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平成16年度交渉経過

○平成16年10月28日(木)
  県(職員課)から県職員労働組合、県現業公企職員労働組合に対して別紙のとおり見直し案を提示
    県の説明、応答等      組合の主張等
・三位一体改革の進行による交付税の大幅減少により県財政は非常に深刻な状況である。公共事業等の大幅削減などにより歳出抑制に努めているが、基金残高も大幅に減少している。そのような中でも教育や福祉、雇用対策などの施策の維持・充実は必要であり、職員が県民と痛みを共有して県財政を支えていく観点から、給与抑制を提案し、お願いするものである。

・今回の提案は、本年度末まで実施している現行の給与抑制措置とは別ものと考えており、あくまで新たな措置として提案するものである。

・カット率は、県財政の状況や他県の給与抑制状況などの諸情勢を総合勘案して決めたものであり、数字の積み上げによるものではない。

・財政的な理由であることなどから、組合側の意向にもよるが、個別課題を除き、今後も教育委員会(教組)も含めた合同交渉の形態で進めてはどうかと考えている。

・ニューディール政策の成果は、毎年度、予算編成作業の中で検証を行っている。








 
・知事は、先の県議会などでニューディール政策を来年度以降も継続するために給与カットも継続する必要があると誤解されるような発言をしている。忘れている訳ではないと思うが、3年間の給与カット財源を6年間活用する仕組みが現行の約束である。知事にはこれまでの発言を訂正し、現行の給与カットは約束どおり間違いなく本年度末で終わることを明言して欲しい。
・カット率の考え方、率を傾斜設定する理由などの説明が説明になっていない。もっと組合員に理解できるように整理して提案すべきである。現行のカット率と同じという安易な考え方は認められない。
・歳出削減など予算での努力はある程度理解できるが、なぜ給与カットが必要なのか、県財政が今後努力しても本当にどうにもならない状況なのかどうか、県財政の現状と今後をきちんと整理して納得できるように説明して欲しい。
・3年間の実施というが、現状では3年後に財政が好転する可能性は少なく、財政を理由にするのなら終わりの見えない提案となる。極めて無責任な提案ではないか。
・ニューディール政策の成果の検証が行われていないのではないか。
・知事は、記者会見などで県職員の給与が民間より高いのではないかといったような発言をしている。このままでは、県民から県職員の給与水準は高いからカットしてもよいのだと理解されかねないので、知事の発言をそのままにして今回の提案を受け止めることはできない。今回の提案の中には、給与水準の問題が要素として入っているのかどうか明確にして欲しい。
 
 
  
 
 
(別紙)
      平成17年度以降の給与抑制措置について
                                        職員課
 
1 給与抑制措置の実施を必要とする理由
 ○三位一体改革の進行により県財政は厳しさを増しており、非常に深刻な状況。
  また、先行きも不透明であり、これに対応できる財政運営が必要。
 ・交付税の大幅な減少などにより歳入が不足
 ・公共事業等普通建設事業費などの大幅な削減により歳出総額を抑制
 ・基金の取り崩しにより対応しているが、基金残高も大幅に減少
 ○教育・福祉、雇用対策など県民の生活に直結する分野の施策の維持・充実は必要
 ○県職員が県民と痛みを共有し県財政を支えていく観点から、平成17年度以降についても県職員の給与抑制を実施したい。
 
2 給与抑制の方法
 ○期間:平成17~19年度の3年間
 ○抑制率:知事・副知事・出納長7%、部長級6%、一般5%、
      ただし、行政職2級5号給(大卒経年3年)以下相当は4%
 ○抑制対象:給料(調整額含む)、期末・勤勉手当、管理職手当、調整手当
 ○抑制総額:38億円×3年=114億円
 
3 財政状況
(1)歳入の状況(決算額)              (単位:億円) (参考)

 
区分 10年度 15年度  差引
地方交付税  1,527  1,342 △185(△12%)
16年度予算額
 1,269






 
   ※ピーク時:12年度1,726億円→15年度差引△384億円(△22%)
区分 10年度 15年度   差引
基金残高  1,084   724 △360(△33%)
県債残高  4,625  5,924  1,299(28%)
16年度末見込
   580
 6,040


 


 
   

※県債残高はNTT債を除く
 
(2)歳出の状況(決算額)              (単位:億円)
区分 10年度 15年度 差引
歳出総額

(公債費を除く)

 4,218
 

 3,461
 

△757(△18%)
 
公共事業などの普通建設事業費
 1,777

 

 1,160

 

△617(△35%)

 
職員給与費   828   757 △ 71(△ 9%)
    
    
    
   




 
 ※職員給与費は給料及び退職手当を除く諸手当の額の合計
 
(3)公共事業の歳出の状況(2月補正後予算額)   (単位:億円)
区分 10年度 15年度 差引
公共事業費  1,620   878 △742(△46%)
    
 
 
 
○平成16年10月28日(木)
 県(職員課)から県職員労働組合、県現業公企職員労働組合に対し、平成17年度以降の給与抑制措置について別紙のとおり提示
 
平成17年度以降の給与抑制措置に関する職員組合への提示(概要)
 
○日時   平成16年10月28日(木)9時~10時
○場所   県職労本部(分室:本庁舎地階)
○出席者  県職労:片山執行委員長、藤縄副執行委員長、山中書記長
      現企労:青木副執行委員長、上田書記長
      県教組:寺谷書記長  高教組:秋藤書記長
      職員課:西山課長、伊澤給与管理室長、西村副主幹
      企業局総務課:山田課長補佐
      教委教育総務課:福本課長、山添主幹
○概要  
*県側から「平成17年度以降の給与抑制措置について」(別紙)を提示
<県側の主な説明、応答等>
 ・三位一体改革の進行による交付税の大幅減少により県財政は非常に深刻な状況である。公共事業等の大幅削減などにより歳出抑制に努めているが、基金残高も大幅に減少している。そのような中でも教育や福祉、雇用対策などの施策の維持・充実は必要であり、職員が県民と痛みを共有して県財政を支えていく観点から、給与抑制を提案し、お願いするものである。
 ・今回の提案は、本年度末まで実施している現行の給与抑制措置とは別ものと考えており、あくまで新たな措置として提案するものである。
 ・カット率は、県財政の状況や他県の給与抑制状況などの諸情勢を総合勘案して決めたものであり、数字の積み上げによるものではない。
 ・財政的な理由であることなどから、組合側の意向にもよるが、個別課題を除き、今後も教育委員会(教組)も含めた合同交渉の形態で進めてはどうかと考えている。
 ・ニューディール政策の成果は、毎年度、予算編成作業の中で検証を行っている。
 
*組合側の反応<主な主張等>
 ・知事は、先の県議会などでニューディール政策を来年度以降も継続するために給与カットも継続する必要があると誤解されるような発言をしている。忘れている訳ではないと思うが、3年間の給与カット財源を6年間活用する仕組みが現行の約束である。知事には、これまでの発言を訂正し、現行の給与カットは約束どおり間違いなく本年度末で終わることを明言して欲しい。
 ・カット率の考え方、率を傾斜設定する理由などの説明が説明になっていない。もっと組合員に理解できるように整理して提案すべきである。現行のカット率と同じという安易な考え方は認められない。
 ・歳出削減など予算での努力はある程度理解できるが、なぜ給与カットが必要なのか、県財政が今後努力しても本当にどうにもならない状況なのかどうか、県財政の現状と今後をきちんと整理して納得できるように説明して欲しい。
 ・3年間の実施というが、現状では3年後に財政が好転する可能性は少なく、財政を理由にするのなら終わりの見えない提案となる。極めて無責任な提案ではないか。
 ・ニューディール政策の成果の検証が行われていないのではないか。
 ・知事は、記者会見などで県職員の給与が民間より高いのではないかといったような発言をしている。このままでは、県民から県職員の給与水準は高いからカットしてもよいのだと理解されかねないので、知事の発言をそのままにして今回の提案を受け止めることはできない。今回の提案の中には、給与水準の問題が要素として入っているのかどうか明確にして欲しい。
 
