内閣府は、平成２１年３月の「月例経済報告」で、最近の経済動向について次のように報告している。

（総論）

　景気は、急速な悪化が続いており、厳しい状況にある。
　・輸出、生産は、極めて大幅に減少している。
　・企業収益は、極めて大幅に減少している。設備投資は、減少している。
　・雇用情勢は、急速に悪化しつつある。
　・個人消費は、緩やかに減少している。
　先行きについては、当面、悪化が続くとみられ、急速な減産の動きなどが雇用の大幅な調整につながることが懸念される。加えて、世界的な金融危機の深刻化や世界景気の一層の下振れ懸念、株式市場の変動の影響など、景気をさらに下押しするリスクが存在することに留意する必要がある。
　政府は、当面は「景気対策」、中期的には「財政再建」、中長期的には「改革による経済成長」という３段階で、経済財政政策を進める。当面、景気対策を最優先で進めるため、総額７５兆円程度の経済対策を着実に実施する。このため、平成２１年度予算及び関連法案の早期成立に努める。
　日本銀行が、内外の厳しい経済金融情勢の下、政府とマクロ経済運営に関する基本的視点を共有し、適切かつ機動的な金融政策により経済を下支えすることを期待する。日本銀行は、２月１９日、社債買入れを含む企業金融支援策の拡充及び金融市場安定化のための時限措置の延長等を決定した。

（各論）

（１）消費・投資などの需要動向
　個人消費は、緩やかに減少している。消費者マインドは悪化しており、所得は弱い動きとなっている。設備投資は、減少している。住宅建設は、減少している。公共投資は、総じて低調に推移している。輸出は、極めて大幅に減少している。輸入は、減少している。貿易・サービス収支の赤字は、増加している。

（２）企業活動と雇用情勢
　鉱工業生産は、設備投資の減少や輸出の極めて大幅な減少などから、極めて大幅に減少している。第３次産業活動は、減少している。企業収益は、極めて大幅に減少している。また、企業の業況判断は、大幅に悪化している。倒産件数は、増加している。雇用情勢は、急速に悪化しつつある。

（３）物価と金融情勢
　国内企業物価は、下落している。消費者物価は、石油製品価格が下落しているが、それを除いた基調としては横ばいとなっている。株価（日経平均株価）は、７，４００円台から７，５００円台まで上昇した後、７，０００円台まで下落し、その後７，１００円台で推移している。対米ドル円レートは、９４円台から９９円台まで円安方向で推移した後、９６円台まで円高方向で推移している。

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　需要面の個人消費では、大型小売店販売額（１月）が、全店舗計、店舗調整後（新規店舗を除く）とも前年を下回った。ホームセンター・家電量販店販売額（１月）、乗用車新車新規登録台数（２月）とも前年を下回った。
　建設等では、公共工事請負金額（２月）は前年を上回ったが 、新設住宅着工戸数（２月）、用途別着工建築物工事金額（２月）は前年を下回った。

　産業面では、鉱工業生産指数（１月、季節調整済）が電子部品・デバイス工業等の減により７８．２で前月比４．４％低下した。また、大口需要電力実績（１月）のうち鉱工業は前年を下回った。
　　
　雇用面では、新規求人倍率（２月）は、０．７４倍（前月差０．０５ポイント低下、前年同月差０．４２ポイント低下）であった。有効求人倍率（２月）は、０．４７倍（前月差０．０６ポイント低下、前年同月差０．２６ポイント低下）と０．５倍を割り込んでいる。
　きまって支給する給与（１月）、所定外労働時間（１月）とも前年を下回った。

○需要面の動き

【個人消費】
　大型小売店販売額（１月）は、全店舗計では５８億２１４万円となり、前年同月比８．９％減と１０か月続いて前年を下回り、店舗調整後でも前年同月比８．９％減（全国は前年同月比５．５％減）と１０か月続いて前年を下回っている。
　なお、全店舗計の内訳では、百貨店が１９億９，０１０万円（前年同月比１３．８％減）、スーパーが３８億１，２０４万円（前年同月比６．１％減）であった。
　ホームセンター・家電量販店販売額（１月）は、２９億４，６８３万円（前年同月比４．０％減）と４か月続いて前年を下回った。内訳では、ホームセンターが１５億４，５３６万円 （前年同月比１．５％減）、家電量販店販売額が１４億１４７万円（前年同月比６．６％減）であった。
　乗用車新車新規登録台数（２月）は、１，７３２台（前年同月比１４．７％減）と７か月続いて前年を下回った。普通車、小型車、軽自動車とも前年を下回った。

【住宅建設】
　新設住宅着工戸数（２月）は、１２１戸（前年同月比４２．１％減）と２か月続いて前年を下回った。減少の内訳では、貸家の減少（前年同月比５５．６％減）が大きかった。

