3 水、大気、土壌の保全・環境ホルモンなどの化学物質の適正管理状況

平成19年度版 鳥取県環境白書

鳥取県の環境の現状

3 水、大気、土壌の保全・環境ホルモンなどの化学物質の適正管理状況

  

●大気環境

 大気汚染を防止するため、大気汚染防止法、鳥取県公害防止条例等に沿った施策を講じている。
 平成18年度の環境基準の達成状況は、次表のとおりであり、二酸化いおう、二酸化窒素、一酸化炭素は、環境基準を達成した。
浮遊粒子状物質については、長期的評価で環境基準を達成したものの、短期的評価では環境基準を達成しなかった。これは、4月の黄砂現象が原因として考えられる。
また、光化学オキシダントは注意報発令レベル(0.12ppm)には至らなかったものの環境基準を達成しなかった。
なお、光化学オキシダントについては、全国の一般局における環境基準達成率が0.3%(平成17年度)と、依然として低い水準にある。

平成18年度 環境基準達成状況

測定局

区分

二酸化いおう

浮遊粒子状物質

二酸化窒素

一酸化炭素

光化学オキシダント

鳥取保健所

一般局

×

米子保健所

一般局

×

倉吉保健所

一般局

×

栄町交差点

自排局

米子市役所前

自排局

注)○:達成、×:非達成、△:長期的評価では達成したが、短期的評価で非達成

 二酸化いおうの年平均値のグラフの画像
 光化学オキシダント年平均値のグラフの画像
 一般環境大気測定局の浮遊粒子状物質の年平均値のグラフの画像
自動車排出ガス測定局の浮遊粒子物質の年平均値のグラフの画像 
一般環境大気測定局の二酸化窒素の年平均値のグラフの画像 
自動車排出ガス測定局の二酸化窒素の年平均値のグラフの画像 
一般環境大気測定局の一酸化炭素の年平均値のグラフの画像 
自動車排出ガス測定局の一酸化炭素の年平均値のグラフの画像 


(参考:測定局の種類について)
 測定局には一般環境大気測定局や自動車排出ガス測定局等がある。一般環境大気測定局は、大気汚染防止法第22条に基づいて、環境大気の汚染状況を常時監視(24時間測定)する測定局で、自動車排出ガス測定局は、大気汚染防止法第20条及び第22条に基づいて、自動車排出ガスによる環境大気の汚染状況を常時監視(24時間測定)する測定局である。その他、気象局、立体局、バックグラウンド局等がある。(独立行政法人 国立環境研究所webサイト 環境数値データベース/環境GISより抜粋)

●土壌

 地盤沈下は、鳥取市北部に見られるが、近年の沈下量は鈍化又は横這いの傾向にある。
汚染については、土壌汚染対策法に基づく指定地域は県内にはない(H19.3.31時点)。
グラフ

●石綿(アスベスト)

 石綿による健康被害を防止するため、大気汚染防止法、鳥取県石綿による健康被害を防止するための緊急措置に関する条例等に基づき、建築物の解体等工事における石綿の飛散防止の徹底、除去した廃石綿等(廃棄物)の適正処理等の指導を行っている。
 また、県内の一般大気環境中の石綿濃度の実態を把握するため、石綿濃度測定を行っている。

1 調査期間 平成18年6月から平成19年3月
2 調査地点及び回数

 (1)定点調査
   鳥取、倉吉及び米子市内各2地点(住居系地域及び商業系地域):計6地点
   年4回(四半期ごと)、それぞれ原則連続する3日間調査
 (2)実態調査
   東部、中部及び西部各2地点(廃棄物処理施設周辺地域及び工業団地内):計6地点
   年1回、原則連続する3日間調査
3 結果の概要
 各調査地点の平均値はND(不検出)~ 0.13本/Lの範囲であり、すべての地点で、平成18年度に環境省が実施した全国調査の平均値以下であった。
 また、大気汚染防止法に定める石綿製品等製造工場の敷地境界における濃度基準(10本/L)を大幅に下回るものであった。

●ダイオキシン

 ダイオキシン類対策特別措置法第28条第1~3項の規定により、特定施設設置者は施設から排出される排出ガス・排出水・ばいじん等に含まれるダイオキシン類について毎年1回以上測定し、結果を知事へ報告することとされている。
 県では、報告された測定結果を集計し、同条第4項の規定により公表をしている。
○結果の概要
(1)大気基準適用施設
 平成18年度は、大気基準適用施設(廃棄物焼却炉)91施設から排出される排出ガス中の濃度測定の結果について報告があり、1施設が排出基準を超過していたが、県の指導により改善した。
 また、平成19年3月31日までに測定が実施されなかった施設が4施設あったが、その後自主検査の実施報告がなされ、その結果、いずれも排出基準値以下であった。

                                        (単位:ng-TEQ/m3N)

施設の種類

測定対象施設

濃度範囲(平均値)

排出基準値

報告済

未測定

休止等

廃棄物焼却炉

焼却能力

(1)4t/時以上

5

0

0

5

0.0080~0.57
(0.16)

1

(2)2t以上
 ~4t/時未満

7

0

1

8

0.000083~3.0
(0.59)

1 ~ 5

(3)200kg以上
 ~2t/時未満

35

0

3

38

0~13
(0.98)

5 ~10

(4)200kg/時未満

44

4

9

57

0 ~ 4.5
(0.88)

5 ~10

合計

95

4

13

108

0 ~ 13
(0.85)

1 ~10

注)排出基準値は、既設炉(H12.1.14以前に設置)・新設炉(H12.1.15以後に設置)の別、施設の規模により異なる。
  排出基準値欄の数値は、現在県内に設置されている施設に係る排出基準値。

