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平成21年1月5日(月)午前9時45分から
県庁講堂

 皆様、明けましておめでとうございます。

 皆様におかれましては、それぞれに御家族、あるいは御友人、地域の皆さんとともに楽しい、そしてにぎやかな年末年始を過ごされたのではないかと思います。きょうは、気分も新たに登庁なさり、これからの一年を夢見て、胸を熱くして、きょうここにおられるのではないかと拝察を申し上げる次第であります。

仕事始め式の写真

 今、鳥取県民歌の斉唱を皆さんとさせていただきましたけれども、最後の一節が「鳥取、鳥取、鳥取県民、もろともに 明日をきずこう」そういうフレーズになっているわけであります。今こそ力を結集して、力強くあすを築いていかなければならない、そういう時期に差しかかっているのではないかと思います。

 今からちょうど80年前、1929年の10月24日でありました。世にブラックサーズデーと言われる暗黒の木曜日が訪れたわけであります。これが世界大恐慌の引き金を引きました。ニューヨーク市場の大暴落から始まったわけでありますが、それから数年間であっという間にその資産は10分の1に減ってしまったと言われています。ちょうどその時期、80年後に私たちが立ち会っているのではないかと思えるところがあります。

 ただ、すべてが同じではないと思います。同じようなところもいっぱいあります。確かに1929年の前のあたりは、ニューヨークはクライスラービルと、それからエンパイアステートビルが高さを張り合って、超高層ビル合戦をやっていた時期であります。すなわちバブルに浮かれていたような時代だったわけですね。それが一挙にはじけてしまって、あっという間にそのバブル崩壊のツケが世界へと回ってしまったわけであります。今、私たちも同じような状況にあるのかもしれません。去年のサブプライムローン問題がはじけて、アメリカからヨーロッパへ、そしてアジアへ、日本へ、鳥取へと、その波はやってきたわけであります。大変に厳しい環境のもとではありますけども、だからこそ私たちはもろともにあすを築く努力をしなければならないのではないかと思うんです。

 確かに今、沈滞ムードが世の中を覆い尽くすようなところがありますが、だからこそ私たちが次の道筋を見据えて、未来に向けて道筋を開いていかなければならない、それが求められている、その度量と努力が求められている、その才覚と行動が求められているのではないかと思うわけであります。ぜひ県庁職員の皆様には、今が時代の大いなる転換点に当たっていることに鑑みまして、これからの将来を見通したようないい仕事をこの1年間やっていただきたいと思います。

 ことし、平成21年は明けたわけでありますが、私はこの平成21年、我々の行政でいけば年度の変わり目があります。向こう3カ月が平成20年度でありまして、その後が新年度であります。今、皆さんは予算編成でありますとか組織要求だとか、いろいろとこれからの仕事について考える時期にあります。15カ月の目線で考えていただきたいと思います。私は今年度3カ月ですべてが解決するとは思いません。むしろ新年度もつなげてみて、それで何が見えてくるか、それをぜひ皆さんにやっていただきたいと思うわけであります。

 平成21年という年は、うし年であります。俗な話を申し上げる私もうし年生まれでございまして、やっと年男でありまして、24歳になったところでありますが、それはうそでありますけども、ことし48になろうということであります。海の向こうでバラク・オバマさんが1月20日に大統領に就任します。実は同い年でありまして、そうした何か親近感も持つわけであります。向こうでは「ウイ・キャン・チェンジ」と、これから改革を行おうという気概に燃えています。私たちも同じことをこれからしていかなければならないのではないか。

 目の前の日本の国政を見てみますと、大混乱の中にあると思います。きょう1月5日はくしくも通常国会が始まる日になります。これからの第2次補正予算に向けまして、中川財務大臣がまず演説を行い、それから質疑が交わされるという日程になってきます。それが終われば、今度は来年度予算案の審議が国会で行われるというわけでありますが、この通常国会ほど不透明感に満ちているものはないような気がいたします。ですから、予断を許さないわけでありますけれども、ただ、国としては与野党という垣根を越えて、今、危急存亡のときにある国の経済や雇用の状況を救うべく、まずは一致団結してもらうことを目指していただきたいと思います。いずれにせよ、そうした状況を横にらみしながら私たちはこれからの予算編成なりを作っていかなければならないわけであります。

