救命救急センターを擁し、鳥取県東部地域における高度急性期医療を担う当院の性格上、緊急性を要する重症疾患を最優先に診療しております。そのため脳卒中、脳血管障害(くも膜下出血、脳出血、脳梗塞など)、重症頭部外傷、悪性脳腫瘍、水頭症などが中心となります。
極めて限られた医療資源(特にマンパワー)を最大限有効に活用するため、緊急性を要さない軽症疾患は他施設に診療をお願いせざるを得ない状況であり、当科医療スタッフは、救急車、ヘリ搬入患者、紹介患者、入院患者対応、侵襲的検査、手術等を優先せねばなりません。以上より平成25年4月より、紹介状をお持ちでない初診患者さんには、他施設への受診をお勧めしています。適切な地域医療を今後も継続的に行っていくために必要なことですので、ご理解のほど、宜しくお願い致します。
当科での特徴的な治療としては、術中蛍光脳血管造影(平成21年より県内で初めて導入)を併用した脳動脈瘤(くも膜下出血)手術、脳卒中の外科学会技術指導医によるもやもや病、内頚動脈閉塞症等に対する脳血行再建術(EC-ICバイパス術、直接間接併用バイパス、急性期バイパス)、脳血管内治療指導医(鳥取大学医師)による脳血管内手術、神経内視鏡学会技術認定医による神経内視鏡(OLYMPUS Endoarm, Videoscope, KARL STORZ Oi Handi Pro: 平成21年より導入)を用いた水頭症手術、低侵襲脳内血腫除去術、脳腫瘍摘出術、ニューロナビゲーション(BRAIN LAB Kolibri:平成23年より導入)を併用した脳腫瘍摘出術、重症頭部外傷に対する脳温脳圧モニタリング、低体温療法、高圧酸素療法などがあります。
特に脳卒中診療において、より迅速な診断、治療を開始するため、平成25年4月よりシンクライアントシステムによる院内電子カルテ閲覧システムが導入され、さらなる治療成績向上に努めてまいります。
また、平成25年2月より当院に導入された最新式(現時点で世界最高性能)の320列面検出器CT装置 (TOSHIBA Aquilion One)を用い、従来の3D-CTA(三次元CT脳血管造影)の情報に時間軸の情報を加えた4D-CTA(四次元CT脳血管造影)や、脳血流評価が可能なPerfusion CT(CT灌流画像)が容易となり、未破裂脳動脈瘤、脳卒中急性期診断、脳腫瘍のより詳細な評価が可能となりました。平成25年12月より最新式の3テスラMRI装置も稼動し、MRI2台体制となり、今後さらに高度な急性期医療ならびに低侵襲手術を進めてまいります。