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平成20年10月30日交渉

 

○日時 平成20年10月30日(木)13:30~15:50

○場所 第33会議室(第二庁舎4階)

○出席者 県:行財政改革局給与室  松田室長、難波室長補佐、岡本副主幹
                 前田副主幹

        同 人事・評価室  伊澤室長

教育委員会教育総務課 田中課長、中尾主幹、吉野副主幹

企業局経営企画課   山本課長、山添課長補佐

病院局総務課     嶋田病院局長兼総務課長、稲田課長補佐

県職労:片山執行委員長、山中書記長、河津書記次長 他33名

現企労:上田書記長                他12名

(県教組、高教組、非常勤組合との合同交渉)

 ●組合要求書(89KB)  ●県回答書(14KB)
 

<概要>

【職員の労働環境に対する県の考え方について】

組合:近年、人員の削減は進み、平成19年度の時間外勤務は本庁で対前年比25%、地方機関で同15%増加し、このような労働過重もあって精神疾患を含め職員の休職が増えている。

このような労働環境を、県はどのように理解、把握し分析しているか。

県:県政を進めるに当たり、それを実際に行うのは人である。

職員がより働きやすく、能力を発揮し、また能力を向上することができる環境を整備しなくてはならないと考えている。

例えば、時間外勤務についても、各所属における目標の設定、ICカードの導入等を含めて状況を把握し、時間外勤務が多い職員がいる職場は個別に指導するなど、力を入れて縮減を図っているところである。

また、仕事は力を合わせて行うことが重要との観点から、職場のコミュニケーション、議論のしやすい、意見のいいやすい環境づくりを含めて、取り組んでいきたい。

心と体の健康は仕事においても基本である。セクハラ対策やメンタルヘルス、分煙対策などにはこれまでも取り組んできたところであり、さらに引き続いて取り組んでいきたい。

組合:取組みではなく、現状認識をお聞きしている。時間外勤務はデータとしては増えているが、県は職員の労働が過重になっていると把握しているか。

県:時間外勤務がデータとして増えていることは事実である。その要素としては、仕事の増もあるかもしれないが、知事部局については、昨年度から勤務管理システムを活用した時間外勤務の管理を行っており、その結果これまで必ずしも十分把握できていなかった時間外勤務が顕在化してきた部分などもあると思う。

組合:以前議会でも指摘があったが、年間の時間外勤務が千時間を超える職員や、健康を害する危険のあるような職員もいる。ここで個別の職場の話はしないが、当局として、職員にはよく働いてもらっている、苦労をかけている、それは申しわけなく感じているというような気持ちはあるか。

県:そのような職員もあり、職員に負担がかかっていることは事実である。改善が必要とは認識しており、時間外勤務の縮減などについても改善の取組みを進めていきたい。

組合:このようなことを聞くのは、実際に組合員から、仕事がつらいとの声、家にも帰れない、家族と過ごす時間もないという声が寄せられているからである。県がそのような職員の声をどのように受け止めているか、素直に聞きたい。

県:時間外勤務が多いことは、職員に負担をかけていることになる。何とかしなくてはいけないと感じている。

 

組合:毎年「何とかしなくては」で終わっているのではないか。実際に人は減り、それにつれて時間外勤務は増えている。業務整理が追いついていないのではないか。この問題については、引き続き当局と協議していきたい。

 

 

【職員の士気に対する県の考え方について】

組合:次に職員の士気の問題に移りたい。

この6年間、給与カットが行われてきた。うち1年は組合との合意なく実施されたものであるが、平成14~16年度の3年間は雇用対策の必要性、平成18、19年度の2年間は当局のカット率緩和の姿勢等も認めて組合としても合意の上で実施したものである。

同時にいわゆる「わたり」の見直しに労使で着手し、職員には不満も強かったがやってきたという事実をよく認識してほしい。

しかし、本年の人事委員会勧告は、このような労使の努力を考慮せず、給料を△3.2%引き下げるというものであった。地方公務員法上の問題は後ほどとして、このような勧告が職員の士気に及ぼす影響についてはどう考えているか。

県:これまで給与カット等で、いわば職員にも痛みを伴ってやってきた状況は認識している。今回さらに引下勧告となり、率直に、士気にとってはいいとはいえない。

組合:職員の士気は人事委員会というより当局が十分考えなくてはならない話である。

民間企業であれば、逆に従業員に働いてもらおうと、従業員の納得を得る手だてを尽くす。

生身の人間である以上、賃金が下がれば士気はどうしても下がることは否定できない。それは当局にとってもいいことではないという認識は示してもらったものと理解する。

4月にカットが終了し、「わたり」は廃止され経過措置期間中、そこへ引下勧告というトータルな流れの中で、当局は士気の問題をどう考えたのか。

県:給与の引下げは職員の士気にとってプラス要素ではない。また、士気と無関係ともいえない。

ただ、現実に人事委員会から勧告が出ており、勧告に当たっては人事委員会でも検討され、様々な議論もあり、結論として今回の勧告が行われたものと思う。県としてはそれを尊重していくという考えである。