 平成21年という年は、漢字で書きますと「己丑(つちのとうし)」ということになります。「つちのと」というのは、「己(おのれ)」という字になります。「うし」はちょっとひもがこんがらがったような感じの字になりますけども、この「己(つちのと)」という文字は紀元何年という「紀」という字につながる。いとへんをつけていただきますと、そういうふうになります。「己(おのれ)」という字自体も、ちょうど糸の端っこの方がこういうふうにくねったようなところにもなります。すなわちもつれたひもを垂らしていくような、「紀律」という言葉がありますが、そういう意味がこの「己(つちのと)」という言葉には隠されていると言われています。「丑(うし)」というのは、右手のこぶしを振り上げまして、さあやるぞ、始めるぞという、そういう意味もあるんだそうであります。そういう意味で、私たちはこの年に今までこのようにもつれた経済や、あるいは政治の状況やら、あるいは生活の格差やら、そうしたもつれた糸をほぐして、今から新しい時代を起こしていく、始めていく、その年が「己丑」という年ではないかと思います。その意味を皆さんもかみしめていただきまして、それぞれの部局に与えられた役割を果たしていただきたいと思います。

 ことしは、昨年の12月26日に策定をいたしました将来ビジョンがいよいよ動き出す年になります。「活力 あんしん 鳥取県」、これをみんなでつくっていこうというのが新しい将来ビジョンのテーマであります。その一番大切なことは、ひとり行政だけではなくて、民間の皆さんと一緒に手を携えてやっていく、顔が見えるネットワークを我々はつくり上げていかなければならないということであります。そして、そのための人材を育成をしていくことにも注力をしなければならないということであります。

 また、足元のことをいろいろ言っているとなかなか難しいことはありますけれども、大交流時代でありますとか、「食のみやこ」でありますとか、そうした新たな大きなテーマを私たちはつかんで、そして上へとのし上がっていこうという、その意味を込めたのが将来ビジョンであります。これは県民の皆様から寄せられた知恵を集結をしたものでありまして、これを動かしていかなければならないことになります。それが一つの大きなテーマになるかと思います。

 それから、各行政分野でもいろんな課題を抱えているわけであります。例えばワーク・ライフ・バランスをきちんとやっていかなければならない。我々の県庁の中でも率先垂範していくべきでありまして、病院とか、そうした職場でもぜひ検討いただかなければならないと思います。福祉保健部なども率先垂範をすべき部局ではないかと思います。また障害者の自立支援法が改まるなどの節目も見えてきました。

 また、去年制定をしました鳥取砂丘条例、「日本一の鳥取砂丘を守り育てる条例」もいよいよ発動されるわけであります。これも体制を整えていかなければなりませんが、一つのシンボルとして環境に優しい鳥取県、それもみんなの力でつくっていく鳥取県というのをこの鳥取から起こしていく必要があります。その行動が起こせるかどうかが鳥取砂丘条例の成否を握っていると考えます。

 また、これに限らず環境についてはCO2 の削減の問題がいろいろと言われるわけでありますけども、私たち独自でカーボンオフセットのような取り組みをやっていく必要もあるんではないかと思います。いろいろと新しいチャレンジが私たちの目の前にあると思います。消費生活を充実することも必要であります。思い切って消費生活センターを休日も相談ができるような体制にするとか、そうしたテーマも個別の課題でありますが、重要ではないかと思います。

