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平成19年11月7日交渉

平成19年度賃金・労働条件要求書等に対する交渉の概要
 
 
○日時  平成19年11月7日(水)15時~16時30分
○場所  執行部控室(議会棟2階)
○出席者 知事部局:伊澤職員課長、萬井給与管理室長補佐、難波主幹、岡本副主幹、前田副主幹
県職労:片山執行委員長、山中書記長、河津書記次長
現企労:上田書記長                他21名
 
<概要>
【月例給、一時金について】
組合:従来の「国準拠」が全国的にも変わろうとしている。その中で、使用者としての県は、県職員の適正な賃金というものを具体的にどうあるべき、どうしていこうと考えているのか。
 
県:県職員の給与は従来、地方公務員法第24条に基づき、全国の民間を考慮した国家公務員の給与に準拠してきた。
その中で、近年の社会情勢を踏まえ、地域の民間給与についてより的確に運用すべきとの議論が強まっており、人事委員会も、従来の一律に国準拠という発想ではなく、より一層地域民間給与の実情を考慮して今回の勧告が行われたものと受け止めている。
県としては、今年度の給与改定についても、地方公務員法に基づき勧告された人事委員会勧告を尊重するという従来からの姿勢に変更はなく、この姿勢は基本的には今後も変わりはない。
ただし、地方公務員法第24条を今後どのように斟酌していくかは大きな課題であると思っているし、その検討の中心的な役割を果たすのは法により権限を与えられた人事委員会と考えている。
しかし、賃金は大きな勤務条件の一つであり、任命権者としてもどういう給与制度がより適切なのか、常に検討すべき大きな課題であると考えている。
現段階で、将来の具体的なものを確実に示すことはできないが、人事委員会が持っている県内民間給与のデータも可能な範囲で最大限示していただきながら検討することは必要なことであり、県民の納得が得られる持続可能な給与制度を構築し、県民の一定の理解、支持と職員の意欲、やる気を支えることとのバランスを保っていくために不可欠なことだと考える。
 
組合:今年の、「全国最低水準」となる人事委員会勧告に対して、県の認識は。
 
県:全国でも最も厳しい部類の勧告であるとは受け止めている。特に期末手当については、昨年に引き続きの引き下げで国家公務員と大きな開きが出てくるのは事実であるが、その根拠、考え方は勧告の中に示されているとおりである。
地域の民間給与をどう反映、考慮するか、適切な給与水準のあり方とはどういうものか、働きに対する適正な、働きがいのある給与とはどういうものか、それを地方公務員法のいわゆる「均衡」の中にどう落とし込んでいくかについては、様々な考え方があり今後検討を尽くしていく必要がある課題である。その様な意味において、新しい給与制度への模索がはじまったと思う。
今年度の人事委員会勧告においても、その方向性を示したものの、今後のルールを確定したものでは必ずしもないと思うので、今後一緒に検討していくことが必要である。
 
組合:県としては、来年の人事委員会勧告に向けルールづくりをしていきたい、ということでよいか。
 
県:県としても課題意識は持っているので、人事委員会には、来年度の勧告に向けてできるだけ早い時期に、県内の民間給与の詳細なデータ分析も含め、任命権者、組合も入ったプロジェクトチームをつくり、具体的な議論を始めたいと要請している。
 
組合:昨年も同様の話があったが結局1年間何もなかった。
特に近年、組合は人事委員会に対して意見を述べる機会がないという思い、疎外感を感じている。
県、組合、人事委員会の3者間での議論を行うことに反対ではないので、組合からも人事委員会に対し言うべきことは言っていくが、職員課も間に入ってきちんと伝えていただきたい。
 
県:給料表の問題、若年層及び高齢層の給与水準、全体の給与水準などの課題が残っており、人事委員会もいわゆる試行錯誤、模索を今後もやっていく必要があると思う。
これからの給与のあり方を考えるにあたり、現場の状況や任命権者の意見とのすりあわせなしで検討することは困難であり、意見を出し合いながら一緒に考えていく必要があると考える。
この点は、人事委員会事務局長もほぼ共通の認識である。労使を交え、データを分析しながら、県職員の給与においてどの部分に課題があるのか、議論を県民にも公開しながら、具体の議論、検討をしなくてはならない。そうでなくては、県民にも、職員にも、納得性ある給与制度としていくことは難しいと認識している。
できるだけ早く、来年に向けた作業を始めたい。
 
