平成28年12月28日(水)午後4時から

県庁講堂

 皆さま、こんにちは。本日ここに仕事納めの日を迎えることとなりました。この1年それぞれの所属におきまして皆さまの活躍が光りました。そして皆さまの活躍によりまして様々な課題を抱えた地域、そして住民の皆さまに大きな光が灯ったと思います。本当に心からの感謝をまずもって申し上げたいと思います。先ほど表彰受けられた数々のご功績がございました。例えば海外への門戸が開かれた年だったと思います。香港との定期便が、実にソウル米子便以来の開設となりました。相当な準備がありまして、今日表彰を受けられた所属のみならず、全庁的にも協力をしながら長年にわたりこの夢を追いかけてきたわけでありました。さらに、ワールドトレイルズカンファレンス(注1)が開かれ、世界中からウォーカー達が集まりました。鳥取の自然のすばらしさ、これを満喫されると共に、よく組織された大会だったというお褒めの言葉もあったところであります。ジャマイカから職員もお見えでございますけれども、ジャマイカとの交流、ウエストモアランドと姉妹交流を果たすなど、こちらの方も成果が上がったことであります。

 

さらに、数々の観光関係でも、船がたくさんやってくるであるとか、それからお客さまを引き寄せるためのプロモーションなどいろんなことがございまして、地方創生としても成果が上がったのではないかと思われます。また、併せまして色々と私どもの方で配慮をしていかなければならないことがあります。例えば健康につきましても、遺伝子検査につきまして、非常に効率的な検査を確立をされ、3日かかっていたものが3時間で終わるというようなイノベーション(技術革新)も起きたりいたしましたし、また、歴史を彩るような美しい装いをした女性たちの姿が、青谷横木遺跡から出てきたわけでございます。このように数々の出来事があった年でもございました。しかし、私たちにとりましてエポックメーキング(注2)でありましたのは、ワールドトレイルズカンファレンスが行われて、わずか1週間くらいの間に大きな地震が起きたわけであります。10月21日午後2時7分、皆さまもそれぞれの場所でこの時を迎えたと思います。私たちはそれ以来走り始めました。被災地の復興のため、復旧のため、そして被災地で困っておられる人々を思い浮かべながら、それぞれの役割を果たしたわけであります。

 

結果、数々の仕事をしていかなければなりませんけれども、かつての鳥取県西部地震のときの経験も我々にあり、知恵もありということもあり、他の災害と比べてかなり早いスピードで展開をすることができました。全ての皆さんのお力の賜物だと思います。私自身中部の若手の商工関係者の方々と若干夜時間をもって親しくお話をする機会もいただきました。口をそろえてお言葉をいただきましたのが、本当に対応が早かったということ、それがまた適切であったということ、例えばお店の復旧についての資金を早速作ってもらったり、また、家につきまして一部損壊も含めた新しい支援制度も作ってもらったり、また、ここでこんな職員に助けられた、あそこでこういう方から声をかけていただいた、そういうお話をお一人おひとりからいただいきました。私自身胸が熱くなりましたし、職員の皆さまに感謝申し上げなければならないと今日まで温めてきた次第であります。本当にありがとうございました。

 

この鳥取県というのは人々の絆で結ばれて、そして私たちの日々の歩みがあるものだと思います。どうあっても大都会に勝てるところではございません。そういう中でどういうふうに私たちが戦っていくのか勝負をしていくのか、それは機動力、その機動力の元となるのが一人ひとりの職員の力であります。大きな組織になるほど一人ひとりの力は矮小化されます。鳥取県だからこそ皆さまの働きがそのまま地域の改革、光になっていくわけであります。これから私たちはお正月を迎えることとなりますけれども、次の年に向けて改めて誓い合いたいと思います。この災難、災厄を乗り越えて良き年を引き寄せていかなければなりません。そのためにぜひ皆さまには一時の休息を満喫していただきたいと思います。皆さまをここ県庁の仕事に大分拘束したかなと思います。ご家族の下、また親しき友人たちの下に帰って行っていただき、そして大いに楽しみを持っていただければと思います。そんな中でおそらく新しい年の自分のやるべきことが見えてくると思いますし、家族の中での役割、それを再認識されるのではないかと思います。皆さまにとりまして素晴らしい正月がやってくることを祈るばかりでございます。

 

ひとつの先人として尾崎放哉という、自由律の俳句を書かれた方がいらっしゃいました。いろんな句を残されておられるわけであります。「入れものが無い、両手で受ける。」この句にはいろんな解釈がなされているわけでありますけれども、思い浮かべていただくと、思いを施す人とそれを受ける人とお二人は少なくてもおられるわけであります。それで、そのときに両手を差し伸べる、その姿は感謝の姿であると思います。私たちは今回の被災に当たりまして、多くの方々からたくさんの援助をいただきました。これは巡り巡って来たものだと思います。「鳥取県がんばれ」、そんな声が私たちのところに届けられたのだと思います。

 

また、私たちは県職員としてそうした被災地の方々などに向き合ってきました。「これで何とか力になってもらえれば。」私たちは常に自覚しています。行政には限界がある、だからこれで全部ができるわけではない、少し申し訳ないなという気持ちを持ちながらそういう事業にあたるものであります。そして、それを受け取る皆さまもその思いに応えてくれようと、「よしがんばろう、次は自分ががんばって答えを出してそしてこの地を元気にしてみせる。」そんなような、誓い合うようなところがあちらこちらで結ばれるものであります。思い思われ、与え与えられ、その絆が鳥取の良さであると思います。そんな1年を私たちは経験することができたと思います。ぜひこの経験を活かしてまた来年以降、皆さまに張り切って新しい職務に当たっていただければと思います。この1年の被災に限らず、さまざまな局面でご尽力いただいた皆さまの汗に感謝を申し上げ、素晴らしいお正月がご家族、地域とともに巡ってくることをお祈りを申し上げ、被災地に素晴らしいお正月が来ることをお祈り申し上げまして私からのメッセージといたします。皆さん、本当にありがとうございました。

 

(注1)ワールドトレイルズカンファレンス:世界各国のトレイル(自然遊歩道)関係者が集まり、トレイルの活用や保全について話し合う国際会議

(注2)エポックメーキング:時代をそれ以前とそれ前後に画してしまうほどの出来事

  

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