平成17年度以降の給与抑制措置について
                                        職員課
 
1 給与抑制措置の実施を必要とする理由
 ○三位一体改革の進行により県財政は厳しさを増しており、非常に深刻な状況。
  また、先行きも不透明であり、これに対応できる財政運営が必要。
 ・交付税の大幅な減少などにより歳入が不足
 ・公共事業等普通建設事業費などの大幅な削減により歳出総額を抑制
 ・基金の取り崩しにより対応しているが、基金残高も大幅に減少
 ○教育・福祉、雇用対策など県民の生活に直結する分野の施策の維持・充実は必要
 ○県職員が県民と痛みを共有し県財政を支えていく観点から、平成17年度以降についても県職員の給与抑制を実施したい。
 
2 給与抑制の方法
 ○期間:平成17~19年度の3年間
 ○抑制率:知事・副知事・出納長7%、部長級6%、一般5%、
      ただし、行政職2級5号給(大卒経年3年)以下相当は4%
 ○抑制対象:給料(調整額含む)、期末・勤勉手当、管理職手当、調整手当
 ○抑制総額:38億円×3年=114億円
 
3 財政状況
(1)歳入の状況(決算額)              (単位:億円) (参考)
区分 10年度 15年度  差引
地方交付税  1,527  1,342 △185(△12%)

 

 
16年度予算額
 1,269


※ピーク時:12年度1,726億円→15年度差引△384億円(△22%)
区分 10年度 15年度  差引
基金残高  1,084   724 △360(△33%)
県債残高  4,625  5,924  1,299(28%)
16年度末見込
   580
 6,040


 


 
 ※県債残高はNTT債を除く
 
(2)歳出の状況(決算額)              (単位:億円)








 
区分 10年度 15年度 差引
歳出総額

(公債費を除く)

 4,218
 

 3,461
 

△757(△18%)
 
公共事業などの普

通建設事業費

 1,777

 

 1,160

 

△617(△35%)

 
職員給与費   828   757 △ 71(△ 9%)
    
    
    
   




 
   ※職員給与費は給料及び退職手当を除く諸手当の額の合計
 
(3)公共事業の歳出の状況(2月補正後予算額)   (単位:億円)

 
区分 10年度 15年度  差引
公共事業費  1,620   878 △742(△46%)
    
 
 
 
(資料)鳥取県版「雇用のためのニューディール政策」の実績・成果
 
 
   
○平成16年11月16日(火)
  県(総務部長等)と県職員労働組合、県現業公企職員労働組合等との交渉の概要(別紙:説明資料)
 
平成17年度以降の給与抑制措置に関する組合交渉の概要
<第1回総務部長交渉>
 
○日時  平成16年11月16日(火)13時30分~17時15分
○場所  第23会議室(第2庁舎7階)
○出席者 知事部局:瀧山総務部長、広瀬次長、柴田参事監、伊澤給与管理室長 、広瀬課長補佐、西村副主幹、斉藤主任
     教育委員会:林次長、福本教育総務課長、山添主幹
     病院局:加藤局長、國米課長補佐
     企業局:川口次長、山田課長補佐
      県職労:片山執行委員長、藤縄副執行委員長、山中書記長
     現企労:有本執行委員長、青木副執行委員長、蔦原副執行委員長
         谷本副執行委員長、上田書記長
     県教組:秋久執行委員長、寺谷書記長
     高教組:谷口執行委員長、秋藤書記長
     高校現業労組:大本書記長、山崎行委員      他全16人
<概要>
○県の主張等
 ・三位一体改革の進行により、本県の平成16年度の交付税と臨時財政対策債の総額は、前年度に比べ約170億円削減された。また、今後2年間で全国で7~8兆円削減との財務省の発言もあり、それが現実のものとなると本県ではさら約450億円の削減が見込まれる。本県の一般財源の規模は約2,000億円であり、いずれにしても非常に厳しい状況で、また、いつまでこのような状況が続くのかも誰にもわからない。
 ・平成15年度の最終予算では公共事業が5年前の約半分となるなど歳出抑制に取り組んでいるが、用・教育・福祉など実施しなければならない施策もあり、限界である。
 ・基金の取り崩しと繰越金があるから予算が組めている状況であるが、基金も繰越金も年々減少している。県財政の立て直しのために、来年度から3年間、一般で5%、若年層で4%のカットをお願いしたい。
 ・ニューディール政策のための給与カットは今年度までで、施策は平成19年度まで継続する。今回の提案は、財政再建のために給与カットをお願いするものでニューディール政策のための給与カットとは別なものである。
 ・知事は、県財政が一層厳しくなる中で、ニューディール施策を含めて必要な施策を実施、継続するためにも、新たな財源確保策が必要であるとの認識を示したもの。
 ・今回の給与カットは、あくまで財政再建のための提案であり、県職員の給料水準とは直接関係ない。県職員の給与水準の問題は、まずは人事委員会が検討されるべきものと思う。
○組合の主張等
 ・9月定例県議会において、知事は、30人学級を継続するためには、給与カットを続けなければならないという意味の答弁をしているが、現行のニューディール政策は、平成14~16年度の3年間給与カットし、それを平成14~19年度の6年間雇用施策の財源に充てるという約束で合意したものであり、職員は、知事が約束を忘れてしまったのではないかと不信感を持っている。
 ・一般財源の一部として、金に色がついていないことは承知しているが、組合としては、現行の給与カットにより確保した財源はあと約半分残っていると認識している。
 ・知事は、議会答弁やマスコミに対して公務員の給料は高いと言っているが、高いから給料をカットしてもよいといった雰囲気を作ろうとしているような意図に見える。
 ・まずは、知事発言について、組合員が納得できる説明をするよう要望する。そうでなければ、17年度以降について議論に入れない。
 ・3年間の給与カットということであるが、3年後の県の財政状況は予想できないのであれば、キリがないのではないか。
 ・給与カットには合理的な理由が必要であり、単に5%が相場感とだけ説明されても職員は生身の人間であり納得しようにもできない、財政難と言うだけではイメージが描けない。5%給与カットにより県財政がどう改善するのか、一般の組合員にもよく理解できる説明と資料を求める。
 
平成17年度以降の給与抑制措置に関する基本的な考え方について
 
                                鳥取県知事 片山善博
 
○平成17年度以降の給与抑制措置の提案と現行のニューディール政策との関係
 今回、職員組合に提案している平成17年度以降の給与抑制措置は、国の三位一体改革による交付税の大幅な減少などにより、県財政が非常に深刻な状況であり、また、今後もさらに財政状況の悪化が予想されることから、県財政の再建を図ることを目的に新たな措置として提案したものです。
 なお、現行のニューディール政策は、本年度末までの3年間の給与抑制措置とこれにより生ずる財源による平成19年度末までの6年間の雇用創出施策の実施を条例で定めています。したがって、議会の議決を経て条例を改正しない限りその仕組みを変えることはできませんし、また、現時点ではその仕組みを変える考えもありません。
 しかし、公共事業をおよそ半減するなど大幅な歳出抑制に努めているものの、基金残高も大幅に減少していること、さらに加えて、現行のニューディール政策を始める時点では予想できなかった交付税の大幅減額といった不測事態の中で、県財政は極めて困難な状況を迎えています。このような中にあっても、教育や福祉、雇用対策など県民が必要とする施策の維持、充実に努力しなければなりません。しかし、もし仮に県財政全体が大きく傾けば、その他の施策と同様に、ニューディール政策といえども、場合によってはその維持が困難とならざるを得ないことも現実の問題として想定しなければなりません。
 そのような事態に陥らないためにも、より一層の歳出抑制を図ることは当然のことですが、そのことはどのような形であれ県民の痛みを伴うものです。このような状況を是非とも職員の皆さんに理解していただき、その他の歳出抑制と併せて、給与費についても抑制を行うことで財源確保に努めることが必要だと考えています。
 
