現状・課題
本県は、他県と比べると対象人口当たりの保育所が多く、延長保育や一時保育、障害児保育など様々なサービスも行われています。地域子育て支援センターも多く、また、保育料の軽減等、子育てサービスは比較的充実しています。しかし、育児休業が取りにくいなどの実態もあり、子育てと仕事の両立ができるよう企業と職場の理解を進めていく必要があります。
一方で、子どもたちが家庭内や地域において人と関わる経験が少なくなったり、生活リズムが乱れたりするなど、子どもの生活環境が変化してきています。また、核家族化の進行等により、家族のサポートを得られない親や、子育てに不安を抱いたり、子育てが未熟な親が増加し、サービスの量の充実に合わせ、きめ細やかなサービスの充実も求められています。
[主なデータ等]保育所設置状況(0~5歳人口、10万人当たり)、地域子育て支援センター・ひろばの設置状況(中学校区設置割合)、ファミリーサポートセンターの設置状況(市町村設置割合)、放課後児童クラブの設置状況(小学校区設置割合)
取組みの方向性等
ア 胎児期から思春期に至るまで、子どもの健康を保持・増進するため母子保健施策、小児医療等を充実すること、母親の精神的不安に対応する体制の整備等により、安心して出産できる社会の実現を目指します。(周産期医療の提供体制の充実、育児支援のための家庭訪問の推進、不妊治療に要する費用の一部助成等)
イ 子育て・子どもの育ちを、家庭、企業、地域社会それぞれが支え、子どもに目が行き届き、子どもが安全に安心して遊んだり学んだりすることができる、安心して子育てをすることができる社会環境の実現を目指します。
〈家庭で支える〉
- 特に父親の子育て参加を進めます。また、子育て経験者でもある祖父母を含め、家庭全体で子育てを支えます。
〈職場で支える〉
- 育児休業を取得しやすい職場づくりや仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)など、子育てしながら働くための支援を充実させます。
- 事業所内保育所の設置を促進します。
〈子育て支援拠点で支える〉
- 多様な働き方・社会参加を応援するための保育制度(延長保育、一時保育、乳児保育、障害児保育、病児・病後児保育、夜間保育、休日保育等)を充実させます。
- 子どもの病気や急な残業等にも対応できる多様なサービスを提供するよう、ファミリーサポートセンターを充実させます。
- 放課後児童クラブの設置を促進するとともに、開設時間等の内容を充実させます。
- 子育てに不安な保護者の相談や支援に応じられるよう保育所、幼稚園、児童館、地域子育て支援センター等の地域の子育て支援拠点を充実させます。
〈地域で支える〉
- 子育て応援パスポートの拡大、子育て支援拠点と地域との交流、子育て情報の積極的な情報発信等により、地域みんなで子育てを応援する機運の浸透を図ります。
ウ 幼稚園教員・保育士の質・量の充実を図ること等により、小学校就学前の保育・幼児教育を充実させるとともに、就学前の教育・保育を一体的に行う認定子ども園の設置を進めます。保育所・幼稚園・小学校の連携を促進します。
エ 多子世帯の保育料の軽減措置など、子育て家庭の経済的負担を軽減し、子育て支援制度を充実します。
[主な目標指標]
項目 |
現状 |
目標 |
放課後児童クラブ設置数 |
20箇所 (小学校区の設置割合81%) (平成19年度末) |
134箇所 (小学校区の設置割合90%) (平成30年度末) |
認定子ども園設置数 |
0箇所 (平成19年度末) |
0箇所 (平成30年度末) |
家庭教育推進協力企業数 |
126社 (平成19年度) |
400社 (平成30年度) |
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(2-1)「地域の知の拠点」としての高等教育機関等の地域連携・貢献と、それを通じた「人財」育成
現状・課題
県内の産業振興、地域活動等における高等教育機関へのニーズは高まっており、行政との協働・連携により施策実現を図るという役割も期待されています。本県においては、多様な分野で高等教育機関と地域との連携が進み、また、拡大しつつあります。
また、将来にわたる地域の産業・文化の創出と発展・活性化には自ら考える知の地域づくりが必要であり、その拠点として高等教育機関の振興が不可欠です。
[主なデータ等]県内高校卒業者で県外大学に入学した者の割合推移
取組みの方向性等
ア 県内生徒の高等教育機関への進学機会を確保するため、地域が求める「人財」を養成するカリキュラムの充実など、県内高等教育機関の一層の充実を図ります。
イ 地域の様々なニーズと、高等教育機関、シンクタンク等の研究シーズのマッチングを図り、「実践型」の行政、地域との協働連携を推進し、高等教育機関等の地域貢献を加速させます。更に、高等教育機関等の地域貢献につながる「人財」育成を推進し、地域が求める優秀な「人財」の多数輩出を目指します。
ウ 高等教育機関等と県内企業との共同研究の拡大等により、高等教育機関等が研究活動で大きな成果を上げることを目指します。