組合:組合としても現段階では具体的な案は持っていないが、これまで将来的な方向性だけの確認に終わり、その後が「放ったらかし」になっていたという反省もある。来年の勧告に向けた取組について、そのやり方も含め、具体的なスケジュールを確認しておきたい。
 
県:人事委員会も、年度内に海事職給料表の導入について再勧告を行う方向で通常の給与改定に関する勧告後も引き続き作業を行っているものであり、その目途が立ってからになろう。
 
組合:人事委員会は、海事職給料表をいつ導入しようと考えているのか。
 
県:平成20年4月1日導入の方向性で作業中と承知している。海事職給料表の導入については10月9日の勧告でも触れられており、時期がくれば組合にも話はあると思う。
 
組合:今までは国の給与制度に準拠してきたことは事実だが、「今までどおり、国準拠だけ」ではいけないことも組合としても認識はしている。確かに以前は地方の勧告が国の勧告を上回るような勢いもあり、それを抑制するため国から国に準拠するよう指導が行われたが、近年は国準拠から離れ、地域民間準拠との総務省からの指導も出ているようだ。
我々組合としては、地方公務員と業務の類似性からも国家公務員に準拠するのが妥当であると考えている。県内民間実態調査が、業務類似性をどこまで担保しているのか疑問であると考えている。
より詳細な検討を行うためにも、基になったデータの分析等を行う必要があるので、人事委員会と、具体的な事実を基にしての議論に参加していきたいということは、はっきり述べておきたい。
人事委員会に対し職員課からも3者による議論を行う確約をとりつけてほしい。事務局長レベルで話をしているとのことだが、できれば人事委員レベルでもこの方向性について確認をとってほしい。
 
県:人事委員会に対しては、人事委員レベルへの確認も含め、再度確認することとしたい。
 
組合:今年の人事委員会勧告において、期末手当の支給月数を計4.05月といいつつ、3%カットを考慮すれば3.92月と「民間ベッタリ」なのはおかしくはないか。県はどう認識しているか。
 
県:職員課長の立場もあるが、あくまで私見ではあるが、かつてのように「国と同じ4.5月でなくては」というのも、地域民間の3.9月ありきというのでも、どちらか一方に完全に合わせるということではあるべき姿としては少し違うのではないかと感じている。
現行の法規定では国も地域民間も同列の考慮要素であり、国の4.5月と県内民間の3.9月の幅の中で、地方公務員法第24条を斟酌してどこが適当なのかを十分に検討、議論すべきものだと思っている。
 
組合:その認識の中で、県職員の労働条件を考える部署として、人事委員会勧告をそのまま尊重することについてはどう整理しているのか。
 
県:カットが終了した来年度以降において3.90月ありき、という考えを決めているわけではないということを人事委員会にも確認している。
しかし、県内民間給与は、一時金に限らず給与全体で考慮しなくてはならないものであり、仮に本年度においても給与全体として県内民間給与水準にそろえるのであれば給料表を引き下げなくてはならなくなるが、総合的に勘案されて給料表の引下げはこの度は勧告されていないものだと人事委員会からは聞いている。
3%カットを考慮すれば民間の3.9月に近いことは事実だが、期末・勤勉手当の支給月数についても、人事委員会において給与全体をトータルに判断した結果と受け止めている。
 
組合:今年度の人事委員会勧告は、月例給も一時金も国と県内民間の中間にあり、どちらか一方に極端に振れたわけではない、その点から地方公務員法上も妥当なものであるという認識を行ったということか。
 
県:そのとおりである。
 
組合:今年度の人事委員会勧告に対して、業務の類似性から国並みにすべき、とは考えないということか。
 
県:人事委員会勧告が出された以上、かつてのように国準拠として期末・勤勉手当の支給月数を4.5月にすべき、という議論は成立しない。
 
組合:県の立場は確認した。県、組合、人事委員会の3者による議論については、今後行動をお願いする。
 
県:それは約束する。
 
 
【初任給基準の改善について】
組合:これまで、行政職の大卒者における2級への昇格は、資格要件である1級41号給に4年で到達していたが、初任給の引上げにより3年間で到達することになる。この点についてはどう考えているのか。
 