○公務員の給与水準の問題
 当然のことながら、県職員の給与は納税者である県民の理解と支持が得られるものでなければなりません。しかし、現実には地方公務員の給与は地域の民間に比べて高いのではないかとの声も多く、そのことは謙虚に受け止める必要があると考えています。
 県職員の給与水準が適当かどうかについては、地方公務員法により人事委員会が民間の状況などについて調査と研究を行う制度となっており、まずは人事委員会において十分に検討していただく必要があります。去る10月8日に人事委員会から給与に関する報告を受けた際に聞いたところでは、「従来の調査では県内の民間労働者の約38%程度しか調査対象となっていない」とのことであり、それで本当に県民の理解が得られるのかどうか疑問を感じたことから、調査対象のカバー率をもっと上げる必要があるのではないかと人事委員会の委員さんに提言したところです。
 今回の提案は、あくまで財政再建を目的とした給与の抑制措置を実施することであり、給与水準の問題を理由とするものではありませんが、県民の納得性という観点は非常に重要であると認識しており、現在、既に提案している様々な見直しも含めて、今後とも必要な見直しを進めていくことが必要だと考えています。
 
  
 
○平成16年11月25日(木)
  県(総務部長等)と県職員労働組合、県現業公企職員労働組合等との交渉の概要
 
平成17年度以降の給与抑制措置に関する組合交渉の概要
<第2回総務部長交渉>
 
○日時  平成16年11月25日(木)13時30分~15時15分
○場所  第22会議室(第2庁舎8階)
○出席者 知事部局:瀧山総務部長、柴田参事監、伊澤給与管理室長、広瀬課長補佐 、西村副主幹、斉藤主任
     教育委員会:林次長、福本教育総務課長、山添主幹
     病院局:加藤局長、大口課長
     企業局:川口次長、山田課長補佐
 
      県職労:片山執行委員長、藤縄副執行委員長、山中書記長
     現企労:有本執行委員長、上田書記長、井上書記次長
     県教組:中野副執行委員長
     高教組:谷口執行委員長、秋藤書記長
     高校現業労組:大本書記長         他全14人
<概要>
○県の主張等
・現在のような厳しい財政状況となったのは、政府が景気対策のために、地方に起債(借金)して事業をしなさい、基金を積む位なら起債(借金)して事業をしなさいと奨励し、借金は後で国が返すからと約束したにもかかわらず、その約束を果たしていないことにある。安易に話に乗った地方に全く責任が無いとは言わないが、責任が国にあることは明らかで、その責任問題に関しては、ご存じのとおり現在国を追及しているところである。
 ・仮に今後3年間給与カットをし、その後の財政の見通しと言われても、現在の地方財政計画等が不透明の状態で、先の見通しを作ることはできない。そのためにも、当面、地方財政改革が終わり、ある程度見通しが立つであろう平成19年度までの3年間、給与カットをお願いしたいということである。
 ・財政が厳しい状況となった経緯、原因等について、整理して説明したい。
○組合の主張等
・総務部長に言っても仕方ないが、今回の給与カットの提案は財政再建のためのものであり、ニューディール政策のための給与カットとは別なものであること。また、県職員の給料水準とは直接関係ないことを、知事は議会やマスコミに対し何故きちっと説明しなかったのかという思いである。
・給与カットの理由が、国に騙されたからという言い方では、職員にとっては酷であり、一義的には県の責任もある。また、おそらく財政状況がもっと悪化しているであろう3年後の見通しが全く立たない状況で、当面3年間カットと言われても、生身の人間なら不安でしょうがない。これらの職員の感情を踏まえ、次の3点について整理して説明し、職員の理解を得るよう努力をしてほしい。
  (1)何故このような財政状況になったのかについて、これまでの経緯と原因
  (2)5%カットの入り口の考え方と3年間で終わるという先の見通し
    (3)人事委員会勧告による適正な水準の賃金をカットする根拠(勧告制度との整合性を含めて)
 
   
○平成16年11月25日(木)
  県(総務部長等)と県職員労働組合、県現業公企職員労働組合等との交渉の概要(別紙:説明資料)
 
平成17年度以降の給与抑制措置に関する組合交渉の概要
<第3回総務部長交渉>
○日時  平成16年12月21日(火)10時30分~12時30分
○場所  第23会議室(第2庁舎7階)
○出席者 知事部局:瀧山総務部長、廣瀬次長、柴田参事監、伊澤給与管理室長、広瀬課長補佐、西村副主幹
     教育委員会:林次長、福本教育総務課長、山添主幹
     病院局:加藤局長、國米課長補佐
     企業局:川口次長、山田課長補佐
      県職労:片山執行委員長、岡本・藤縄副執行委員長、山中書記長
     現企労:有本執行委員長、斉木副執行委員長、上田書記長
     県教組:秋久執行委員長、寺谷書記長
     高教組:谷口執行委員長、秋藤書記長       他全47人
<概要>
○県の説明、主張等
 ・現在の県財政の悪化の原因は、平成4、5年からの景気対策が国の誘導により進められ、県がそれに呼応して行った施策のための借金と、その後の予想を超える景気低迷の長期化、三位一体改革による地方交付税の大幅な削減にある。国の政策に呼応したものとは言え、県が自らの判断により事業を実施したことは事実であり県の責任は回避できないが、当時は、景気対策が社会的な要請でもあり、県の判断に大きな誤りがあったとまでは言い難いと考えている。
 ・県内の雇用、経済情勢は、完全失業率、有効求人倍率、企業倒産など依然として厳しい状況が続いている。また、厚生労働省の統計調査結果を見ると、県内の民間企業の給与水準は全国に比べるとかなり低い状況であり、民間従業員の給与所得が厳しい状況であることもうかがえる。
 ・5%のカット率の設定は、歳出全体に占める人件費の割合が概ね1/4であり、平成16年度の地方交付税の減額170億円により生じた財源不足額のうち、せめて同程度の割合の額を生み出したいとの考え方によるもの。カット率については、抜本的な給与体系の見直し等今後の状況変化に応じて変更することはありうる。
 ・給与カット以外の歳出抑制は、本県の基幹的な歳入である地方交付税の見通しがはっきりしないことから、当面、各年の予算査定で歳出削減をしていくこととなる。
 ・県財政の深刻な状況と併せて、県内の雇用、経済情勢の厳しさなどについても十分理解して、給与抑制措置に協力して欲しい。
 
○組合の主張等
 ・国にも責任はあろうが、結果として県が財政難に陥っていることは事実であり、県はそのことを自覚し、結果に対して責任を取らなければならない。
 ・給与カット率の5%の考え方について、平成16年度の地方交付税の減額をベースにしたとのことだが、職員の給与カットはそんな軽いものではない。
 
平成17年度以降の給与抑制措置の提案について
 
 
1 県財政の状況
 ○国及び県の財政状況
 ・国では、いわゆるバブル経済の崩壊以降、景気対策のために積極的な公共投資を行う政策が、国債を大量に発行しながら継続的に実施されました。本県においても国の政策に呼応する形で、公共事業などを積極的に実施し、その財源を賄うために起債発行額を増大させました。
 ・しかし、こうした景気浮揚策の実施にもかかわらず、景気と税収の低迷が当初の予想をはるかに超えて長期化したことなどから、公債費(起債償還費)が増大するとともに、赤字国債の発行もますます増大し、さらには平成13年度以降は赤字地方債(臨時財政対策債)を発行せざるを得ない状況となるなど、国と地方を通じた財政悪化が続く結果となりました。
 ・特に近年では、投資的経費が抑制基調となっているにもかかわらず、税収の低迷によりいわゆる赤字国債の発行額が過去最高に達するなど、財政悪化に歯止めがかからず、平成16年度末には国と地方を通じた長期債務残高が719兆円に達すると見込まれているなど、財政破綻に近い深刻な状況となっています。
 ・このような状況の中で、国では、国の財政健全化の取組と歩調を合わせた地方財政計画の歳出総額の 徹底的な見直しの方針を打ち出すとともに、平成15年6月には、真の地方財政の自立をめざして、国の関与を縮小し地方の権限と責任を大幅に拡大する観点から、国庫補助負担金、地方交付税、税源移譲を含む税源配分のあり方を一体で見直す、いわゆる「三位一体改革」の方針が閣議決定されました。
 ・その三位一体改革の初年度の平成16年度の地方財政計画において、国は、一方的に臨時財政特例債も含めた実質的な地方交付税の総額を12%、2.9兆円も大幅に減額しました。このいわゆる「地財ショック」の影響を受けて、本県においても平成16年度の地方交付税(臨時財政対策債を含む)が前年度比で約170億円も減額されました。このような事態は、これまで行ってきた財政再建の取組をすべて水泡に帰するような想定外の事態であり、これまで以上に財政再建(持続可能な財政構造への改革)の取組を進めざるを得なくなったところです。
 
