3.2 野生動植物の保護と生息環境の保全・再生

平成20年度版 鳥取県環境白書

3.自然と人間との共生の確保

 3.2 野生動植物の保護と生息環境の保全・再生

自然保護行政費

1 現状・課題

  1. 県内には、国立公園( 2箇所)、国定公園( 2箇所)、県立自然公園( 3箇所)があり、これら自然公園の総面積は49,061ha、県土の14%を占めている。
  2. 自然公園法、鳥取県立自然公園条例において、優れた自然の風景地を保護するため、一定の行為を制限する規制が設けられている。
  3. 一方、一般の公園利用者は、自然公園内における規制の存在を知らないことが多く、悪意はなくとも結果的に違法な動植物採取が行われる場合がある。
  4. エコツーリズムの推進に当たり、自然保護に配慮する必要がある。

2 事業内容

  1. 許認可事務に係る調整、エコツーリズム推進の手引作成等
  2. 自然公園利用に係る規制及びマナーの普及啓発パンフレット作成

 平成20年度の実績


 自然公園内の行為等に係る許認可等を行い、自然保護行政の推進に努めた。



●担当:生活環境部 公園自然課 自然公園担当 電話0857-26-7209


参考URL
  鳥取県公園自然課のwebサイトより
  「公園自然課」
  https://www.pref.tottori.lg.jp/dd.aspx?menuid=45312


自然保護監視事業

1 現状・課題

  1. 自然公園(国立、国定、県立)の巡視、鳥獣保護や狩猟取締の補助、自然保護思想の普及啓発などを行うため、平成18年度に自然保護監視員(非常勤職員)を 5名採用し、各総合事務所へ配置。
  2. 従前の監視員(自然公園監視員 : 18名、鳥獣保護員 : 28名)は、自然保護監視員の任用により制度廃止。
  3. 専門知識を有する職員による高密度な監視体制に移行したが、この制度を補完し、監視体制を充実させるため、ボランティアの体制づくり、関係機関との連携強化が必要。

2 事業内容

  1. 自然保護監視員の継続任用
  2. 自然保護ボランティアの組織化、資質向上
  3. 市町村、警察、関係機関との連携による監視体制の強化

 平成20年度の実績


 ・ 自然保護行政の適正かつ効率的な実施のため、自然保護監視員と自然保護ボランティアの連携により、監視指導体制の充実を図った。
( 自然保護ボランティア登録者数 90名(平成20年度末現在))


●担当:生活環境部 公園自然課 自然公園担当 電話0857-26-7209


参考URL
  鳥取県公園自然課のwebサイトより
  「公園自然課」
  https://www.pref.tottori.lg.jp/dd.aspx?menuid=45312


オオタカの森保全事業

1 事業の目的・効果

 鳥取県立大山オオタカの森の保全に関する条例に基づき、県民との協働により豊かな自然環境を貴重な財産として将来に継承することを目的として、自然観察会等を開催するとともに、森林整備を実施してオオタカの営巣に適する環境を作る。


2 事業内容

  1. 自然観察会

    (1) ゴルフ場計画用地であったが、オオタカの営巣が認められたことから計画が中止され、県有地として取得するまでの経緯を紹介
    (2) 動植物保護思想、自然環境保全の大切さを啓発
  2. 営巣環境整備事業

    (1) マツクイムシ被害拡大防止のため森内の被害木を徹底駆除
    (2) 営巣に適したアカマツの大径木を育成するための立木密度調整
    (3) 飛翔空間確保のためにマツの樹冠下の亜高木(広葉樹)を伐採
    (4) オオタカの狩り場確保のためのパッチ(広場)作り

 平成20年度の実績


大山オオタカの森協議会を実施した。(平成20年12月15日)
大山オオタカの森営巣環境整備事業(不用木の伐倒 25.86ha、松食い虫駆除 10.92m³ )を実施した。(平成20年12月25日~平成21年2月27日)
冬の自然観察会を実施した。(平成21年2月8日 参加者17名)

自然観察会の様子
自然観察会の様子(平成21年2月8日)


●担当:西部総合事務所 生活環境局 生活安全課 動物・自然公園係 電話0859-31-9320


参考URL
  西部総合事務所のwebサイトより
  「生活環境局」
  http://www.pref.tottori.lg.jp/dd.aspx?menuid=6128