 さらに、県土を整備をしていく、維持をしていくことも大切であります。私たちは昨年末に予算獲得競争のいろんな陳情を行いました。その中で見えてきましたのは、とりあえず私たちが完成を目指していた鳥取自動車道が新年度、平成21年度に新直轄事業で約 2,000億円の全国枠が認められることであります。ですから鳥取自動車道は目鼻が立ちつつある状況であり、その詰めが急がれるというのが現状ではないかと思います。ただ、これに限らず山陰自動車道でありますとか、あるいは河川の整備でありますとか、そうしたさまざまな公共施設の整備が必要であります。景気も停滞感が見えてきておりますので、維持補修などの身の回りの身近な事業も重要性を増してきていると思います。

 さらに、農林水産業も新しい停滞した経済を救う鍵になり得るのではないかと思います。私は、鳥取こそこれからの雇用の受け皿になり得る、それは農林水産業の分野ではないかと思います。

 今朝ほどのある新聞を拝見をしますと、素潜りで漁業をやっているかたが月30万も40万も稼げるようになった。これはIターンでやってきたかたであります。こうした成功例といいますか、いい話というのは随所にあるのではないかと思いますし、さらに国の方もいよいよ農業に雇用を求めようという政策に切りかえようとしてきています。この意味で、私たち鳥取県も都会地からU・I・Jターンを精力的に働きかける、農林水産業の受け皿たらんことを我々は目指しているんですよというメッセージを全国に向かって出していく必要があると思います。それに向けた事業も当然組まれていいと思います。もちろん農業でいえば新甘泉(しんかんせん)だとか、そうした新品種、これを整えていくことは重要でありますし、個別の林業などの課題も解決しなければならないと思います。

 また、重要なのは経済の問題であります。不況の波にさらされつつあるわけでありまして、年末は雇用情勢が厳しいことから、皆様の御理解もいただきまして30日まで開庁いたしました。その結果として、このお正月を鳥取県の西部の方では県営住宅でという選択肢を得るかたも出たわけでございます。幾つか福祉系の御相談もありました。そうした年末年始に向けた緊急的な対策も打ったわけでありますけども、これもさらに充実していかなければならないと思います。国の予算措置を横にらみしながら、県独自でできることを皆さんの英知を結集していただきまして、この時期にまとめていきたいと思います。2月の議会が目の前に見えていますが、それで十分かどうか、もしかすると前倒しでやらなければならないこともあるかもしれません。その辺の忌憚のない御意見を全庁的に集めていただきたいと思います。

 さらに、そうした第1ステップの議論、第2ステップの議論だけではなくて、さらに第3ステップの議論をやらなければならないと思います。新しい経済のステージに向けて、例えば今でも疲弊が余り進んでいない分野があります。例えば食品産業でありますとか、あるいは健康をこれからさらに増進をしようという、そういう産業でありますとか、林業関係の製材業でありますとか、そうしたいろいろと発展分野というのはあるんだろうと思うんです。

 県内にもそういう意味で動きがあるわけでありまして、私たちは流れをきちんと受けとめて、厳しい状況だからこそ、これから未来に向けて企業拡張をしよう、あるいは鳥取県に進出しようという企業の力を我々のもとに得ていかなければならないと思います。そういう意味で、我々も商工業、さらに第3ステージを見据えたことも考えていかなければならないと思います。重要なのは農林水産業などとの連携、農商工連携と言われる分野もその範疇に入ってこようかと思うわけであります。

 そういうような、さまざま行政課題が目の前に見え始めてきているわけでございます。さらに中山間地域の条例を動き出させる、バス路線の充実について、維持について、あるいは若桜鉄道の維持についてなどの課題もあります。過疎の法律も国に対して求めていくこともあります。ただ、目の前の財政状況はかなり厳しいと私は思っています。交付税が1兆円増えるということでありますけども、片方で税収がごっそり減っている自治体が来年度は増えてくるのは必定であります。ですから交付税が額面どおり増えてくるという見込みには今のところならないと思います。我々の鳥取県でも税収は確実に減るという状況であります。ですから厳しい財政運営が必要だと思います。その意味で予算編成、あるいは組織についてもこういう厳しさを乗り越えるような体制を求められるのではないかと思います。今眠っている財源、あるいは活用できるような財源があれば、これを活用していくこともことしの視野に入ろうかと思います。

