2022年1月21日

2022年1月21日 シラス@境港

美保湾シラス漁は2022年最初の市場日記になります。

昨年の12月は皆さん「イワシがおらん!」と口を揃えて仰っており、操業を控えたりサワラ釣りにシフトしたりで、水揚量の大きい2艘曳きはほとんど休業しておられました。また、年が明けて1月も時化が多いばかりかイワシもおらず、どうしたものかと思っていましたが、漁業者と話したところようやくカタクチイワシの姿が見え始めたらしく、中旬以降ぽつぽつと操業しておられるようです。

今日はパッチ漁船(1艘曳き)が3隻操業しており、うち2隻の水揚げにお邪魔してきました。お話を伺うと、やはり時化の合間を縫うような操業で、毎日は出漁できていない様子でした。また、漁獲物の組成を伺うと、マーカレ(サッパ)がかなり混じることがあり、なかなか浜値が安定しないようでした。それでも、1回の操業でかなりの水揚金額となる場合もあるらしく、年によっては2月に水揚げピークが来ることもあるので、今後の漁況に期待したいところです。

水揚げ 

水揚げ箱数は1隻10箱程度とそこまで多くはありませんでしたが、漁獲物を見てみると、今日はマーカレはそんなに混じっておらず、カタクチのサイズも揃っているようでした。貴重なサンプルを頂き、測定したところ体長4cm前後の小型のものから8~9cm前後の大型のものまでいましたが、5~6cm前後の個体が主体でした。

選別 カタクチ

カタクチ以外の魚種としては、マゴチ、スズキ、マアジ、サッパ、コノシロ、ヒイラギといったシラス漁ではおなじみの魚に加え、テンジクダイ、ウミタナゴ、シログチなどがいました。

その他魚 うみたなご

テンジクダイなど シログチ

シログチについては、自分は鳥取で初めて遭遇したので大変驚きましたが、「昨年ごろからシラス漁で見かけるようになった、小さいものもいる」と漁業者から情報を頂きました。市場には足繁く通っているつもりではありましたが、やはり漁業者は凄いです。情報を集めてみると、桁網の試験操業で入網したり、美保湾の小型底引網で水揚げされることが稀にあるそうです。

測定してみたところ、全長が35.2cmと大きな個体でした。そして別名「イシモチ」といわれるだけあり、体長も相まって氷砂糖のような大きな耳石を持っていました。隣にあるマサバの耳石と比較すると一目瞭然ですね。また、発達した浮袋から音を出し、愚痴を言っているように聞こえるので「グチ」と呼ばれるようになったとか、その浮袋が膠(にかわ)の原料になったとか、その粘り気が転じて「にべもない」なんて言われたりとか、本当に面白い(不憫な?)魚です。

耳石

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