エ 高等教育機関・専門高校と地域産業界が協働・連携し、鳥取のものづくりを支える将来の専門的職業人及び地域産業界のニーズに応じた職業人を育成します。液晶や情報通信システムに対応できるハイテク人材・IT人材を創出します。
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(2-2)地域に信頼され、地域の要請に応えられる学校教育と学校づくり
現状・課題
近い将来の児童生徒数の減少が学校運営に大きな影響を与えます。例えば日野郡、岩美郡及び八頭郡では、平成30年頃には中学3年生がほぼ半減すると予測されます。人口減少を見据えた学校のあり方の検討が必要です。
[主なデータ等]県内の児童・生徒数の推移、鳥取県の少人数学級の実施状況
取組みの方向性等
ア 学校はもとより、教育委員会が地域に開かれ、地域から信頼され、「人づくり」に対する考え方を地域と共有し、地域とともに教育・人づくりを進めることを目指します。
イ 児童生徒数の減少を見据えて、学校運営の仕組みを見直しながら機能強化を図り、地域の要請に応えられる教育機関を目指します。
ウ 地域人材情報を集約した人材情報バンクや、学校と地域の間をつなぐコーディネーターの設置を進め、地域が学校を支援する仕組みを導入します。
エ 学校運営協議会を活用した地域運営型コミュニティスクールの導入など、次代に向けての学校運営の仕組み等を見直します。
オ 新たな中高一貫校の設置を推進します。
カ 少子化等に伴う地域の実情に応じた学校再編も含めたあり方を検討します。
キ 学校点検評価及び公表の取組みを全学校に拡大するとともに、コンプライアンス(法令遵守)の徹底により学校運営を強化します。
ク より効率的な学校運営を行うため、市町村教育委員会の共同設置等について県が支援します。
[主な目標指標]
項目 |
現状 |
目標 |
学校関係者評価(保護者、地域の方等により構成された評価委員会が行う外部評価)の公表率 |
36.3%(小学校) 23.1%(中学校) (平成18年度末) |
100%(小学校、中学校とも) (平成30年度末(平成25年度末に目標達成を目指す)) |
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(2-3)「知」「徳」「体」のバランスの取れた学校教育
現状・課題
児童生徒の学力の二極化傾向が進行し、読解力・学習意欲の不足、規範意識の低下への懸念が広がっています。また、勤労観、職業観の希薄化が顕著になっています。中途退学、いじめ、不登校、問題行動等が存在し、専門家によるカウンセリングが必要な場合も増加しています。体力の低下が続いています。
[主なデータ等]全国学力・学習状況調査の結果、大学進学率の推移、
不登校児童・生徒数の推移、犯罪少年率の推移
体力・運動能力調査の推移
取組みの方向性等
ア 「知」「徳」「体」のバランスの取れた教育を進め、基礎的・基本的な学力を基に次代を主体的に生きる力を養成するとともに、それぞれの個性や能力を活かして地域社会に貢献できる人材の育成を目指します。
イ エキスパート教員の活用、研修の充実等により、教員の教科等の指導力・人間力向上を図るなど、「知」「徳」「体」のバランスの取れた教育を進めます。小・中・高の接続期のフォローアップを強化して、確かな学力を身に付けた子どもの育成を図ります。
ウ スクールカウンセラー、学校支援のための地域コーディネーター等の地域人材や専門人材を積極的に活用し、不登校・いじめ対策等や道徳教育、人権教育、郷土教育等を充実させることで、社会で力強く生きる力(豊かな人間性・社会性等)の定着を目指します。
エ 芸術・文化活動を実践する方と学校等との連携により、教育現場に、子どもたちが芸術・文化に触れ、感性を磨き、創造力、コミュニケーション力を高める機会を確保します。
オ 子どもたちが鳥取県の歴史や文化を誇りに思い、史跡、街並み、郷土芸能、建築物、伝統芸能、民工芸等の鳥取県の様々な貴重な財産を大切にし、「郷土とっとり」に誇りを感じる機運・意識の醸成を目指します。
カ 子どもたちが家庭や学校給食等における「美味しい食」「あたたかい食」「楽しい食」を通じて健全な心と体を育み、いきいきとして豊かな暮らしを送ることを目指します。
キ 社会のニーズに応じたカリキュラム改善等を進め、早期からのキャリア教育(将来の生き方を念頭に置いた教育)を実践します。
ク 特別支援学校卒業生の就労機会を拡大します。幼稚園から高等学校までに在籍する発達障害のある幼児、児童、生徒の教育支援体制を構築する等、特別支援教育を充実させます。
ケ 小学校外国語活動(英語活動)や中学生・高校生の留学支援を積極的に推進します。
コ 心身の健全な発達を目指す健康教育を推進します。
サ 様々な運動・スポーツを経験させるとともに運動習慣の定着を進め、子どもの基礎体力の向上を図ります。
シ 私立学校の特色ある人づくりを支援し、県民に多様な選択肢を提供するとともに、多彩で優れた「人財」を養成します。