組合:人事委員会勧告を尊重して、それで職員の士気は下がってもやむを得ないということか。

県:給与については、地方公務員法に基づく勧告制度がある。引下勧告は、職員の士気にとってプラスではないだろうが、勧告は重く受け止め、実施するという考えである。

組合:勧告は尊重しなくてはならないという考えは組合も同じである。しかし、当局は、士気低下は二の次と考えているということか。

県:二の次ということではないし、士気にとってプラスではないが、勧告が出された以上は実施するということである。

組合:それはつまり、士気より優先するということではないのか。

県:士気には様々な要素があり、職員に元気になってもらう、意欲を出してもらう取組みは必要と考えている。しかし、勧告については、士気に関わるから実施しないということはあり得ないと考えている。

組合:そのような話をしているのではない。職員の士気が下がれば当局も、そして県民も困る。それを防ぐ策はあるのかということである。

職員の士気が低下しては困るという認識は当局にもあるということ。この場で具体的な手だてをとはいわないが、士気が下がらないよう最大限努力すべき。

給与とは別に、士気を高める手だてが必要だが、効果的な策がうてていないのが現状。士気を下げないためにどうするか、今後の折衝、交渉の中ではっきりさせたい。

 

【地方公務員法第24条に規定されている国、他の公共団体、民間の均衡の考え方について】

組合:項目一について、人事委員会勧告は尊重すべきであるということは、法制度上も、組合としても異存はない。

人事委員会勧告を尊重しなくてもいいというのではなく、その内容に大きな疑義があるということである。

昨年の確定交渉において、当時の職員課長も、私見としてではあるが、地方公務員法第24条第3項が規定する国、他自治体、民間の3つの指標は同等でありそのうち一つに偏ることには違和感があるといっている。

人事委員会だけではなく、当局も労働組合も県職員であり、地方公務員法の制約を受けて適切に判断する責任がある。

その観点から当局として、地方公務員法第24条第3項からみて、県職員の給与はどのようなものが妥当と考えているのか。

県:地方公務員法第24条第3項は、国、他自治体、民間の3つを指標として明記しており、当然これらを考慮しなくてはならない。

以前は国に準拠していたが、それが最近は変わってきて、地域民間重視の流れとなってきている。

国、他自治体、民間の3つの指標をどう均衡をとっていくのか、国準拠に代わる明確な、新しいルールはまだできていない。

今回の勧告は、地域民間に極めて近いが、その都度情勢を判断の上で、3つの指標を考慮して県職員の給与をどこへ持って行くか、人事委員会は本年については地域民間に極めて近いところへ持って行ったということであり、それを今後もルール化したものではないと考えている。

組合:人事委員会の判断は承知している。勧告が出たという事実も消えない。しかし、主体としての当局はどう考えているのかを聞きたい。

勧告は今さら変わらない。しかし、地方公務員法は人事委員会だけではなく、当局にも、組合にも適用されるものである。その中で、主体として、当局は地方公務員法第24条第3項をどう考えているのかを聞かせてほしい。いわれたらそのまま受け入れるというのは変だと思う。

県:制度上、個別の部分の議論は否定はしないが、当局が勧告についていい、悪いというものではない。

制度として勧告制度が設けられており、それは任命権者が都合よくやってはいけないということもあって制度として人事委員会をつくり、給与の妥当性について判断するという役割があり、それに基づいて勧告が行われている。

そのような法制度がある以上、勧告が出て、それを否定する要素がなければ、尊重して実施すべきものと考えている。

組合:勧告が出れば検証もせず、条例案をつくるだけなのか。当局には、そんな認識しかないのか。一旦出た勧告は検討しないのか。

県:勧告の内容をみた上で否定すべきものはないと考えているということである。

 

組合:本年の人事委員会勧告の評価に話が移ってしまっているが、組合は、昨年の確定交渉でもあったとおり、地方公務員法第24条第3項に国、他自治体、民間の3つの基準がある中で、同法が求めているものはこのようなもの、という当局の考えを聞きたいということである。

