鳥取県営水力発電所再整備・運営等事業の特定事業の選定及び客観的評価結果の公表

 鳥取県は、鳥取県営水力発電所再整備・運営等事業を民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律(平成11年法律第117号)第7条の規定に基づき、特定事業に選定したので、同法第11条に規定する客観的な評価の結果とともに公表します。

 平成31年3月27日

鳥取県知事 平井 伸治    

  

鳥取県営水力発電所再整備・運営等事業の特定事業の選定について

1 事業概要

(1)事業の名称
   鳥取県営水力発電所再整備・運営等事業
(2)事業に供される公共施設等の名称及び種類
 1)名称
   小鹿第一発電所、小鹿第二発電所、日野川第一発電所及び舂米発電所
 2)種類
   水力発電所
(3)公共施設等の管理者
   鳥取県知事 平井伸治
(4)事業の内容

 鳥取県(以下「県」という。)は、民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律(平成11年法律第117号。以下「PFI法」という。)及び平成31年1月29日に公表した鳥取県営水力発電所再整備・運営等事業実施方針に基づき、本事業を実施する民間事業者として選定された者(以下「事業者」という。)に対し、PFI法第2条第7項に規定する公共施設等運営権を設定するとともに、以下のとおり本事業を実施する。

  1)対象施設

 本事業の対象となる施設は、次の運営権設定対象施設及び運営権設定対象施設以外の関連施設等(これらを総称して以下「事業対象施設という。)とする。

   ア 運営権設定対象施設
   (ア)小鹿第一発電所

 中津ダム、取水設備(中津ダムを含め、合計5箇所)、幹線導水路(圧力隧道、水管橋)等、各取水支線、サージタンク、水圧管路、発電所基礎・建屋、クレーン、水車・発電機、変電設備等その他電気関係設備、放水路

   (イ)解体新設対象施設

 中津ダム取水設備上部の既設管理棟(撤去対象)、既設の中津ダム放流警報装置(撤去対象)、中津ダム取水設備上部のゲート建屋(新設対象)

   (ウ)小鹿第二発電所

 三朝調整池、取水設備(三朝調整池を含め、合計5箇所)、幹線導水路(圧力隧道、無圧隧道)等、サージタンク、水圧管路、発電所基礎・建屋、クレーン、水車・発電機、変電設備等その他電気関係設備、放水路

   (エ)日野川第一発電所

 取水設備(菅沢ダムを含め3箇所)、導水路(無圧隧道、圧力隧道)、各取水支線、サージタンク、水圧管路、発電所基礎・建屋、クレーン、水車・発電機、変電設備等その他電気関係設備、放水路

   (オ)舂米発電所

 茗荷谷ダム、取水設備(茗荷谷ダムを含め、合計10箇所)、幹線導水路(圧力隧道)、縦坑等、各取水支線、サージタンク、水圧管路、発電所基礎・建屋、クレーン、水車・発電機、変電設備等その他電気関係設備、放水路

   イ 運営権設定対象施設以外の関連施設等

 運営権設定対象施設を運営維持するための管理事務所及び運営権設定対象施設の運営維持に必要な監視制御システム

  2)事業範囲
    本事業は、義務事業及び任意事業により構成する。
   ア 義務事業
   (ア)再整備業務

 事業者は、小鹿第一発電所、解体新設対象施設、小鹿第二発電所及び日野川第一発電所(以下「再整備業務対象施設」という。)について、電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法(平成23年法律第108号。以下「再エネ特措法」という。)第3条第1項に規定する調達価格が、同法施行規則(平成24年6月18日経済産業省令第46号)第3条第13号又は第15号に規定する発電設備の区分等(以下「新設区分」という。)に適合するための再整備を行わなければならないものとする。
 なお、事業者は、再エネ特措法第9条に規定する再生可能エネルギー発電事業計画の認定に係る手続を含め、再整備業務対象施設の整備に必要な調査・設計、更新工事等の一切の業務(以下「再整備業務」という。)を、事業者の責任で実施し、その費用は県が負担するものとする。  ただし、再整備業務に要する費用(ただし、解体新設対象施設の解体新設工事に要する費用を除く。)については、本事業における公共施設等運営権に対する対価(以下「営権対価」という。)の一括金の一部と相殺するものとし、解体新設対象施設の解体新設工事に要する費用については、小鹿第一発電所に係る運営権対価の分割金の一部と相殺するものとする。また、関連施設の費用は事業者が負担するものとする。

