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平成17年度交渉経過

 
○平成17年4月28日(木)
 県(職員課)と県職員労働組合、県現業公企業職員労働組合との交渉概要(別紙:説明資料)
 
 労働協約改定に関する現業公企職員労働組合との交渉の概要
   <現業職の給与水準の見直し:職員課長交渉>
○日時  平成17年4月28日(木)14時30分~16時20分
○場所  第13会議室(議会棟3階)
○出席者 知事部局:柴田参事監兼職員課長、伊澤給与管理室長、広瀬課長補佐、 萬井副主幹
                              齋藤副主幹 
               企業局:小泓次長、山田総務課課長補佐  
               病院局:国米総務課課長補佐

         現企労:有本執行委員長、上田書記長  他14名
 
<概要> 
県:地方公営企業法第38条では、「同一又は類似の職種の国及び地方公共団体の職員並びに民間事業の従事者の給与を考慮すること」が、給与の決定基準として定められている。従来は、現業職員の給与体系は行政職の給与制度に準拠してきたが、その結果、配付資料(別紙)のとおり国家公務員、県内民間の平均給与額と比べても相当高い水準となっている。今回の見直しは法律の趣旨に則って提示したものであり、現業職の業務の軽重をとらえたものではなく、現業職の給与水準を同一又は類似の職種の国家公務員や民間労働者の給与水準と均衡させる方向で見直そうとするものである。
 
組合:現在の給与水準は、組合としてはベストだと考えている。同じ県職員として一定の行政成果をあげるために仕事を行っているのに、どうして現業職員だけ賃金水準を下げなければならないのか納得がいかない。これまでも労使で話し合って、長年、行政職に準じる扱いとしてきたのに、なぜ今変えなければならないのか。行政職と同じではなぜダメなのか。また、例えば運転士一つとってみても、国や他県と業務内容が違っていると考えている。
 
県:現業職場に限らず、県庁全体で財政支出に対するコスト削減が厳しく求められている。人件費についても税金で賄われている以上、納税者の納得が得られる水準でなければ行政の信頼性が保たれない。このため、県としても現業に限らず、あらゆる業務について市場化テスト、業務委託の実施など財政支出のあり方についてコスト削減の努力を行っていく考えである。また、今後、職員定数の見直しを進める必要があり、その中で今回の給与水準見直しとは別の課題として、現業職員の職種転換などを検討することも必要だと考えている。本県の現業職の業務内容が国や他県と違うという組合の主張は理解できない。仮にそうだとしても、これほどの給与水準の差を正当化できる理由があるとは思えない。
 
組合:組合としても、これまでから必要な業務量に応じた人員配置について協議を行ってきたものでもあり、コスト削減に対し否定しているものではない。ただし、従来から現業職員の給与水準については労使合意のもとで決定されてきたものであり、この経過は大事にしたいし、県政を担う県職員の一員として現行の給与水準自体は、適正な水準であると認識している。
  そもそも同じ職場で働く者の給与水準が職種によって大きく相違してもよいと考えているのか。
 
県:これまでの労使合意について、事実としての過去の経過を否定するつもりはない。
  しかし、様々な経過はあったにしても、従来からの合意の内容が地方公営企業法に定められた給与の決定基準の原則的な考え方に合致しているのかどうかという点については、従来の扱いには大きな疑問を持たざるを得ない。したがって、今回、法律の趣旨に適合させる方向で見直しを提案している。
  国でも民間でも、同じ職場で働くという理由だけで、すべての職種の給与水準が同じということは、現実にあり得ないものだと考えている。
 
 
 
○平成17年5月27日(金)
  県(職員課等)と県現業公企職員労働組合との交渉の概要
 
労働協約改定に関する現業公企職員労働組合との交渉の概要
<現業職の給与水準の見直し>
○日時  平成17年5月27日(金)14時30分~15時55分
○場所  第1会議室(本庁舎地下1階)
○出席者 知事部局:柴田参事監兼職員課長、伊澤給与管理室長、広瀬課長補佐、 萬井副主幹
                              齋藤副主幹
        企業局:山田総務課課長補佐
               病院局:嶋田総務課長

         現企労:有本執行委員長、上田書記長  他26名
 
<概要> 
組合:鳥取県現業職員の給与の決定基準は、昭和34年に地方労働委員会の調停を受け、議会の承認を受けた のち労使で合意し、決定されたものであり、労使のみで決められたものではない。
 地方労働委員会が調停案を出すにあたっては、地方公営企業法(以下「法」という。)第38条の趣旨にのっとり、現業職員の給与は行政職と大きな開きがないようにという判断をしたものである。したがって、現在の現業職の給与決定基準は法第38条に何ら反しているものではなく、法第38条に反しているという県の主張は誤っている。法第38条により比較対象とすべきは企業職員の給与である。
 県からの給与水準の見直し提案の中身の意味は理解するが、法第38条の解釈について認識が一致しない限り、現業職の給与水準の見直し交渉には入れないので、まず、この点から議論したい。
県:前回の交渉でも示したとおり、法第38条では、「同一又は類似の職種の国及び地方公共団体の職員並びに民間事業の従事者の給与を考慮すること」が、給与の決定基準として定められている。これは従前、全国的に、一律に行政職の公務員の給与に準じることが多く、企業職員の給与水準が上昇したため、昭和41年の法律改正により「同一又は類似の職種」の給与を考慮することが法律の規定上で明示されたものであり、このように立法権者たる国会の意思が明らかに示されている。
 鳥取県では、事実として、昭和34年の地方労働委員会の調停を受け、現業職員の給与体系は行政職に準拠することで労使で合意し、現在に至るまで当該方式を維持してきており、その過去の経過を否定するつもりはない。
 ただし、その結果、国家公務員の技能労務職員、県内民間の同種職種の平均給与額と比べても相当高い水準となっている。様々な経過はあったにしても、従来からの合意の内容が法に定められた給与の決定基準の原則的な考え方に合致しているかどうかという点については、大きな疑問を持たざるを得ない。
 今回の見直しは、法の趣旨に則って、現業職の給与水準を同一又は類似の職種の国家公務員や民間労働者の給与水準と均衡させる方向で見直そうとするものである。なぜ現業職員だけが国家公務員に準拠していないのかが問題であるとして、県議会や国でも議論されているところである。組合においても、昭和41年の法改正の際の立法趣旨、全国の民間賃金の状況を確認、検証してもらいたい。法解釈は、基本的に一つであり、労使交渉で法の解釈が決まるわけでも、変わるわけでもない。  法第38条の解釈について議論することは否定しないが、お互いに主張の根拠を明確にしながら、精力的に交渉を進行させるよう努力することが必要である。
 
 
○平成17年6月7日(火)
  県(職員課等)と県現業公企職員労働組合との交渉の概要
   労働協約改定に関する現業公企職員労働組合との交渉の概要
  <現業職の給与水準の見直し>
○日時  平成17年6月7日(火)14時30分~16時10分
○場所  執行部控室(議会棟2階)
○出席者 知事部局:柴田参事監兼職員課長、伊澤給与管理室長、広瀬課長補佐、 萬井副主幹
                              齋藤副主幹
               企業局:小泓次長、山田総務課課長補佐
               病院局:嶋田総務課長、国米課長補佐

        現企労:有本執行委員長、上田書記長  他22名
 
<概要> 
県: 前回の交渉において、地方公営企業法(以下「法」という。)第38条の趣旨を労使で確認する必要があるとの組合側の主張もあったので、県側の考え方を根拠となる資料を示しながら説明
 
 法38条の法的な解釈については、自治省が発出した「地方公営企業法及び同法施行に関する命令の実施について」第四の三の2によると、「企業職員の給与を決定するにあたって考慮すべき公務員等の給与は、同一又は類似の職種のそれであることに留意する必要があること。したがって、企業職員についてその職種に関係なく一律に国又は地方公共団体の行政事務に従事する職員の給与と同一の給与を定めたり、(略)するようなことは、法律の趣旨に反するものであること。」とある。同条の規定は現業職員に準用適用されており、「企業職員」を「現業職員」と読み替えて解釈すればよい。この解釈は、従前からこのような趣旨であると解釈されていたが、企業職員の給与水準が全国的に問題視されてきたことから、国会で議論され、昭和41年の法の一部改正により明文化されたものである。
 一方、昭和34年の地方労働委員会(以下「地労委」という。)の調停の際、県からの疑義の照会に対し、地労委は「給料表を決定するに当たっては行政職給料表の四等、五等、六等級を用いるという意味でなく、これと甚だしい開きのないよう協議決定されたい」「(調停案の趣旨には)職務内容が同一又は類似性のある国又は地方公共団体の単純な労務に雇用される職員の給料表その他の事情を参酌しなければならないと解される法第38条の趣旨も包含する」と回答している。
 これらの回答から当時の地労委の意思を読みとれば、現業職給料表の決定においては法第38条の趣旨に従って、行政職給料表に準拠するのではなく、それと一定の格差をもって設定することが許容されていると解される。
 この地労委の調停案に基づき、昭和35年2月県議会において「「給料表及びこれに伴う諸条項」については、職務内容が同一又は類似する国及び地方公共団体の単純な労務に雇用される職員の給料表及びこれに伴う諸条項を考慮して処理するものとする」との処理方針を提案し、承認を受けたものである。
 この様な経過の後、最初に設定された技能労務職(現在の現業職)給料表は、当時の行政職給料表の五等級(主事級)と六等級(主事補級)を基に作成されている。
 その後、現在に至るまでの労使交渉の経過を否定するものではないが、その後の労使交渉の積み重ねの結果、現在の現業職の給与水準は法第38条の趣旨に適合するか疑問であり、指摘を受けても反論できない状況だと認識している。
 