当局は主体として、地方公務員法から給与のあるべき姿はどう考えているかということを聞きたい。そのようなことは考えていなかった、ということか。

県:国、他自治体、民間の3つの基準の中で、どこがあるべき姿かということであれば、考え方はいろいろあるが、情勢を考えなくてはいけない。

今年の人事委員会勧告は地域民間に極めて近いがそれはやむを得ない。ただし、今後はずっと地域民間に合わせることをルール化するということではないと理解している。

組合:今年の人事委員会勧告の評価を聞いているのではない。

過去においては国に準拠していた。ただ当時、何が「国準拠」なのかは、指標もなくわからなかったが、それも政策的に行われていたともいえる。

国の指標ということであれば、あえていえばラスパイレス指数かと思うが、当局の理解としては、国、他自治体、民間の3つの基準の中であれば情勢次第、ということでいいか。

県:明確な形のものはまだないと思うが、それについて議論していくことは昨年の確定交渉でも合意したところである。

組合:当局としては、3つの指標の範囲内であればいいと考えているということなのかどうなのか。

当局としては協議していないというならしていないでもいいが、しかし、そうならそうできちんと回答してほしい。

県:県としても地方公務員法第24条第3項の趣旨として、正確には4つの指標、そのうち生計費はクリアしているので、残る国、他自治体、民間の3つの要素があると認識している。

先ほどから繰り返し議論しているとおり、この3つのバランスは悩ましい問題であるが、全国の民間給与に基づく国の給与と、全国より厳しい鳥取県の民間給与との間の幅がある。その中でどこにあるべき姿があるか、法の求めはそういうことと認識している。

国を上限として、地域民間との幅の中で、適切な水準を求めなさい、ということが法の趣旨と判断したものである。

組合:国、他自治体、民間の3つの要素のうち、他自治体については、他自治体の勧告が出揃った後、それに基づいて再勧告でもしない限りは反映のしようがないので、実質的には国と地域民間の間となり、今回の勧告はその点では違法ではない、ということはわかる。

あとは社会情勢の中で判断すべきものであり、その判断は人事委員会に委ねられているというのも一義的にはそうかもしれない。

では、県として、二義的な判断はどうなのか。

県:国と地域民間の間で、今年の情勢を踏まえて勧告されたものであり、否定する要素はないと判断している。

組合:主体としての話を聞きたいのである。主体として、地域民間あるいは国に合わせるか、その中間なのか。

昨年の確定交渉で職員課長は私見として、3つの指標のうち一つに偏ることには違和感があるという趣旨のことをいわれた。

今回、全く地域民間に合わせてしまうことは、法の趣旨から少し違うのではないか。

確かに、過去には全く国に合わせた時代もあった。しかし、昨年の確定交渉では、全く国に合わせることもおかしいと県も組合もいった。今回逆に、民間のみに合わせることもおかしいと思う。

人事委員会が判断したことも、人事委員会勧告を尊重すべきこともわかっている。しかし、率直に、違和感を持たないか。

県:職員の立場から見て厳しい勧告という認識はある。

法が予定する範囲、幅の中で、「適切なもの」というのは難しい面もあるが、より適切なものが求められるべきであるということは変わっていない。

職員の立場としては、最も、といってもいい、厳しい内容と考えているが、法の予定している範囲は超えてはいない、そういう内容と判断せざるを得ず、その意味で「違和感」という言葉は使わない。

何度も言うように、職員から見て厳しいとは思うが、法の予定を超えていない中で、従わないというものではないと判断している。

組合員:以前は、勧告がこの水準が適切という中で給与カットが行われたではないか。

県:今話をしているのは、職員の給与はどの水準が適切かということであり、給与カットはその一般ルールとは別の話ではないか。

組合員:給与カットの時は、県財政がその特殊要因であった。それでは、今回勧告が厳しく、職員の士気にも影響する、それは要因として何ら考慮されないのか。

県:職員の士気に対してプラス要因ではないし、厳しい内容であることも認識している。しかし、職員の士気が落ちるから勧告は受け入れない、ということはない。

 

組合員:勧告は尊重と言われるが、過去において、人事委員会勧告のとおり改定しなかった状況はないのか。

県:お尋ねになっているのが、かつて、社会、経済情勢を受けて勧告が凍結されたり、不施行となったりしたときのことだとすれば、確かにそのようなことはあった。ずいぶん前、昭和60年くらいか、バブル期前の、社会、経済情勢が非常に冷え込んだ時期、国全体で人勧凍結等も行われる中で県も、あるいは不当であったといえるかもしれないが、ときの勧告に沿わなかったという事実はある。

 

