いただき

 鳥取県西部で愛される大きな油揚げの田舎飯「いただき」

いただき 大きな油揚げの中に生のお米・野菜を詰めて、だし汁でじっくり炊き上げた古くから伝わる郷土料理で、鳥取県西部・弓ヶ浜(ゆみがはま)半島を中心に親しまれています。
 大きないなりずしのような外観だが、調理法や味わいは全く違います。
 もともと郷土料理ですが、スーパーや居酒屋などで販売・メニュー化され、市民団体の働きかけにより販売・飲食店舗が拡がりつつあります。

 2011年には、郷土料理「いただき」の魅力を全国に広めようと「米子いただきがいな隊(リンク)」という市民団体も立ちあがり、販売店の拡大やイベント等への出展を通したPRなど精力的な活動をしています。

 鳥取県西部に位置する弓ヶ浜(ゆみがはま)半島。
 この地で、昔から親しまれてきた郷土料理「いただき」は、大きな油揚げの中に生米、生野菜を詰め、だし汁でじっくりと炊き上げた山陰の代表的な田舎めし。
 かつては、漁師や農家の人々がお弁当に持って行ったと言われています。
 大きなお口でガブリと頬ばれば、ジュワ~ッと広がる甘味と旨味に思わずみんなが笑顔になります。

ポイント1
 「いただき」名前の由来

 昔は、何か特別な行事があった時に各家庭で作られ近所に振る舞われたそうです。
 まだお米が貴重な時代には大変ご馳走とされ、近所の方の「もらう」ではなく「頂く」という感謝の気持ちがそのままこの「いただき」という名になったと言われています。
 由来は諸説色々あり、秀峰「大山(だいせん)」の頂上に形が似ているところから、こう呼ばれるようになったという説もあります。

ポイント2
 「いただき」のはじまり

 言い伝えによると、明治中期頃、境港市にあるお寺の住職が福井県のお寺と行き来があり、そこで精進料理として出された「油あげ」を大変気に入り、持ち帰って米や野菜を詰めて炊いたのが始まりだと言われています。

 
 おふくろの味、ふるさとの味

 当時はお米がとても貴重だった為、少量の米でお腹一杯になる様にとたくさんの具材を入れ工夫して作られたそうです。
 またその具材・味付け・作り方などは、各家庭によって少しずつ異なり、親から子へと受け継がれる「おふくろの味」として地域に定着していきました。

(参考文献)「米子いただきがいな隊」公式ホームページ(外部リンク)
  

「もったいな精神」の「いただき」

 「米子いただきがいな隊」会長の松原さんにお話をうかがうと、「もともと郷土料理なので、家庭によって違いますが、境港市は塩辛、米子市は甘辛の傾向があり、伯耆町、南部町など山手になると、具材も変わってきます」とのこと。
 鶏肉を入れたり、昭和30~40年代の境港市では赤貝入で、赤貝の煮汁で炊くバリエーションもあったそうです。

 境港の古い書物には「羅漢和え」というのが出ていて、調理方法はわからないが具材はいただきの中身と一緒とのこと。「なんにも捨てない」という精神から来ているそうです。
 赤貝の煮汁で炊くのも「もったいない精神」で、にんじん、ごぼうも料理の切れはしを無駄にしないように入れていたのではないか、と松原会長は推測します。
 今に通じる「エコ郷土料理」といえそうですね。