、暴力を許さない社会を実現します。
イ 相談窓口の充実、関係機関の連携等により、DV発生の未然防止を推進します。
ウ DV被害者への緊急保護支援・一時保護施設の充実や、DV被害者に対する就労、住居の確保等の必要な支援の充実を図り、DV被害者が安心して暮らせる社会の実現を目指します。DV被害者に対する民間支援団体等を支援するとともに、協働・連携してDV対策を推進します。
エ 児童虐待の発生予防、早期発見・対応、入所施設や里親制度など、総合的な支援体制の整備を推進します。入所施設との連携による親支援を充実し、家庭復帰に向けた取組みを推進します。
オ 相談体制の整備、就労・生活支援の充実など、ひとり親家庭が育児と仕事を両立し、経済的に自立支援する取組みを拡充します。
[主な目標指標]
項目 |
現状 |
目標 |
里親委託率 |
12.8% (平成19年度) |
20.0% (平成30年度) |
※「里親委託率」…乳児院・児童養護施設措置児童数及び里親委託児童数の合計に占める里親委託児童数の割合
(3-3-2)生活支援
現状・課題
福祉の分野に限らず、生活に関わる様々な分野において「地域」に関心が向けられており、住民が地域の課題に主体的に関わり、連携していくことが課題解決に不可欠であるとして、「地域の福祉力(地域の課題を解決し得る力)」の必要性が叫ばれています。
また、地域で支え合う力が弱くなる一方で、地域で支えを必要とする人は益々増えており、地域に関わる様々な主体の役割分担や協働のあり方を見つけ出し、子どもも大人も、高齢の方も障害のある方も、誰もが暮らしやすい地域づくりを進めていく必要があります。
取組みの方向性等
ア ボランティアコーディネーターの養成や地域福祉の推進者との連携を進めることなどにより、支援を必要とする方を地域で支え合い、全員が地域の中で自分でできる役割を果たしながら、いきいきと安心して暮らせる、共に生きるまちづくりを推進します。
イ 病気、失業等で生活に困窮した方の日々の生活をサポートし、自立へのチャレンジを支援します。
ウ 豊かな地域社会の再生を目指し、互いに支え合う地域の福祉力の再構築を目指します。
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現状・課題
病院勤務医の確保が困難となり、医師不足により診療科や病棟を休廃止する事態が発生しています。看護師も不足しており、今後の医療提供体制の不足が懸念されます。なお、市部においては、規模や診療機能が同等の病院が複数存在しています。
中高年男性の4割がメタボリックシンドロームの該当者・予備群であるなど、働き盛り世代を中心に健康づくりについての意識が低く、健康づくりへの取組みを自分の問題として意識していない状況です。
[主なデータ等]医師数、看護職員数、県民の死因、年齢階級別死亡比
取組みの方向性等
ア 急性期から回復期、在宅医療に至るまでの適切な医療サービスが切れ目無く受けられる、持続可能な医療提供体制を構築します。
イ 医師養成に向けて鳥取大学等との連携を進めます。国策として、地域が必要としている医師、看護師等の確保を求めるほか、県としても、医師、看護師等を確保するための奨学金制度の充実や、医師確保に向けた専門研修医師支援制度の創設、高等教育を含めた看護教育の充実、更に新人看護師の早期離職防止・離職看護師の再就業支援体制の強化等により、地域で不足している医師や看護師を確保します。
ウ 二次医療圏(東部・中部・西部)ごとに医療機関が機能を分担し、相互に連携します。軽症患者から重篤な患者まで対応できる救急医療体制の整備を推進します。近隣県と連携してドクターヘリの導入を検討します。
エ 全ての世代が健康に関心を持ち、「日常的な運動文化」「健康を支える食文化」「心と体の健やか文化」の3つの柱で県民運動に取り組み、社会全体で「健康づくり文化」を創造します。
オ 健全な食習慣の定着、食に関する正しい知識の習得、食に関する感謝の心の涵養、豊かな食文化の継承等を通じ、県民一人ひとりの食を通して健やかに生きる力を育む「食育」を推進します。
カ 生涯スポーツ等の健康づくりの地域への浸透、検診の受診の向上等を勧め、男性の平均寿命の全国順位を女性と同様、上位10位まで引き上げます。
キ 特定検診、特定保健指導の充実等により、メタボリックシンドロームの改善及び糖尿病等の生活習慣病の発生予防を推進します。
ク どこでも一定レベルのがん医療が受けられる体制の整備など、がん対策を総合的に推進します。
ケ 健康危機の脅威から県民を守るため、健康危害の早期発見、原因究明、被害の拡大防止等を一元的に対応する拠点・機能の整備を検討します。
コ 学校を含め、県内の主要な公共施設にAED(自動体外式除細動器)を設置します。
[主な目標指標]
項目 |
現状 |
目標 |
医師数 |
1,031人 (平成18年度末) |
1,130人 (平成30年度末) |
看護職員数 |
4,794人 (平成18年度末) |
5,250人 (平成30年度末) |
メタボリックシンドロームの該当者及び予備群数 |
- |
平成20年度に比較し25%減 (平成30年度) |
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