 国家公務員の給与決定方法が県と異なっている部分があるとしても、給与決定基準の基本的な考え方は変わらない。国家公務員の状況については、県で収集できる情報は可能な限り整理して提供する。過去の経緯はともかく、現在の給与水準をどう考えるのか、それを将来に向かってどのように変えていくのかを議論することが必要である。次回の交渉では、給与水準について話し合うこととしたい。
 
 現業職員の給与決定等については、労使合意が前提となるのは基本ではあるが、一方、その結果は、納税者たる県民の理解と支持が得られるものでもなければならない。従来、労使交渉の経過は県民不在とまでは言わないものの、それに近い状態であった。結果について理解を得るためにもプロセスから明らかにしておくことが有効であり、また必要である。
 
組合:昭和41年の法律改正により法第38条の解釈が変わったわけではなく、昭和34年の地労委の調停時から現在に至るまで、同一又は類似の職種の給与を考慮することが給与の決定基準であることは共通認識である。これに基づき労使合意の下、決定してきた手続き自体には違法性はないことも共通認識として確認する。
 現行の現業職給料表は、行政職の給料表をそっくりそのまま使っておらず、また行政職と全く同じ運用ではなく、行政職に準じた運用を行っているのであるから、法第38条の解釈に示されているような『一律に』国又は地方公共団体の行政事務に従事する職員の給与と同一の給与を定めているという状況ではない。従って、法律の趣旨に反しているという県の主張は、誤っている。
 
 給与水準の見直しを否定するものではなく、今後の交渉課題は、給与水準をどう考えるのかになってくる。県は、「国の行政職給料表(二)の適用者と比べ、30ポイント程度高い」、「県内の民間事業者の同種又は類似の職種の給与水準とも乖離していることが、議会からも指摘され、納税者たる県民に対しても説明できない」と主張しているが、議会に対する説明が不足していると考えられ、極めて不満である。もともと国と県とでは給料決定に大きな差異があることを認識しているのか。国の行政職給料表(二)は、民間給与実態調査を基にした人事院勧告により一方的に決定されている。労使交渉を経て、合意の上で決定されている県の現業職給料表とは、決定方式も違うことから、自ずと国と県との水準が乖離してくることは自然なことといえる。
 国における採用基準、職種、前歴などの採用実態や給与の運用実態を踏まえた比較、検証を行った上で、比較の対象として適当なものなのかどうかが確認できなければ、国と比較して給与水準が高いという県の主張を納得することはできない。また、今日新たに示された全国の民間給与の状況についても、数値自体に異論は唱えないが、調査の前提条件等の検証が必要である。考慮しなければならないと思うが、これをもって即座に県現業職員の給与水準をこの水準に合わせなければならないと思っていない。
 
 昨年からであるが、交渉の経過を職員課のホームページに掲載しているが、交渉の経過が情報公開の対象となるかも含めて疑問を感じている。県民の納得も必要だと思うが、我々の納得も必要である。今回のように、調査の前提条件などの検証もなく、民間事業者の類似職種の賃金状況などの資料が公開され、それを県民が見たら現業職員の給与水準を下げるべきだということになる。交渉の経過をオープンにすることで、労使交渉の議論の幅が制限されることになる。
 
 
 
○平成17年6月24日(金)
  県(職員課等)と県現業公企職員労働組合との交渉の概要
  労働協約改定に関する現業公企職員労働組合との交渉の概要
   <現業職の給与水準の見直し>
○日時  平成17年6月24日(金)14時~16時20分(中断15時15分~15時30分)
○場所  第一会議室(本庁地下)
○出席者 知事部局:柴田参事監兼職員課長、伊澤給与管理室長、広瀬課長補佐、斉藤副主幹
               企業局:小泓次長、山田総務課課長補佐
               病院局:嶋田総務課長 