 ○財政構造改革などの取組
 ・本県では、平成11年度(片山知事就任)以降、国の景気対策が続く中にあっても、県立美術館、砂丘博物館、かに博物館などの県単独大規模プロジェクトの見直しや公共事業の必要性を一件ごとに検討することなどにより普通建設事業の削減に努めるなど、財政の健全化に向けた取組を全国に先駆けて行ってきています。
 ・また、雇用確保が県政の最重要課題となっているとの考えから、平成14年度からは、職員の皆さんの理解と協力を得て給与抑制措置を実施し、これにより生み出される財源を活用して、民間による雇用創出への支援をはじめ、教育や福祉分野を中心とした行政サービスの充実のために必要な取組を直接雇用も含めた雇用創出施策として行う、いわゆる鳥取県版「雇用のためのニューディール政策」を実施してきているところです。
 ・しかし、その後のいわゆる「地財ショック」により、地方交付税が大幅に減額されたことに伴い、本県においても前年度からの繰越金と基金の取り崩しにより何とか平成16年度予算が編成できたものの、早ければ数年後には基金などの手持ち資金が底をつき、財源不足により予算編成ができなくなる事態が想定されます。
 ・また、今後もさらに地方交付税の減額が予想される中にあって、このまま何も策を講じなければ、近い将来、企業で言えば倒産に当たるいわゆる「財政再建団体」に転落することも現実的な問題として危惧しなければならないほど深刻な状況となっています。仮に財政再建団体となった場合には、国の管理下で財政再建に取り組むこととなり、国の基準を上回る施策など県独自の施策を大幅に縮小、廃止せざるを得ないなど、自主的な行財政運営が極めて困難となります。
  ※参考:地方財政再建促進特別措置法の規定により、標準財政規模の5%を超える赤字決算となった場合、「財政再建団体」とならなければ県債の発行ができなくなり、事実上財政運営が不可能となります。本県の場合、約88億以上の赤字で該当することとなります。
 
2 県内の雇用・経済情勢
 ・県内の雇用情勢について見ると、本県の完全失業率は、全国の状況を下回っているものの、全国的にはやや減少傾向が見える中で、平成15年の数値が逆に増加しています。また、有効求人倍率についても、回復の兆しはあるものの1.0を割り込んだ状態が長期間続いています。さらに、高校卒業者の県内有効求人倍率についても昨年度から1.0を下回る状況が続いています。このように県内では依然として厳しい雇用情勢が続いているところです。
 ・企業倒産の状況については、全国的な減少傾向とは異なり、県内では平成15年に大きく増加し、特に建設業の倒産がその多くを占めている状況です。平成16年に入ってからも、前年に比べればやや沈静化してきいているものの、依然として厳しい状況が続いています。
 ・厚生労働省が実施している統計調査の結果を見ると、県内の民間企業の平均給与額は全国の平均額と比べるとかなり低い状況であり、民間従業員の給与所得が厳しい状況であることがうかがえます。このような状況などから、地方公務員の給与は地域の民間に比べて高いのではないかとの声も多く、そのことは謙虚に受け止める必要があると考えます。
 
 
3 給与抑制措置の抑制率、実施期間などの考え方
 ・給与抑制率を主に5%としたことは、本県の普通会計決算総額のうち職員給与費の占める割合が概ね4分の1弱であることから、平成16年度の地方交付税約170億円の減額により生ずることとなった財源不足額のうち同程度割合の額を給与抑制で生み出したいとの考えによるものです。
 ・また、給与抑制の実施期間については、現在、国で進められているいわゆる三位一体改革の重点期間が平成18年度までとされていることから、その影響の収束を見極めるために必要な期間も見込んで平成19年度までの3年間を実施期間としたものです。
 ・給与抑制措置はあくまで時限的、特例的な措置であり、これを繰り返すことが本来の姿だとは考えていません。このため、平成19年度までの間に歳出抑制を中心とした財政構造改革の取組を進め、将来に向けて持続可能な県財政を構築するよう最大限努力することが必要だと考えています。また、その取組の中では、その他の歳出抑制と併せて、給与費についても、現在、既に提案している様々な見直しも含めて、今後とも必要な見直しを進めることが必要であると考えています。
 ・なお、現在は、地方財政の大変革期であることから極めて先行きが不透明な要素が多い状況となっていますが、国は地方からの要望を受け、今後、地方の自立が可能な中期地方財政ビジョンを示すこととされました。このため、平成19年度においてはより精度の高い財政見通しが可能となると考えています。
 
 
4 むすび
  今後、県財政の再建に向けて、より一層の歳出抑制を図ることが是非とも必要ですが、そのことは当然県民の痛みを伴うものとならざるを得ないものとなります。
  職員の皆さんには給与抑制という痛みをお願いすることになりますが、県財政の深刻な状況を理解していただくとともに、県民の中には公共事業の縮減などにより企業倒産や失業などさらに大きな痛みを負っている方もあること、県内の雇用・経済情勢は引き続き厳しい状況が続いていることなども十分に踏まえていただきながら、今回提案している平成17年度以降の給与抑制措置について、ご理解とご協力をいただくようお願いします。
 
 
○平成17年1月19日(水)
  県から県職員労働組合、県現業公企職員労働組合等に対して、別紙のとおり平成17年度以降の給与抑制措置の調整について提示
 
給与抑制措置の調整に関する職員組合に対する提案
 
○日時  平成17年1月19日(水)13時~16時50分
○場所  組合分室(本庁舎地下)
○出席者 知事部局:伊澤給与管理室長、西村副主幹、教育委員会:山添主幹
     病院局:國米課長補佐、企業局:山田課長補佐
      県職労:片山執行委員長、山中書記長、現企労:上田書記長
     県教組:寺谷書記長、高教組:秋藤書記長
<概要>
○県の説明、主張等
*主任、主査等や特別昇給の見直しの提案に併せて、給与カット率の引き下げを提案したのは、仮に給与の適正化の実施ができれば既に提案している給与カット率を調整したいという考えをもっていることを示したものである。カット率を調整すること自体が独立した提案ではなく、まずは給与カットや適正化見直しのそれぞれの提案について、それぞれ議論を進めていくことが必要だと考えている。
 
○組合の主張等
*給与カットと給与の制度見直しは全く異質なものであり、別次元で議論すべき事項である。仮に給与見直しの結果給与費が削減されても、その浮いた財源をどう使うかについては組合が関知するものではない。
*そもそも、給与カットの議論も給与見直しの議論も入り口段階なのに、合意した場合を仮定したかのようなカット率の調整を論ずること自体がナンセンスであり、現時点では提案としての意味を持たない。
*給与カットについては、カット率5%の根拠、今後の財政運営の方針・考え方、そもそも給与カットを行うことができる根拠などについて、未だに納得できる説明を得られない状況であり、次回の総務部長交渉でもこれらの論点について引き続き交渉をする段階である。
 
(別紙)
平成17年度以降の給与抑制措置における抑制率について(案)
 
 
 
 主任、主査等の廃止などの職員給与見直しを実施することにより生じる給与費の削 減額を考慮して、既に提案している平成17年度以降の給与抑制措置における抑制率 (カット率)を引き下げる。
 
 
 
○平成17年1月26日(水)
  県(総務部長等)と県職員労働組合、県現業公企職員労働組合等との交渉の概要
  
平成17年度以降の給与抑制措置に関する組合交渉の概要
<第4回総務部長交渉>
○日時  平成17年1月26日(水)16時10分~18時
○場所  第22会議室(第2庁舎8階)
○出席者 知事部局:瀧山総務部長、廣瀬次長、柴田参事監、伊澤給与管理室長、広瀬課長補佐、西村副主幹
     教育委員会:林次長、福本教育総務課長
     病院局:加藤局長、國米課長補佐
     企業局:小泓次長、山田課長補佐
      県職労:片山執行委員長、山中書記長
     現企労:有本執行委員長、上田書記長
     県教組:秋久執行委員長、寺谷書記長
     高教組:谷口執行委員長、秋藤書記長       他全約45人
<概要>
○県の説明、主張等
 ・県財政が極めて厳しい状況であることから、他の歳出抑制と併せて職員給与についてもカットさせてほしい、職員組合の理解を得たいとお願いしているものである。
 ・財政は、県税収入と歳出とが見合った規模となるのが理想だが、本県では約4,000億円の予算規模のうち県税収入は500億円程度で、地方交付税がどの程度になるのかによって歳出の規模も決まる。三位一体改革の影響で、平成18年度以降の地方交付税は極めて不透明であり、今後3年間の財政見込みを作ろうと思っても作れない。仮に作ったとしても現実にそのとおりにならない可能性が高い状況であることを理解してほしい。
 ・そのような状況の中で、歳出と歳入とを少しでも均衡させるため、毎年度の予算編成において一件査定などにより歳出を極力押さえる努力をしていく方針である。
 ・給与カットは平成19年度で終了したい気持ちは当然ある。約束はできないが、そうするために最大限努力するという言い方しかできない。
 
