4 三大湖沼等豊かな自然環境の保全・再生状況

平成19年度版 鳥取県環境白書

鳥取県の環境の現状

4 三大湖沼等豊かな自然環境の保全・再生状況

  

●三大湖沼等の保全・再生状況

 本県の水辺の環境は、約130kmに及ぶ海岸線で接する日本海と、これにそそぐ大小の河川や豊かな水量をたたえる湖沼で構成されている。こうした水辺の環境は、治水とともに、飲料水をはじめ様々な利水の対象となっている。また、地域の歴史や文化に深い関係を持つとともに、周辺の動植物の生息空間として貴重な生態系を形成している。
 本県の河川は、千代川、天神川、日野川、斐伊川の一級河川4水系と、二級河川42水系、準用河川39水系とから成る。河川の総延長は1,516km、このうち4一級河川の総延長は1,040km、流域面積は県土の約74%を占めている。これらの河川は、湖山池、東郷池、中海などの湖沼と相まって豊かな水辺の景観を形成し、水生動物や植物の生息空間の基盤を形成している。
 河川の水質については、一級河川のうち千代川、天神川、日野川で環境基準を達成している。しかし斐伊川(中海)は1観測ポイントを除き環境基準を達成しておらず、富栄養化状態となっている。二級河川(蒲生川、塩見川、河内川、勝部川、由良川、加勢蛇川、阿弥陀川、佐陀川)については、勝部川水系(日置川、塩見川の一部)を除き、概ね清浄である。
河川・湖沼・海域の環境基準達成状況の推移のグラフの画像

 本県の海岸は約6割が砂浜海岸で、その他は、県東部に見られる断崖のリアス式海岸や砂礫海岸から成っている。これらの海岸は豊かな景観を呈するとともに、干潟や藻場などを形成し、水生動植物や水鳥の生息地となっている。一方、これらの海岸は、日本海特有の冬期の激しい波浪による侵食等の影響を受けやすく、浜辺の生活や景観に大きな影響を与える。そこで本県では砂浜の流出や建設物の被害を防ぐため、護岸や離岸堤の設置など海岸保全対策を進めている。
 また、沿岸水域は、水産資源の生産の場であるとともに、海洋動植物の貴重な生息域となっており、磯場、藻場は水質浄化機能も有している。本県の磯場の面積は約43平方キロであるが、近年海藻が減少していると報告されている。
 海域の水質については、平成16・17年度の調査ではすべての地点で環境基準を達成したが、平成18年度調査では日本海沿岸の4地点が環境基準を達成しなかった。
 県内の三大湖沼である湖山池、東郷池、中海は、昔から住民が水と親しむ場であるとともに、様々な恵みを与えてくれる、地域住民の生活にとって重要な場であった。
 しかし、戦後の高度経済成長期以降、周辺流域の社会経済活動や生活習慣の変化に伴い、三大湖沼の水質は次第に悪化し、人々の生活と密接に結びついたかつての姿からは遠ざかっている。
 かつての姿を取り戻していくためには、湖の水質を改善する必要がある。そして、そのためには、湖に流れ込む汚濁物質の量を減らすことが最も重要である。そこで、県、市町村、流域住民が協力して、下水道や合併処理浄化槽などの整備を推進するとともに、工場等の各種汚濁源に対する規制を行い、湖に流れ込む汚濁物質を減らすよう努力してきた。
 このような努力の結果、県内三大湖沼の水質は、一定の改善を見た。しかし、目標として定めた水質環境基準は達成されておらず、依然として汚れた状況にある。
県内主要3湖沼中央部の水質経年変化のグラフの画像

 県内総人口に占める水洗化が可能な区域の人口の割合は年々増加し、平成18年度には全体の84.5%に達している。このうち、公共下水道は58.2%、農業・漁業・林業集落排水は18.0%、浄化槽は7.8%、コミュニティプラントは0.5%となっている。
 し尿処理施設は県内で6か所稼働しており、平成15年度の年間処理量は約18万キロリットル(平成14年度18万キロリットル)であった。
 下水道などの普及率は事業進捗に伴い着実に上昇しているが、整備済の地域においても、未接続世帯が依然として多く、水質浄化効果がなかなか現れない要因となっている。接続を推進する必要がある。
水洗化人口の推移のグラフの画像

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