田中浩之前園長に代わり、令和2年4月1日より喜多原学園に赴任しました大鶴 憲司と申します。
米子市内から大山に向かって車を走らせると、田園地帯を抜け、なだらかな坂道を上がっていきます。丘の上にあるのが喜多原学園です。
大きな木がグランドを囲むように立ち、海からの風を受けてさわさわと音を立てて葉が揺れています。小鳥のさえずりが歌うように風を運んできます。遠く見える市街地の向こうに青い海と島根半島。振り返ると大山が山肌をむき出しにして、でんとそびえています。赴任した春の田んぼには、レンゲソウが咲き、かつて水害に苦しんだという日野川の土手には桜が咲く、なんと穏やかな土地柄だろうかと思います。
今年度のスタートは新型コロナウイルスの蔓延防止が大きな課題でした。日本中、いや世界中の社会機能が止まってしまいました。「元の日常に戻るだろうか」と、価値観が大きく変わる不安があります。
5月の連休は帰省ができませんでした。帰省だけでなく外出する行事はすべて中止しました。子どもたちは、寮で過ごす日が続きました。
「家庭であり、学校である」。児童自立支援施設の前身である教護院、感化院は、厳しい社会情勢の中でも、子どもたちには温かい家庭のぬくもりと雰囲気を与えることを何よりも大切にしました。穏やかな日常の大切さ、そしてその日常を継続することの困難を支援指導してきました。
「自立し、社会と調和して生活する」。喜多原学園の理念です。
どんな状況であっても、あたりまえの日常を、笑顔で紡ぎ、大切な時間を共有していきたいと思います。
今後とも、これまでと変わらぬご指導ご鞭撻のほどをどうかよろしくお願いいたします。
令和2年4月1日 喜多原学園長 大鶴 憲司