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第6話「晩婚化と非婚化の100年間」

 問題です。次のグラフは、鳥取県民の何の割合を表しているでしょう?

グラフ「鳥取県民の?の割合の推移」

 第1回国勢調査のあった1920(大正9)年以降、しばらくは微々たる水準を推移していたこの割合、男性では1990(平成2)年頃から、女性では2005(平成17)年頃から急激に上昇しているようです。

 さて、いったい何の割合でしょうか?ヒントはこのコラムのタイトルです。

 答えは、50歳の時点で一度も結婚したことがない人の割合でした。

 この割合は人口統計のなかで「50歳時未婚率」といいますが、最近までは「生涯未婚率」と呼ばれてきました。一生を通じて独身の人が社会のなかでどの程度いるのか、つまり「非婚」の度合いの目安として用いられます。

 50歳時未婚率の上昇は、ライフスタイルの多様化を映していると考えられる一方、少子化の背景の一つとして議論されてもいます(内閣府『令和元年版少子化社会対策白書』など)。いずれにしても、現代を特徴付ける社会現象の一つといえるでしょう。

 結婚に関するもう一つの変化に「晩婚化」があります。結婚するときの年齢が高くなることです。晩婚化と非婚化は歩を合わせて進行してきたと思いがちですが、果たしてそうでしょうか?

 次のグラフは、横軸に晩婚化の指標である「SMAM(静態平均初婚年齢)」、縦軸に非婚化の指標である50歳時未婚率をとって、国勢調査実施年の鳥取県をプロットしたものです。マーカーが右にあるほど平均初婚年齢が高く、上にあるほど非婚の割合が多い年を意味するので、その位置をたどれば晩婚化と非婚化の足取りが分かります(グラフ下のボタンをクリックすると男女が切り替わります)。

鳥取県民のSMAMと50歳時未婚率の推移:男性 鳥取県民のSMAMと50歳時未婚率の推移:女性

 男性についてグラフを見ると、1920(大正9)年から1980年代頃まで、年を追ってマーカーはほとんどまっすぐ右方向に移動しています(太平洋戦争の前後だけは逆行)。冒頭のグラフでも見たように50歳時未婚率には目立った変化がなかったこの時代ですが、晩婚化の方は徐々に進んでいたわけです。

 その後、1990(平成2)年頃からはマーカーが垂直に近い角度で上方向に急旋回しています。これは、晩婚化が足踏みする一方で非婚化が進んだことを意味します。

 1990年時点で50歳というのは、1940(昭和15)年に生まれ、高度経済成長のさなかに20代を過ごした人たちです。これより上の世代にとっての結婚は、年齢的なタイミングは遅くなったとしても、多くの場合、“いつかはする”ものだったといえるでしょう。一方、その下の世代にとっては、“結局しないかもしれない”ものになってきたようです。

 女性については、男性と比べて全体的にマーカーが左寄りに位置する(平均初婚年齢が低い)ものの、右へ右へと晩婚化が進んでいった動きはよく似ています。ただし、1960~75(昭和35~50)年頃において、わずかながら50歳時未婚率が上昇していた点が男性と異なります。明治末から大正時代に生まれ、満州事変から太平洋戦争へ至る激動の時代に20代を過ごした女性たちの間で、やや非婚の傾向が見られたのです。相手となる男性たちの出征などが結婚事情を難しくしたのでしょう。

 しばらく後、2005(平成17)年頃からは、男性ほど急激ではないですが、マーカーの進行方向が上へと転じました。1955(昭和30)年以降に生まれた世代くらいから、結婚をする場合の年齢はあまり変化がないけれど、そもそも結婚をしないという人が増えてきたことを示します。男女とも、足元の変化としては晩婚化よりも非婚化が特徴だといえそうです。

 結婚は、今も昔も大きなライフイベントです。個人の価値観のほか、経済環境や様々な社会背景が、この100年間の結婚のあり方に影響を与えてきたはずです。さて、2020(令和2)年調査の結果はどうなるでしょうか。

グラフ注

総務省統計局「国勢調査」各年版から、5歳階級別のデータによって算出、作成。

50歳時未婚率(生涯未婚率):45~49歳と50~54歳の未婚率の単純平均で算出。

SMAM(静態平均初婚年齢):次の式によって算出。ただし、未婚率は%表示ではなく、1を基準とした比率。なお、人口動態統計から計算される平均初婚年齢と違い、社会の年齢構成に影響されない。
 SMAM=(49歳までの各年齢階級の未婚率の合計×5-50歳時未婚率×50)÷(1-50歳時未婚率)

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