組合員:給与カットで、いわば勧告どおりにされなかったときには、それでも職員の疑問や不満に対し丁寧な対応があった。

それに対して、今年は勧告が出て、評価を聞けば「やむを得ない」で、「違和感」は使わないと、説明がアバウトである。

そもそも説明を求めても返ってこず、わからないのでは、士気はどうでもいいのかという気になる。

当局は、人事委員会に言われたとおりにやっています、組合が人事委員会と交渉すればよかったのに、と言っているようにしか聞こえない。

組合員:当局にも、主体的に考えてほしいということである。

組合:労使ともに考えるからこそこの場があるので、逆に「勧告どおり」というだけであればそもそも交渉は不要である。

職員にとって厳しい勧告という、そこが出なくてはそもそも交渉が進まない。先ほど、今年の勧告は法の範囲内ではあるが、今後はずっと地域民間に合わせるということではないので、議論をして、と言われたが、これから議論をして、というのではなく、今日の確定交渉の場から議論しなくてはいけない。

県:言われるとおり、基本としては勧告を受け入れるが、個別の内容についての交渉、議論は否定するものではない。具体的にあれば言ってもらいたい。

組合:当局に違和感がないのであれば交渉する中身がない。厳しい内容と言われたことと少し違うのではないか。受け入れる、ということと、尊重する、ということは違うのではないか。

「勧告は尊重すべき」ということは組合も同じである。しかし、内容に疑義があるということである。当局は今回の勧告に対し疑義がないのか、「ALL OK」なのか。

県:個別の議論は否定しない。

組合員:では、改善の余地はあるので、問題は感じている、ということでよいか。

県:問題があれば議論は否定しない、ということである。

 

組合:勧告に対する対応は、全否定と全肯定のみではない。今日は個別の議論はしないが、勧告の中におかしいと感じる部分はあるか。

県:県の基本姿勢は姿勢として、勧告の中身について検討すべき課題はあると思っている。

ただ、法の予定している範囲内で、職員の側からは厳しい勧告ではあるが、妥当性を欠き不適当であるとはいえないということである。

組合と議論して、詰めるべき課題はあると感じている。

組合員:3つの指標の範囲内ならいいというが、それらの指標のどれかに合えばいいということではないはずである。これまでも、「総合的に勘案」がどれだけされてきたか。

かつて、民間給与が国よりも高いときは国並みとされ、今度は民間給与が低いときは地域民間準拠というのが大まかな流れである。

しかし、当時は、国並みにすることが即ち他自治体とも揃い、また、国の給与は全国の民間も織り込み済みという「総合的」ということの理屈があった。

今回、地域民間のみに合わせることについては、そういった「総合」はなく、理屈が立たない。

かつて、当時民間より低かった国に合わせる際には、公務員の職務の等質性などの理屈もあり、一定の納得をしてきた経過があるが、今度は各地域でバラバラで納得されるだろうか。この県は厳しいから、で県民にも納得してもらえるだろうか。

県民も人の親であり、他自治体と比べても給与水準が下がって、やる気のある先生がよそへ流れてしまったり、先生のやる気が落ちるようなことがあれば困るではないか。

検討する、というがその課題はどこにあると考えているか。少なくとも、民間のみに合わせるという流れについては、おかしいと思う。

組合:勧告は「ALL OK」ではない、協議の部分はある、ということでよいか。

県:よい。

 

組合:病院局に聞きたい。看護師について、院内保育を設置していただいたことには感謝したい。しかし、その件について、昨年組合から要求があったときには、不要と回答があったのに、その後まもなく設置されたのはなぜか。

病院局:昨年の時点で不要と回答したのは、以前職員にアンケートを実施した際、聞き方によるのかもしれないが、あまり要望がなかったためである。しかし、この2、3月に試行してみると約8割の職員から希望があり、環境改善の一環として実施することとしたものである。

中央病院は建物が古いため場所的に不足し病後児等を中心に行っているが、厚生病院については普通の院内保育所としている。職員の要望も変わってきたのかと理解している。

組合:組合が必要と主張したものを不要と回答して急変というのは、あまりにもバカにした話ではないか。

病院局:院内保育所をつくるな、という主張ではないだろう。

組合:つくるな、ではなく、この際一言いったまでである。

看護師の確保は、その影響はひとり県庁にとどまらない重要な課題であるが、現在でも県立病院と民間病院で賃金の格差が大きい中、さらに△3.2%の引下げについてはどう考えているか。

病院局:病院局は企業であり、地方公務員法に加えて経営判断も必要となるが、経営は必ずしもよいとはいえない。一般会計から約20億円をいただいているところであり、給与を上げる、あるいは、知事部局と異なる独自の制度とするという理屈は出てこないものと、現時点では考えている。

