令和6年2月27日に「鳥取県立大山オオタカの森」が自然共生サイトに認定されました!
これを受けて令和6年3月21日に、環境省による認定証の授与式が鳥取県西部総合事務所で開催されました。

写真1.「鳥取県立大山オオタカの森」自然共生サイト認定証授与式のようす。
鳥取県立大山オオタカの森は、オオタカの営巣地を守るため営巣地周辺の森を県が取得した大山北麓に位置する104ヘクタールの区域です。希少な野生動植物が生息することのできる豊かな自然環境を貴重な財産として将来に継承し、環境立県を目指す象徴として保全することを目的に管理をしています。
鳥取県立大山オオタカの森の保全に関する条例や大山隠岐国立公園の普通地域として安定的な保護が図られていることに加え、毎年の森林管理や大学等と連携した定期的なモニタリングが着実に実施され、これが今後も継続される可能性が高いことや、観察会等を通して地域に開かれた自然とのふれあいの場を提供していることなどで、高い価値が認められるとされ、自然共生サイトに認定されました。

写真2.大山オオタカの森で営巣中のオオタカ。撮影:田中一郎氏(2021年6月1日)
環境省の自然共生サイトのページ(外部リンク)
環境省の鳥取県立大山オオタカの森紹介ページ(外部リンク)
11月25日(土)鳥取砂丘コナン空港にて生物多様性フォーラムを開催します!
全力!脱力タイムズなどTVコメンテーターとしてもおなじみの五箇公一(ごかこういち)先生が
生物多様性の異変と私たちの生活について熱く語られます!!!

講演会のほか、鳥取県で認定された自然共生サイトの紹介や五箇先生も交えたパネルディスカッションもあります。
会場ではお子さんが楽しめるミニ水族館や工作コーナーもあります。
そのほか、レッドデータブックの生物標本、企業による展示ブースなど。
参加費はすべて無料、申し込み不要ですので、ご家族やお知り合いなどお誘いあわせておでかけください。お知り合いの方への拡散もよろしくお願いします!!

チラシ (jpg:417KB)
30by30(サーティバイサーティとは)
「楽しく体験!みんなで学ぶ!エコスタイル とっとりエコフォーラム」が2022年11月19日に米子のコンベンションセンターにて開催されました。
とっとり生物多様性推進センターも、生物とプラスチックの関係を示したパネル展示のほか、もりまきフィールドネットワークの桐原真希さんによるワークショップを行いました。
パネル展示ではオオサンショウウオやクジラの胃から出てきたプラスチック製品などの写真、プラスチックゴミに固着した生物などを写真で展示しました。
ワークショップでは、さまざまな生物標本に加えて、いきものもたくさん登場し子供たちも大喜びでした。
写真1.ブースには200名を超える方がご来場くださいました。
写真2.オオサンショウウオの胃内容物調査ではプラスチックゴミが見つかっています。

写真3.漂着したオウギハクジラの胃からもプラスチックゴミが見つかりました。

写真4.巣材にビニールひもが使われた鳥の巣も展示しました。


写真5、6.いきものとのふれあい方や体の仕組みなどを学んでとても楽しそうでした。
とっとり生物多様性推進センターでは、鳥取県の生物多様性に関するパネル展を企画・開催しております。
2022年の初めは、南部町『キナルなんぶ』にて、県西部地域で活躍する自然保護団体の紹介を中心にパネル展を開催しています。
生物多様性の解説、県内で自然体験ができる施設の紹介やとっとり生物多様性推進センター、センター設立の根拠となる鳥取県生物多様性地域戦略などもあわせて展示しています。
今後も県内各所で巡回展示を行う予定です。展示情報はこのホームページ上でお知らせします。お近くで展示の際にはぜひご来場ください。
キナルなんぶ (南部町 外部リンク)
≪会場の様子≫ 展示は2022年1月11日から2月9日まで。

写真1.県内の自然保護団体の紹介パネル。

写真2.鳥取県の生物多様性についての紹介パネル。
当センターでは県内の有識者等と希少野生植物の観察を行っています。
その中で今年度、2カ所において盗掘が確認されました。
2カ所とも地表がきれいな円形に掘り取られており、そこに生育していた希少種は根こそぎ持ち去られていました。
綺麗だから持ち去ったのか、希少種と分かって持ち去ったのかは定かではありません。
盗掘された種は県内でも残存数が非常に少なくなっており、一株一株がこの種の存続に重要であったため、非常に残念です。
野にある在来植物は、その場で楽しんでいただきますようにお願いいたします。
(もしかすると、その一株が県内最後の株かもしれません)

