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2022年10月3日

新たな鑑賞法あるいはコミュニケーションのトレーニング~日南町美術館の取組み~

みなさん、こんにちは。

 前回、日南町美術館のコレクション展のご紹介をしたところですが、日南町美術館では、自分のペースで鑑賞する方法だけでなく、「対話型鑑賞」というものに取り組んでいます。

 

  対話型鑑賞とは、「作家や作品についての情報をもとにするのではなく、先入観なく作品と向き合い、何が描かれているか自分の目でしっかり見て、見て感じ、考えたりしたことを他の鑑賞者と対話しながら、自身の見方を深めていく」というものだそうです(美術館ホームページによる)。

 

 いわゆる「ギャラリートーク」と違い、この「対話型鑑賞」は、学芸員が案内役で、主に鑑賞者たちの出し合う意見を通して行われます。それは知識を披露したり、美術論をぶつけるものではなく、場合によっては、作品の題名すら隠して、先入観を排し、感じたことを語りあい、「そういう見方もあったか…」と自分にはなかった視点を得ていく、というものです。

 

 はたしてそれはどんなものか…前回記事の取材の折、日南町役場の職員さんにも協力していただき、体験させてもらいました。

               かくして対話型鑑賞、スタートです!

 

 まず手始めに、日南町出身の芸術家、足羽俊夫の作品を題材にチャレンジです。

この作品について、23分鑑賞した後、鑑賞者4人がそれぞれに意見を出し合います。

   足羽俊夫の作品、夜の旅(足羽俊夫『夜の旅』)

「目が見える」「魚ではないか」「これって、船?」「絵の上部にも波があるから、水中なんじゃないか」「歓楽街にも見える」「時間はいつだろう。夜かな」「夜はこんなに明るくないよ」「それは、日南町の夜でしょ()」…など様々な意見が出ます。

 答えはまとまりません。自分の見方もどんどん変わっていきます。そして、そのまま、次の絵の鑑賞に移ります。

 でも、それでいいのです。これは、何かの答えを導き出し、方針を決める「会議」ではありません。

「自分の見立ては的外れかもしれないから、黙っておこう」と委縮せず、とにかく意見を言ってみることがこの試みの肝なのですから。

 

 この試みは、「コミュニケーションのトレーニング」にもなります。

 この鑑賞法を児童生徒向けに行う場合、ふだんの授業中は、間違ったらどうしよう、と恥ずかしがって口をつぐんでしまうところ、「どんな意見でもいいから言ってみよう、自分とは違う見方をする人の意見をしっかり聞こう」と呼びかけて、実践することで、自分の意見を言い、他人の意見を聞いて受け入れる訓練になり、大人向けに行うと、とくに企業の役職者などの「自分が判断し、指示するばかり」となった人たちに「違う意見に耳を傾ける。そうすることで新たな発見もある」という気付きを得る研修にもなるそうです。

 

 自由な意見の出し合いは、もう一つの目的にもつながります。

 それは、児童生徒の学習意欲の向上です。もし「各自で好きなように見てね」というと、興味のない子はどの絵も素通りして、とくに感想も持たずに帰ってしまうかもしれません。

 でも、対話を通じて、意見を出したり聞いたりしていけば、本当のところはどうなのか、という気持ちがわいてきますよね。

 実際、キャプション(題名や説明書き)を隠して鑑賞させ、「みんなが帰ったら、もう一度キャプションを出すよ」と言ったら、会の終了後に戻ってきた児童がいたそうです。「本当のところ」がどうしても気になったのでしょうね。

 

 先ほどは抽象画で実践しましたが、小早川秋聲の名品「国之楯」でも同じことをすると、たいていは「無念さ、悲しさ、戦争の恐怖が伝わってくる」という意見が出ます。

                (小早川秋聲『国之楯』)

 しかし、「穏やかな雰囲気がする」という声もありました。そう言ったのは、外国人の国際交流員です。つまり、「感性」だけではなく、「育った文化圏や受けた教育の違い」などでもはっきりと差が出るということです。

 背景の違う者同士で対話型鑑賞をすると、より効果が出る…とはまさにこのことでしょう。自分の中に「無意識の決めつけ」がないか知るチャンスでもありますね。

 ※小早川秋聲の『国之楯』を児童生徒向けの対話型鑑賞の材料とする場合は、例外的に必ず最後に作品の背景を説明するそうです。戦争の悲劇を忘れず、再び繰り返さないよう、現在の私たちも心を砕かねばならないと悲劇に思いを寄せるためにもこの絵がある、という考えからです。

 

 この試みは、美術館にとっても新たな見方を得るチャンスですから、私にとってもおもしろいものなのですよ、と淺田学芸員は語ります。

 3年後には県立美術館が新設されますが、大きいところだけでなく、身近な地域の美術館に足を運び、そこでこそ得られるものを知ってほしい、とも。

 

 美術鑑賞のスタイルは人それぞれです。

一人でゆっくり見るのもいいですが、複数名で訪れて、対話型鑑賞をしてみるのも楽しいかもしれませんよ。

 

【メモ】日南町美術館の学芸員は、淺田学芸員1名だけなので、都合により対応ができないこともあります。

 美術館入口のマスコット いつでも来てね!

日野振興局 2022/10/03

  

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