組合:給与は下げる、ということか。

病院局:知事部局が下げるなら、勧告どおり下げる。

組合:大阪府の病院では、看護師200人を募集して、応募は3人であったと聞く。給与カットが響いているものと思う。

県立病院においても、看護師不足だけが原因ではないが、病棟閉鎖も実際にあるような現状である。また、看護師確保は地域医療上も影響の大きな課題である。その中で、賃下げを行うのはどうか。

病院局:給与の引下げを実施すれば、職員の士気は給与の面では下がるが、環境改善はだいぶ進んでおり、労使双方で話し合っていきたい。

組合:後は個別交渉、ということか。

病院局:確かに賃金が下がれば士気は下がるが、環境を改善し、職員の理解を求めていきたいと考えている。

組合:それで問題になっている若年看護師の退職は止まるか。

病院局:それは賃金だけの問題ではないと認識している。

 

組合員:教育委員会は今年の勧告をどう評価しているのか。

教育委員会:個別交渉でも回答したとおり、教育委員会としては人材確保の問題等について、人事委員会へも配慮を頼んだのに、という思いは正直なところある。

しかし、その上で出された勧告であり、出たからには尊重すべきものと考える。人材確保については、別途必要なことは考えていきたい。

組合:個別については、協議すべき課題はある、という認識はあるか。

教育委員会:一般的には、人材確保の枠を踏み外さないようにという認識はある。

組合:知事部局に対しても、水準も含めて、ものを言っていく、ということでよいか。

教育委員会:必要なものについては、ということである。

組合:個別の課題については、別途折衝することとしたい。

 

【「わたり」廃止に伴う経過措置により民間と比較して県職員給与が高くなっていることについて】

組合:本県は、他県と異なり、主任・主査制度を独自に見直してきた。これは、県が労使で、見直さなくてはということで独自に踏み込んで修正をかけたものであり、組合員も、いわば血を流しながら協力してきた。ところが、その「わたり」廃止に伴う経過措置額まで公民比較の計算に算入して、それで地域民間との較差があるからその分も給与を引下げというのはあまりに酷いのではないか。

組合:我々も民間の労組とも交流はあるが、このようなことは民間ではあり得ないと思う。民間企業にも賃下げもあれば、経過措置のようなものもあり得るが、そのようなものは特例として比較から外すのが一般的である。そうでなくては、今後、構造改革などできなくなるのではないか。

主任・主査制度の廃止については社会的にも批判があり、苦しいが労使で画期的なところに踏み込んだ。それを、いわば「なし」にして、経過措置を受けていない人も含めて、経過措置に必要な原資を取れ、と言っているとしか思えない。

県:「わたり」を見直したこと、それに伴い激変緩和のため経過措置を実施していることは事実である。本年の勧告の基となった給与比較の際、県職員の給与にその経過措置額が含まれていることも事実である。また、この「わたり」廃止に伴う経過措置額と、平成18年4月の給与構造改革に伴う現給保障額を算入しない場合の「制度値」は今年の地域民間給与より低いことも事実である。

しかし、「いずれは下がるものだから」とうことで、公民較差はあるが経過措置額分などについては引下げは実施しない、というのも一つの考え方かもしれないが、実際の支給額を比較するのも一つの考え方であり、どちらが正しいというものではない。

職員の立場からは厳しい内容ではあるが、経過措置額分なども含めた形で公民比較を行い、較差分の引下げを行うべきというのが勧告の判断であり、比較方法としておかしいものとは考えていない。

組合:「わたり」の整理時には、組合も組合員に対して、職位の見直しも並行して行われるので、がんばって仕事をすれば評価される、だから一律に昇級することはやめようと説得してきた。それが、2年経ってみればこの勧告である。

「わたり」廃止に伴い給料が下がる職員の経過措置(段階的保障)を県職員の給与に算入して公民比較を行い、公民較差分△3.5%給料を下げるということは、経過措置額と、経過措置を受けていない職員の給料との間で、いわば「バーター」がおきているということである。

「わたり」廃止に伴い給料が下がる職員について、当時県議会からは現給をそのまま保障してはとの声もあったが、それでは不公平感が生じるということで現在のように段階的に解消する経過措置を設けたものである。その際、その財源を他に求めるなどという話はなかった。

県:経過措置額が給与に含まれていることは現実であり、それは含めた上で公民較差を引き下げるという考え方である。

組合:それは当局の考え方か。

県:勧告の考え方である。確かに、経過措置額は比較計算から除外して、いずれ下がるものだからという考え方も否定はしないが、実際の給与に基づき比較という考え方もあるので、どちらがいい、悪いではない。職員には厳しいが、人事委員会として判断し、それに基づいて勧告されたものは、当局としては受け止めて尊重するということである。