県:人事委員会の規則事項ではあるが、人事委員会は昇格に要する在級年数の基準は変更がないようにしたいとのことで、1級41号給の引上げも含めて検討中と聞いている。
 
組合:行政職の例でいえば、1級の在級年数4年間は従来と変わらず、2級への昇格資格要件が4号給引き上げられて1級45号給になる、ということか。
 
県:若年層職員は標準昇給号給数が5号給なので、単純に考えると昇格資格要件も5号給引き上げられるイメージだろう。
 
組合:在職者調整についてはどうなるのか。
 
県:同じく人事委員会の規則事項であるが、初任給引上げ後の標準的な昇給ラインを基準に必要な範囲で調整を行う意向であると聞いている。
 
組合:採用年次によって差が生じることがないよう是正されるということか。
 
県:一度にピッタリと、というわけにはいかないかもしれないが、一定程度の期間をおいた時点で均衡がとれるよう調整していくこととなるだろう。
 
組合:在職者調整の対象となる若年層職員はどの範囲なのか。
 
県:現在検討中なので、具体的にはまだ言えない。
 
組合:来年度の新卒者の昇給が基準、ということでよいか。
 
県:基本はその方向であり、現在すりあわせを行っている。必要以上に不利益を被る人がないようにしたいと考えている。
 
組合:初任給を4号給引上げ、若年層職員の6年間5号給昇給を行う職員が在職者調整の基準となる、他の給料表についても行政職と同様の考え、ということで確認したい。
また、行政職1級から2級への昇格資格要件が1級41号給から1級46号給に引き上げられるのは、若年層職員の標準昇給号給数が5号給だから、という点も確認したい。
 
 
【育児休業取得者の昇給復元改善について】
組合:育児休業取得者の給料の復職時調整改善に伴い、基準日以前の取得者と基準日以後の取得者との間に差が生じることついて、使用者としてはどう考えているのか再度お聞きしたい。
 
県:地方公務員育児休業法で給与の取扱は国家公務員に準ずべきことが明記されており、このため遡及適用を含めて8月1日から改正したところであるが、今回の復職時調整改善は、今後子どもを生み育てやすい環境を整備するため、政策的、国家的に次世代育成の支援策として実施したものである。
今回の改正により後で育児休業を取得した職員が、結果として従来より有利となることは事実であるが、この問題点は国家公務員も同様に存在する中で、あえてこのような方法で適用されているものである。
割り切れない感じを持つ職員が生じることは否定しないが、政策判断に基づく措置として理解していただくほかはない。
 
組合:復職時調整改善自体は歓迎すべきことである。しかし、一生涯続く給与差を政策的な制度改正で割り切れと言われても納得できない面もある。地方公務員育児休業法の規定を超えて昇給復元を上積みできないことは理解するが、同法の改正を、例えば知事が国に働きかけるようなことは考えられないか。
 
県:育児休業制度については、公務員が政策的に民間を先導しており、今回の改正も、問題点も含みながらも、国家政策として公務員の処遇を改善したものである。
民間企業ではノーワーク・ノーペイが原則であり、一部の企業を除いては、一般的には働かずに昇給ということは行われていない。育児休業制度でさえ公務員が民間より大幅に先行している中で、今回の改善を基にしてさらに過去に遡ってまでの手厚い制度改善を行うことについては、民間企業や国民の理解を得ることは難しいのではないか。
 
組合:担当課長レベルでは、法の規定を基にした原則論的な話をするのが精一杯ということだろう。どうすれば育児休業がとりやすいかは以前からの問題でもあり、知事とは、このことについて今回の交渉以外の場でまた話をしたい。
 
 
【主任主査制度見直しについて、非常勤、臨時的任用職員制度の見直しについて、自家用車通勤者の通勤手当について】
組合:主任主査制度の廃止に伴う新たに考えられるポスト設置について、具体案の提示時期はいつ頃になるのか。
 
県:現在、各部局からポストに係る要求、課題を受けて行政経営推進課で検討中であり、通常の組織査定より早い段階で、年内中には一定の形になったものを提示したい意向であると聞いている。
 
組合:非常勤、臨時的任用職員制度の見直しについてはどうか。
 
県:各所属からの意見に基づく素案の修正について、再度各所属に意見を照会し回答が出てきたところであり、再整理して早急に提示したい。すぐに、とはいかないが、予算査定に間に合うようできるだけ早期にしたい。
 