 上記廃棄物焼却炉については、排出ガス以外に燃え殻及びばいじん(ばいじんについては、排出のある63施設のみ)についても基準が適用されており、その測定結果では、4施設から排出されるばいじんが基準を超過していた。
 この4施設のばいじんについては、法の規定に基づき、セメント固化などの安定化処理が行われており、適切に処理されたことを確認した。
項目 報告施設数 濃度範囲(平均値) 基準値
ばいじん 62 0~ 21 ( 1.5 ) 3
燃え殻等 90 0~ 2.4(0.087)
注)基準値:ばいじん及び燃え殻を処分(再生することを含む)を行う場合の基準値。なお、既設炉(H12.1.14以前に設置された炉)については、セメント固化などの安定化処理を行えば適用されない。

(2)水質基準適用施設
 水質基準適用施設のうち、測定義務のある6事業場から報告があり、いずれも排出基準値以下であった。

(単位:pg-TEQ/L)

施設の種類

測定対象事業場

濃度範囲(平均値)

排出

報告済

未測定

休止等

基準値

パルプの製造漂白施設

1

0

0

1

0.059  
(0.059 )

10

廃棄物焼却炉の排ガス洗浄施設等

1

0

0

1

0.00032
(0.00032)

下水道終末処理施設
(特定施設から排出される汚水を処理するもの)

4

0

0

4

0.0013~0.040
(0.012)

合計

6

0

0

6

0.00032~0.059
(0.018)

注)複数の特定施設を有する事業場については、事業場を代表する施設の欄に計上。

【参考】
1 単位
(1)1pg(ピコグラム) =1兆分の1グラム
(2)1ng(ナノグラム)=10億分の1グラム
(3)TEQ(Toxic Equivalent 毒性等量)
  ダイオキシン類は種類によって毒性が異なるので、最も毒性の強いダイオキシン(2,3,7,8-TCDD) の毒性を1として、他のダイオキシン類の毒性の強さを換算して、合計した値で評価する。この場合 に「TEQ」という単位が使われる。

2 ダイオキシン類対策特別措置法(平成11年7月16日法律第105号)【抜粋】
(設置者による測定)
第28条 大気基準適用施設又は水質基準適用事業場の設置者は、毎年1回以上で政令で定める回数、政令で定めるところにより、大気基準適用施設にあっては当該大気基準適用施設から排出される排出ガス、水質基準適用事業場にあっては当該水質基準適用事業場から排出される排出水につき、そのダイオキシン類による汚染の状況について測定を行わなければならない。
2 廃棄物焼却炉である特定施設に係る前項の測定を行う場合においては、併せて、その排出する集じん機によって集められたばいじん及び焼却灰その他の燃え殻につき、政令で定めるところにより、そのダイオキシン類による汚染の状況について、測定を行わなければならない。
3 大気基準適用施設又は水質基準適用事業場の設置者は、前2項の規定により測定を行ったときは、その結果を都道府県知事に報告しなければならない。
4 都道府県知事は、前項の規定による報告を受けたときは、その報告を受けた第1項及び第2項の測定の結果を公表するものとする。

●内分泌かく乱化学物質(環境ホルモン)

 内分泌かく乱化学物質(いわゆる環境ホルモン)は、人や野生生物への影響、作用のメカニズム等科学的に未解明な部分が多く残されているが、人や野生生物の正常なホルモン作用をかく乱し、生殖機能を阻害する等悪影響を及ぼす可能性が示唆されている。
 県では、平成11年度から県内の公共用水域中の水質・底質(川底等の泥)及び水生生物中の内分泌かく乱作用を有すると疑われる化学物質等の実態調査及び追跡調査を実施している。

1 調査の概要
(1)調査年月 平成18年12月
(2)調査地点
  ・定点調査:河川11地点、湖沼3地点、海域8地点(計22地点)
  ・有機スズ化合物調査:港湾(鳥取港・米子港・田後港・赤碕港:各3地点)
                漁港(網代漁港・泊漁港・境漁港・淀江漁港:各3地点)
                湖沼3地点、海域8地点
(3)調査対象物質
これまでの調査で、メダカに対して内分泌かく乱作用を有する可能性があると推察された4物質、巻貝に対して内分泌かく乱作用を有すると推察された有機スズ化合物(2物質)及び人畜由来の女性ホルモン(1物質)の計7物質(別表2参照)

2 調査結果
 (1)定点調査
  河内川(宝木)からビスフェノールA(0.030 μg/L)が検出されたが、その他の河川、湖沼及び海域からはいずれの物質も検出されなかった。
  ビスフェノールAについては、環境省の実施した全国調査の濃度範囲内であった※1。
   また、環境省の調査では、ビスフェノールAのメダカに対する予測無影響濃度は24.7μg/Lであり※2、今回の結果はこれを大幅に下回るものであった。
 ※1 環境省の全国調査(ビスフェノールA)(H10~15年度):1,102地点中631地点で検出、濃度範囲はN.D~19μg/L
 ※2 予測無影響濃度:魚類へ害を及ぼさない最大の濃度に10倍の安全率を乗じて設定された濃度。(環境省平成16年度第1回内分泌撹乱物質問題検討会資料)

(2)有機スズ化合物調査
  有機スズ化合物は、過去に船底塗料に使われていたことから、港湾・漁港内等において調査を実施した。
  調査結果は以下の表のとおりであり、平成3年に環境庁が示している港湾、漁港などにおける当面達成するべき水質レベル(0.1μg/L)及び公共用水域において維持されることが適当な水質レベル(0.01μg/L)以下であり(別表3参照)、過去からの測定結果の推移を見ても大幅な減少が確認され、問題のないものであった。

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