○組合の主張等
 ・なぜ、今後の財政再建の計画、方針を示せないのか。今後の計画・見込みが示されないと、歳出予算の査定の中での優先順位、職員給与はどこに位置するのか、他には何を削減するのかもわからない。具体的に削減が決まっているのは職員の給与カットだけではないか。
 ・県財政が厳しいのはある程度理解しているが、財政再建計画かそれに代わる財政運営方針のようなものをわかりやすく示してもらわないと給与カットを受け入れるかどうかについても判断できない。「とにかく信用して40億円融通してください。あとは任せてください」では絶対通らない。今後3年間の財政見込みを立てて、これだけ足りないから給与カットさせてくださいと頼むのが筋ではないか。
 ・最低限、今後3年間で給与カットが終わるという財政運営のシナリオが示されなければ、給与カットを認めようがない。それを示すことができないなら次回の交渉を設定しても意味がない。
 ・組合としては、人事委員会勧告で認められた適正水準である給与をカットできる合理的な根拠、理由はないはずだと考えている。給与支払義務のある雇用者が、給与をカットするには、労使合意の場合しかあり得ないと考えている。
 
○平成17年2月3日(木)
  県(総務部長等)と県職員労働組合、県現業公企職員労働組合等との交渉の概要(別紙:説明資料)
 
平成17年度以降の給与抑制措置に関する組合交渉の概要
<第5回総務部長交渉>
○日時  平成17年2月3日(木)13時30分~15時15分
○場所  第23会議室(第2庁舎7階)
○出席者 知事部局:瀧山総務部長、廣瀬次長、柴田参事監、伊澤給与管理室長、広瀬課長補佐、西村副主幹
     教育委員会:林次長、福本教育総務課長
     病院局:加藤局長、國米課長補佐
     企業局:小泓次長、山田課長補佐
      県職労:片山執行委員長、山中書記長
     現企労:有本執行委員長、上田書記長
     県教組:秋久執行委員長、寺谷書記長
     高教組:谷口執行委員長、秋藤書記長       他全約45人
<概要>
○県の説明、主張等
 ・平成16年度は「地財ショック」で交付税が170億円減額され、その財源不足は繰越しと基金の取り崩しにより何とか予算を組んだ状況である。今後、基金の取り崩しを極力少なくし、20年度の予算編成においてもなお一定の基金を残すことができるよう、一層の歳出削減を行っていく。
 ・平成17年度で100億円程度は削減する予定である。平成17年度の財源不足を200億円程度と見込んでおり、この財源不足額を更なる歳出削減により3年間で解消し、財源の状況に変更がなければ、20年度予算では収支が均衡するような体制に持っていきたい。
 ・今後3年間で聖域なく見直しを行い、臨時的措置である給与カットは繰り返すことがないよう努力していくこと約束する。
 ・具体的な数値は示したくても、示すことが困難であることを理解してほしい。 
○組合の主張等
 ・何故このような財政難に陥ったのか経過とその責任の所在をはっきりしてほしい。
 ・この財政難の状況を今後どう改善していくのか示してほしい。今までの交渉での協議や示された資料では、本当に財政が大変なのか我々はわかっておらず、今の段階で、給与カットについての検討材料がなく判断できない。
 ・財政再建計画が示されなければ、その職員給与と事業の優先順位が判断できない。どの程度県が困っているのかも判断できない。
 ・今後の財政に不確定要素があり財政再建計画は作れないとのことだが、職員給与だけが5%カット、3年間と決めつけられるのはおかしい。
 ・財政再建は、県民に痛みを与え、給与カットをするとすれば職員にも痛みも与える。県は財政再建計画を作り、痛みを与える県民、職員に対する説明責任を果たさなければならない。
 ・県は、人事委員会が認めた適正な水準の給与を、職員に支払う責任があることを認識してもらいたい。
 ・給与カットは、職員の協力(同意)がないとできないものと考えている。例えば借金を断わった相手のお金を盗むことは犯罪である。
 ・歳出削減により県民が応分の負担をしている。我々も県民であり何故二重の負担を強いられなければならないのかを明らかにしてほしい。
 ・我々労働組合に対して明確な説明をしてほしい。その準備ができたら交渉を再開したい。
 
今後の県財政運営の基本的な考え方
 
 
1 平成17年度予算編成における歳出削減の状況 
 
  平成17年の予算編成にあたっては、一般財源総額がさらに減少することが見込まれることから、一層の歳出削減に努めているところであり、歳出総額で100億円程度(給与分を除く。)の削減を見込んでいます。
 
※平成17年度における主な事務事業の見直しの状況(計上見込額)
・公共事業(災害復旧を除く)〔一件査定による精査〕
  △41.9億円(H16年度:794.1億円→752.2億円)
・市町村合併支援交付金〔交付方法の見直しにより年度間の県費負担額を平準化〕  △ 6.1億円(H17:予定額11.9億円→5.8億円)
・高齢者向け優良賃貸住宅事業のうち建設費補助の廃止
  △ 5.6億円(H16年度:5.6億円→H 17年度:0
・畜産試験場整備〔事業進度の調整〕
  △ 2.2億円(H17:予定額4.0億円→1.8億円)
 
  ※平成17年度当初予算規模(職員人件費を除く) ……現在作業中であり未確定
     3,030億円程度(H16年度:3,164億円)
 
 
2 財政再建に向けた今後の取組
 
  昨年度の「地財ショック」後も、鳥取県の主要な財源たる地方交付税の更なる削減を求める動きが財務省を中心に根強く、財源の確保の見通しがつけにくい状況にあり、今後の県財政の再建を確定的に論じることは極めて困難です。
  しかしながら、平成17年度予算編成においても、昨年度の「地財ショック」の影響が継続していることから巨額の財源不足が生じている状況にあり、基金の枯渇も懸念されることから、速やかに安定的・継続的な財政運営に復帰させなければならないと考えています。
このため、今後の予算編成においては、歳出削減に向けた次のような取組をなお一層強力に推し進めることにより、今後財源の状況に大きな変化がないとした場合、財源不足額を今後3年間(平成20年度予算)で一定程度の基金を保有した状態で解消し、臨時的措置としての給与カットを繰り返すことのないよう最大限の努力をしていく考えです。
 
 
 
 〈予算編成にあたっての基本フレームの遵守〉
 
  ○短期間で基金が枯渇することを防ぐため、財政調整型基金の取崩額が平成13年度予算における取崩額(140億円)を上回らないようにすること。
 
  ○県債残高の増加を防ぐため、年度毎の県債新規発行額(地方交付税の代替である臨時財政対策債を除く)を前年度以下とすること。
 
  ○プライマリーバランスを確保すること。
   (1)単年度収支の均衡
       県債(臨時財政対策債を除く)と
                       > 公債費以外の歳出
       財政調整型基金取崩額以外の歳入
 
   (2)将来に向けた実質的な県債残高の減少
     県債(臨時財政対策債を除く)新規発行額 < 公債費のうち元金償還額
 
 
 〈具体的な歳出削減策〉
 
  ○既存事業のゼロベースでの見直し
 
  ○公共事業の一件審査
 
  ○大規模事業の見直し・進度調整
 
  ○職員給与の見直し
 
  ○職員定数の見直し
 
 
○平成17年2月7日(月)
 