組合:主任・主査制度見直しの協議の際、他から財源を求めるという意識はあったか。

県:「財源」という意味がわからないが、そのような意識はなかったし、今日もない。何かに財源が必要だから△3.5%引下げという勧告ではない。そのような理解はしていない。

組合:今回の勧告を突き詰めればそういうことではないか。「財源」といういい方に違和感があるのであればいい方を変える。

主任・主査制度という長年のルールを見直すには、労使で相当努力し、組合員にもいわば「血を流す」ことを求めてきた。そのことはどう評価しているのか。

県:「わたり」の見直しは大きな難関であった。それを労使で協議を尽くし、痛みを伴う職員もいる中で始めることができた。そして「わたり」後の新しい給与体系、職務体系に現在取り組んでいるところである。

当時、「わたり」見直しの結果として、いきなりかなり給料が引き下げとなる職員も予想されたことから、激変緩和措置を入れるべきであると提案し、組合の理解も得て、今のような姿となっている。職員には、「わたり」見直しへの協力、また、それによる環境変化の中、がんばっていただいていると評価している。

組合:「わたり」見直しに踏み切らなければ、今回ここまでの較差は生じなかった。組合としては、人事委員会もそのような事情も評価して、経過措置額については公民比較の計算から外すべきだと考えていたが、そのようなことは起こらなかった。

しかし、一緒に「わたり」見直しをやってきた県にまで「なかったことに」というのはやめてほしい。この場で配慮を求めておく。

県:あえていえば、現業職の給与制度の見直しもそうであった。

ただ、一つ考え方が違うのは、人事委員会の判断として、月例給の公民較差分△3.2%を解消するために給料表を△3.5%減額改定する、そこで一律に減額改定を行うことについては今後議論があるかもしれないが、下げるべきと判断された、そのときに保障はどうするのかということである。

過去のルールだから一切手を付けないという方法もある。一方で、過去のルールであっても、保障は影響を受けないというのが果たして公平か、という問題もある。

保障措置を否定するものではないが、△3.5%のベースダウンの影響は等しく受けていただく方策をとるべきとの勧告を受け止めるものであり、決して保障を否定するものではない。

組合:保障を否定しているかどうかの議論にはあまり意味はないと思う。

しかし、苦しい思いをして主任・主査制度を見直したという労使の成果を適切に受け止めてほしいということは強く伝えておく。これを受け止める認識はあるか。

県:交渉代表者の一人として、その認識はある。

組合:細かい話は、次回交渉までに詰めることとしたい。

 

【全体一律の引下げついて)】

組合:地域民間給与に合わせるという仮の前提で、給料表の職務の級別に公民較差を見ると、行政職の1、2級では殆ど較差はない。それに今回△3.5%をかけて、民間給与より低い水準まで下げるというのはどうか。

県の給料表内部では他の級と較差があり、地域民間給与とは較差がない級について、当局も認識しているということでよいか。

 

組合員:話が戻るが、「わたり」廃止に伴う経過措置額や、平成18年4月の給与構造改革に伴う現給保障額は将来的にはなくなるものだから公民比較の計算に算入しても、算入しなくてもいい、ということであるが、昨年は逆の話があった。

一時金(ボーナス)については、勤務実績に応じた較差支給の結果、実際には4.05月分も支給されていないにもかかわらず、いずれ使うだろう、ということで公民比較は4.05月で行われているが、これはどうなっているのか。

いわば物差しが二つある。月例給は、いずれなくなる経過措置額であっても、実際に支給した額で公民比較が行われ、一時金は、いずれ支給されるだろう、ということで、実際には支給されていない4.05月で公民比較が行われている。

一時金の実支給額は4.05月もない。なぜ賃金の比較方法の物差しが二つあるのか。整合性がないのではないか。

県:複数の話が錯綜しているのではないか。

組合員:物差しが2種類あることに違和感はないのか。

県:物差しが2種類であること自体には違和感はない。勤勉手当が、上限枠いっぱいまで支給されていない、というのはまた別の話だと思う。

組合員:一時金について、「将来は支給するだろう」ということで制度値である4.05月を物差しとするのであれば、月例給も同じく段階的に廃止される経過措置額を除いた制度値を物差しとして公民比較を行えばよいではないか。

組合:一時金については、国もこれから較差支給を行うという前提で基準率を決めているという状況である。

組合員:物差しが2種類あるのはいいが、その時々でどちらでも都合のいい方でいい、というのでは困る。

県:このことについてあまり議論する気はないが、知事部局については、勤勉手当は上限枠いっぱいまで支給したいとして、そのための仕組みを考えようと、組合にもずっと提案してきているところである。勤勉手当については、むしろ教育委員会の問題ではないか。

