現状・課題
県内には、世界文化遺産登録を目指す三徳山、悠久の大山、歴史あふれる穏やかなたたずまいが今に息づく倉吉市・鹿野町、弥生ロマンあふれる妻木晩田遺跡や青谷上寺地遺跡など、魅力的な史跡やまちなみ、麒麟獅子舞、因幡の傘踊りなどの伝統芸能等、数多くの歴史・文化資産があります。しかし、それら地域の誇りに対する理解・認識は必ずしも十分ではありません。また、少子高齢化による担い手不足も相まって、郷土に伝わる伝統や芸能が消失する懸念もあります。これらを次代に継承するとともに、地域文化財を活用して、鳥取に暮らすことに「誇り」を感じられるような個性的な地域づくりを展開することが求められています。
また、鳥取県には、「生活する・暮らす」という面から見たとき、普段の生活の中で、きれいな空気や水に代表される生活環境の良さ、人と人・人と地域との結びつきが強いこと、働く場所と住む場所とが近接している・時間に追われていないことなど、いわゆる「スローライフ」や「ロハス」に象徴されるような心豊かで充実した価値ある生活を送る上で、大都市圏に比べて優位性があります。
[主なデータ等]都道府県別ソーシャル・キャピタル指数
取組みの方向性等
ア 県民が鳥取県の歴史や文化を誇りに思い、三徳山や妻木晩田遺跡等のほか、史跡、街並み、郷土芸能、建築物、伝統芸能、民工芸等の鳥取県の様々な貴重な財産を大切にし、「郷土とっとり」に誇りを感じる機運・意識の醸成を目指します。民工芸品の県内販売場所を確保するとともに、県内外に情報発信を行い、広く紹介します。
イ いわゆる「スローライフ」や「ロハス」に象徴されるような、こころ豊かに暮らす生活スタイルが重視される中、県民はもとより、県外に住んでいる方にも、本県における「価値実感生活」(本県の豊かな歴史、自然・環境、食、文化等を知り、楽しむとともに、地域において自分の存在や役割に手応え・充実感が感じられる生活スタイル)に対する認識・高い評価が浸透し、多くの方のUJIターンにもつながるよう、「価値実感生活」の実現・充実に向けた取組みを進めます。
ウ 身近にある豊かな自然や環境、食、文化等を楽しみながら暮らすことや、伝統芸能、民工芸品等を通じて生活の豊かさを実感でき、大都市圏からも「鳥取県に行けば、安らぎ・心の落ち着きが取り戻せる」と支持される次のような地域性・生活風土を形成します。
- 身近にある豊かな自然を楽しみながら心豊かに暮らす地域
- 住んでいる地域の食、文化等を大事にして、楽しみながら心豊かに暮らす地域
- 人の温かさを感じるコミュニティがあり、安心して住み続けることのできる地域
- ゆとりを持って、自分の時間を大切にして心豊かに暮らせる地域
エ 歴史、自然・環境、食、文化等の良さ・素晴らしさを県民に伝える方の活動を支援するとともに、そのような活動をする人づくりを推進します。
オ 他の活動者や他のネットワークとも関わりを持ちながら、自分の行いたいことが実現でき、また、ネットワークの中での役割等に意義を感じられるような、「顔が見えるネットワーク」づくりを促進します。
カ 移住定住交付金での支援(住宅購入・修繕・貸与に対する支援等)など、県と市町村とが連携して移住希望者のニーズに対応した支援策を充実し、UJIターンをされた方やその同士が地域の方々とのネットワークを形成し、UJIターンをされた方が不安なく住み続けられるような、人の温かさを感じるコミュニティづくりを推進します。
キ 様々な年代や様々な分野を経験した方がリーダーとして地域社会を担い、地域活性化に寄与するよう、人材を育成します。
ク 団塊の世代を中心に、退職して地域に戻った方やUJIターンをされた方が、地域に新しい風を吹き込み、その豊富な経験や知識技能を活かして、地域活動を行ったり、各種講座・催しの講師等になるなど、地域で活躍できる環境の整備を推進します。
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現状・課題
本県には、美しい自然とともに、古くから先人たちが育んだ伝統と個性のある芸術・文化があり、新しい文化を創造する土壌もあります。
県民の芸術・文化を実践する能力は、国民文化祭の実施を契機に、成熟レベルに近づいているものの、男女格差(女性優位)及び年齢格差は依然としてあります。
一方で、誰もが優れた芸術・文化にふれたり、芸術・文化活動に参加する機会が、必ずしも十分ではありません。特に子ども達が感性を磨く機会が少ない状況にあります。
