7 自然エネルギーの導入状況

平成21年度版 鳥取県環境白書

鳥取県の環境の現状

7 新エネルギー(自然エネルギー)の導入状況


【1 現状と課題】

 鳥取県では、魅力ある豊かな自然環境を保全する活動を進めるとともに、風力、太陽光、バイオ マス、小水力などの新エネルギー(自然エネルギー)の活用に積極的に 取り組んでいる。
 しかし 、これらの新エネルギーは、現状では、石油、石炭、ガスなどの化石燃料と比較してコストが高く、また、風力発電や太陽光発電では自然条件に左右されて出力が不安定なことなどが普及の課題となっている。


○新エネルギー導入状況

年度

H15~H18

H19

H20

H21~H22
予定

合計

風力発電

27,000kW

31,500kW

58,500kW

内訳

・大山町
1,500kW×1基
・県(鳥取市内)
1,000kW×3基
・北栄町
1,500kW×9基
・民間(大山町内)
1,500kW×6基
・民間(大山町内)
1,500kW×8基
・民間(琴浦町内)
1,500kW×13基

太陽光発電

5,297kW

697kW

903kW

5,270kW

12,167kW

内訳

・住宅
5,063kW
・事業所
234kW
・住宅
667kW
・事業所
30kW
・住宅
743kW
・事業所
160kW

バイオマス
(発電・熱)

11,016kW

1,980kW

6,469kW

160kW

19,625kW

内訳

・チップ等ボイラー
 民間
10,000kW
 民間
460kW
・ペレットボイラー
 山陰海岸学習館
116kW
・ペレットストーブ
 (55台)
440kW
・ペレットボイラー
 西部総合事務所
1,740kW
・ペレットストーブ
 (30台)
240kW
・木くずボイラー
 民間
6,250kW
・ペレットボイラー
 食肉衛生検査所
35kW
・ペレットストーブ
 (23台)
184kW

小水力発電

120kW

120kW

内訳

・八頭町下峰寺
0.2kW
・中国電力(川平第二)
120kW

43,433kW

34,177kW

7,372kW

5,430kW

90,412kW

H15からの累計

43,433kW

77,610kW

84,982kW

90,412kW

環境先進県に向けた
次世代プログラム目標

← 新たに6万kWの自然エネルギー導入(H19~H22) →

34,177kW

41,549kW

46,979kW

※ 新エネルギー :風力、太陽光、バイオマス、中小水力など自然由来で再生可能なエネルギー
※ バイオマス :再生可能な、生物由来の有機性資源で、石油などの化石資源を除いたもの
  

<太陽光発電>

 太陽光発電の設置は、平成6年頃から始まり、国の助成や価格の低下などにより導入量は年々伸びてきたが、住宅向けの国の助成が平成17年度で終了したことから、平成18~20年度の導入量は大幅に落ち込んだ。
 国は、低炭素社会の実現に向けて太陽光発電の加速的な普及を図るため、平成21年1月から住宅向けの助成を再開し、また、平成21年11月から発電した電力を従来の2倍の価格で電力会社が買い取る制度も導入したところであり、今後は導入量の拡大が期待される。
 県内では、平成15年度から県と市町村の連携による住宅用太陽光発電への助成等を行ってきたところであり、引き続き市町村と連携して普及を図る必要がある。
 また、県内では、住宅用以外の事業所等への設置は、あまり進んでいない。

<風力発電>

 県内における大型風力発電施設の設置は、平成14年の湯梨浜町(旧泊村)に始まり、県企業局や大山町(旧名和町)、北栄町(旧北条町)及び民間企業によって行われ、現在、41基59,100kwの風車が稼動している(平成21年11月現在)。
 風力発電は発電量の変動が大きく、発電と需要のバランスをとることが難しいことから、全国的に電力会社が新規の契約枠を設定するなどの規制の動きが出てきている。設置主体が自治体から民間企業へ移りつつある中で、今後の設置の動向がやや不透明な状況である。
 大型風力発電施設の建設にあたっては、関係法令を遵守するとともに景観や野鳥への影響などにも配慮することが必要であり、県では、平成19年3月に「風力発電施設建設ガイドライン」を策定した。

風力発電施設マップ


設置年度

主体

場所

規模

備考

H14

湯梨浜町 潮風の丘とまり
600kW×1基
 

H16

大山町 高田工業団地
1,500kW×1基
 

H17

鳥取県 鳥取市(鳥取放牧場)
1,000kW×3基
 

H17

北栄町 北条砂丘
1,500kW×9基
 

H17

日本風力開発(株)
(大山ウィンドファーム)
旧大山町
1,500kW×6基
 

H19

日本風力開発(株)
(大山ウィンドファーム)
旧名和町
1,500kW×3基
 

H19

日本風力開発(株)
(大山ウィンドファーム)
旧中山町
1,500kW×5基
 

H19

日本風力開発(株)
(琴浦ウィンドファーム)
旧東伯町
1,500kW×13基
 

合計

41基 (59,100kW)


企業局風力発電施設 北栄町風力発電施設

<水力発電>

 県内では、中国電力、県企業局、農協等により、40箇所程度の水力発電施設が稼動しているが、昭和30年代までに設置されたものがほとんどである。
 近年は、設置経費の軽減や環境配慮の観点から、ダムを用いない、既存の流れを利用した流れ込み式の小規模の水力発電の検討が行われているが、設置は進んでいない。

