事務所のある倉吉市では、7月20日に観測史上最高の36.3度の気温を記録しました。今年の夏は猛暑で特別暑く感じます。
さて、今回は6月から7月に観察したモリアオガエルの繁殖について紹介します。モリアオガエルは、水辺に張り出した木の枝に卵塊を産むことで有名なアオガエル科のカエルです。
【6月中旬】
6月中旬、三朝町の山間部の人口の少ない集落でモリアオガエルの卵塊を50個程見かけました。
ここは、水田とその隣の土地との境界が石垣になっていて、石垣から水田の方向に低木が生えている場所です。この日はまだ耕作されておらず田植えが行われていませんでしたが、田植えが行われれば、モリアオガエルの絶好の繁殖環境になります。モリアオガエルは、水田に水がたまるのを見込んで、水田横の木の枝に卵を産んだのでしょう。
【2週間後】
そのあと2週間後に訪れると、水田は田植えが行われておらず草が伸びて、水はたまっていませんでした。前回の卵塊は、大半が黄色くなり縮んで乾燥していました。
今回は新しい卵塊を15個程見かけました。その大半が地上に産みつけられていました。
【1週間後】
そのあと1週間後、7月上旬に大雨が降りました。大雨の後に訪れると、水たまりができており、1cm程のオタマジャクシを数匹見つけました。
大雨の影響で水田に水たまりができたため、一部が奇跡的に生き延びたと思われます。このオタマジャクシが成体になるには、定期的に雨が降り、水たまりが維持される必要があります。実際にはそううまくはいかず、この日梅雨明けが発表されたため、雨は期待できません。
【1週間後】
そのあと1週間後に訪れると、水田の水たまりはなくなっており、オタマジャクシを見つけることはできませんでした。
モリアオガエルは、人間が作り出す水辺を頼りにこの場所を繁殖地に選んだのでしょうが、人間の動向を予測するのは難しかったのでしょう。山間部の人口の少ない集落では過疎化が進み、農地を維持するのも大変と思われます。野生生物の生活にも影響を及ぼしていることを実感しました。