平成20年度 総会・講演会(H20.5.21)


環境保護に関する課題について
   能勢学長
鳥取大学学長(大山・日野川・中海学協会会長) 能勢 隆之 氏
  
水確保は地球規模の課題
 ナイル川や黄河では、水の確保は内紛や戦争の原因になるほど深刻な問題です。日本でも、農業用水や産業用水について争いごとが起こることがありました。
 また、文化や産業は川に沿って発展しきました。地域活性化にも同じことが言えます。水・川の保全は、人の生活全てに関係する話なのです。
 
環境保護の動向
 典型的な7公害として、大気汚染、水質汚染、土壌汚染、騒音、振動、地盤沈下、悪臭があげられます。中でも水質汚染は、水俣病やイタイイタイ病の原因になりました。
 また、今日の地球的規模の環境破壊として、温暖化、酸性雨、オゾン層破壊、砂漠化、化学物質(環境ホルモンなど)があります。
 企業が公害対策を行うには費用がかかり、価格転嫁へつながりますが、消費者にはなかなか受け入れにくい、という問題があります。
 
開発と保護のバランス
 川や湖が汚染されると、そこに棲む動植物に有害物質が溜まり、それを食べる人間にも被害が及びます。
 悪いことに、カドミウムや鉛など、有害な物質ほど体に溜まりやすく、排出されにくい傾向があります。
 環境保護は大切ですが、開発による地域活性化も必要です。地域活性化と環境保護のバランスを取ることが重要であり、この点は「源流を守る会」でも議論をしてほしいと思います。
 
環境汚染の予防
 川の汚染の最大の原因は生活排水です。例えば、米子港の汚染の最大の原因は、米子の市街地から流入する排水です。水質保全のためには下水道の普及が必要ですが「捨てる水のためにお金を払う」という考え方を理解してもらうのは難しいことです。
 また、川や海を守るには、上流できれいな水を生み出している森林を守ることが必要です。そのためには間伐作業を継続して行なわなければなりません。
 
おわりに
 最も重要な課題は、個人一人ひとりの環境保護への理解を深めることと、意識を改めていくことです。つまり、環境問題は自分自身の問題なのです。

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