組合:それは違う。数字の出し方の問題である。

県:数字の出し方が二つあることは事実である。しかし、勤勉手当の支給で上限枠と実支給額に差が生じているという問題については、各任命権者との個別交渉で行うべきものではないか。

組合:勤勉手当の具体のやり方ということであれば、当局のいうとおりであろう。しかし今は、人事委員会の判断で公民比較に使用する物差しが違っているということ、また、月例給と特別給の公民比較で、比較時期のタイムラグがあるということである。

較差支給ができないため、全職員に一律に基準支給率分を支給している自治体が圧倒的に多い。極端に言えば真面目に較差支給を行っているのは本県くらいである。

一時金の公民比較については、いわば「先食い」で、実際には支給できていない分も上乗せしているということは根本の話であり、教育委員会で個別にという話とは違う。

上限枠との差をどう埋めるかという話であれば教育委員会で個別にという話である。

組合:数字の出し方の議論は、教育委員会で個別に行うようなものではないだろうということである。

県:数字の出し方の議論を、教育委員会で個別に行うべきだと言ったつもりはない。

組合:「物差しが2種類」の議論はわかりにくいと思うので、後ほど組合員にも説明することとしたい。

 

組合:山形県や岩手県では、本県と同様に公民比較で逆較差が生じているが、それは平成18年4月の給与構造改革に伴う現給保障額によるものであり、今後終息の方向に向かうものであることを理由として給料表の据置きが勧告されている。

本県は、いわば両県以上に血を流して、他の自治体は行っていないような見直しを行った結果として大きな公民較差が生じてしまったもの。知事も含めて、当局にはこの労使の努力を適切に捉えて臨んでほしい。この点を受け止めていただいて、今後の議論に移ることとしたい。

 

【勤務時間の短縮に伴う時間外単価算出方法の改正について】

組合:勤務時間短縮に伴い、時間外単価の計算式の分母から祝祭日、年末年始を除くという勧告がなされている。解釈が難しい面もあり、労働基準法上、そのようなことはできないのではないかと思う。勧告が、具体的にどのような計算方法を想定しているかは確認したか。

県:問題点もあるが、勧告の趣旨は人事委員会とも話をして、検討したいと考えている。

組合:具体的な趣旨はまだ確認していないということか。

県:人事委員会から説明は受けているが、検討は行いたいということである。

組合:それでは、現在説明を受けているとおりの制度であれば、それについてはどう考えるのか。

県:法律上、全く疑義がないとは必ずしもいえない面もあるので、確認の上検討したいと考えている。

組合:例えば土木では労働基準監督署の管轄に係る所属もあるが、労働基準監督署に確認したところ、そのようなことはできないとの意見であったということは伝えておく。

組合:病院局、企業局については、労働基準法は完全適用である。

 

【勤務時間の短縮と給与の引下げの実施時期について】

組合:勤務時間について、勧告を尊重ということであれば、勤務時間を15分短縮したいということでよいか。

県:よい。

組合:実施時期はいつからと考えているか。

県:勧告どおり、来年4月からと考えている。

組合:給与の引下げについては、実施時期はいつからと考えているか。

県:勧告では公布の翌月からとなっていることから、11月議会で議決いただき、来年1月から実施したいと考えている。

組合:当局の主張は、給与の引下げと勤務時間の短縮で3月のタイムラグがあるということか。それはなぜか。

組合:給与について、通常は、4月に遡ることはやめ、将来に向けて1年ということで、明確なルールではないが大体そうしてきたという経緯はある。しかし、なぜ給与と勤務時間が連動しないのか。単純に不思議である。

県:県職員の給与と勤務時間については、今回はともに一つの勧告に含まれているが、本来セットとは認識していない。それぞれについて、人事委員会において検討し、勧告されたものである。

組合:勤務時間も県内民間に合わせ、給与も県内民間に合わせるというのに、なぜそれが同時にできないのか。

県:逆に、セットでなくてはならないものではないと思う。実施時期に3月の差が生じることは事実であるが、給与は4月に遡及しないで実施するというものであり、議決後に実施と考えているのに対し、勤務時間は来年4月からというのは、国の人事院勧告を受けてのものだと思う。

セットでなくてはならないもの、ではなく、別のものということだと考えている。

組合:同時に実施でないことに、素朴に違和感はないか。1月に給与を3%引き下げて、3月経ったら(勤務時間短縮により)相対的に給与が3%上がった、などということはあまりないことではないか。