   (イ)運営維持業務
      事業者は、運営権設定対象施設の運営維持業務として、以下の業務を実施しなければならないものとする。
     ア)運営業務
       運転管理業務、監視業務、記録・報告業務、その他
    イ)維持管理業務

 巡視・点検業務、設備の改良・保全、事故・緊急時対応、異常気象・災害時等の対応、渇水時の対応、安全管理、ダムに関する業務、その他

   (ウ)統括マネジメント業務

 事業者は、統括マネジメント業務として、本事業のプロジェクトマネジメント業務及び経営管理業務を実施しなければならないものとする。

   イ 任意事業

 事業者若しくは事業者の議決権付株式を保有する企業(以下「コンソーシアム構成員」という。)又はコンソーシアム構成員が事業者とは別途設立する特別目的会社は、義務事業の円滑な実施及び運営権設定対象施設の機能を阻害せず、かつ、義務事業に関連する範囲内で任意の事業(以下「任意事業」という。)を自らの責任及び費用負担で行うことができるものとする。なお、任意事業は、公序良俗に反するものであってはならないものとする。

  3)事業方式

 事業者は、再整備業務対象施設の再整備業務を実施するとともに、運営権設定対象施設の運営維持業務をPFI法第2条第6項に規定する公共施設等運営事業として事業者の独立採算により、包括的に実施するものとする。なお、再整備業務対象施設については、事業者は、再整備業務を実施の後、当該再整備業務対象施設の所有権を県に移転した上で、運営維持業務を実施するものとする。

  4)事業期間
   ア 本事業の事業期間

 本事業は、2020年7月15日から運営権設定対象施設の運営権の存続期間の終期(運営権の存続期間の終期が発電所ごとで異なる場合は、そのうち最も遅い日という。)までを事業期間とする。

  再整備業務の期間

運営維持業務開始の日

(運営権効力発生日)

運営維持業務完了の日

(運営権の存続期間の終期)

再整備業務

対象施設

小鹿第一発電所

2020年7月15日から応募

者が提案した日まで
再整備業務完了の翌日

新設区分の調達価格による

調達期間満了日まで

小鹿第二発電所
日野川第一発電所
解体新設対象施設

小鹿第一発電所の再整備

業務完了の翌日以降で応

募者が提案した期間

解体新設対象施設の解体

新設工事が完了した翌日

小鹿第一発電所の運営維持

業務完了の日まで

舂米発電所 2020年7月15日

新設区分の調達価格による

調達期間満了日まで


   イ 事業期間の延長

 事業者は、県に対して舂米発電所に係る運営権の存続期間の終期の2年前の応当日までに全ての運営権設定対象施設の運営権の存続期間の延長を申し出た場合において、期間が延長された場合に支払われるべき公共施設等の運営権の対価等の条件について県との間で合意がなされたとき、2055年3月31日まで事業期間を延長することができるものとする(以下、当該事業期間の延長を「オプション延長」という。)。
 また、オプション延長がなされた場合において、事業者がオプション延長の終了日の2年前の応当日までに運営権存続期間の延長を申し出た場合において、期間が延長された場合に支払われるべき運営権の対価等の条件について県との間で合意がなされた場合は、更に15年間を事業期間として延長することができるものとする。

   ウ 運営権の存続期間
   (ア)再整備業務対象施設

 再整備業務対象施設に係る運営権は、再整備業務完了の日の翌日において、効力を生じ、新設区分の調達価格による調達期間満了日までをその存続期間とする。ただし、解体新設対象施設については、解体新設工事が完了し、当該施設の供用が開始されたのちに、既存の運営権の効果が及ぶものとする。

