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平成20年3月14日

研究職給料表適用者における「わたり」廃止後の職位整理に対する交渉の概要

日時 平成20年3月14日(金)15:00~18:10
場所 第2会議室(本庁舎地階)
出席者 知事部局:伊澤職員課長、萬井給与管理室長補佐、前田副主幹、吹野副主幹
            県職労:片山執行委員長、山中書記長 他13名

 

組合:「わたり」廃止後の職制の見直しについて、2年前から整理の過程で、昨年の夏ごろから、研究職にかかわるポストとして副室長や研究主幹を設置してほしいと行政経営推進課と協議してきたが、難しいということだった。現在、ポスト職以外に研究職給料表の3級には特別研究員という職があり、どうすれば3級になれるのか、基準や考え方を示してほしい。

県:任用上の基準といったものはなく、必要に応じて任用している。3級は本来、室長、分場長などが格付けられている級であり、それに相当する職責や職位が要求されるものである。

従来の任用実態として、任用の考え方は二つある。一つは試験研究分野における組織の統廃合なども背景に、研究機関の室長を補佐する役割として、一定の分野を分担してもらうもので、組織上の位置づけがある場合もない場合もある。もう一つは、衛生技師、農業、畜産、林業など他の給料表適用職場との人事交流を行っていく中で、研究職以外の給料表で、係長級又は補佐級の経験者が、試験研究機関に人事異動し、行政での経験を踏まえた能力を発揮していただくよう特に設置するものである。

組合:実態として、これまでに試験研究機関にずっといた職員が特別研究員になったことはあるのか。

県:いないと思う。

組合:今までであれば、「わたり」で研究員として3級まで昇格しており問題がなかった。生え抜きの職員を今後どうするのか、考え方を示してほしい。

県:「生え抜き」の定義が定かでないが、仮に試験研究機関で長年、試験研究に従事してきたという意味であれば、これまでもそういった職員を評価する仕組みがなかったわけではない。試験研究機関であっても、農業や畜産、林業などそれぞれの職種分野で、同じ評価・視点の下、昇任が適当な方を選抜し、任用している。

試験研究機関の研究員の中から、室長等への登用もあり得る。また、特定の分野でどうしても、試験研究機関において従事すべき職務があり、それが室長と同程度の責任を負わなければできないような場合には、必要に応じて3級に新たな職を設けて登用することもあり得る。実際に今年の4月から衛生環境研究所では新たなポストができている。

組合:衛生環境研究所には新たなポストをいくつ置くのか。

県:2つである。

組合:だれがどのように決めているのか。職場がこれだけ必要だと言えばよいのか。ずっと試験研究機関にいて、高度な仕事をする場合など、個人の能力向上で特別研究員になることもあっていいのではないか。現場がたまたま考えました、で任用するのは無理だろう。何かしらの基準がいるのではないか。

県:一定の任用の考え方、判断はいるだろう。ただし、試験研究機関だけの狭い領域をみて人事異動を行っているわけではない。昇任の選考に当たっては、行政職における昇任状況などとのバランスも考慮しながら行うことになる。

組合:行政の職務における能力だけを基に判断しているのではないか。

県:試験研究も含んだ職種全体の中での判断である。例えば行政に異動しても相当する職位で通用するかどうかを考えて判断し、人事選抜している。

組合員:一概には言えないものの、往々にしてあることだが、試験研究機関では室長になるとアドバイスをするだけで、実務は行わない。質の良い成果を出すのは研究員である。つまり、優秀な研究員が室長になると、試験研究機関としてはマイナスの効果になる。だからこそ、生え抜きでがんばってきた人がいて、実質、補佐級の働きをしているN0.2がいる場合などには、研究員としての3級のポストが必要ではないか。

県:着任早々の時などは、部下のほうが業務に詳しいことはあり得る話である。

組合員:NO.2が、がんばっても室長にはなれない場合があるのではないか。そのような場合はどうするのか。

県:いろいろなパターンの中で昇任の可能性はある。

組合:室長ポストに外部からでも、生え抜きでも就けるのはわかる。ただし、どういう基準で特別研究員になれるのかがわからないと言っているだけだ。

県:研究職の3級は、行政職の給与水準で見れば課長補佐相当であることも考慮して、任用に当たって一律的な基準を作ることは考えていない。あくまで研究員も行政職等として経験を積んでもらうのが人事管理の基本方針である。

組合:組織上の位置づけのない特別研究員はどうやって設置しているのか。2,3年前に産業技術センターの独法化にあたって、行政に転職しないと昇任できないと言って、大変もめたことがある。

県:そのようなことはないが、人事管理の基本方針として人事交流を行うという方針でやっているということである。

組合:研究員から引き続いて特別研究員に任用することもあるのか。

県:組織査定の観点から必要性が認められ、室長と同等の能力があり、相当の評価がある職員で、試験研究機関の中で能力を発揮してもらうことが適当と考えられる場合には、特別研究員として任用することもあり得るだろう。