 土地開発基金など、そうした従来から基金として持っているものもありますけれども、例えば土地だとかに十分転用されていないということがあれば、これも景気が厳しい状況でありますので、取り崩して使うことも私はやむを得ない情勢ではないかと思います。ただ、その中で県民の皆様とも今約束しております 300億円の基金を守ること、将来負担を増やさないことを新年度の予算の中では貫けるだろう、それをやっていきたいと考えています。難しい選択ではありますけども、こうしたことをしなければならないと思います。

 今、寒風吹きすさぶ中に私たちの地域はあるわけであります。だからこそ身をかがめて守っていくことは重要であります。特に今困窮している人たち、現場の方へ出ていっていただきたいと思います。さまざまな声を聞いて、何が必要なのかを皆様の目で、耳で、頭で、聞いて、考えて、見ていただきたい、それを呼びかけたいと思います。そして実りの多い15カ月のこれからをつくらなければならない。あのときに鳥取県は変わったと言われなければならないわけであります。

 しかし、守るだけではいけない。さらに攻めることも重要であります。今こうした厳しい時期であるからこそ、私たちは将来に向けての土台をつくらなければならない。いずれはテイクオフをするときが来ます。それに向けた努力をしなければならない。今厳しい状況であるからこそ、伸びる可能性のある産業分野というもの、あるいは福祉だとかそうしたセーフティーネットのところを、私たちは将来を見据えて育てていかなければならない。それが行政の役割ではないかと思うのであります。守るということと、それから攻めるということの二正面作戦を私たちはしなければならないと思います。

 DBSクルーズフェリーが今、新しい航路を開こうとしていること、そうしたこともありますし、大交流時代ができる。高速道路も約束されつつあるわけであります。米子空港の滑走路 2,500メーター化もいよいよそこまで見えてきました。さらに国も大きく舵を切って、これから地方を見ようというように確実に変わってきていると思います。また、従来とは違って成長型へ、すなわち実需を掘り起こす方へと国全体が動き出すと思います。この時期をとらえれば、私たちは小さな鳥取県でありますので、しなやかに将来に向けて攻める体制を整えることも可能ではないかと思うわけであります。

 先ほど琴の調べをおうかがいをしました。和の伝統曲である「六段の調」を私たちは聞いたわけであります。実に 400年前の調べである。それを現代にアレンジをしたということでありました。

 今からちょうど 400年前、1609年という年、江戸時代が始まったばかりであります。関ヶ原の戦乱を終えて、これから国をつくり直さなければならないというふうに皆が考えたのがその時期でありました。その1609年という年に鹿野の城主でありました亀井茲矩は、新しい航路を開こう、貿易を開こうということで奮闘したわけであります。その努力のかいがありまして、この年にシャムの渡航交易、すなわち貿易ですね、タイとの貿易の朱印状を得たわけであります。そうして大航海へと乗り出して鹿野城下の発展へと導いていったわけであります。

 この亀井茲矩から 400年というこの年、私たちも新しい航海が開かれるように乗り出していかなければならない、船出をしていかなければならないのだと思います。

 ことし一年、皆様の力でぜひ県民を、地域を明るい方向へと導いていただきたいと思います。皆様には、その舳先に立って鳥取丸を導いていただきたいと思います。私もこの身を、一身をささげる覚悟で頑張り抜く決意であります。尋常な年ではないと思います。厳しい年になると思います。だからこそ皆様に人づくりも含めてやっていただきたいと思います。教育も、あるいは警察も、さまざまな分野においても展開を図るべき年がこの年であります。

 皆様のことし一年のますますの御発展、御家族ともどもの弥栄(いやさか)をお祈り申し上げ、鳥取県が健やかに、そして安らかな方向へと導かれることを私自身お祈りを申し上げまして、年頭のあいさつにかえさせていただきたいと思います。

 どうかこの一年、よろしくお願いします。どうもありがとうございました。