ばばちゃん鍋

 見た目からも伝わるばばあの身のぷりぷり感が食欲をそそる

ばばちゃん鍋 飛び出した頬骨、ぎょろっとした眼球、口内に並ぶギザギザの歯。その風貌から「ばばあ」の呼称で岩美町民に親しまれているのが、深海魚のタナカゲンゲだ。風貌と違って身は上品で淡白。特に鍋料理が「ばばちゃん鍋」として愛されている。
 ばばあの鍋、刺し身、天ぷらを含めた「ばばちゃんフルコース」を提供する同町浦富のかまや旅館。鍋は、上品な味を生かすため、野菜などの具材とともにカツオと昆布、みりんでとっただしで煮込むシンプルな味付け。身を入れる前に熱湯をくぐらせ冷水でしめることで、うま味を閉じ込める。
 ぷりぷりとした食感で、ふわっと広がる口当たりの身、ゼラチン質の皮のコリコリとした食感など、部位によって異なる食感が楽しめるほか、コラーゲンが豊富で美容にも良いと女性に好評。通受けする食材で、県内外からリピーターが訪れる。
 もともとは“下の下の魚”とされ市場に出ることはなく漁師が船上飯として食べていたが、17年前に当時の岩美町長の故吉田達男さんが着目し「付加価値を高め、岩美町から全国に発信しよう」と発案。テレビ番組で紹介されたほか、浦富観光協会女性部が調理法やレシピの紹介などを行って徐々に認知度を上げ、町の冬を代表する特産品の一つに定着した。
 当時、女性部員として普及活動を行っていた同旅館のおかみ、沢田喜美さん(80)は「県内外に発信し、振興に一役買えた」と振り返る。一方で近年は町内で料理を出す店が減っているといい、「この灯を絶やさず後世に残していきたい」と意欲を見せている。
  

レシピ

 【材料】(2人分)
 ・ばばあ…1匹
 ・白菜…4枚
 ・長ネギ…1本弱
 ・豆腐…半丁
 ・春菊…3分の1束
 ・えのき… パック
 ・しいたけ…2枚
 ・くずきり…適量

 〈だし〉
 ・水…1200cc
 ・かつお節…適量
 ・昆布…適量
 ・薄口しょうゆ…100cc
 ・みりん…100cc
 ・化学調味料…微量

 【作り方】
(1)ばばあのぬめりを金たわしでしっかりと落とし、内臓、頭を切り落とし、3枚におろす
(2)(1)を適当な大きさにぶつ切りにし、熱湯をくぐらせ冷水でしめる
(3)昆布、かつお節でだしをとり、しょうゆ、みりんを加える
(4)(3)にばばあを入れ、一煮立ちさせてから、適度な大きさに切った野菜を入れて煮る