組合:今までも生え抜きで特別研究員になった例がなければ、これからもないのではないか。外部から入ってきた場合は特別研究員になるが、内部から上がって特別研究員になった実績はないのであれば、今後もないのではないか。

組合員:ずっと2級で置かれるかもしれないという不安がある。

組合員:特別研究員にこだわるのは、ポストがなくても3級に上がれる道が残されるからである。

組合員:試験場の研究員は試験研究機関から人事異動がないと上位の職に昇任できないのか。

県:そんなことはない。年齢構成等により、昇任年齢には多少のバラツキはあっても、内部登用もあり得るし、現実に室長になっている人はいる。ただし、人事交流を行うことが人事管理の基本方針であり、試験研究機関だけでなく、様々なフィールド全体を捉えて人事管理を行っていく必要がある。狭い分野で考えないでほしい。

組合:それは行政事務職特有の発想である。

組合員:私は17年間ずっと研究員だった。5回異動の話があったが、試験現場における研究に専念したいため断った。今回の話を聞いて、専門分野でがんばっても昇格しないのではないかと不安である。

県:補佐級に類する職責が果たせるようであれば、その人のキャリアや評価を適切に行い、組織能力をより高く上げていくための公平な人事選抜を行っている。県の考え方は、人事交流が基本であり、今後、人事を試験研究機関だけに固定化して、より高い専門性を求めていくということに方針を変えていくことになれば別だが、その様な方針は試験研究機関そのもののあり方を考えていく中で検討されることだと思う。

組合:3級を2級に落とすことは問題ないと考えているのか。

県:今後の処遇は人事異動や内部登用も含めた人事査定の中で検討している。何も評価をせずに2級にする訳ではない。

組合:研究でずっとがんばってきた人は室長になるか、試験研究機関以外で補佐になるしかないのか。行政に比べてポストが不十分である。近々に特別研究員になるものはいないということか。

県:この4月1日の人事異動のことは申し上げられないが、異動作業は従来と同じ考え方で進めている。研究に従事している方の処遇のあり方については、我々なりに考えている。また、そもそも初任給が高いことや、行政職と比べて、同等の職位でも給与水準が相対的に高いことなどもあり、単純に行政と研究職を比較することは困難である。研究職の2級の給与水準は行政の係長級の給与水準を超えている。それを踏まえて人事選抜を行わなければならないと思っている。ただし、将来に向けて、人事交流を基本としている考え方を根底から変えるのであれば、今後、別途検討していかなければならない。

組合:将来の話はしないといけない。ただし、今までの人事交流をしたのは県当局だ。国と同等の給与を支払ってきたのも県当局。現在、生え抜きで高度な研究を行っている人もいるのに切り捨てるのか。

県:何も切り捨てるつもりはない。全て県当局が決めたように言われるが、給与や勤務条件はこれまでも組合と協議してきている。

組合:県からの資料に年齢要件が書かれていたが、研究員とそれ以外の職の昇任について、同じに考えているのか。

県:「人事配置等に関する方針」の中で「昇任要件として、年齢は特に設定しない」と明言している。参考として、H19年の異動実績による昇任年齢の平均値などを示しているだけである。

組合:研究員は行政より専門性の高い仕事をしている。事実、内部から特別研究員になっていない。県当局の研究員に対する処遇はさみしいものだ。研究職をまったく評価していない。

県:研究職としては評価している。ただし、研究職のみ単体として昇任選考は行っていない。研究員も含めて農業職全体といったように、職種全体で人事上の評価を行い、選抜を行っている。

組合:それが寂しいと言っている。職員のモチベーションを下げる発言だ。

県:組合としては、研究職を単体で人事管理して、昇任させないのはおかしいという主張か。それが本当に研究職以外も含めた職員全体の意識に合致していると考えているのか。

組合:研究職は生え抜きで、ずっと試験研究機関で研究を続けているのが普通である。それを基本としながら、行政職とは別の視点で評価すべきである。

県:研究員としての働きは評価している。

組合:研究職としてずっと試験研究機関で研究を続けている人がいるが、それを3級から2級に落とすことになる。研究専門的な人は国の基準を使うことがあっても良いのではないか。

組合:特別研究員への内部登用は過去もない。今もない。将来もない。農業職は、全体を同じテーブルの上で昇任管理を行うだけなのか。

県:職種全体で人事管理を行っていることは繰り返し言っているとおりである。従って、特別研究員をルール化する考えはない。

組合:任用の基準がなければ、特別研究員の任用基準を作っても良いのではないか。特別研究員は3級。園試の分場長は3級。衛生環境研究所は行政の係長からの異動者は特別研究員となり、3級に格付けられているのに、農林水産部における試験研究機関においては、行政の係長級から特別研究員になっていないのはなぜか。

県:特別研究員になるかどうかは、当該試験研究機関における職務によるものである。

組合:聞きたいのは、行政職で係長級か補佐級の人が、衛生環境研究所に異動した場合、特別研究員にならなかった人がいるのか。また、農林の行政職の係長級で試験場に異動して特別研究員になった事例があるのか。研究員の昇給制度は、国家公務員の研究職と同じ運用をしてきたが、国は30歳代半ばで3級になるのに、なぜ、県はならないのか。その要因はなにか。