組合:自家用車通勤者の通勤手当の見直しについてはどうか。
 
県:通勤手当については、人事委員会において民間における状況も勘案しながら総合的に検討する課題だと考えている。
 
組合:人事委員会の通勤手当のデータについては、データのとり方や範囲について疑問もある。それらも含めて話をすることとしたい。
 
組合:主任主査制度見直しと非常勤、臨時的任用職員制度の見直しは、ともに予算に係るものである。2月議会に向けて年末に提示されても現場で議論して、県と協議する時間が十分とれない。
 
県:非常勤、臨時的任用職員制度の見直しについては、今回各所属に素案を提示して、各所属でも十分協議されているものと考えている。
主任主査制度の廃止に伴う新しい人事制度については、12月の早い段階には提示の意向と聞いている。
議論できる時間の確保に努めたい。
 
組合:予算要求後はもう議論はできないのだと思ってしまう所属長もあると思うので、そのようなことがないよう、留意をお願いしたい。
給料をもらって、それにふさわしい仕事をやろう、という意識が重要であり、そのためにも十分議論できる時間を担保してほしい。全体が固まらなくてもまとまった部分から一定の単位ででも提示してほしい。
 
県:春の所属長会議においても、いわゆる「わたり」廃止後の整理については各所属長にも十分な検討をお願いしている。
近く開催予定の所属長会議でも現在の状況や今後の展開を説明するとともに、今後の組織査定や人事査定の流れの中でも各所属との意思疎通には十分留意したい。
 
組合:通常は組織査定の後、人事査定を行うが、それでは間に合わない職種もあるのではないか。
 
県:組織査定だけでは整理できない少人数職種等については、部分的に職能的な評価を加味しつつ、組織査定との同時並行や、先行も含め人事上の査定や検討作業を進めるよう指示しているところである。考え方の整理がつけばできるだけ早く組合にもお伝えしたい。
 
組合:同一職種で係長級と補佐級に複数格付けされている職もあるが、これなども組織査定というより人事査定の問題であり、少人数職種等と同じように一定の職能評価、能力実証した上での自動昇任も必要ではないか。
 
県:能力実証に基づくものに自動昇任はあり得ないと思う。
 
組合:非常勤職員は、1月頃に行う採用試験に先立ち勤務条件を明示しなくてはならず、募集案内までには結論を出さなくてはならない。そもそもそれ以前に現場から予算を要求しなくてはならないが、県からの提示はいつ頃になるか。
 
県:予算要求については同時進行で行い、各所属が財政課と協議を行っているものであり、人件費の査定時期は通常予算より少し後である。可能な限り早く提示したいと考えている。
 
 
【雇用の確保と安定、人員確保要求について】
組合:指定管理者制度などが導入される場合にあっては、組合員の雇用を県職員として確保すること、との要求に対し、「県職員以外としての雇用も含め最大限の努力をしたい」との回答は、あまりに現場の不安な感情を理解していないものではないか。「最大限の努力」だけでよいところ、特に「県職員以外としての雇用も含め」というのはどのような趣旨か。回答の真意を聞きたい。
 
県:指定管理者等により職場単位で業務がなくなり、職種によっては他の所属には同一職種がまったくなくなるような場合には、県に在職するなら別の仕事を行わなければならないという点で非常に大きな変化の波をくぐっていただく必要がある。仕事を変わることにはリスクがあり、また、県もそういった職員の希望にあった十人十色の仕事を準備することも現実にはできない。
その場合、県も最大限努力はするが、職業人の一人としてどのような仕事で能力を発揮し、輝き続けられるかは本人に考えてもらう必要がある。民間が第一というわけではないが、同種の仕事を民間で続けることも大切な選択肢として十分に検討していただく必要があることについては、これまでも現場での職員との意見交換の場面でもくり返し申し上げてきたところである。いずれにしても県は最大限の支援を行うということであり、それ以外に真意はない。
 
組合:確認だが、県に残りたいという意思も含めて、本人の意思優先ということで違いないか。
個々人が県を辞めて、民間で仕事を探すとしても、年齢などで困難な場合もある。そのような場合は、県も仲介や相談にのるなどの努力をする意思があるということか。
 
県:どのような支援が可能か、誠心誠意考えていく姿勢であり、できることの努力はする。

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