<バイオマス・廃棄物発電>

 県内では、米子市河崎の米子市クリーンセンターにおける廃棄物発電や民間企業(養豚場)によるメタンガス発電の他、平成17年度からは民間企業(製紙工場)によるRPF(廃プラスチックと古紙などからなる固形燃料)発電等が行われている。
 木、糞尿、食品残渣などのバイオマスについては、量は多いものの広く薄く存在しているため、利用を推進するためには、原料の収集運搬、燃料化施設の設置、廃棄物の処理などの社会システムづくりが課題である。
 木質ペレットについては、平成18年度から県内の民間企業が製造に取り組んでいる。ペレットボイラー、ペレットストーブについては、県の率先導入を進めているが、民間企業等への広がりは十分でなく、今後も普及を図る必要がある。
 バイオディーゼル燃料(BDF)は、使用済みの天ぷら油を回収し、燃料に精製するもので、軽油の代替燃料になる。県内でも製造、利用が行われており、徐々にではあるが取組が広がってきている。

<その他の自然エネルギー>

 温泉の熱を利用した温度差発電、波力発電など新技術による地域の特性に即したエネルギーについても技術開発、実用化を促進する必要がある。

  

【2 県の取り組み】

 鳥取県では、H19~22年度の環境先進県に向けた次世代プログラムにおいて、自然エネルギーの導入に関する目標を定め、県庁率先導入や導入支援の取組を行ってきた。

 ○目標 … H19~22年度に、新たに自然エネルギー 6万kW以上を導入する。

  

<率先導入と普及啓発>

自然エネルギーを県有施設に率先導入するとともに普及啓発を行った。

【主な率先導入の状況】

 1.  風力発電  企業局 1,000kW× 3基(H17年度)
 2.  太陽光発電  県庁10kW(平成13年度)、衛生環境研究所20kW(H14年度)ほか
 3.  ペレットストーブ  24台(うちH20年度 5台)
知事室、県庁県民室、八頭・中部・日野総合事務所の地域県民室、林業試験場、智頭農林高校 3台、八頭高校、倉吉農業高校、米子西高校、米子南高校、農業大学校 2台、衛生環境研究所、鳥取湖陵高校 2台、倉吉西高校、米子高校、倉吉東高校、倉吉養護学校、米子白鳳高校 2台
 4. 
ペレットボイラー   山陰海岸学習館 116kW( H18年度)
  西部総合事務所 1,740kW( H19年度)
  食肉衛生検査所 35kW( H20年度)
 5.  バイオディーゼル燃料(BDF)利用
県庁公用バス( H18年度)、西部総合事務所道路維持作業車による試験運行( H18~19年度)

<導入支援>

市町村等へ自然エネルギーの導入支援を行った。

 1.  住宅に太陽光発電等の自然エネルギーを導入する個人への助成及び市町村立学校への導入を行う市町村に対し、市町村交付金による支援
(H20年度 鳥取市、湯梨浜町、琴浦町、北栄町、日南町)
 2.  大型風力発電を設置した市町村に対し、起債の利子補給による支援
(北栄町、大山町)
 3.  バイオディーゼル燃料(BDF)の導入・利用に取り組み、地域でのネットワーク化を図る団体を支援(H19~20年度)

<研究・その他>

県庁の関係部局により情報交換等を行い、自然エネルギーの導入の可能性について検討した。

 1.  県庁関係部局による情報交換等
 2.  バイオディーゼル燃料(BDF)の利用に関する調査等
  

【3 今後の課題】

 新エネルギーの導入には、情報不足、採算性、技術面などの課題があり、県として率先導入、普及・啓発等を行い、また、導入に必要な支援等を引き続き行っていく必要がある。

 木質バイオマス、バイオディーゼル燃料(BDF)等の新たな自然エネルギーは、特に認知度も低く、引き続き重点的な普及・啓発が必要である。

  

【コラム】環境にやさしい燃料:木質バイオマス

 バイオマスとは、生物由来の有機性資源(石油や石炭などの化石資源は除く)で、例えば、稲わら、もみがら、食品廃棄物、家畜排せつ物、木くずなどがあります。このうち、木質で構成されるものを木質バイオマスといい、まき、チップ、ペレットなどが燃料として利用されています。
 植物は成長時に二酸化炭素を吸収しており、燃やしたときには二酸化炭素が発生しますが、その発生量は成長の過程で吸収した量と同じものとして取り扱い、大気中の二酸化炭素を増加させないとする考え方(これを、「カーボンニュートラル」といいます。)が国際的に取り入れられています。
 木質バイオマスは、適切な量を利用しながら森林を持続していくことにより、二酸化炭素を増やさない、かつ、枯渇しない身近な地域のエネルギー源となります。
 石油に比べると利便性や価格などの課題はありますが、環境にやさしい燃料としての今後の活用が期待されます。

チップ  丸太や製材端材などを細かく切り砕いたもの

ペレット  木くず、おがくすなどに熱を加えて粒状に固めたもの
 (直径 6ミリ、長さ 1~2センチ程度)

ペレットストーブ ペレット

  

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