  国には3級に主任研究員などの研究をずっと続けた人が就く、いろいろな職がある。県は国よりも組織の規模は小さいが、国と同じような職位があってもよいのではないか。研究の世界では国では専門研究員や主任があるのに、県はなぜ研究員と科長しかないのか。

県:国と県とは組織構造が違う。県は、農業なり、それぞれの各職種全体で人事配置を行っているが、国は試験研究機関だけで人事管理を行っている。国は大学の教員との人事交流があり、研究職給料表はそれを前提として教育職給料表との均衡が図られるよう設定されており、運用しているものである。又、採用も研究職として採用されている。一方、県では研究職としての採用は行っておらず、農業職なり林業、衛生といった職種で採用した者の中から配置している。

組合員:特別研究員にはなれないが、別の職名のポストは作ってもらえることはあるのか。

県:組織の中で室長と同程度の職責があり、室の中で一定の特命的な研究分野を受け持つ職責を担うような職の設置が必要であれば、人事配置として3級の職に任用する可能性はある。

組合員:人事交流は必要だが、室長と研究員の間に行政職で設置されている「主幹」的な職がいてもよいのではないか。研究機関でも特別研究員のポストがあるところとないところがある。もっとモチベーションが上がるよう、どこの試験場でも昇任のチャンスがあるようにポストを設置してほしい。

県:ポストについては職場ごとに必要があれば、行政経営推進課の組織査定で作っていくことになる。

組合員:もっと早く話をしていれば、もっと対応の仕方があったかもしれない。

県:試験研究機関における研究職単体で、人事管理を行う考えはないが、研究職については、試験研究機関のみに在職することで不利になることはない。これまでもそうだし、これからもそうである。少なくとも、行政職給料表との関係において、給与水準などが相対的に不利となるようなことはなかったはずである。

組合:「わたり」廃止の時に昇任基準を示すはずではなかったのか。研究職は研究員という職名をかけて、プライドで仕事をしている。

県:研究員だけがプライドを持って仕事をしているわけではない。他の職員に失礼だとは思わないのか。

組合員:室長はNO.2がしっかりしないと大変である。NO.2を評価する制度を作ってもらいたい。

県:研究員を含め、今後のあり方はきちんと議論されるべきだと思っている。行政職又は医療職(2)との相関関係をどう設定するのかも含めて、遠くない将来、現状、今後も見据えて全体を見直す必要があると考えている。しかし、研究職について、そもそもどの様な人事配置とそれに合わせた処遇がよいのかは、「わたり」廃止の整理とは別問題である。したがって、今回の整理とはしなかったが、再度、組合とも議論していきたいと考えている。業務マネジメントも含めて、いわゆる研究職の第一線の処遇のあり方は、今後、試験研究機関のあり方も含めた全体のフレームの中で議論させていただく必要がある事項である。現時点ではあくまで、試験研究員の基本的な人事配置の考え方はこれまでと変わることはなく、従来と同様に各職種の全体で昇任管理していく。試験研究機関における長期在職者も同じ土俵で評価していくことになるが、それによって不利になるようなことはないと約束する。

組合:国の試験研究機関と運用面で違うのはおかしいということを、具体的に農林水産部にも伝えてほしい。

組合員:普及所から試験場に移動してきたが、試験場ではいくらがんばってもポストが少ないため、若い人の中には行政に異動したいと思う人も出てきている。一方で長年、試験研究機関にいる者は、行政に異動しても使いものにならないのではないかと不安に感じている。今日の話を聞いて、研究職のことも考えていただいていることが分かり安心したところもある。今後も議論をしていってほしい。

県:引き続き、試験研究機関の所管部局である農林水産部と生活環境部も含めて検討していきたい。

組合員:行政と同じように係長、補佐などきめ細かい職位にしてほしい。室長と同等の研究員があっても良いのではないか。

県:研究員も細かい議論が必要だと思う。ただし、給与水準は、行政職に比べて早期立ち上がり型になっており、また、給与構造もシンプルになっていて、若年層から行政職よりも高い給与水準になっている。給料表の構造も研究職は5級制、行政職は9級制の違いがあるのも分かってもらいたい。また、国と違って、研究員としての採用をしている訳でもなく、行政職等との人事交流を基本として人事管理を行っている状況の中で、現在でも各研究室ごとに数名の部下職員に1人の室長がいるのに、更にこれ以上、補佐級職員を増やすことは難しい面があることも理解してほしい。職制については行政等とのバランスも考慮する必要がある。

組合員:例えば、研究主幹などを設置してもらえないか。ずっといる人も、そうでない人もどこにいても同じようにポストを作ってほしい。

組合:本日の交渉では人事異動の考え方を聞かせてもらったというレベルだ。ただし、国と運用が違うのは不満であるということだけは最後に伝えておきたい。

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