参考冊子
  「オオタカの森の保護管理方針提言書」(平成16年3月)


イノシシ保護管理計画推進事業

1 現状・課題

  1. イノシシ、カラスなど野生鳥獣による農林作物被害を減少させるためには、被害防止対策を行うとともに有害鳥獣の捕獲が必要
  2. 一方、野生鳥獣を捕獲することができる狩猟者数は昭和55年の約半数、60歳以上が約50%と高齢化が著しく捕獲の担い手が不足

2 事業内容

  1. 捕獲者養成(狩猟者養成講習会、鳥獣捕獲安全指導講習会)
  2. イノシシ保護管理計画の検証のための生息状況等調査及び検討会の開催等

 平成20年度の実績


○イノシシ生息状況調査やイノシシ管理検討会(平成21年3月13日開催)を実施した。



●担当:生活環境部 公園自然課 自然環境保全担当 電話0857-26-7872


参考URL
  鳥取県公園自然課のwebサイトより
  「公園自然課」
  https://www.pref.tottori.lg.jp/dd.aspx?menuid=45312


ツキノワグマ対策事業

1 現状・課題

  1. 県東部中心に生息する中国地域のツキノワグマの生息数は、氷ノ山山系を中心に 200頭前後と推定され、「絶滅のおそれのある地域個体群」に指定されている。
  2. このため、鳥獣保護法に基づく特定鳥獣保護管理計画を策定しツキノワグマの保護を図ることとしている。
  3. 一方、クマに対する心理的な恐怖感と農作物への被害などから、保護に対する地域住民の理解が得られにくい状態がある。
  4. ツキノワグマの保護対策に当たっては、人身被害対策を最優先に配慮することとしているが、最終的には人とツキノワグマが共生できる地域社会を実現していく必要がある。

2 事業内容

  1. 遭遇回避総合対策事業補助金
    (1)人遭遇回避対策(注意喚起広報、学習会の開催、クマよけ鈴配布)
    (2)生活環境の整備(電気柵の設置、緩衝帯のモデル設置)
    (3)クマへの対策(追い払い体制整備、学習放獣前提捕獲)
  2. 保護管理計画推進事業
    (1)シンポジウムの開催
    (2)学習放獣の実施、学習放獣効果調査の実施
    (3)被害防止対策専門員の配置による被害対策の充実

 平成20年度の実績


○ツキノワグマ生息状況調査やツキノワグマ保護管理検討会(H21.3.13開催)を実施した。
○ツキノワグマシンポジウム(若桜町、平成21年6月14日)の開催。



○捕獲個体の学習放獣を実施した。( 17頭)
○ツキノワグマ追跡調査員(非常勤職員)を配置し、放獣個体を監視。



●担当:生活環境部 公園自然課 自然環境保全担当 電話0857-26-7872


参考URL
  鳥取県公園自然課のwebサイトより
  「公園自然課」
  https://www.pref.tottori.lg.jp/dd.aspx?menuid=45312


ニホンジカ生息実態調査事業

1 事業の目的・効果

 保護管理計画策定の事前調査として、県内におけるニホンジカの生息実態調査を行う。
 【保護管理計画の効果】

  1. 農林業被害の早急な軽減
  2. 生息域拡大の抑制
  3. 頭数を管理しつつシカ個体群の安定的維持

2 事業内容

 ニホンジカの生息範囲拡大による農林業被害増加に対応するため、科学的で計画的な保護管理が行えるよう、保護管理計画策定に向けた事前調査に着手する。


 平成20年度の実績


○ニホンジカ生息実態調査を専門機関に委託して実施した。



●担当:生活環境部 公園自然課 自然環境保全担当 電話0857-26-7872


参考URL
  鳥取県公園自然課のwebサイトより
  「公園自然課」
  https://www.pref.tottori.lg.jp/dd.aspx?menuid=45312