  県(総務部長)と県職員労働組合、県現業公企職員労働組合等との協議の概要(別紙:説明資料)
平成17年度以降の給与抑制措置に関する組合との協議
 
○日時  平成17年2月7日(月)14時~16時30分
 
○場所  総務部長室
 
○出席者 知事部局:瀧山総務部長、廣瀬次長、柴田参事監、神門財政課長、伊澤給与管理室長、西村副主幹
      県職労:片山執行委員長、山中書記長
     現企労:有本執行委員長、青木副執行委員長、上田書記長
     県教組:中野副執行委員長、寺谷書記長
     高教組:谷口執行委員長、秋藤書記長
 
<概要>
 
○県の意見
 
 ・給与抑制措置について、労使合意の上、2月議会に提案したい。
 
 ・基金が目に見えて底を尽きかけており、財政破綻する前にそうならないよう手を打っておきたい。給与制度の見直しや定数の見直しも行っていくが時間がかかる面があり、公共事業の削減も既にかなりの削減を行っているためソフトランディングする必要があることから、緊急的措置として給与カットをお願いしたい。
 
 ・もっとわかりやすい資料を示して説明してほしいとの要望もあったので、改めて給与カットの提案の考え方、県財政の現況や今後の財政再建のイメージについて資料を提示させていただくので、財政が大変な状況であることを理解してほしい。今後の財政再建については、あくまで一定の条件の下での大まかなイメージに過ぎないが、理解を得たいとの思いで作成したものである。
 
 ・給与カット以外の方策として借金する方法があるが、負担を後年に先送りするだけであり根本的な解決にならない。まず既に可能限度額まで借金をしておりこれ以上はできない。
 
 ・主任、主査等の廃止、特別昇給の見直し、調整額等の手当等の見直しについては、現時点で十分な交渉を行うことができておらず、具体的な期限の目標を持った上で継続して交渉してはどうかと考えている。
 
○組合の意見
 
 ・使用者は職員の給与を支払う義務があり、公務員はその財源がたまたま税金だけのことである。まっ先に給与カットというのは安易すぎる。民間では、経営難となると、まず役員報酬のカットやリストラをしてその後で最後に社員の給与カットである。経営者の経営責任も問われる。責任を取れということではなく、もっと責任を感じて対応してほしいということである。
 
 ・県が職員に心意気で訴える方法も全くなかったわけではなかった。そのやり方が全くなくなったかどうかはわからないが、これからの県の姿勢次第のところもあるように思う。最近の知事の発言は、当局や議会が職員の給与についてカットでも何でもできるような言い方に聞こえてしまい、職員に協力を求める姿勢と逆行している。
 
 ・今まで聞いた県の給与抑制措置の必要性、5%カットの根拠の考え方を組合員に説明しても、おそらく組合員の答はノーである。
 
 ・給与カットはあくまで県が職員に協力をお願いすることであって、決して県が組合との合意なしで強行することはできないものと考えている。
 
 ・現業職員については、いずれにしても、3月1日以降の労働協約改訂交渉で合意がなされてはじめて給与カットができることとなることを忘れないでほしい。
 
 ・知事と会ったからといって、次の点について納得できる説明を聞かなければ、給与カットについて合意はできない。知事は組合と会って意見を聞くだけでは責任を果たしたことにはならない。
   ・財政悪化の責任
   ・給与抑制措置の必要性、カット率、実施期間の根拠
 
 ・全く何も協力できないというわけではない。給与カット以外の方策は本当にないのか検討してほしい。例えば、職員が給与の10%を無利息で県に貸すとか、退職手当を分割払いにするとかは考えられないのか。
 
 ・組合としても決裂することは望まない。やるのなら合意した上でやりたい。
 
  (別紙)
平成17年度以降の給与抑制措置(提案)の考え方について
 
 
○財政悪化の経過と責任
・いわゆるバブル経済の崩壊以降、景気対策のための積極的かつ継続的な国の公共投資政策に呼応する形で、本県においても公共事業などを積極的に実施し、その財源を賄うために起債発行額を増大させました。しかし、こうした景気浮揚策の実施にもかかわらず、景気と税収の低迷が当初の予想をはるかに超えて長期化したことなどから、公債費(起債償還費)が累積的に増大し、国と地方を通じた財政悪化を招く結果とな りました。
・国の政策の中で社会的要請として景気対策の推進を強く求められ対応したこと、国ですら予想し得なかった景気低迷の長期化を予見できなかったことなどについては、当時の判断に大きな誤りがあったとまでは言えないと考えています。しかし、県財政が悪化する結果となったことについては、公共事業などの実施や起債発行の判断は県が自ら行ったものであることから、県はその責任を率直に反省するとともに、財政再建 に向けて大規模プロジェクトや公共事業の見直し、縮減などの取組を全国に先駆けて行ってきているところです。
・しかし、国が一方的に平成16年度の地方財政計画において地方交付税の総額を実質的に約12%、2.9兆円も大幅減額したいわゆる「地財ショック」の影響を受けて、本県においても平成16年度の地方交付税(臨時財政対策債を含む)が前年度比で約170億円も減額されました。県としては、景気対策として行った事業の借金返済(起 債償還)がピークとなっている今、このような削減が行われることは、国の地方に対する重大な約束違反であるとして、国に対し強く改善を求めてきているところです。いずれにしても、このような事態は、これまで行ってきた財政再建の取組をすべて水泡に帰するような想定外の事態であり、これまで以上に財政再建(持続可能な財政構造への改革)の取組を進めざるを得なくなったところです。
 
○給与抑制措置の必要性
・本県においては、前年度からの繰越金と基金の取り崩しにより何とか平成16年度予算が編成できたものの、「地財ショック」の影響により早ければ数年後には基金などの手持ち資金が底をつき、このまま何も策を講じなければ、近い将来、企業で言えば倒産に当たるいわゆる「財政再建団体」に転落(本県の場合、約88億円以上の赤字で該当)することも現実的な問題として危惧しなければならないほど深刻な状況となっています。
・このため、今後とも歳出抑制を中心とした財政構造改革の取組をなお一層進め、将来に向けて持続可能な県財政を構築することが必要であり、現在編成作業中である平成17年度当初予算においても歳出総額で100億円程度(給与分を除く)を削減する見込みとしているところです。今後の予算編成においても聖域のない歳出削減を強力に推し進めることにより、なお見込まれる財源不足額(更におよそ200億円程度)を平成19年度(平成20年度予算編成)までの間に一定の基金を保有した状態で解消するよう最大限努力する考えです。
・今後、県財政の再建に向けて、より一層の歳出削減を図ることが是非とも必要ですが、これまで既に行ってきた歳出削減に加えて、本県の財政支出の約4分の1を占めている人件費(普通会計決算総額約4,000億円のうち人件費は約1,000億円)を除いた残りの4分の3の部分だけを対象として更に巨額の歳出削減を急激に進めることは、当然のことながら、依然として厳しい雇用・経済情勢が続いている県内の経済活動や県民生活に相当の影響や痛みを伴うものとならざるを得ません。
・職員の皆さんには、県民としての痛みに加えて給与抑制という痛みをお願いすることになりますが、県財政の深刻な状況を理解していただくとともに、行政サービスの低下などによる県民の痛みを最小限に食い止めながらも将来に向けて持続可能な県財政を構築するため、県民の負託に応える県職員として県民と痛みを共有して県財政を支えていただくよう、ご理解とご協力をお願いします。
 
 
○平成17年2月9日(水)
 
