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肝臓がん

  
 人間ドック・検診などで、肝炎ウイルス陽性や肝機能異常を指摘されて、医療機関を受診される方が増えています。身体の異常はないのに、なぜ受診が必要なのでしょうか。それは、慢性ウイルス性肝炎は、肝硬変・肝細胞がんへ高率に進行するので、無症状の時期から治療が必要なためです。また、最近では、肝炎ウイルスが陰性でも肝細胞がんが発生することが問題となっています。特に糖尿病の治療中のかたで肝細胞がんを発症するかたがあり、定期的な肝臓機能検査などをおすすめしています。
 慢性ウイルス性肝炎治療はB型とC型で方針に違いがあります。慢性B型肝炎はウイルスの排除が難しいため、炎症を抑え、肝硬変・肝細胞がんへの進展を遅らせることを目標とします。慢性C型肝炎では、まず、ウイルス排除を試みますが、排除できなかった場合には、炎症を抑える治療を行います。たとえウイルスが排除できなくても、炎症を抑えれば、肝細胞がんの発生率が低下することが明らかとなっており、治療をあきらめないことが大事です。
 肝細胞がんの治療は、経皮的治療、肝動脈塞栓術、肝切除術などが主なものです。経皮的治療は、一般に経皮的ラジオ波焼灼術(RFA)、経皮的エタノール局注療法(PEIT)の2種類の方法があります。皮膚の上から超音波で見ながら腫瘍の中に針を刺し、ラジオ波を流す電極針で腫瘍細胞を熱凝固壊死させる治療が前者、エタノール(アルコール)を注入し腫瘍細胞を壊死させるのが後者です。がんの状態や肝臓の機能を評価し、肝がん診療ガイドラインに沿った治療方法を選択しています。また、経皮的治療は血管塞栓術と組み合わせて治療することも多々あります。
 最近では肝移植も治療法のひとつにあげられており、症例によっては健康保険で受けられます。
  

ラジオ波焼灼術有効例

治療前

治療前の断層画像

治療後

治療後の断層画像

  • 肝右葉に13mm大の肝細胞がん (左葉にも10mm大の肝細胞がん)
  • 腫瘍は3cm以下、3個以内であり、ラジオ波焼灼術を選択
  • 治療後のCTで、がんの部位は完全壊死となっている

肝動脈塞栓術、肝動注化学療法

図1 肝臓にできたがんを治療する方法の一つに動脈塞栓術があります。これは、がんに血液を送っている血管内に塞栓物質といわれるゼリー状の薬を注入して栄養の供給を絶ち、がん細胞を死滅させる方法です。通常は、その効果を高めるために抗がん剤を併せて注入します。動脈塞栓術を行うためには、薬を肝臓まで運ぶ細いプラスチックのチューブ(カテーテル)が必要です。カテーテルは、足の付け根の動脈に細い針を刺し、その穴を通して血管内に挿入します。針を刺す前には局所麻酔を行いますのでカテーテル挿入の痛みは注射程度の軽いものです。動脈は全身どこにでもつながっているためカテーテルは容易に肝臓の中まで入ってゆくことができます(図1)。
図2  がんの個数が限られている場合は、カテーテルの中にさらにさらに細いカテーテル(マイクロカテーテル)を挿入し、一つ一つを選択的に治療することも可能ですが(図2)、この治療法はむしろ肝臓内に多数のがん病巣がある場合にその真価を発揮します。仮に100個をこえる病巣があったとしても、肝機能に余力があれば一度にすべての病巣を治療対象とすることもできます。しかし、手術やラジオ波焼しゃく療法(RFA)などの局所治療に比べると一回あたりの治療効果が劣るため、多くの場合は数週~数ヶ月の間隔をあけて繰り返し行う必要があります。
 がんが肝内の血管や胆管内に広汎に進展してしまっている場合は、塞栓術のかわりに抗がん剤の注入(動注)のみ行う場合もあります。塞栓術よりもさらに1回あたりの効果が弱いため1~2ヶ月毎に何度も繰り返したり、カテーテルを体内に埋め込んだりして、繰り返し行う必要がありますが、抗がん剤が著効した場合は完治することもあり、当院では積極的に行っています。
 治療後はカテーテルを抜き、出血しないように足の付け根を圧迫します。従来はそのまま一晩ベッド上で安静にする必要がありましたが、カテーテルの改良により最近では術後3~4時間程度で歩行できるようになってきており、術後の苦痛軽減に一役買っています。肝動脈塞栓術の副作用として一過性の腹痛や悪心、術後の発熱などがありますが、いずれも対症療法で対応可能です。抗がん剤を使用しても髪の毛が抜けたりするようなことはありません。
 さらに詳しくお知りになりたいかたは、日本IVR学会のホームページ(http://www.jsivr.jp/)の「肝臓がんに対する動脈塞栓術(TAE)とは?」を参照ください。

肝切除術

拡大肝右葉切除術の症例(画像)  比較的大きな腫瘍や、単発あるいは少数の腫瘍の場合には肝切除が選択されます。残された肝臓の機能が十分でないと手術後に肝不全になるため、手術の前にさまざまな肝機能の検査を行い、安全に肝切除が行われる基準を参考にしながら、適応や術式を決定します。
  

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