写真1.不自然に丸く地表が削り取られています。国立公園内の一角です。

写真2.ここにかつてある希少種で唯一の開花個体がありました。直径50cm程度の穴が開いていました。
※国立公園や国定公園の特別保護地区内では全ての動植物の採取等が禁止されており、特別地域内では環境大臣が公園ごとに指定する動植物の採取等が禁止されています。
特別地域内において採取等が禁止されている動植物の一覧(外部リンク 環境省)
本規制に違反すると自然公園法第70条の罰則が適用され、6ヶ月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられる可能性があります。
規制の具体的内容(外部リンク e-Gov法令検索 自然公園法)
なお、「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律施行令」(種の保存法)で指定する国内希少野生動植物(動物201種、植物194種)の採取等が、国内全域で禁止されています。これらの種は、生育地の場所にかかわらず採取等はできません。捕獲・採取のほか、販売・頒布目的の陳列・広告、譲渡し、殺傷・損傷、輸出入等が原則として禁止されています。違反者は、5年以下の懲役や500万円以下の罰金に処せられます(種の保存法第57条の2)。
国内に生息・生育する希少野生動植物種一覧(外部リンク 環境省HP)

写真1.池に浮かぶジュンサイ。撮影:大生唯統氏(2018年8月23日)
「ジュンサイ」を食べたことがありますか?
ジュンサイを日本料理や旅館の食事で食べたことのある方も多いかと思います。くすんだ若草色の細長いものが、ぷるぷるした透明なぬめりに包まれています。酢の物やお吸い物で食べることが多いようです。
このジュンサイの正体をご存じでしょうか?ぷるぷるしたぬめりの中から細長い本体を取り出してみると、薄いものがクルリと巻いているのが分かります。これを開いてみると切れ目の無い楕円形になります。私たちが食べているのは実はジュンサイという植物の葉の若芽や花芽です。
ジュンサイはスイレンに近い仲間の水生植物で、ため池などに生育しています(写真1)。東北地方では栽培もされており、生産量日本一は秋田県です(注1)。「古事記」や「万葉集」にも「ぬなは」や「ぬなわ」という名で記され、古代から食卓に上がっていた在来の植物です。
ジュンサイの葉は開いてしまうと硬くなり食べることはできません。それでも池の水面を淡い黄緑色の丸葉が覆う様は涼を誘います。
このジュンサイは、実は減少の一途をたどっており、26の都道府県で絶滅の恐れのある植物として挙げられています(注2)。鳥取県でも絶滅危惧2類(VU)に指定されており、県西部には生育地がありますが、県東部旧鳥取市では絶滅したと考えられていました(注3)。
ジュンサイが減少している原因としては、生育できるようなため池自体が少なくなったこと、水質悪化が進み、貧栄養で酸性を好むジュンサイが生育できなくなったこと、アメリカザリガニによる食害などが考えられます。
このような状況の中、2021年6月、廃止工事中のため池に、鳥取市では絶滅したと思われていたジュンサイが生育しているとの情報が寄せられました(写真1)。
このため池が鳥取環境大学からほど近い場所にあったことから、環境大学の学生さんや卒業生、地元の自然保護団体の皆様、鳥取大学の永松教授と研究室の学生さんにもご協力いただき、ジュンサイを移植しました。
すでに水は排出されたため池ですが、底質の泥はかなり水分を含み、足を踏み入れれば柔らかく膝まで沈み込む状態です。ジュンサイの生きている葉を頼りに根茎を掘り取り、泥とともにバケツに入れ、バケツリレーで堤の下の軽トラックに運びました(写真2~7)。
移植先のため池は、今後も存続すること、日当たりが良いこと、底に泥の堆積があることなどを考慮して選び、さらに管理者の許可が得られた3つの池に植え付けをしました(写真8,9)。
移植の1か月後に、各池にジュンサイの生育状況を確認に行きました。2021年の夏はとにかく雨が多く、どの池もかなり水位が高い状態でした。水没して確認できない場所もありましたが、無事に瑞々しい丸い葉を浮かべている姿を確認することができました(写真10)。
掘り上げたジュンサイの一部は、地元の自然保護団体の皆様がしばらく育ててから(写真11)小学校校庭のビオトープに植え付けを行いました。地元に生育する在来種、しかも希少種が浮かぶビオトープに子供たちが親しみ観察してくれると思うと、ビオトープにジュンサイの葉が浮かぶのがとても楽しみです。
移植が成功し、ジュンサイが繁茂したら若芽を食べてみたいね、と仲間と話をしていたのですが、眺めても食しても涼を呼ぶジュンサイをこれからも身近に楽しんでいけることを祈っています。

写真2.水を抜かれた池のジュンサイ。(2021年6月22日)

写真3.ジュンサイの株の掘りあげ(写真3から9は2021年7月22日)。

写真4.暑い中でしたが、新型コロナウィルス感染症に配慮してマスク着用で活動しました。