また、芸術・文化活動を支援する地域の力は発展途上にあります。
[主なデータ等]鳥取県美術展覧会(県展)への応募数推移
取組みの方向性等
ア アーティストや文化団体を支援するとともに、芸術・文化活動を支援する方々と連携して、芸術・文化活動を活性化します。
イ 県展や総合芸術文化祭、文化振興財団事業のほか、博物館で行われる芸術・文化事業、廃校等を使った芸術・文化の発表等による鑑賞人口の拡大など、県民が芸術・文化を発表する場や鑑賞する機会を拡充します。財政事情が許せば県民合意を得た上で美術館を建設します。
ウ UJIターンをされたアーティストや地域に根付いて高いレベルの芸術・文化活動を行うアーティストと県民が芸術を介して活発に交流する「アーティストリゾート」の展開を促進します。心豊かな県民生活、ネットワークづくり、地域の魅力向上などの付加価値の創造に貢献します。
エ 学校等との連携により、教育現場や地域で、子ども達や若者が芸術・文化に触れ、感性を磨く機会を確保し、芸術・文化活動を活性化します。
オ アートスタート事業等により、子どもの頃から芸術・文化に触れる機会を拡充し、芸術・文化が生活の一部となる生活スタイルの浸透を促進します。
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現状・課題
地域コミュニティのあり方に対する住民意識や行政の枠組みの変化により、地域住民自らが地域の諸課題を考え、解決方策を見つける時代になっています。多くの人が地域課題に目を向けるきっかけを作り出すためにも、また豊かな人生を送るためにも、生涯を通じて学ぶことのできる環境の整備・充実が必要です。
また、人生を健康で過ごすために、スポーツや運動を通じた健康づくりや生きがいづくりの推進が必要です。更に、スポーツに対する県民意識の高揚と、スポーツを通じた地域活性化も必要です。本県の競技力を推し量る上での指標の一つである国体天皇杯順位は40位台であり、競技力の向上を目指すことが必要です。
[主なデータ等]公立図書館の蔵書数及び貸出数、県立博物館入館者数の推移、スポーツを楽しむ人の割合
取組みの方向性等
ア 生涯学習フェスティバルの開催、とっとり県民カレッジの振興、地域公民館活動の支援等を通じ、生涯にわたって学べる場を提供します。生涯にわたって繰り返し学習し、地域にその力を還元しながら豊かな人生を送ることができる人の増加を目指します。地域のことを自分たちで決める意識につながるなど、地域の活性化にも貢献します。
イ 図書館を、県民が暮らし、仕事等に関する様々な情報収集を行い、自ら課題を解決するための支援拠点とすること、また豊かな心を育むための情報拠点とすることを目指します。図書館と他の情報提供機関との連携・ネットワーク化を進め、ネットワークを活用した資料相談(レファレンスサービス)を拡充します。
ウ 本県の自然、歴史、民族、美術等について、展示、講演、体験活動等により、県民が楽しく学び、感動を覚えるような「魅力あふれる県立博物館」づくりを推進します。
エ 恵まれた豊かな自然環境と、県民スポレク祭や総合型地域スポーツクラブの創設により、県民の運動・スポーツ実施率の向上と、健康を維持できる人の増加を目指します。
オ 指導技術の向上及び指導者養成を図る研修の実施、ジュニアから成年期につながる一貫指導体制の構築等により、オリンピックや国体を始めとする各種全国大会等で活躍できる選手を多く輩出し、ジュニア期から成年期に至るまで連続的な競技力向上を目指します。
カ ガイナーレ鳥取のJリーグ参入に向けた取組みなど、スポーツ活動を地域が一体となって応援し、また、地域の支えを受けたクラブ、選手等が活躍するなどにより、地域に対する自信と誇りを高め、地域の活性化にもつなげます。
[主な目標指標]
項目 |
現状 |
目標 |
公立図書館の個人貸出冊数(人口1人当たり) |
4.6冊/全国26位 (平成18年度) |
6冊/全国10位以内 (平成30年度) |
県立博物館入館者数 |
6.1万人 (平成19年度) |
7.5万人 (平成30年度) |
総合型地域スポーツクラブ設置数 |
15市町村 (平成19年度) |
全市町村 (平成30年度(平成22年度に目標達成を目指す)) |
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