               現企労:有本執行委員長、谷本副執行委員長、上田書記長  他4名
 
<概要>
県: 改めて県から主張することはないが、前回交渉で、国との均衡の主張について組合から要求があった国家公務員の在職状況に関する資料については、既に事務折衝で示している。前回まで、地方公営企業法(以下「法」という。)第38条の解釈など基礎的な部分について議論した。また昨日、具体的な切替後の給与水準、在職者についての移行措置について図で説明したところでもあり、今後は、給与水準の中味の議論をしたい。
組合: 組合が、法第38条の解釈が給与の決定基準であり、それは昭和34年から変わっていないこと、それを基に労使交渉で賃金を決めてきたということにこだわることは、県にも理解できると思う。
県: 過去の経過や組合にそういう思いがあることは理解できる。
組合: 前回までのやりとりを整理しておくと、昭和34年に地方労働委員会(以下「地労委」という。)も、当時の議会も、「同一又は類似」が、一律に行政に合致させるのではなく、著しく開きがなければ、一定の格差も許されるという考えであった。その後、その考え方に基づいて労使交渉によって給与を決定してきたのが、これまでの経過である。
組合: 給与水準の議論の前に、言っておくが、県は、主任・主査の見直しの提案において、現給保障を行う旨を提示していた。しかし昨日県が示した切替の案には、強い違和感がある。
県: 1月19日に主任・主査の廃止を提案した際に経過措置として現給保障について言及していた。現給保障には具体的にはいろいろなやり方があり、昨日示したのは、その一つとしての県の提案であると理解して欲しい。
組合: 昨日までは30日の協約期限が迫り対応をどうするかの話を今日の交渉ですることを考えていた。昨日の段階で、県から切替の具体案が示され、その検証もまだできていないが、何をもとに賃金を決めるか議論しなければならない。
県: 県としては、組合は水準を見直すことに否定的ではないと認識している。
    すると次は、どういう水準にあるべきかが問題となる。我々は、我々の考えを既に示している。民間の状況をにらみながら、あるべき水準と、一定の現給保障的な移行措置を講じつつ、その水準への切替方法の具体案を提示した。
    これに対して、組合として、これ以外にどのような考え方があるのか。組合としてあるべき水準とはこうだとか、経過措置はこうあるべきとか何か具体的な提案はないのか。
組合: 県は国・民間との均衡をいうが、他の地方公共団体との均衡も必要。我々も国の状況を無視すると言っているのではない。県が提出した国家公務員の在職状況の検証・分析も進めている。県の主張と違う内容があるとの情報もあるので、その確認もしようとしている。
県: そういうものがあれば、教えてもらいたい。国の状況等についての資料があれば、単なる事実確認なので、交渉の場に持ち出すまでもない。組合に県と異なる情報や提案があるならば、速やかに出してもらいたい。
組合: 組合としては、組合の疑問をぶつけていきたいと思っている。国が基準だとは考えていない。国が基準という県の考え方には疑問がある。
県: 組合は、どういう水準があるべき水準だと考えているのか。
組合: 昭和34年以降、行政職給料表を基礎として独自に現業職給料表を作成してきたという経緯があり、職員の給与に関する条例(以下「給与条例」という。)の適用職員との均衡を考慮して給与を決定するというのが、基本的な考え方となっている。
県: つまり、今の給与水準のままが適当であるという考えであるか。
組合: 給与水準ではなく、現行と同じ方法で問題ないと言っている。
県: 給与決定の基準については、これまでも議論し、整理してきた。今は水準のことを話している。
組合: 全国的に、公務員全体の給与水準が問題にされていることは認識している。
県: 県では、人件費も行政サービスのコストとしてとらえると、市場化テストや民間委託を検討し、その方が経済的・効率的であるならば、そちらを選択しようという考え方になっている。現業だけでなく非現業もだが、それが県民も含めて納得いく方向だろう。今の水準を維持したままでということであれば、将来、民間に負けて雇用を維持することができなくなる事態もありうる。
    今、我々が示しているのは、雇用の維持を前提に、民間とのコスト比較にも耐えられるような水準にしたもの。
    現行の給与水準にこだわるのも一つの考え方であるが、その場合には、職場の確保が困難になる場合があることを承知しておいてもらいたい。
組合: 脅しで言っているように聞こえる。
県: 将来的には、行政サービス全般について市場化テストが進められる。それに耐えきれる水準にもっていかないといけない。今はそういった状況にあるということを理解して欲しいだけである。
組合: なぜ賃金の見直しと業務の効率化が関連するのか分からない。
県: 当然関連する。人件費も行政コストの一部であるから、民間とのコスト比較が進んでいく中で、「同一又は類似」という法の規定についての考え方にも、そういう見方が入ってくる。
組合: 今の給与水準でも民間との均衡はとれていると考えている。県ともその点は確認してきた。
県: 確認してきたという点について、改めていうまでもないことだが、整理しておく。現行の給与水準は労使交渉を通じて決まってきたものであり、手続的には問題はない。昭和34年当時の地方委の考え方などの認識も間違っていない。また、昭和34年の地労委のあっせんを受け、昭和35年に労使合意に基づきはじめて作成された現業職給料表は、当時としては問題のないものであった。しかし、その後協約改訂を経るうち、現在では、民間や国の水準から大きく乖離するに至り、結果的に法第38条の趣旨に適合しているのかというと大いに疑問がある状態となっている。組合は、今の水準のままでも問題ないというが、我々としては、水準に問題があると考えている。そのことを資料でもって説明してきた。
    職員全体の給与の見直しもしなければならないが、現業職の給与水準には固有の問題があるのであり、大幅に見直しが必要と認識している。その上で、今回の見直しを提案している。
組合: 県の主張は、昭和34年以降の一貫した給与決定基準の考え方を変更するものである。
県: 法第38条の解釈が変わった訳ではない。交渉ごとなので、それはいろいろな議論があって、今の水準が形成されてきたものであるが、この水準が昭和34年当時に確認された法の趣旨に合致しているとは到底思えない。あえて言えば、今の給与水準は法の趣旨を逸脱していると考えており、ゼロから議論したい。
組合: ゼロとはどういう意味か。
県: 過去のいきさつにはとらわれないで議論したいという意味。
組合: そんなわけにはならない。法が改正されたとか、第38条の解釈が変更されたというならば、まだ分かる。コストの観点で業務見直しが必要となるという一般論も理解できる。しかし、行政職に準じてきて、行政職がどうなるか不透明な状況では、現業職の賃金は決められない。
県: 行政職の給与制度適正化の議論が進み、運用等が明確にならなければ、現業職の給与水準の見直しの議論もできないといいたいのか。
組合: そういうことだ。
県: ということは、組合は、行政職と同じ給与水準でありたいという主張、提案なのか。
組合: そうだ。逆にそれで問題があるのか。問題ないと思っている。
県: 行政職については、水準を見直すとは言っていない。運用の一部にワタリなどの不適切な点があるのでこれを是正しようというもの。一方で現業職については、給与水準そのものが高すぎるということで見直しを行おうとするものであり、問題が異なる。
組合: その点は県と認識が異なる。
県: 今月末で協約の期限が切れるので、それまでに決着したいと考え努力している。行政職の見直しの様子を見てからでないと議論できないという組合の主張は、引き延ばしでしかない。
組合: 議論を引き延ばすつもりはない。
県: 行政職の見直しは、水準の見直しを目的としていない。結果として水準が変動することはあるかもしれないが、水準そのものは、人事委員会勧告を尊重することにより適正性が確保される。
    組合が行政職に準じることが適正水準という主張をするならば、その根拠は何か。
組合: 現業職員の給与の種類及び基準に関する条例には、給与条例適用職員の給与の額との権衡を考慮すると規定されている。
県: その規定は、給与水準に関する定めではない。給与水準や具体的な金額は、労使交渉を通じて定める。法も、条例には、給与の基準と種類しか定めないと規定している。また、行政職の給与水準に均衡しなければならないという趣旨でもない。
組合: 行政職の給与水準に平成16年度の協約までは準拠してきた。
県: 今後、我々はそういう取扱い方はしない方針である。法第38条の解釈は従来どおりであるが、4月当初に行政に準じた取扱いをする旨の協約(覚書)の破棄を申し出ている。
組合: 行政準拠によらないとすると何を基準に給与を決定するのか。
県: 国家公務員の水準がもとになる。それにより全国区の民間をカバーすることにもなると考えている。
組合: その点は我々と考えが違う。均衡しなければならないのは、国や民間だけでない。
県: 他の地方公共団体との均衡も考慮すべきということか。その点に関しては、前回も県の考え方を回答した。
組合: 県の考え方は国のみに準拠するものだ。
県: そういう考え方ではない。ただ適切な水準決定の現実的な方法として、国の水準を参考にすることが適当と考えた。選択肢は一つしかない訳ではない。これがダメだと主張するならば、組合の考え方を提示してもらいたい。
組合: 組合の考え方は、行政準拠を基本とするのが一番妥当であるというものだ。ただ、国の状況を無視しようというのではない。
    なぜ県は、国だけを基準にしようとするのか。
県: 国だけを基準に単純に行政職俸給表(二)を導入すると言っている訳ではない。
    我々の提案は、国の水準を考慮すればおおむねこういうカーブになり、そのことが民間を考慮したことになって、妥当なものとなるとの考え方によるもの。
    鳥取県だけでなく、他県でも、国や民間との均衡が要求されている。他県でも疑義があれば見直されると思うが、国や民間との均衡に疑問がある他県の状況を考慮対象とすることを法が求めていると考えていない。。
組合: 現業職員の賃金が民間・国との均衡で決定されるべきという県の主張こそ法の趣旨を逸脱している。
県: 県は、他県の状況を考慮すべきことを否定はしていない。組合が国や民間よりも他県との均衡を重視すべきだと主張するならば、具体的に他県のどういった状況を法の要求する事項として考慮すべきと考えているのか。組合の考えを示してもらいたい。
組合: 給与水準については、行政職に準拠することを基本とすることが妥当だと考える。県は、行政職について主任主査の廃止を提案しており、その水準がどうなるか不透明な状況にある。
県: 行政職に準拠する考え方はとれないと申し上げている。また主任主査の廃止は運用の一部の不適切な部分の是正であって、水準の見直しを目的としていない。
組合: 行政職の給与水準を見直す必要がなければ、現業職の給与水準も見直す必要はない。
県: 従来と同等な程度での行政職準拠を将来にもわたって貫き通したいということか。そういう主張ならば、その根拠を、県民や我々が納得できるものを提出してもらいたい。
組合: 基本的には、同じ行政サービスに携わっているのだから給与水準に差異を設けるべきでないということ。
県: 同じ行政サービスに携わっていても、医療職や研究職など行政職と異なる給与水準の職種もある。
    民間の賃金水準との格差については、既に資料に基づき確認したと思う。
組合: 県が一方的に主張したもの。
県: 行政職に準拠する根拠をお持ちなら、示してもらいたい。それによって、どこに焦点をあてて議論すべきか明らかになる。組合が他県の状況を強調するなら根拠を示してもらいたい。それを踏まえて交渉を進めていきたい。
組合: 他県にない鳥取県の独特の事情というものがある。一番大きな要因は、地労委が示した考え方。
県: 出発点にそれがあることは否定しない。
組合: この出発点をベースにして交渉してきた。
県: その事実を否定するつもりはない。その結果としての現在の給与水準がどうなのか、妥当なのかどうかということを議論している。
    組合は、今現在の給与水準が法に適合し、何ら問題がないと主張されるのか。
組合: 当初からそう言っている。
県: 先程は、給与水準を見直すことはやぶさかでないと言っていたが。
組合: 行政職の給与水準が見直されれば、それに準じて見直すことはありうるという意味で言った。
    行政職準拠ということだけでは説明できないとは思うが、これまでは、この点を労使が共通認識できていたので今日があると思っている。
    給与カットについても同じ職場にいて現業職員だけ受けないでは納得されないという判断で最終的に合意したもの。
県: 組合がそう思うならばそれを県民に対して説明しなければならない。組合も納税者に説明責任がある。行政準拠の主張の論拠をはっきり出して世に問えばよい。
    いままでの組合の考え方を整理したものでよいので、組合の主張を見える形で示してもらいたい。言った言わない、思う思わないというのではなく。
    我々も県民の声を聞きながら判断していきたい。
組合: 県民の声を聞きながらとは。
県: 我々公務員は県民に代わって税金を使っているのだから、当然のことだが、県民の理解が得られるものかどうか検証することが必要である。県民の理解が得られないものを続けていく訳にはいかない。費用負担者は県民である。
組合: 組合が具体的に反論を提示していないことは認識している。
県: 期限の30日まで残り日数は少ない。そのとき論点の整理ができていなくては何をやっていたのかと言われる。組合も組合員に説明できないのではないか。
    お互いの主張を具体的かつ明確に分かりやすく整理することが必要である。それができないとその後の展開ができない。抽象論ではなく具体論について精力的に交渉を進めよう。
 
 

○平成17年6月28日(火)
  県(職員課等)と県現業公企職員労働組合との交渉の概要
 
労働協約改定に関する現業公企職員労働組合との交渉の概要
<現業職の給与水準の見直し>
○日時  平成17年6月28日(火)16時~18時10分
○場所  第29会議室(第2庁舎8階)
○出席者 知事部局:柴田参事監兼職員課長、伊澤給与管理室長、広瀬課長補佐、萬井副主幹
                              斉藤副主幹
               企業局:山田総務課課長補佐
               病院局:嶋田総務課長
 
               現企労:有本執行委員長、谷本副執行委員長、上田書記長 他13名
 
  <概要>

  県:





 

昭和35年に地方労働委員会(以下「地労委」という。)が出した調停案において示された「行政職給料表の四等、五等、六等級に準ずる方向において」の解釈は、その後の地労委の回答に「行政職給料表の四等、五等、六等級を用いるという意味ではなく、これと甚だしい開きのないよう」と示されているように、当時の行政職給料表の特定の級(係長級と主事級)との対応関係やバランスを考慮することが適当であるという趣旨であり、地労委が示した準じる方向の幅は4等級から6等級であると理解している。

 組合:







 

地労委の出した調停案において示された「行政職給料表の四等、五等、六等級に準ずる方向において」とは、行政職給料表をそのまま使用するのではなく、また行政職と全く同じ運用ではなく、行政職に準じた運用を行うということである。
その基本的な考え方をこれまでも労使交渉で確認し、行政職に準じた運用を交渉で決めてきたものである。このことが組合の主張として、現業職の給与は、現行と同様に行政職に準じ給与水準を決定することが最も適していると考えている根拠であり、地方公営企業法(以下「法」という。)にも適合していると考えている。

 組合:











 

今回の県の提案理由は、国家公務員と比較して給与水準を考えているが、国とは初任給決定における経験年数換算方法、職種の数、級別定数の有無、団体交渉など制度も異なり、採用年齢も違う。制度が異なる国の現業職員と比較して給与水準を議論することはおかしい。
 行政職給料表と甚だしく開きがないように準じるようにとの昭和35年の地労委の裁定を受け、現業職の給与は労使で交渉し決定してきた。同じ県職員として、行政目的達成のために働いていることは同じであるのであり、法第38条第2項に規定するように給与水準の比較を行う対象は県職員(行政職)である。行政職と比較して、現業職の職務実態の評価を行い、差があるのならどれくらいの水準差が適当が議論すべきである。県の提示案では現業の仕事の価値が低すぎる。現業職の業務に対する評価が示されていない現在の段階においては、提案自体のめない。県として、現業職の給与に対し、どの水準が妥当なのか再度検討して欲しい。