野生動物ふれあい推進事業

1 事業概要

 愛鳥週間ポスター・巣箱コンクールの開催、愛鳥モデル校の育成支援、傷病鳥獣の救護、野生鳥獣保護の普及啓発等を行う。


2 事業内容

  1. 愛鳥ポスター、巣箱コンクール、愛鳥モデル校の支援
  2. 傷病鳥獣の救護対策(傷病鳥獣の自然界への復帰を目指した治療等)
  3. 鳥獣生息調査(鳥獣保護区等の鳥獣生息状況、渡り鳥の渡来状況、オシドリの営巣状況等の調査)
  4. キジ放鳥(400羽)

 平成20年度の実績


愛鳥週間ポスターコンクールの実施(応募243名(小学校153名、中学校47名、高等学校43名)、うち 2点は、平成20年度愛鳥週間用ポスター原画コンクール((財)日本鳥類保護連盟主催)に入賞
巣箱コンクールの実施(応募303名(小学校123名、中学校180名))
愛鳥モデル校(小学校16校、中学校 3校)へ愛鳥活動経費に対する支援を行った。
傷病鳥獣(223頭・羽)の救護対策を行った。


●担当:生活環境部 公園自然課 自然環境保全担当 電話0857-26-7872


参考URL
  鳥取県公園自然課のwebサイトより
  「公園自然課」
  https://www.pref.tottori.lg.jp/dd.aspx?menuid=45312


鳥獣被害総合対策事業

1 事業の目的

 野生鳥獣による農作物等への被害を減少させるため、1.侵入を防ぐ対策、2.個体数を減らす対策、3.周辺環境を改善する対策を総合的に支援する。


2 背景、現状、及び課題

  1. イノシシ、ヌートリア、カラスなどの野生鳥獣による農作物等のH18年度被害額は、年間1億2千万円で、前年度より40%減少した。
  2. ヌートリア、アライグマ(外来生物)の生息域が拡大しつつあり、被害が増加傾向にある。これら外来生物については、生態系等への影響もあり、根絶を目指した対策が必要とされている。
  3. シカの個体数及び生息域が拡大しつつあり、被害も漸増傾向にある。
  4. 耕作放棄地の増加、里山の管理されていない竹林や人工林が増加しているため、獣類が農地に接近し易い環境にある。
  5. 有害鳥獣の担い手となっている狩猟者が、減少・高齢化しつつある。
  6. 「人と野生動物の棲み分けによる共存」を目指した対策が必要であり、各地域に対策技術を指導、実行できる人材の育成が重要である。

3 事業の内容

  1. 侵入を防ぐ対策
     侵入防止柵・侵入防止装置等の設置を支援。
  2. 個体数を減らす対策
     有害鳥獣の捕獲、捕獲用具・施設の設置、捕獲奨励金の交付、捕獲班員の育成等を支援。
  3. 周辺環境を改善する対策
     農地と山林の間に、有害獣が接近しにくい緩衝帯の設置を支援。

 平成20年度の実績


集団的・計画的な侵入防止柵の設置、有害捕獲等による個体数調整などの支援により、被害防止効果が徐々にあがりつつある。
反面、シカ、ヌートリア、アライグマ等の個体数、生息域の拡大に伴う被害増加、新規被害発生地域や対策遅延地域における被害対策の推進が課題となっている。

1 農林産物被害額

(年度)
(被害額)
(対前年比)
H19年
95百万円
H20年
129百万円
135%

2 鳥獣被害総合対策事業 (補助金:45,908千円)

  (1) 侵入を防ぐ対策
侵入防止柵、侵入防止装置等の設置を支援
  (2) 個体数を減らす対策
有害鳥獣の捕獲、捕獲用具、施設の設置、捕獲奨励金の交付、捕獲班員の育成等を支援
  (3) 周辺環境を改善する対策
農地と山林の間への緩衝帯(獣類が接近しにくい明るい環境)の設置を支援


●担当: 農林水産部 生産振興課 鳥獣被害対策担当 電話0857-26-7295


参考URL
  鳥取県生産振興課のwebサイトより
  「農作物の鳥獣被害対策に関すること」
  http://www.pref.tottori.lg.jp/dd.aspx?menuid=35035