  県(知事)と県職員労働組合、県現業公企職員労働組合等との交渉の概要
平成17年度以降の給与抑制措置に関する組合交渉の概要
<第1回知事交渉>
○日時  平成17年2月9日(水)15時~22時
○場所  県庁第4応接室
○出席者 片山知事、平井副知事、藤井教育長
知事部局:瀧山総務部長、廣瀬次長、柴田参事監、伊澤給与管理室長 他
教育委員会:林次長、福本教育総務課長
病院局:加藤局長
県職労:片山執行委員長、山中書記長
現企労:有本執行委員長、青木副執行委員長、上田書記長
県教組:秋久執行委員長、寺谷書記長
高教組:谷口執行委員長、秋藤書記長
高校現業組:大本書記長                他
<概要>
○知事:県財政は危機的な状況にあることは、これまでの交渉で詳細な資料でわかりやすく工夫して説明してきた。これまでも、財政健全化のための取組を行ってきており、平成17年度予算においても相当歳出削減を行っている。しかし、地方交付税の削減は予想をはるかに上回るもので、この先、場合によっては県が財政再建団体に転落するおそれも十分ある。県の予算4,000億円のうち、1,000億円が人件費であり、給与費に手を付けずに素通りは出来ない。職員の皆さんにも意見や不満があると思うが、是非ご理解いただいた上で、給与抑制措置を実施したい。是非組合と合意して条例提案したいと考えている。
◆組合:ニューディール政策は3年間給与カットして、その財源を使って6年間雇用施策を実施する約束のはずである。昨年9月議会での30人学級を来年度以降も続けるかという興治議員の質問に対して、知事がそのためには財源確保が必要と答えたのを聞いて、職員は残り3年分の財源を使ってしまったものと理解した。これらの知事の発言により、職員の中には知事が職員を軽視しているとの不信感が広がっている。
○知事:ニューディール政策は、当初から6年間実施する予定であり、4年目に止めるという選択肢はない。昨年9月議会の興治議員に対する議会答弁は、ニューディール政策終了後の7年目以降どうするかを論点にしたものである。若干言葉足らずで説明が不足していた面があるかもしれない。誤解があったとしたらもっと早く気軽に話し合いをすればよかった。
◆組合:これまでの交渉で財政状況について十分に納得できる説明を受けていない。そんなに大変なら現状と今後の見込みをきちんと示すべき。財政難だから給与カットをということだが、その財政難が延々と続いたときにはどうするのか我々も不安である。3年先はどうなるのか聞かざるを得ない。
○知事:現在の財政状況は、先の見通しが全く立たない、海図なき航海の状態にある。6年前に知事になったとき、このままでは県財政が破綻すると思い、強い批判を受けながらも公共事業や単独の大規模プロジェクトを思い切って止めた。しかし財政運営に自負のある私でさえ、交付税がここまで激減するとは思わなかった。交付税制度は模索状態であり、3年後の絵を描くことは困難。希望的な予測や計画は可能だが、そのとおりになるとは考えられず不誠実なものとなることをわかってほしい。本県の場合、80億円くらいの赤字が出ると財政再建団体になるが、現に平成16年度は繰越金や基金の取り崩しでしのいだものの、単年度で見るとその水準を上回っていた。財政再建団体への転落は悲惨だ。財政再建が第一優先となり、自治は無くなり、給与カット等もどんどん行わざるを得なくなり労使関係も意味が無くなる。
◆組合:知事はカット率の5%の根拠を結局「相場感」あるいは「この程度なら許される範囲」だと言う。我々職員の給与は相場で決められるものかと思った。給与カットされる職員の側の気持ちにもっと配慮してほしい。
○知事:私の発言が職員をぞんざいに扱うように聞こえたなら残念であるが、職員を軽視するような気持ちは決してない。ぞんざいな言い方が誤解を生じたのなら反省し、今後は気を付けたい。カット率については、今後の見込みも立たない状況の中で、何%が適当とは言えない。県民から見れば、もっとカットしてよいという気持ちはあるだろう。まあ5%位でというのは率直な気持ちである。私は職員の雇用者であるとともに、県民の代表であり、県民感情も踏まえながら職員の立場も考えてこういう提案をしている。県民の立場だけならもっと厳しい提案をするかもしれない。県民の経済情勢はもっと厳しいものがある。
◆組合:県内には零細企業が多いが、職員の給与水準はその零細企業の給与水準でよいと考えているのか。
○知事:県内企業は大半が不安定な中小零細企業であり、我々はそれらの人たちに支えられている。それらの人たちの気持ちを考えないといけない。県職員が県内企業のプライスリーダーというのは違和感がある。県職員は倒産もリストラもなくかつ給料水準が高いことに多くの県民が違和感を持っている。公務員の単価が高すぎて、もっと安い単価の人に働いてもらえばよいと思う県民も少なくない。35歳で27万円で生活できるかと組合速報に出ていたが、民間の水準はそれで普通かもっと厳しい。その県民が県政を支えている。
◆組合:今回の提案には職員の給与水準の問題は関係があるのか。職員の給与水準は、人事委員会勧告により適法に定められたものであるはずだ。
○知事:県民の間には少し高いのではないかとの感覚を持つ人は多い。そのことを踏まえるべきである。最終的には県議会で決定されるものだが、先の12月議会の決議で示されたワタリ廃止などの意思を尊重すべきである。ただ、5%カットにこだわらずワタリ廃止など給与構造の改革をすべきと言われてもすぐにはできない面もある。責任と級の格付けが連動する新しいシステムを整理していく必要がある。
◆組合:本当に40億円を給与から捻出しなければならないのか。給与カット以外にも、歳出削減の方法はあるはずである。
○知事:給与カット以外の選択肢としては、140億円のキャップを外してもっと基金を取り崩す方法があるが、1、2年持ちこたえてもすぐ底をつく。また、教育分野、福祉分野であろうと削減するという選択もあろうが、それでは民意が許さない、そうであれば、民意は人件費を削減してくださいということになると思う。
◆組合:財政運営の責任はまず知事、そして議会にあるのではないか。経営者の失政の責任を職員に転嫁しているのではないかと思っている。現に地方交付税をカットされても、給与削減を実施していない自治体があるではないか。
○知事:私に責任があると言われるのはとても不本意である。県財政の破綻を心配しながら一生懸命やってきたつもりである。給与カットするかしないかは、各県で事情が異なる。地方交付税の依存率が最も高い島根県、鳥取県が交付税の減額の影響が最も大きい。県税収入が490億、地方交付税収入は1,400億に対し人件費は1,000億であり、人件費は交付税に依存しているのは事実。地方交付税が減ることに職員の責任はないが、県財政は非常に厳しいことを認識してもらい、申し訳ないが給与カットに協力していただきたい。財政悪化について職員には責任がないと言うが、必ずしもそうとは言い切れないと思う。労使合意によるワタリとか特別昇給とか、不適切な制度や運用による高止まりの給与費が財政悪化の一因になっている面もあるのではないか。少なくとも県民からはそう見られているし、私も否定しない。
◆組合:我々の給与は人事委員会の勧告と、地方公務員法第24条に規定する国、他県の職員の給与との均衡を考慮しなければならない。」とする「均衡の原則」で決められるべきものだと考えている。この原則についてどう考えているのか。法で保障された給与水準を6年間もカットし、その先もわからないということをどう考えているのか。
○知事:職員給与は、人事委員会の勧告、また地方公務員法に規定する国、他県の職員の給与との均衡を踏まえて決定することは基本である。平時ならそれでよいが果たして財政の非常時にそれでいいのかどうか。原則を守って財政が破綻しては元も子もないのであり、非常時には基本を変更することも仕方がないと思う。
◆組合:財政難だから即5%カットしますでは職員の合意は得られない。このままでは職員に説明し、受け入れるかどうか問いかけることもできない。知事は職員のことを本当にどう思っているのか。
○知事:5%カットがそんなに受け入れられないものなのか。是非この交渉を公開して世の中の人に聞いてもらいたい。私の物言いでそんなに憤慨するなら、5%カットがそんなに耐えられないのなら、鳥取県の職員を辞めていく人が出てくると思う。なぜ県職員採用試験が何十倍という倍率になるのか。県民は公務員が恵まれていることをよく知っている。県民感情も踏まえ、本当に県財政が非常時だということを是非理解してほしい。
◆組合:仮に今後3年間5%カットを行ったとして、その先の展望は示せないのか。
○知事:3年先は本当にわからない。日本全体が破綻直前で末期的状況である。そのことはわかってほしい。ただし、明るい材料としては、これまでの努力のかいがあって、本県では公債費は昨年、今年がピークで後は目減りしていく。だからこれから3年間協力してもらって、地方交付税が防衛できて、他の見直し努力を進めていけば、財政の立て直しができてその先もなんとかやっていけるだろうという見通しは持っている。
◆組合:給与カット、主任、主査等の廃止、手当の見直しが連続して提案されており職員に不安が募っている。主任、主査等の廃止は、現場の状況をよく踏まえて、もっときめ細かな検討や議論が必要なはずであり、議会の指摘を受けたから直ぐに提案では、現場の職員のことをあまりにも考えていないのではないか。このような中で今後3年間給与カット5%を合意するとは言えない。
○知事:主任、主査等の廃止については、職員のモチベーションが下がらないようきめ細かく検討する必要があることは認める。例えば学校事務や少数職種などの問題もあり、少し時間をかけて、しっかり検討、協議していきたい。主任、主査等の廃止の動向や今後の財政状況が不透明で不安ということであれば、給与カットの実施期間をとりあえず1年として、1年ごとに状況を見ながら話し合っていくという方式も選択肢のひとつと思う。できればお互いが柔軟な気持ちを持って合意したいという気持ちである。
○知事:本当は今日がタイムリミットだが、今日の交渉を踏まえてぎりぎり明日までをリミットにして、明日再度交渉を行うこととしたい。その際には、いつまでも入口論でなく組合の提案等があれば出してほしい。
 