  県:







 

法第38条第2項の規定は、同じ企業体の中において、個々の職員の職務に応じた給与決定の基準を規定しているものであり、組合が主張するような給与水準について規定したものではない。給与水準の基準はあくまで法第38条第3項で定められているものである。現在、県の中でも医療、研究など様々な給料表がある。
 これまでも現業職の給与水準についての県の考え方を示してきた。前回の交渉時にもお願いしたが、組合は、今現在の給与水準が法に適合し、行政職に準じた給与水準がなぜ適当だと考えるのか、具体的、かつ明確に整理するためにも組合の考え方をまとめたものを提出して欲しい。

 組合:


 

今回、経過措置の追加提案があったが、従来の交渉方法としては当初提案と同時に経過措置も提示があった。労働協約改訂交渉の期限の間近になって提案されるのは誠心誠意の交渉とは思われない。現給保障についても事前に説明して交渉すべきではなかったのか。

  県:









 

提示案は、給料表自体を変更する提案であり、給与水準の見直しについてどう考えるか、また見直し後の現業職の給与水準のあり方までお互い充分に話し合う必要があった。そのような議論を経た後に経過措置を含めて議論することが適当だと考えていた。水準の見直しについて議論が煮詰まらない段階で経過措置を持ち出すことには組合側にも反発があるだろうと考えて提案を控えていたものである。労働協約改訂の有効期限の6月30日を目前にぎりぎりまで待ったが議論が進展しないので提示したところである。意図的に遅らせたわけではなく、県からも再三再四交渉の進行を促したにもかかわらず、実質的、具体的な水準の見直し議論に入れなかったものであり、誠意がないと主張されることは心外である。そもそも、組合側は6月30日までの交渉の進行をどのように考えていたのか。その点の姿勢も問われるのではないか。

(出席した組合員からの発言)

・現給保障すらないとなれば、職員のやる気が低下し、県民へのサービス低下にも■■つながり、県としてもマイナスである。その点も十分に考慮して欲しい。
・現行の給与水準が守られることが理想であるが、新しい分野にチャレンジする意 ■欲のある組合員がいることも、是非忘れないで欲しい。


  県:







 

今回の提案では、これまでと同じ仕事を行ってもその対価となる給料が下がることになり、職員のモチベーションが下がることは予想される。ただし、職員のモチベーションが下がったとしても給与水準を下げなければ納税者たる県民へは説明できない状況である。そのような究極の選択を迫られている状況であることを理解して欲しい。仮にモチベーションが下がり、勤務成績が低下した時には我々としてはそれなりの対応を取らざるを得ないが、今後は、職員のモチベーションが下がらないように、希望者全員とはいかないが職種変更などの選択肢を示すことも考えているところである。給与水準を下げながら、県民や職員が納得ができるものは何かを議論していく必要がある。


 
 
 
○平成17年6月29日(水)
  県(職員課等)と県現業公企職員労働組合との交渉の概要
 
労働協約改定に関する現業公企職員労働組合との交渉の概要
<現業職の給与水準の見直し>
○日時  平成17年6月29日(水)15時~17時35分
○場所  第12会議室(議会棟3階)
○出席者 知事部局:柴田参事監兼職員課長、伊澤給与管理室長、広瀬課長補佐、萬井副主幹
                              斉藤副主幹
               企業局:山田総務課課長補佐
               病院局:嶋田総務課長
 
               現企労:有本執行委員長、谷本副執行委員長、上田書記長 他24名
 
<概要>
県:具体的に給料表を設定するにあたっては、他の給料表においてもそうであるが、行政職給料表とのバランスを考慮することはあり得る。しかし、給与水準の決定に際し考慮する要素、基準的な考え方は、地方公営企業法(以下「法」という。)第38条第3項のみである。昭和35年の地労委の調停案は、当時、現業職の給与水準を決定するにあたっては、法の趣旨に適合させるためにも、行政職給料表の特定の級との対応関係やバランスを一定程度考慮することが適当ではないかとの考え方を示したものである。もし、そのような趣旨でなければ、「同一又は類似の職種」という法の趣旨に適合しなくなると考える。また組合が主張する「行政職に準じる」ことは、法のどこにも記載されていない。その後、労使合意に基づき協約改訂を行ってきた経過の中で、現在では(当時の行政職給料表における)4等級から6等級の幅に納まらない運用となっている。その結果、国や民間における同一又は類似の職種の平均給与水準に比べて相当高い水準となってしまったのではないか。まず水準がどうあるべきかがあって、「準じる」かどうかは手法の問題だ。
 
組合:法の中に行政職給料表との均衡は規定されてはいないが、鳥取県の現業職の賃金がどうあるべきかを考えるにあたって、行政職給料表とのバランスを考慮するのは必要だと考えている。県は国や民間における同一又は類似の職種との均衡に大きなウエイトをおいて考えているが、組合は行政職給料表に準じ、これと甚だしく開きのないようにという昭和35年の地労委の調停を重要視している。現業職も非現業職員と協力し、同じ行政目的で一つの成果をあげるために仕事をしている。同じ仕事をしているのになぜ賃金水準に格差をつけなければならないのか。現行の賃金水準に応じた仕事をしてきているし、自信もある。現業職の職務実態の把握と評価を行い、行政職と比較して、差があるのならどれくらいの水準差が適当が議論すべきである。
 
県:様々な職種の人が協力して一つの目的に向かって仕事を行い、その中で各職種に応じた給与水準の評価を受けていることは民間でも国家公務員でも一般的な話である。同じ目的で働いているから同じ給料水準かというとそうではなし、納税者も納得しない。それぞれの職種が役割を分担しながら働いており、それぞれに給料表が設定されている。だからこそ法第38条第3項も「同一又は類似」と規定されているのだ。そうでないならその部分は不要である。
 
県:労働協約は6月30日をもって有効期限がきれる。明日までに現在までの交渉の結果、何が論点となっているのかをお互い整理しよう。県として論点の項目を整理し、それに対する県の主張を示すので、組合としても主張をまとめて記載して欲しい。
 
組合:論点整理をすることの必要性は同感である。
 
組合:(出席した組合員からの発言)
   提示案でいくと最大の者で5年後には月額12万円も下がる。法第38条には生計費も考慮されるようになっている。現業職員も現行の給与水準をもって生活設計を立てており、これでは生活できない。県職員の給与は民間と異なって下がらないものと考えていた。内容としてはそれくらい厳しい提案でもあり、給与水準を引き下げるだけでなく、職務内容の拡大など今後のあり方も併せて示してもらえないか。
 
県:極めて厳しい提案であるということは、我々も十分に理解した上で提案している。それだけ現業職を取り巻く現在の情勢は厳しい状況にあるということも、是非理解して欲しい。水準見直しにより人生設計、生活設計が変わるであろうことも理解できるが、公務員というだけで給与が下がらないといったことは許されない状況である。法第38条にいう生計費は個々人の生計費を具体的に考慮するのではなく、標準的な生計費を考慮するという意味であり、標準的な生計費は給料表の設定の中で既に考慮されているものと考えている。今、給与水準を見直さなければ、現行の現業職の直営による業務執行体制の維持が困難となると考えざるを得ない状況であることも理解して欲しい。
 
 
○平成17年6月30日(木)
  県(職員課等)と県現業公企職員労働組合との交渉の概要
 
労働協約改定に関する現業公企職員労働組合との交渉の概要
<現業職の給与水準の見直し>
○日時  平成17年6月30日(木)15時15分~17時40分
○場所  第12会議室(県議会棟3階)
○出席者 知事部局:柴田参事監兼職員課長、伊澤給与管理室長、広瀬課長補佐、萬井副主幹
                              斉藤副主幹 
               企業局:山田総務課課長補佐 
               病院局:嶋田総務課長
 
               現企労:有本執行委員長、谷本副執行委員長、上田書記長 他28名
 
<概要>
組合:昨日、論点を明確にして整理するため、県から示された論点項目に対する組合の主張をペーパーにして提出するようにとのことであったが、今日は口頭で主張させていただく。
 
   (県及び組合の主張は別紙のとおり)
 
   現業職の給料は、昭和35年の地方労働委員会(以下「地労委」という。)の調停案に基づいて、労使合意の上、行政職に準じて決定してきた。その結果、平成 16年度末の時点で給料水準が高くなっているため、県議会からの指摘もあり、今回の県からの提案になっていると理解している。組合としても給与の水準を見直しすること自体やぶさかではない。ただし、行政職に準じるという従来からの決定基準を変更しなくても水準の見直しは可能であると考えている。
 
県:県議会から指摘されたのは、国準拠という点で非現業職員と比較して、現在の現業職員の運用はダブルスタンダードになっているのではないかということであった。これまで交渉を継続的に行ってきたが、残念ながら給与水準の議論の前段として、給与決定の基準について対立したままであり、主張がかみ合っていない。労働協約改訂申し入れ部分については、今日6月30日が期限となっている。このように意見が対立したまま合意に至らない状態で、組合として今後、具体的にどのようにしようと考えているのか。
 
組合:労使合意のないまま7月1日から現行と全く異なる賃金を支給する事態となるようであれば、組合としては納得がいかない。合意に至るよう、今後速やかに議論を続けることはやぶさかでない。
 