鳥獣保護及び適正狩猟推進事業

1 事業概要

 鳥獣保護区や特定猟具使用禁止区域(銃)等の指定により野生鳥獣の保護繁殖を図るとともに、適正な狩猟を推進する。


2 事業内容

  1. 鳥獣保護区、特定猟具使用禁止区域(銃)等の指定及び管理
  2. 狩猟取締等の実施

 平成20年度の実績


第10次鳥獣保護計画にのっとり、狩猟登録事務、規制区域の管理など野生鳥獣の保護、狩猟の適正化に関する事業を実施した。



●担当:生活環境部 公園自然課 自然環境保全担当 電話0857-26-7872


参考URL
  鳥取県公園自然課のwebサイトより
  「公園自然課」
  https://www.pref.tottori.lg.jp/dd.aspx?menuid=45312


希少野生動植物保護対策事業

1 事業概要

 鳥取県希少野生動植物の保護に関する条例に基づき、希少野生動植物の保護管理及び自然生態系の保全・再生を、県民との協働により実施する。


2 事業内容

 県保護管理事業計画に基づく保護管理事業の委託・助成


 平成20年度の実績


特定希少野生動植物(保護型・植物26種)のモニタリング(生育・繁殖状況)調査を鳥取県生物学会に委託して実施した。
鳥取県希少野生動植物保護管理事業補助金( 6団体)を交付し、保護管理事業を実施した。


●担当:生活環境部 公園自然課 自然環境保全担当 電話0857-26-7872


参考URL
  鳥取県公園自然課のwebサイトより
  「公園自然課」
  https://www.pref.tottori.lg.jp/dd.aspx?menuid=45312


外来種防除事業

1 現状・課題

  1. 外来種による在来種の捕食、農林水産業・人の生命・身体への影響の懸念
  2. 全国規模で外来種問題が拡大、平成17年6月1日外来生物法の施行
  3. 鳥取県内で特定外来生物 5種の生息確認(ブラックバス、ブルーギル、ヌートリア、アライグマ)
  4. 事態放置による被害拡大の懸念

    以上より、早期防除・駆除方法の確立・実施が必要

2 事業内容

  1. 外来種検討委員会の開催(外来種の防除方法等についての検討)
  2. 市町村の防除実施計画作成によるヌートリア、アライグマ駆除対策への支援
  3. 自然保護ボランティア制度を活用した゛ため池゛の外来魚駆除

 平成20年度の実績


市町村防除実施計画に係る捕獲従事者養成のための講習会において、法令講習を実施した。
農業用ため池で、池干しによる外来魚の駆除を試験的に実施した。(平成20年11月2日)

 
 


●担当:生活環境部 公園自然課 自然環境保全担当 電話0857-26-7872


参考URL
  鳥取県公園自然課のwebサイトより
  「公園自然課」
  https://www.pref.tottori.lg.jp/dd.aspx?menuid=45312


簡易魚道整備実験事業

1 事業の背景・現状・目的

 工作物設置者は、さく河魚類のさく上を妨げないよう管理しなければならないが、調査した179の 3河川(千代川、天神川、日野川)の堰堤の内、52の堰堤では魚が遡上困難である。また、タウンミーティングにおいても県民から川の魚の減少対策の要望があった。 このため、モデル事業として、比較的安価な魚道を設置し、その効果を明らかにして波及を図る。


2 事業内容

  1. 千代川の永野堰及び天神川の郡山堰に比較的安価な新発想の魚道を設置する。
  2. 設置した魚道の機能状況の調査

 平成20年度の実績


【簡易魚道の整備】

1 簡易魚道の設置
千代川:永野堰
天神川:郡山堰
日野川:車尾堰(国整備)
2 簡易魚道の設置効果
  (1) 堰堤を遡上したアユは、殆どが今回整備した簡易魚道から遡上していると考えられた。
  (2) 5月中・下旬には堰堤下流部にアユの大きな群れの滞留が見られず、簡易魚道の設置によりアユの遡上阻害は軽減されたものと考えられた。
  (3) アユの密度が異なるため、厳密な比較は出来ないが、今回整備された簡易魚道の中では、日野川の車尾堰に設置されたものが最もアユの遡上に効果的な構造と考えられた。


●担当:農林水産部 水産振興局 水産課 漁業振興担当 電話0857-26-7316


参考URL
  鳥取県水産課のwebサイトより
  「水産課」
  http://www.pref.tottori.lg.jp/dd.aspx?menuid=44462

  

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