基本は時間を用いて勤務のルールとして、労働対価である給与の支給を受けている。勤務時間と給与の変更はリンクするものと言っておく。

組合:だから、半日勤務の人は給与も半分なのではないか。非常勤職員もそうであり、勤務時間に応じて給与を受けているはずである。

 

【時間外勤務の縮減について】

組合:平井知事になって、時間外勤務は増えている。組合としても知事と意見交換は行っているが、当局としても思いやジレンマ、取組みにもかかわらず、しかし勤務時間は長くなっているという認識は知事に伝えているか。

県:趣旨はきちんと伝わっている。

組合:無理、無駄を省いて、ワーク・ライフ・バランスの推進を、といいながら、足下は逆の方向となっていることを知事にきちんと話しているか。

県:時間外勤務の重要性は、健康においても、家庭や社会においても大きく、縮減しなくてはと認識している。

組合:具体論はあるのか。時間外勤務の多い職員のいる所属などに個別に当たるしかないのか。

県:所属に対する個別の指導や目標の設定、確認などは既に実施している。ただ、他には何もしないということではなく、引き続き検討し、取組みを行っていきたい。

組合:取組みを行っても時間外勤務が増えているという実情はどう理解しているか。

県:事実として時間外勤務の時間数が増えているということは間違いない。

組合:H20年度上半期のデータはもう出しているか。

県:出している。全体では、対前年比で少し増えている。

ただ、前年同月と比較して、年度当初は前年より増えていたが、その後は前年に比べ低下傾向にある。全体ではまだ少し多いという状況である。

組合:通年では前年より減る見込みということか。

県:取組みが続けば減る見込みであり、また、実際に減るように取り組んでいきたい。

組合:個別の話はできないが、時間外勤務が続けばダメージを受ける。そのような状況が5年目と、10年目では量が違うので、それが真性鬱などメンタルに繋がる部分もある。

時間外勤務に対する認識はあるが、効果的な対処法がなく悩んでいる、という状況は労使共通の課題であり、引き続き当局とも協議していきたい。

 

【職場環境の改善について】

組合:コミュニケーションについては、お互いに強い思いを持っていることは承知している。しかし、それにもかかわらずなぜそのようにならないのか。本人を考慮して、交渉の場では話せないようなこともあり、今後各任命権者ごとに引き続き話をしていくということを確認したい。

 

【福利厚生について】

組合:福利厚生については、公務員だけがいい目を見る、などということにはならないだろうが、近年民間では強まっており、しかも当局の回答にあるセクハラ防止等とは他に、保養所などがそのいわば「目玉」となっている。

知事部局にもかつては久松閣があったがなくなった。民間ではグループで代理店に福利厚生を委託するようなことも増えているが、職員のリフレッシュに関わる福利厚生の考えはないか。

県:福利厚生には様々なやりかたがあると考えている。確かに久松閣はなくなったが、それで福利厚生は終わり、ということではないので、考えていかなくてはならないと認識している。

組合:かつては、直接県費で職員の福利厚生を図るということが困難であったため、よくも悪しくも共済や互助会を通じてそれらを図る、ということもあった。

しかし、公益法人制度改革により、共済や互助会は保険も貸付けもできなくなる。5年後には、確実に崩壊する。いわば待ったなしである。県費で直接払わざるを得ない時代が目前に来ており、十分時間のあるうちから考えておく必要がある。

組合:セクハラ防止や分煙対策の必要性は理解しているが、職員のリフレッシュという問題も重要である。

また、リフレッシュは機会も限られ、本人の意欲に左右される面もあるので、職員がその気になるような働きかけも何か考えてほしい。働きかけが韓国旅行だけでは十分とはいえない。

 

【まとめ】

組合:地方公務員法第24条の解釈については、当局と組合で大きな開きがあることはわかった。

組合としては、国、他自治体、民間の3つの指標からもっと等距離の水準を探し出すことが法の本来の趣旨と考えている。裁量権があることも否定はしないが、自由に裁量ということとは違うことに理解を求めたい。

 

組合:本年の公民較差について、その大きな原因は主任・主査制度の見直しとそれによる経過措置額であることがわかった。思い切って、他自治体にはない第一歩を踏み出したことに対する評価を見せてほしい。

 

組合:県職員の給与について、各級の間、また、職員の間で民間均衡のアンバランスがあること、行政職では、6級以上に大きな較差があることがわかった。まずそれを調整すべきではないか。

 

組合:個別の課題や、問題点については、すりあわせも含め今後折衝の中で整理し、今後確定交渉を進めさせてほしい。

県:今回の意見を踏まえ、引き続き交渉、協議していきたい。

組合:当局の対応を期待して、本日は終わりとしたい。

 

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