県:残念ながら意見に大きな開きがあり、提案し交渉を行ってきた部分について明日から無協約状態となる異常な事態であるが、本日明らかにした労使間の意見の対立部分を埋める努力を今後さらに続けることは必要であると考えている。ただし、労働協約の有効期限が切れる状態の中で、本来は今日が期限であることを考えれば無制限ではなく、期限を定めて今後の交渉を行わなければならない。県としては3週間、7月21日までに限って交渉期限を延長し、その間に必ず結論を得るということで引き続き交渉することを提案する。この期限に再延長はないことはよく理解して欲しい。
 
組合:引き続き交渉していくことはこの場で合意するが、期限等についての最終的な回答は組織内で検討する必要があるので、少し時間をいただき、後程回答することとしたい。
 
<組合回答:同日20時10分~21時>
組合:本日の整理として、延長期限として7月21日を設定し、期限内に合意することを目標にお互い誠意をもって精力的に交渉を行うことを組合としても確認する。
(別紙:県及び組合の主張)
 
現業給与水準見直し交渉における論点
                               6月30日現在
















































































 
論点 当局の主張 組合の主張
地方公営
企業法
第38条











 
●第38条第3項の解釈は、国が示している施行通知にあるとおり、「考慮すべき公務員等(国、他県等、民間)の給与は、同一又は類似の職種のそれ」「その職種に関係なく一律に国又は地方公共団体の行政事務に従事する職員の給与と同一の給与を定めたり…することは、法律の趣旨に反する」ということ。
●同条2項にいう「職務の内容と責任に応ずるもの」とは、同じ企業体の中での職務給・能率給の原則を明確にしたもの。行政職と現業職では職務内容と責任は異なり、法律上比較することになっていない。あくまで現業職の範囲内で実現されるもので、それは3項の解釈からも明らか。
●法38条の法律が想定した基本的な原則は「生計費、同一又は類似の国、地方公共団体職員、民間賃金」であるが、法がいう4つの原則を考慮して具体的な賃金水準を決定することは至難のことであり、いずれかの原則を優先考慮の対象にするかが課題となる。







 
現業職の
給与水準







































 
●同一又は類似の職種の国及び地方公共団体の職員並びに民間事業の従事者の給与との均衡が図られる水準(地公企法38条の要求事項)。現在の現業職の給与水準は、国家公務員、民間の同一又は類似の職種の平均給与額と比べても相当高くなっており、法の趣旨を逸脱している。
●他県の状況も本来は考慮すべき事項であるが、他県も本県と同様に水準が高い状況であることから、そのような状況まで考慮することが法で求められているとは考えられない。
●国の行(二)を参考に水準を設定することが、現段階では最も適切かつ現実的な方法(国及び民間との均衡を満たすことになるもの)。

























 
●鳥取県においては、昭和34年の労働協約結交渉が妥結に至らず、組合は地労委に調停を求めた結果、「現行技能労務職給料表改訂については現行行政職給料表の4・5・6等級に準ずる方向において具体的金額並びに諸条項を当事者双方協議決定されたい」と提示した。
●地労委の調停案に対しては、労使双方から疑義が照会されたが、まず、組合が照会した「準ずる方向とは」に対して地労委は「行政職給料表を用いるという意味でなく、これと甚だしい開きのないよう協議決定されたいという趣旨である」と回答があった。県側は、「現業職員の給料表を決定するに当たっては、その場合に適用される地公企法38条の規定により、その職務内容が同一であり、又はこれと類似性のある国又は地方公共団体の現業職員の給料表その他の事情を参酌しなければならないと解されるが、調停案及びこれについての貴委員会の回答書の趣旨も同法同条の趣旨と同様であると解すべきか」と疑義を照会したことに、地労委は「ご見込みの趣旨も包含すると解されたい」とあり、地公企法38条の趣旨を踏まえた上で「行政職給料表に準じる方向で甚だしい開きのないよう」協議決定せよと回答されている。強調すべき点は、地労委が38条の趣旨を包含した上で調停案は、国の行政職給料表2表に準じることを提示せず、「行政職給料表に準じる方向で決定されたい」と明示したのであるが、法38条に明文の規定がない基本原則以外の「行政職準拠」を地労委があえて明示したのは、「鳥取県現業職員の給与の種類と基準に関する条例」が存在し、その条例中、支給額決定の基準において「職員の給与の額は、給与条例の適用を受ける者との権衡並びに職務の特殊性及び実態を考慮して定める」よう規定していることからも容易に想定される。
鳥取県の具体的な給与決定基準


















 
●昭和35年の地労委の調停案は(地公企法38条の趣旨も含め)「行政職給料表の4等、5等、6等級を用いるという意味でなく、これと甚だしく開きのないよう」との趣旨。これは、行政職の水準に準じるのではなく、それと一定の格差(開き)を持って給料表を設定することを許容しているもの。つまり特定の級(係長級と主事級)との均衡を考慮すべきことを「準じる方向」として示唆している。
●水準決定の基準はあくまで地公企法38条であり、「水準決定基準」において行政職に「準じる」という考え方はあり得ない。具体的に給料表を設定する際に、技術的な「方法論」として行政職給料表を考慮することはあり得る。
●地労委の調停を基に労使で交渉を行ってきた結果現在があり、これまでの手続きという点においては適正であったと認識。
●過去の経過は経過として、現在及び将来に向けて、法や社会情勢に照らしてどうあるべきかを議論することが必要である。
 
●調停案の扱いは地方自治法96条10号の規定によって県議会の議決を要することとされており、昭和35年2月29日、石破知事は「給料表及びこれに伴う諸条項」については、職務内容が同一又は類似する国及び地方公共団体の単純な労務に雇用される職員の給料表及びこれに伴う諸条項を考慮して処理するものであると議決を求め、3月25日可決され、4月1日労働協約が締結された。
 このように地労委の調停案を鳥取県議会、労・使が受諾したことで、県という部分社会で当事者の合意のもとで「行政職に準じる方向」の慣行が形成され、以来継続されており、当事者の合意がないかぎり慣習法の保護をうける対象となっている。 
●現業職給与について「行政職に準ずる」決定基準を変えなくても給与水準の見直しは可能であり、組合も見直しについて否定するものではない。

 

*「組合の主張」欄は、組合が作成したものを原文のまま転記したものです。



○平成17年7月7日(木)
  県(職員課等)と県現業公企職員労働組合との交渉の概要

 労働協約改定に関する現業公企職員労働組合との交渉の概要
<現業職の給与水準の見直し>
○日時  平成17年7月7日(木)10時15分~11時50分
○場所  執行部控室(県議会棟2階)
○出席者 知事部局:柴田参事監兼職員課長、伊澤給与管理室長、広瀬課長補佐、萬井副主幹
       企業局:山田総務課課長補佐
       病院局:嶋田総務課長

                現企労:有本執行委員長、谷本副執行委員長、上田書記長 他8名

<概要>
県:前回6月30日の交渉において、これまでのお互いの主張の論点整理を行ったところである。給与決定基準についてはお互いの主張がかなり異なっているが、最終的にお互いが考えている見直し後の給与水準が似通ったものであるならば、たとえ基準についての双方の考え方が食い違ったままであっても、今後は具体的な給与水準をどう考えるのかについて議論の論点を絞ることが、限られた交渉期限の中で効率的だと考える。そのためにも、見直すことはやぶさかではないと前回の交渉で発言された組合側が、見直し後の給与水準として具体的にどのような水準を考えているのか示して欲しい。

組合:労使合意して決めたこれまでの「行政職に準じる」という給与決定基準をもとにして、給与水準の議論を行うことはやぶさかではない。この決定基準を変更しなくても水準の見直し議論はできると思っている。しかし、この給与決定基準の考え方自体を変更しようとするのであれば、そのことについて交渉しなければならない。何を決定基準にするのか不明確であれば組合員は不安であり、組合としてあるべき給与水準が何か示すことはできない。そもそも組合の設立趣旨は、組合員の労働条件の維持、改善にあり、現行の賃金水準を維持することが組合の考えの出発点である。

県:給与決定基準を決めてから、その結果としての給与水準を検証することは本末転倒ではないか。地方公営企業法(以下「法」という。)第38条が求めているのは、国や民間と均衡した適正な給与水準であり、その水準となるよう給与水準の決定手法を決めることが法の求めている趣旨であると考えている。県議会においても、現業職給与水準の決定の仕方について現業職だけが国に準じておらず、ダブルスタンダードとなっているのではないかと指摘されており、併せて水準も高いと指摘されている。昭和35年当時は行政職における特定の級との対応関係や均衡を図ることにより法の求める適正な給与水準が確保されたのだろうが、現在の水準は大きくかけ離れてきており、法の趣旨に反しているといわざるを得ない。これまでの反省も踏まえ、今後は従来の内容での「行政職に準じる」との考え方は、もう取れないものである。

組合:団体交渉で決められた給与決定基準であるという点から、法に違反するものではない。基幹給料表としての行政職給料表との均衡とバランスを考慮するという意味では従来の「行政職に準じる」という考え方は変わっていない。「準じる」という言葉にこだわるのであれば、組合としては「行政職に均衡する」ということでも構わない。水準を見て県は適正ではないと主張するのだから、方法は別として水準を見直せばいいのではないか。給与水準が高い原因が行政職に準じた運用にあるというのなら、給与決定基準の考え方を変えなくても、その運用方法の見直しを議論すればいい。