○平成17年2月10日(木)
 
  県(知事)と県職員労働組合、県現業公企職員労働組合等との交渉の概要
平成17年度以降の給与抑制措置に関する組合交渉の概要
<第2回知事交渉>
 
○日時  平成17年2月10日(木) 14時15分~18時15分
○場所  県庁第4応接室
○出席者 片山知事、藤井教育長
知事部局: 瀧山総務部長、廣瀬次長、柴田参事監、伊澤給与管理室長ほか
教育委員会: 林次長、福本教育総務課長
病院 局: 加藤局長
県職 労: 片山執行委員長、山中書記長
現企 労: 有本執行委員長、青木副委員長、上田書記長
県教 組: 秋久執行委員長、寺谷書記長
高教 組: 谷口執行委員長、秋藤書記長
高教現業組: 大本書記長             ほか
 
<概要>
 
●組合:昨日受けた説明で知事の思いは理解できるようになったが、財政再建という思いだけでは、職員は納得できない。どうしても40億円が必要だと分かる資料を求めたい。また、地方公務員法の給与決定原則について平時と非常時の話があったが、非常時だとカットしてよいとなれば歯止めがかからないことになる。何故5%カットできるのか納得いく説明を求める。
○知事:昨年から交渉を始めているのに、未だに入口の議論しかされていない。昨日は、組合員に説明できないから受け入れられないという発言もあったが、今日もまた入口論にとどまるなら、失礼ながら組合側の出席者に当事者能力があるのか疑わざるを得ない。
●組合:判断材料がそろえば組合員の代表者として決断するが、それが不足していると言っている。
○知事:資料のどこが分からないのか具体的に言ってもらいたい。我々としてはかなりの資料を示している。
●組合:160億円の財源不足のうち、何故、職員給与から40億円なのか。40億円が本当に必要とされているのかが分からない。
○知事:県の歳出予算の1/4を人件費が占めることから160億円の1/4としたもの。160億円すべてを人件費から出せばその説明も容易だが、給料を2割も削減する計算となり職員に酷となる。科学的根拠はないが40億円なら受け入れられるのではないかと考えた。
●組合:本当に予算の中で他に削る余地はないのか。
○知事:手続的には、他の歳出予算は査定を終了しており、人件費しか削るところは残っていない。予算のムダが本当にないかは、予算の中味を見てもらうしかない。
●組合:人事委員会勧告で適正とされた給与水準を6年間もカットすることは違法ではないか。やはり国や他県との均衡が原則のはずである。
○知事:人事委員会勧告も、県民にとっては違和感がある。民間給与実態調査の対象が大企業に限られていることもその要因と思う。地域の民間との均衡も重要な要素であり、人事委員会が各県ごとに置かれているのもそのためである。人事委員会勧告もそのまますべてを受け入れるとは限らないものであり、許容される一定の幅があるものだと考える。
●組合:教育公務員は教育の平等性を保つためにも全国的な均衡の視点が必要である。民間との均衡や、財政力の強弱によって教育公務員の給料が増減するのはいかがなものか。全国の教育公務員は均質の仕事をしている。
○知事:その点はある程度理解できる面もあるが、それも程度問題。職場に魅力がなければ人材が来なくなるが、5%カットくらいでは減らない。現に教職員の採用試験の倍率は高い。
●組合:人事委員会勧告は尊重するだけだという知事の考え方だと、議会が例えば20%カットを決定してしまえば、これを止めることはできないこととなる。歯止めがきかなければ職員は安心して働けない。
○知事:議会はそんなことはしない。仮にそうなったら、職員がやめていってしまう。給与カットをしなければおそらく財政は破綻する。カットしなくても破綻すれば給与引き下げを行わざるを得なくなり、同じことになる。今、民間を含めて将来が完全に安心な職場はほとんどないのではないかと思う。現状では、ここまですれば絶対安全・大丈夫というようなことを言えない。
●組合:給与カットは受けたくないが、それでも納得できれば協力したいとの思いもあり、だからなぜ人件費に手を付けなければならないのか納得できる説明を求めるもの。財政が大変だというマクロの説明は受けた。具体的にどこをどう削減努力したというようなミクロの具体的な詳細が分からない。40億円の根拠・必要性が分からなければ判断できない。
○知事:歳出削減はあらゆる部分で行った。例えば生活保護受給者への年1回5千円ほどの見舞金を廃止しようとしていた。それはあまりのことなので、その後知事査定段階で復活させたが。予算の内訳については、信用してもらうしかない。もし160億円の財源不足がなければ、このような交渉をしなくてもよかったと思う。しかし少なくとも、17年度は5%カットがないとやっていけない。
●組合:人事委員会勧告で適正とされた給与水準からカットすることができるのは、どういう根拠か示して欲しい。地方公務員法24条に反する違法性があるのではないか。
○知事:条例で定めればカットすることはできる。この場で労使合意ができなくても、議会が条例を定めてしまえば可能である。違法な提案はしていない。
●組合:財政が大変だという思いは分かるが、地方公務員法24条で規定する国や他の地方公務員との均衡を曲げるほどの理由、根拠が本当にあるのかどうかについて納得できない。
○知事:昨日から何度も言ってきた。急に生じた財源不足160億円を単年度で吸収することができないので、当面そのショックを緩和しその後の財政再建を図るため、例外的措置として人件費を多少削減することは許されると考える。3年後には正常化するよう努め元の原則的な姿に戻すべきだと考えている。人事委員会勧告を遵守すべきとの組合の主張は、人事委員会が指摘している主査廃止など必ずしも履行されていない面があることも考慮すべきである。それらすべて実施されていれば別かもしれない。県民からは、県職員は高給を受けていると見られている。本当に5%カットは劣悪で我慢できない条件なのか。
●組合:我々の賃金は、労働基本権が制約されているため、地方公務員法24条にしか拠り所がない。しかし知事のいうように、非常時には給与もカットできるとすると、全く歯止めが無くなってしまう。絶対に容認できない。
○知事:人事委員会は歯止めになる。人事委員会が勧告から大きく逸脱していると判断すれば、条例案について議会から意見照会があったときに、何らかの意見を提出することになるはずである。
●組合:民間に比べ4%も低い水準であり、我々は明らかに人事委員会勧告の範囲を逸脱していると思う。財政危機の責任をなぜ職員に転嫁しようとするのか。
○知事:財政危機の原因は、確かにかつてハコモノを作ったことも一因であるが、不適切な特別昇給の運用やワタリのことなども給与費を膨らませ歳出増加につながった面もある。職員は公共投資や財政と関わりがなく責任がないと言うが、予算をカットしているのは関わりや責任のない分野も多く、責任のない県民に多くのしわ寄せがいっていることを職員として理解しなければならない。
●組合:納得できる理由があれば協力するが、納得できなければ協力はできない。0か100かだ。
○知事:この2日間の交渉で今までの私の話に納得できなかったのか。本当に5%カットが耐え難いほど劣悪なのか。県民の視線も理解できないのか。
●組合:納得していない。
○知事:残念だが、提案は受け入れられないということか。組合から修正を提案する考えもないのか。
●組合:受け入れることはできない。
○知事:残念だが、合意できないとして整理せざるを得ない。あとは、私の責任で判断させてもらうことになる。
   

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