あまり知られていないのですが(笑)、むきばんだ史跡公園では、全国で二番目に多い19棟の復元建物(竪穴住居・高床倉庫)をご覧いただけます。
これらの建物は、風雨にさらされたり経年劣化によって、どうしても屋根や骨組が痛むため、我々は日々維持管理を行っています。今回、屋根茅のダメージが特に激しかった竪穴住居を対象として、茅葺建物の修繕技術を学ぶ講習会を実施しました。
講師は、京都府南丹市からお招きした茅葺職人、中野 誠先生です。今回の講習会のために、県内外から茅葺に携わる職人たち15名が集まりました。
現地作業に先立ち、参加者全員で建物の状態を確認し、修繕方法を検討しました。屋根の一部が崩れ、建物内部が露出している箇所もあるほど痛んでいたため、協議の結果、茅葺を総取換するプランとなりました。
まずは、何層にも葺かれた屋根茅を取り外し、骨組みを露出させます。その後、少人数でも安全かつ効果的な葺き方を、中野先生にデモンストレーションしていただきました(写真1)。

写真1 中野先生を中心に葺き方を教わります
具体的には、細い丸太で即席の足場を下から組み、紐で茅束を括りながら棟に向かって葺いていきます。その際、隣り合う茅束の高さを整えるため、叩き締めながら並べていくことが大切と教わりました(写真2)。

写真2 一束ずつ丁寧に葺いていきます
作業途中で雨風が強くなったため、急遽スケジュールを変更しながらの現地作業となりましたが、参加者皆で協力し、二日間黙々と作業を進めたことで、約2/3の屋根を葺き変えることができました(写真3)。
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写真3 茅葺屋根葺替前後のコントラスト(が見られるのは今だけです!)
加えて、葺替作業に必須な紐の結び方も伝授していただき、今後の復元建物修理を効率的に進めるうえで、大変勉強になる講習会となりました。
弥生時代の建築へと繋がる「茅葺」という伝統技術を正しく継承していくため、また万全な状態の復元建物を皆さんにご覧いただく(全ての建物の中入れます!)ためにも、引き続きこのような講習会を通じて、むきばんだ史跡公園の整備・維持管理に努めていきます!