県:要するに、現業職の給与水準を考える際に、今後は、まず行政職との関係や均衡の観点から考えはじめるのではなく、法の趣旨どおり国や民間の同一又は類似職種との均衡の観点から適正な給与水準を考えるということである。組合がどのように主張しようとも、今後は「行政に準じる」との考え方を基本にしないとの県の考え方は変わらない。組合は「準じる」との考え方は、全く同一であるとの意味で使ってきたわけでなく、給料表は行政職と全く同一ではない、運用も一部異なっている部分もあると主張するが、それは実態としてはほぼ同一に近いものであり、結果として高卒の行政職の給与水準とほぼ同一の水準となっていることは組合も認めているところである。組合の主張する「行政職に準じる」という考え方が、昇格時点や昇給経過などの運用までも含めたものであるならば、運用方法を見直して給与水準を議論すればいいと主張していることと、「行政職に準じる」という決定基準を変えなくても水準の見直し議論ができるという発言とは矛盾するのではないか。

県: 前回の交渉で、組合としても給与水準を見直すことはやぶさかではないとの発言があったので、今後はあるべき給与水準について議論を進めることができるのではないかと考えて、本日の交渉の冒頭で組合側の考える給与水準の見直し後の水準がどの様な、どの程度のものなのか具体的に分かるように示して欲しいと求めたところである。しかし、組合の主張はあくまで給与決定基準のあり方をまず整理しなければ給与水準の考え方を示すことはできないとのことであった。どうしても具体的な水準議論を進めることはできないのか。

組合:「行政職に準じる」との従来の給与決定基準の考え方を変えるのなら、まずその基準の考え方が整理できなければ、具体的に水準の議論を進めることはできないし、水準について組合の考え方を具体的に示すこともできない。次回の交渉でも給与決定基準の考え方から議論することになると考える。

県:県としては、これまでに基準の考え方については相当議論してきたところであり、交渉期限のことを考えれば、今後は具体的な給与水準について議論したいとの考えは変わらないが、組合が基準的な考え方からでなければ議論できないと主張されるのであればやむを得ない。望むものではないが次回もまずその点から交渉に入ることで仕方ないと考える。

県: 本日の最後にあえて付け加えさせていただく。現業職の給与水準の今後のあり方を考えるにあたって、当然のことであるが、直営での業務体制を維持していくことを前提とした場合にどういう水準が適当かということが水準を議論する上で、避けられない観点である。そのためには、現在の厳しい県財政の状況の中にあっては、従来にもましてコスト面は重要な要素となってくる。この場合、コスト比較されるのは同じ県職員内の行政職ではなく、民間の同一又は類似の職との比較である。給与水準の議論にあたっては、このような厳しい現状と現業職のあり方を踏まえて考え、議論することが必要であることを理解して欲しい。

組合:アウトソースを考える際の判断要素としては、賃金コストも要素の一つではあるが、単純に賃金コストだけではないはずである。



○平成17年7月12日(火)
  県(職員課等)と県現業公企職員労働組合との交渉の概要

 労働協約改定に関する現業公企職員労働組合との交渉の概要
<現業職の給与水準の見直し>
○日時  平成17年7月12日(火)14時~15時10分
○場所  執行部控室(県議会棟2階)
○出席者 知事部局:柴田参事監兼職員課長、伊澤給与管理室長、広瀬課長補佐、萬井副主幹
       企業局:小泓次長、山田総務課課長補佐
       病院局:渡邊副主幹

       現企労:有本執行委員長、谷本副執行委員長、上田書記長 他39名

<概要>
組合:前回の7月7日の交渉で確認、整理した今回の交渉項目として、給与決定基準の考え方について議論していきたい。組合としては、交渉の当初から主張しているが、昭和35年の地方労働委員会の調停案も行政職給料表に対応して現業職の給料表を設定することについて労使でよく話し合うよう求めており、また、「現業職員の給与の種類及び基準に関する条例(以下「条例」という。)」の条文においても給与条例適用者との権衡を考慮することが求められている趣旨からも、水準の見直しを議論するにあたり、行政職給料表に対応して現業職給料表を決定してきたという従来の基本的な考え方を変更しなくても議論はできると考えている。これまで決定基準を変えなくても水準議論ができると言ってきたが、交渉の当初から組合としても行政職との均衡、バランスは必要であると主張してきたのはこの意味であって、労使交渉で決めてきたもの全てが基準だとするものではなく、この点について県側と共通認識として整理できるところはないのか。

県:現在の現業職の給与水準は、標準的な昇給経過、給料表の運用結果としての給与水準において、高卒の行政職とほぼ同一となっている。現在と同じ運用方法、水準となることを含めて従来と同様に「行政職に準じる」、「行政職との均衡を考慮する」という主張なら絶対に受け入れられない。
    条例においては、現業職員の給料の決定基準として給与条例適用者との権衡が考慮されるよう定められているが、それは給与水準や具体的な額を定めているものではない。具体的な給与額や水準は、労使交渉の結果を受けて締結される労働協約、それに基づく「現業職員の給与に関する規則」により決定され、支給されることとなる。条例に定められている趣旨は、あくまで給与の支給額を設定する際には、額が同じとなるかどうかは別としても、給与条例適用者の額とのバランス、均衡を考慮すべきであるという趣旨であり、限定された意味である。

県:我々としても、既に申し上げてきているとおり、現業職に限らず他の給料表においても同様の考え方であるが、給料表を設定するにあたり、基幹給料表である行政職給料表との関係、バランス、均衡は、一定程度考慮する要素であるという考え方は今後とも変わりはない。このような限定した意味において行政職給料表との均衡、バランスを考慮するということであれば、給料表を設定する際の基本的な考え方の出発点としては理解できるし、違和感はない。

組合:給料表設定の基本的な考え方という点は労使双方で確認できたので、今後は具体的な給与水準がどうあるべきなのか議論していくこととする。組合としては、現在の水準が妥当であると考えているが、「行政職に準じる」運用結果として現在の水準が問題視され、見直し案が提示されているという県の提案趣旨は理解できるので、水準を議論していくことを否定はしない。また、水準の基になるのは地方公営企業法第38条であることも共通認識である。ただし、給与決定基準と同様に水準の議論は大きな問題である。今後の交渉にあたって県から提案を受けている水準について、組合として15日までに論点を十分に整理したいので、本日の交渉はここまでで終了したい。

県:本日の交渉をここまでの段階で終了することを組合が希望するならそれでよいが、21日が交渉期限でもあり、今後はより一層効率的に、かつ精力的に議論していかなければならない。組合側もその点は十分に踏まえた対応をお願いしたい。

○平成17年7月15日(金)
  県(職員課等)と県現業公企職員労働組合との交渉の概要

労働協約改定に関する現業公企職員労働組合との交渉の概要
<現業職の給与水準の見直し>
○日時  平成17年7月15日(金)14時~16時20分
○場所  執行部控室(県議会棟2階)
○出席者 知事部局:柴田参事監兼職員課長、伊澤給与管理室長、広瀬課長補佐、萬井副主幹、齋藤副主幹
       企業局:小泓次長、山田総務課課長補佐
       病院局:嶋田総務課長

       現企労:有本執行委員長、谷本副執行委員長、上田書記長 他37名

<概要>
組合:前回の7月12日の交渉で現業職員の給与決定基準の考え方について議論し、労使双方が共通認識に立てたことから、今回から具体的に給与水準について議論できると考えていた。このため、給与水準の議論に先立ち給与決定基準の基本的な考え方について、共通認識に多少すれ違っている部分があることは承知しているが、事務折衝時において、双方確認した事項について覚書を締結してはと組合案を提示した。持ち帰って検討するということであったが、検討状況はどうか。  なお、組合としては、「現業職員の給与の種類及び基準に関する条例」(以下「条例」とういう。)に定められている現業職の給与について、給与条例適用者との権衡を考慮されるという条文自体について、県としては今のところ改正する予定はない、昭和35年の地方労働委員会の調停案に基づいて、行(二)ではなく行(一)を基本に、均衡、バランスを考慮して決定する基本的な決定基準に変わりがないという点を前回の交渉の最後の場面で確認したと認識しているが、職員課ホームページに掲載されている前回の交渉の概要では、この整理された点が全く明記されていない。なぜあのような文面が掲載されたのか納得がいかない。

県:確かに事前折衝の際に、組合の作成した覚書案の提示があり、持ち帰って検討することとしたが、その内容には相当違和感があるものであった。また、前回の交渉においても事務折衝において双方の主張を一定程度整理した上で、交渉に臨み、言葉を選んで県の考え方を伝え、確認したつもりである。にもかかわらず、組合から示された覚書案には交渉の際の発言にはなかった文言が入っており、内容には疑問が多いものであった。また、交渉の途中段階での突然に覚書を結ぶ申し出であり、その真意も理解できないものである。
    再度確認するならば、現業職に限らず他の給料表においても同様の考え方であるが、給料表を設定するにあたり、基幹給料表である行政職給料表との関係、バランス、均衡は、一定程度考慮する要素であるという考え方は今後とも変わりはない。このような限定した意味において行政職給料表との均衡、バランスを考慮するということであれば、給料表を設定する際の基本的な考え方の出発点としては理解できるし、違和感はない、ということが前回交渉で確認した内容である。

組合:組合としては、覚書の案にも示したとおり、現業職給料表は、行政職給料表も考慮した上で設定されることが給与決定基準であり、給与制度の運用については今後議論を行うという整理である。県が言う「限定した意味において考慮する」とはどういうことか。これから給与水準の議論を行おうとしている段階で、給与決定基準の中に「わたり」や「運用」の結果生じる「水準」も限定したような意味であれば納得がいかない。

県:県としては、地方公営企業法(以下「法」という。)の趣旨は、従来のように行政職との関係や均衡の観点から考え始めるのではなく、国や民間の同一又は類似職種との均衡の観点から適正な水準を考えることが基本であり、その水準を設定するにあたってどのような給料表を設定するのかを考えていくべきだと主張し、議論してきた。しかし、給与決定基準についてお互いの主張がすれ違う中で少しでも議論を進めるために、給与水準についてではなく、給料表設定にあたっての基本的な考え方についてのみ確認するという意味で「限定した意味で」という言葉を使ったものである。「現業職給料表設定にあたっては、基幹給料表である行政職給料表との均衡、バランスを考慮して決定することは、今後とも変わりがない。」ということなら県としても違和感がなく確認できる。