【設備投資】
　用途別着工建築物工事金額（２月）は、２億４，６３０万円（前年同月比８６．０％減）と４か月ぶりに前年を下回った。用途別では、鉱業、採石業、砂利採取業、建設業用（前年同月比６６．７％増）以外は前年を下回った。

【公共工事】
　公共工事請負金額（２月）は、８３億５，６００万円（前年同月比５３．１％増）と４か月ぶりに前年を上回った。発注者別の内訳では、国の増（前年同月比６３．７％増）が大きな割合を占めた。

○産業面の動き

【産業活動】
　鉱工業指数（１月）は、生産指数（季節調整済）が７８．２となり前月比は４．４％低下、原指数は、６８．３となり前年同月比では２３．６％低下した。
　内訳を前月比で見ると、食料品・たばこが３．６％の低下、電子部品・デバイスが１８．７％の低下、電気機械が１．８％の上昇、一般機械が１６．７％の低下となっている。
　在庫指数（季節調整済）は１００．２と前月比０．５％の低下となった。

【電力】
　大口需要電力実績（１月）は、１０６，０４４千ｋＷｈ（前年同月比２４．１％減）と６か月続いて前年を下回り、鉱工業も全ての区分で減少し２７．４％減少した。

【青果物卸売量】
　鳥取市場の青果物卸売量（２月）は、野菜が１，３３８ｔ（前年同月比０．１％増）と２か月続いて前年を上回り、果実も７８７ｔ（前年同月比２．３％増）と２か月続いて前年を上回った。
  鳥取市場の鳥取県産青果物卸売量（２月）は野菜が４１７ｔで市場全体に占める割合は３１．２％（前年同月差４．０ポイント上昇）、果実は２８ｔで市場全体に占める割合は３．６％（前年同月差１．１ポイント上昇）であった。

【漁獲量】
　境港の漁獲量（２月）は、７，４０３ｔ（前年同月比９．２％減）と３か月ぶりに前年を下回った。

○雇用・金融面の動き

【雇用】
　新規求人倍率（２月）は、０．７４倍（前月差０．０５ポイント低下、前年同月差０．４２ポイント低下）であった。なお、新規求人数（２月）は、３，２２１人（前年同月比２１．２％減）と１７か月続いて前年を下回った。
　有効求人倍率（２月）は、０．４７倍（前月差０．０６ポイント低下、前年同月差０．２６ポイント低下）と０．５倍を割っている。０．４倍台になるのは、昭和４２年３月以来である。

【賃金】
　現金給与総額（１月）は、２４７，２０９円（前年同月比７．６％減）と２か月ぶりに前年を下回った。そのうち、きまって支給する給与（１月）は、２４０，９４９円（前年同月比２．５％減）で８か月続いて前年を下回った。

【労働時間】
　所定外労働時間（１月）は、６．９時間（前年同月比２３．９％減）と６か月続いて前年を下回った。主力の製造業は４４．６％減となった。〔産業別の前年同月比では、電気ガス水道業（前年同月比１０７．９％増）等で前年を上回り、複合サービス事業（前年同月比６４．９％減）等で前年を下回った。〕

【預金・貸出金残高】
　預金残高（１月末）は、１兆８，７３７億円（前年同月比０．１％増）と２か月ぶりに前年を上回り、貸出金残高（１月末）は、１兆１，２０５億円（前年同月比２．０％減）と２９か月続いて前年を下回った。

○参考

・　鳥取県景気動向指数（１月）は、先行指数が１１月１２．５、１２月１２．５、１月６．３、一致指数が１１月２５．０、１２月０．０、１月０．０、遅行指数が１１月４０．０、１２月３０．０、１月１０．０となった。

・　企業倒産 （２月）は、件数が９件で前年に比べて４件増加（前年同月比８０．０％増）し、負債総額は１４億２００万円で前年に比べて４億１，８００万円減少（前年同月比２３．０％減）した。

・　消費者物価指数（２月:鳥取市、総合、平成１７年＝１００）は、１００．２（前月比０．２％下落、前年同月比０．３％上昇）となった。

 ・　鳥取県の推計人口（３月１日現在）５９３，７０２人で、前月と比べて３５６人（０．０６％）減少し、前年同月と比べて４，７２８人（０．７９％）減少した。

・　鳥取県の企業経営者の見通し（主要３００事業所、年４回調査）を平成２１年２月調査でみると、平成２１年１～３月期は、平成２０年１０～１２月期に比べると、景気、売上高、経常利益はきわめて不調である。また、平成２１年４～６月期は、平成２１年１～３月期に比べると、景気、売上高、経常利益ともきわめて不調となる見通しとなっている。