[主な目標指標]
項目 |
現状 |
目標 |
大学・短大等進学率 |
43.9% (平成19年度) |
50.0% (平成30年度) |
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(2-4)家庭・地域の教育力を確立し、地域社会を支える「人財」を地域全体で育てる「地域循環型」教育の推進
現状・課題
保護者の意識変化も含め、家庭の教育力の二極化が進行しています。本来家庭が果たすべき機能(躾・規範意識の醸成等)が学校任せになる傾向が強くなっています。地域においても同様の状況が見られます。地域で生まれ、地域の学校で学び、卒業後に地域を支えるという循環が成立しにくい背景には、地域社会を支える人材を地域全体で育てるという「地域教育力」の低下も影響していると考えられます。
青少年を見守り、健やかに育てるため、社会構造や青少年の意識・価値観等の変化への対応が必要です。
[主なデータ等]鳥取県家庭教育推進協力企業数の推移
取組みの方向性等
ア 家庭、地域、企業、NPO、行政等が連携し、地域が一体となって「家庭・地域の教育力の確立」を目指します。
イ 家庭・地域の取組み(父親の積極的な家庭教育への参加、企業との連携による従業員の家庭教育参加や家庭教育推進協力企業間の連携等)により、子どもたちの基本的生活習慣や、家庭で学習する習慣の定着を目指します。
ウ 健全な食習慣の定着を目指し、生産者、家庭、地域等の連携による「食育」「食農」教育を推進します。「食」を中心とした学校・家庭・地域のつながりを深めます。
エ 地域社会・地域産業を成り立たせるために地域の学校がしっかりしたキャリア教育を行うことで、地域を担う「人財」が育ち、そこから更に次の世代を育成していく「地域循環型」教育の定着を目指します。「大人も子どもも読書キャンペーン」の県民運動化等により、自主的な読書活動に取り組む県民を増やすとともに、子どもたちが自らのキャリアをしっかりと考えることができる思考力と判断力を育成します。
オ 地域で活躍する方が様々な面で各種講座・催しの講師等になるなど、地域全体で学び、「人財」を育てます。
カ 青少年の健全育成には、親や大人の役割や責任も大きいことから、大人自身が自らの生き方を見直し、実際の行動に結びつける運動を推進します。
キ 青少年の健全育成を進めるため、メディア等からの有害情報から守る運動を推進します。(携帯電話・インターネットとの接し方学習会など)
[主な目標指標]
項目 |
現状 |
目標 |
家庭教育推進協力企業数 |
126社 (平成19年度) |
400社 (平成30年度) |
全校一斉読書の実施率 |
100%(小学校) 96.7%(中学校) (平成19年度) |
100%(小学校、中学校とも) (平成30年度) |
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(2-5)身近なものから最先端のものまで、科学・ものづくりに触れる機会を増やし、創造的で人間力を持った「人財」を育成
現状・課題
青少年の理科・科学離れが進んでいます。また、TVゲームやインターネットの普及等に伴い、仮想的なものに触れる機会が増え、観察や実験など実体験をする機会が減っています。このような傾向が続くと、青少年の科学・ものづくりへの興味関心の低下、そして次代の地域産業を担う人材の減少へとつながります。
そのため、次代を支える青少年に対し、身近な科学に触れ科学の素晴らしさを体験・実感させ科学的思考力を養う機会を継続的に提供していくこと等により、次代の地域産業を担う人材を育成することが必要です。更に、最先端の科学等に触れる機会を提供することで、科学・ものづくりに対する興味関心をより高い知的創造力へ高めることが、地域の知的基盤の強化につながります。
取組みの方向性等
ア 知的創造力を高めるような様々なイベント等の情報の適時の提供や、最先端の科学技術を体験できる講演会等の増加等の取組みを通じ、次代を担う若い世代の興味関心をより高い知的創造力へと高め、地域の知的基盤の強化につながることを目指します。
イ 幼稚園、小学校等の子どものときから学習活動で科学やものづくりの楽しさを学ぶ機会を増加させます。
ウ 身近で多種多様な「人財」を掘り起こし、学校や地域で活躍する場を設定します。
エ いつでも手軽に科学を学んだり、実験を体験できるような拠点について、未利用施設、不必要になった機材等を有効活用すること等により、県内に複数個所配置することを目指します。
オ 鳥取大学創設の「ものづくり道場」の取組み(地域のものづくりリーダーの養成、地域の科学技術理解ネットワークづくり、地域のものづくり・科学技術威信活動の支援等)等により、子どもを始めとして県民が質の高い多分野のものづくりや科学技術の知識と技能を享受し、鳥取県の特色ある科学技術や地域産業への関心が高まることを目指します。
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