組合:では、「現業職給料表設定にあたっては、基幹給料表である行政職給料表との均衡、バランスを考慮して決定することは今後とも変わりがない。」ということで確認する。

組合:県からは、組合の主張する具体的な給与水準の提示を求められているが、組合としては現行どおりの行政職7級相当までの運用が妥当な水準であると考えている。法第38条3項には生計費及び国、他の地方公共団体、民間の同一又は類似の職種の4つとの均衡が図られるよう規定されている。その中で国の水準のみに均衡を求めているのは、法の趣旨から考えれば間違いであり、県の主張には納得がいかない。

県:どの程度水準の格差が開けば法の趣旨に反するか明確な線引きはないまでも、これまで国や民間の給与水準などについて、具体的資料を示しながら説明してきたとおり、現状の給与水準は、法の趣旨に照らして許容されている範囲内であるとは思われない。また、法を所管している総務省自身、現業職の給与水準が高いことを認識し、課題として提起してきているものであり、現業職の水準が高いという点は、鳥取県が独自に考えているわけではない。このように給与水準が高い他県の状況までも考慮することを法が求めているとは考えられない。行(二)給料表の設定にあたっては、国において生計費、民間の状況も十分に考慮されて設定されているものである。具体的な方法論としては、他にも選択肢はあるだろうが、国の行(二)を参考に水準を設定することにより、法第38条の求める4つの要素のうち3つの要素を考慮したこととなり、法の趣旨を尊重するならば、現段階において最も適切かつ現実的な選択肢だと考えている。

組合:総務省においても、現業職給料表について、国の行(二)を単純には考慮できないと言っている。

県:そういう資料があれば是非示して欲しい。当方から総務省に見解を求めてみる。

組合:そもそも国家公務員の給与決定に問題があると考えているが、初任給決定基準、経験年数の換算方法、級別資格基準など制度的に相違点が大きく、その結果として給与水準が異なる国家公務員の給与水準と比較することはおかしい。現在の県の提示案でも国の平均的な給与額のカーブと比較してきており、採用時年齢の実情が大きく異なる国の給与カーブと比較すること自体おかしい。

県:国家公務員の給与決定は法律に基づいて決定されているものである。また、県の提示案に示しているのは、国の平均給与額の状況ではなく、詳細の運用が国から開示されていない状況ではあるが、可能な限り調べた18歳で高校卒業後すぐに採用された者を最も有利と推測される運用方法で昇格させていった理論的な標準昇給線である。このことは基礎的なデータを提示しながら今まで何度も説明してきたところである。このような基礎的な部分も今の段階に至っても十分に理解されず、誤解されているようなら正しい議論は進まない。

県:職種によって賃金格差があることを前提に、法は「同一又は類似の職種」との均衡を求めているのである。「行政職に準じる」ことを組合が主張するならば、現業職と行政職の仕事の内容は「同一又は類似の職種」と考えているのか。また、国の行(二)の水準を考慮することに対し、仕事の内容も大きく違うので難しいと主張するのであれば、国の行(二)適用者と県の現業職の仕事の内容は、法第38条に規定する「同一又は類似の職種」の範囲内ではない、「類似」の範囲を超えるほど違うものだと考えているのか。

組合:行政職と現業職の仕事の内容は同一だとは考えておらず、職種としては別なものだと考えている。また、国で行(二)給料表が昭和32年に制定され、それに応じて県でも現業職給料表が適用されたことからも、県の現業職は国の行(二)適用者と類似のものとしての位置づけと考えている。

県:組合側は、様々な主張をされるが、「見直すことはやぶさかではない。」と言われる以上、その見直しの先の給与水準について、組合の具体的な考えを示していただきたい。県側の考え方はすでに提案し、説明してきているとおりであり、組合側も水準についての考え方を示して具体的な議論を進めるべきだと考える。交渉期限まで残された期間も少なく、できるだけ具体的な内容の交渉を進めるべきだと考える。

組合:あえて組合の主張する水準を求めるというのであるなら、給与水準を議論し始めたばかりの段階で、現在の県の提示案では到底合意できる内容ではない。現行の水準が適当というのは変わらないし、行(二)の水準に準じようとしている県側がその考え方を検討し直した上で再提案することを求めると主張する。

県:本日、給与水準に関して議論したが、21日までの期限が限られており、今後は矛盾があるところ、お互い考えているところの論点を絞る必要がある。どういう点において議論されれば、歩み寄りが可能なのか、来週に向けて効率的に話し合っていくことが必要である。
  

○平成17年7月19日(火)
  県(職員課等)と県現業公企職員労働組合との交渉の概要

 労働協約改定に関する現業公企職員労働組合との交渉の概要
<現業職の給与水準の見直し>
○日時  平成17年7月19日(火)14時~18時
○場所  執行部控室(県議会棟2階)
○出席者 知事部局:柴田参事監兼職員課長、伊澤給与管理室長、広瀬課長補佐、萬井副主幹
                              齋藤副主幹
       企業局:小泓次長、山田総務課課長補佐
       病院局:国米総務課課長補佐

        現企労:有本執行委員長、谷本副執行委員長、上田書記長 他37名

<概要>
組合:前回の交渉において、「現業職給料表設定にあたっては、基幹給料表である行政職給料表との均衡、バランスを考慮して決定することは、今後とも変わりがない。」ということで確認した。これからも地方公営企業法(以下「法」という。)第38条の趣旨を包含した昭和35年の地方労働委員会(以下「地労委」という。)の調停案を尊重していくということでよいか再度確認を求める。

県:地労委の調停案は、あくまで現業職給料表設定に際し起こった昭和34年の労使紛争を解決する手段として、具体的な方法論として示されたものであって、そのまま継続して守るべき基準とすることを求めたものではない。前回の交渉で確認したのは、給与水準の議論に先立ち給与決定の基本的な考え方について、組合と県とですれ違っている部分が多い中で、給料表を設定する際の考え方として最低限お互い整理できる部分は何かということを確認したものである。

組合:法第38条の趣旨を包含した昭和35年の地労委調停案においては、現業職給料表は当時の行政職給料表の4等級から6等級に準ずる方向において、これと甚だしく開きのないよう労使で協議決定するよう求められており、平成16年度まではこれを尊重して労使協議を行い、決定してきた。組合としては「現業職給料表設定にあたっての基幹給料表である行政職給料表との均衡、バランスの考慮」とは、地労委の調停案の文面に書いてある趣旨のとおりに解釈するという認識に立っている。4等級から6等級に準じるという点も調停案の文言どおりで差し支えない。

県:地労委の調停案を受け、当時の議会で承認を受けた処理方針は、「職務内容が同一又は類似する国及び地方公共団体の単純な労務に雇用される職員の給料表及びこれに伴う諸条項を考慮して処理する」という方針である。この方針を受けて、具体的に調停案に示された内容も基にしながら労使交渉を行い、当時の行政職給料表の5等級と6等級を適用したものである。
    当時もそうであっただろうが、現業職給料表を設定するにあたっては、基幹給料表である行政職給料表との均衡、バランスを考慮するという考え方は違和感ないし、今後とも変わりはない。また、地労委の調停案の文言どおりの運用を行っていれば、今日のこのような高い給与水準には至っていないだろう。給料表の改定について調停案の文言どおりでいいということならば、現在の県の提示案は調停案の考え方と一致しているものとなっている。
    文言どおりの考え方なら認めることはできるが、これまでの組合の主張からすれば、行政給料表適用者全体に準じることを求めているのではないのか。それなら認めることはできない。
    
組合:県の提示案では、国の行(二)の給与水準を基本ベースに行政職給料表の1級から3級の運用としているが、なぜ国の行(二)を基準とするのか。地労委の調停案も行(二)ではなく、あくまで行政職給料表と甚だしく開きのないよう求めているものであり、県の提案しているように行(二)水準まで引き下げるという考え方は、あまりにも甚だしい開きであり、調停案の求めている趣旨ではないはずである。

県:県の提示案は行(二)を参考にしているのであって、基準としているのではない。基準とするのであれば、ストレートに行(二)給料表を適用させる案を提案している。あくまで現業職の給与決定基準は、法第38条第3項であり、そこには、生計費及び国、他の地方公共団体、民間の同一又は類似職種の給与といった4つの事項を考慮するよう規定されている。国の行(二)俸給表は、人事院が同一又は類似の職種について民間給与実態調査を行い、その結果に基づいて設定されているものであり、全国レベルではあるが民間の給与水準を反映したものである。このことは以前にお示しした賃金構造統計調査結果から見ても検証されることである。国の行(二)俸給表の水準を参考とするということは、国、民間の状況及び生計費を考慮した結果となり、法の求める4つの考慮要件のうち、3つを満たすものとなる。残る地方公共団体との均衡についての県の考え方は、去る6月30日に整理した「論点整理」に記載してあるとおりである。
給料表の設定においては、行政職給料表や他の給料表においても同様であるが、民間給与の状況を十分に踏まえて、民間の類似の職種との均衡が図られることが、何よりも求められている。方法としてはいくつかの選択肢はあるであろうが、国の行(二)を参考に水準を設定することが、現段階において最も適切かつ現実的な方法であると考えている。