   (イ)舂米発電所

 舂米発電所に係る運営権は、2020年7月15日にその効力を生じ、新設区分の調達価格による調達期間満了日までをその存続期間とする。

  5) 本事業における利用料金等及び費用負担
   ア 本事業における利用料金等

 事業者は、利用料金収入として、運営権設定対象施設に係る、再エネ特措法第2条第5項に規定する特定契約により得られる電気供給に対する対価(事業者が、電気事業法(昭和39年法律第170号)第2条第1項第3号に規定する小売電気事業者との間で再生可能エネルギーの固定価格買取制度(以下「FIT制度」という。)の新設区分の単価に上乗せした単価で供給する契約を締結した場合は、その上乗せ分を含む対価)を自らの収入とすることができるものとする。

   イ 本事業における費用負担

 事業者は、特定事業契約に特段の定めがある場合を除き、本事業の実施に要する費用を負担しなければならないものとする。ただし、関連施設を除き、再整備業務の実施に要する費用は県がその支払債務を負担の上、運営権対価の一括金又は分割金の一部と相殺する。


2 PFI事業として実施することによる定性的評価

 本事業について、公共施設等運営権を設定しPFI事業として実施することにより、以下の定性的な効果が期待できる。
(1)FIT制度の円滑な適用及び再生可能エネルギーの長期安定供給

 民間事業者の経営資源を前面に用いることにより、老朽化した3発電所をまとめて現在のFIT制度を活用して再整備することが可能と見込まれ、再生可能エネルギーの長期安定供給が期待できる。

(2)県営企業経営の効率化

 PFI事業とすることで、収入変動リスク、一定の自然災害リスク、工期遅延リスク等を県と民間事業者で適切に分担することができ、加えて、民間事業者の創意工夫を活用することで、県として長期安定的な収益確保が期待できる。


3 PFI事業として実施することによる定量的評価

(1)定量的評価に当たっての前提条件

 本事業において、従来通り県が実施する場合の県の収支見込額と、PFI事業として実施する場合の県の収支見込額との比較を行うにあたり、その前提条件を以下のとおり設定した。
 なお、これらの前提条件は、県が独自に設定したものであり、実際の提案内容を拘束するものではない。

 

県が実施する場合 事業者が実施する場合

算定対象とする

収入の主な内訳

電気供給による対価 電気供給による対価

算定対象とする

支出の主な内訳

1)運営権設定対象施設の運営維持に係る費用
 ・維持管理費
 ・運営費
 ・その他営業費
2)再整備業務に係る費用
 ・調査及び設計費
 ・更新工事費

1)運営権設定対象施設の運営維持に係る費用
 ・維持管理費
 ・運営費
 ・その他営業費
 ・関連施設等整備費
2)再整備業務に係る費用
 ・調査及び設計費
 ・更新工事費

資金調達に関す

る事項

企業債 投融資
共通条件

○事業期間  2020年7月15日から2044年3月末まで

      (再整備業務実施期間を3施設ともに4年と仮定したもの)

○物価上昇率 0.0%


(2)定量的評価の方法及び評価の結果

 上記前提条件に基づき、これまでどおり県が実施する場合の県の収支見込額と、PFI事業として実施する場合の県の収支見込額を算出し、比較した。
 この結果、PFI事業として実施する場合の県の収支見込額は、これまでどおり県が実施する場合の収支見込額を26億円程度上回るものと見込まれる。


4 PFI事業として実施することの総合的評価

 本事業をPFI事業として民間事業者を活用することで、FIT制度の円滑な適用及び再生可能エネルギーの長期安定供給並びに県営企業経営の効率化が期待でき、また定量的な効果も十分に期待できる。
 以上のとおり、PFI事業として実施することが適当であると認められるため、PFI法第7条に基づき本事業を特定事業として選定する。
  

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