組合:組合は、現業職給料表の設定に際しては、法第38条第3項の求める4つの要件は全て考慮されるべきだと考えており、法第38条の趣旨を包含するとされる昭和35年の調停案に基づき、従来と同様に行政職に準じることにより、4つの要件全てが考慮されるものだと判断している。県の提示案のように他県を考慮しないということは、法の趣旨に反しているので、提示案の再検討を求める。平成16年度は、人事院において現業職種についての民間給与実態調査は行われていないはずである。人事院が民間給与実態調査に基づき勧告しているという県の認識と組合の認識とでは違いがある。

県:組合の認識は理解しがたいが、平成16年度の人事院勧告にあたっても、現業職種についての民間給与実態調査は行われている。また、6月30日の論点整理に誤解が生じているようなので、再度説明するが、法の規定事項でもあり、他の地方公共団体の状況は当然考慮すべきものと考えている。今回の提示案においても他の地方公共団体の状況について考慮を行っている。つまり、全国的に現業職の給与水準が相当高くなっていることは、総務省においても課題として認識され、その是正について通知が出されている。総務省は、地方公営企業法を所管する省庁でもあり、その総務省が是正を求めているような状況の中にあって、単純に他団体の水準に均衡を図るということを、法は求めていないと判断している。誤解を招くのなら、単純に他の地方公共団体の水準を考慮するのではなく、法が求めている趣旨に鑑み、高い水準にあるという状況も踏まえた上で、考慮して提案していると言換えてもよい。

組合:自治労本部と国(総務省)との交渉において、地方の現業職と国の行(二)適用者とは単純に比較できないことを確認してきている。その点は総務省も認めている。

県:国が言っているのは、国公ラスパイレス指数で比較することについて、国にはいない清掃職員のような職種が、ある町村においては現業職の大多数を占めているような場合などにおいては、単純に比較できないといったように、ラスパイレスを用いた比較上での限界を述べたもののはずである。その話と法第38条第3項の話と混同しているのではないのか。我々はラスパイレスが130だから水準を下げるといっているのではない。
    昭和35年当時の行政職給料表の4等級から6等級は、今日的にどう考えられるのか、どう考えたら法の求める趣旨を満たす水準となるのかを検討し、給料表の設定として現在の行政職の1級から5級に対応するものとして提案している。この提案が組合が妥当とする昭和35年の地労委の調停案に対し、不当な提案で、趣旨を逸脱しているというのであれば明確かつ具体的に反論の主張を行っていただきたい。

組合:6等級制の中で組合員なら誰でも4等級まで行けていた。その考えの基に、地労委の調停案も「著しい開きがないように」と提案された。当時の4等級が現在の給料表の運用でいけばどこに該当するのか、当時は4等級までであったが、その後3等級まで、さらに2等級まで運用が行われてきている。長年の経緯もあり、単純に役職だけで置き換えてよいかどうかは検証しなければ何とも言えない。

県:本日も実質的な論点を絞るために必要と考え、事前の打ち合わせでもそのための最後の機会と位置づけて、必要に応じて17時以降も延長して交渉することを想定して、労使とも交渉に臨んでいるはずである。組合から主張されるなぜ行(二)を基準とするのか、なぜ他県の均衡をしないのかについては、県の考え方を説明した。交渉期限は21日までであり、時間的にも限られており、今後の交渉を効率的に行うためにも組合として主要な論点となる事項は何か全て示して欲しい。

組合:組織内で検討して回答をするので、交渉を中断し、少し時間をいただきたい。

(17時30分 組合側退席)

<18時 組合側から電話連絡>
組合:組織内で検討しているが、すぐに論点整理がつかないため、本日の交渉はここまでで終了したい。

県:組合側が希望するならそれでよいが、交渉期限は21日までであり、時間的にも限られていることを十分に認識し、必ず明日までに論点整理を行って欲しい。

○平成17年7月20日(水)
  県(職員課等)と県現業公企職員労働組合との交渉の概要

労働協約改定に関する現業公企職員労働組合との交渉の概要
<現業職の給与水準の見直し>
○日時  平成17年7月20日(水)16時~17時5分
○場所  第23会議室(第2庁舎7階)
○出席者 知事部局:柴田参事監兼職員課長、伊澤給与管理室長、広瀬課長補佐、萬井副主幹
                              齋藤副主幹
       企業局:小泓次長、山田総務課課長補佐
       病院局:国米総務課課長補佐

       現企労:有本執行委員長、谷本副執行委員長、上田書記長 他25名

<概要>
組合:昨日の交渉で、給与決定の基本的な考え方について一定整理ができ、確認できたと考えていたが、午前中の事務折衝において県から示された「論点整理」の案では、県は提案の考え方を変えないということが明らかであり、これまで交渉してきた事項が何であったのかと疑問に思う。給与水準は、昭和35年の地方労働委員会(以下「地労委」とう。)の調停案の文面どおりであり、この調停案は、当時、組合員の大多数が到達した行政職の4等級から6等級と甚だしく開きのないよう設定されるよう要求していた組合の主張を踏まえた上での調停案である。

県:給与水準に対する考え方は、当初から本日午前中に示した「論点整理」の案に記載してあるとおりであり、何ら変えたつもりはない。給与決定の基本的な考え方についてこれまで交渉してきたが、お互い主張のくい違う部分が多く、すべての考え方は無理としても一致できる部分は何かということを整理した中で、「現業職給料表設定にあたっては、基幹給料表である行政職給料表との均衡、バランスを考慮して決定することは、今後とも変わりがない。」、「給料表の設定方法の議論を行う上で、昭和35年当時でいう行政職4等級から6等級に準じる方向で考えるという地労委の調停案を文面どおりに理解する。」という2点を部分的、限定的に整理したものである。
    また、地労委が組合員の大多数が到達していた級を基にして、水準を求めていると組合は主張されるが、その具体的な根拠はどこにもない。組合は当時の4等級から6等級という特定の級に準じる方向で考えるのではなく、あくまでも行政職全体に準じることが適正であると主張したいのではないか。

組合:行政職全体に準じることを求めているわけではない。地方公営企業法(以下「法」という。)第38条第3項にも「行政職に準じる」とは書かれていない。法第38条の4つの要件を包含した上で、地労委は、組合が主張してきた組合員の大多数が到達する級として当時の行政職の4等級から6等級と甚だしく開きのないよう提案してきたものであると理解しており、大多数が到達する級として今に置き換えた場合に、1級から5級という県の提案には疑問がある。
 組合としては、まず、これから新しい給与水準を決めていく中で、法が求めている決定基準の中で何を基にするのか整理した上で、次に水準の議論に入ればいいと考えている。組合としては法第38条第3項に定められた4つの要件を比重なく、全てが考慮されなければならないと考えている。県の提案では他県の状況は考慮しないとしているが、法には他県は考慮しなくてもいいとはどこにも書かれていない。

県:昨日も確認したが、他県の状況も検討、考慮した上で、水準を設定する際に単純に均衡を考慮することは適当でないと判断しているものである。現業職の給与を決定する上で、他の地方公共団体の状況も法第38条第3項に基づき考慮する一つの要素であるということは確認できる。

組合(参加者):それなら基本的な考え方についての確認はできるのではないか。早く確認して、議論を次に進めよう。

県:現業職給料表の設定にあたっては、法第38条第3項に規定する4つの要素を考慮することは確認できるし、組合も異論がないと思う。次に考えるのはその4つの要素をどう考慮するかである。県の主張は「論点整理」の案にまとめた下2つの項目に記載したとおりであり、ここが組合の主張と大きく異なっているところである。現在の給与水準を考えるにあたっては、昭和35年の地労委の調停案の文面どおりであっても、今一度法第38条の趣旨の原点に立ち返って、基本的な考え方の再構築が必要であると考えている。県として、これまで4つの要素のウエイトのかけ方について皆さんに納得してもらえるよう様々な資料を用いながら説明してきた。組合も具体的な水準を議論するにあたって、他県の状況も均衡を考慮する必要があるというのであれば、現在の状況においてもなお、他県と均衡が図られなければならないとする妥当性について、具体的な根拠を示しながら主張していただければよい。
    今回の「論点整理」の案はお互いの主張の食い違っている点を明らかにして、具体的な議論を進めようというものであるので、まず、この「論点整理」表に対応する組合の考え方を示して欲しい。

組合:内部で検討を行い、整理を行う必要があるので、一時中断させていただきたい。

<17時30分 組合側から電話連絡>
組合:内部で検討を行っているが、すぐには整理できないので、本日の交渉はこのままで終了したい。

県:明日が交渉期限でもあり、論点整理を明日の朝までには必ず行って、県側に示して欲しい。

○平成17年7月21日(木)
  県(職員課等)と県現業公企職員労働組合との交渉の概要

労働協約改定に関する現業公企職員労働組合との交渉の概要
<現業職の給与水準の見直し>
○日時  平成17年7月21日(木)14時~17時30分
○場所  第12会議室(議会棟3階)
○出席者 知事部局:柴田参事監兼職員課長、伊澤給与管理室長、広瀬課長補佐、萬井副主幹
                              齋藤副主幹
       企業局:小泓次長、山田総務課課長補佐
       病院局:嶋田総務課長

       現企労:有本執行委員長、谷本副執行委員長、上田書記長 他68名

<概要>
県:今日の交渉が、延長後の交渉期限までの最後の交渉である。最終段階にあたっての、給与水準に関する県の考え方、主張はお示しした論点整理のペーパーの県の主張に記載してあるとおりである。組合側の最終的な主張や考え方は、本日、組合から示されたペーパーに記載されているとおりだと理解すればよいか。

組合:それでよい。組合の最終的な主張はペーパーに書かれているとおりである。

組合:今回の県からの提示案は激変緩和が措置されているとはいえ、組合員に対し、相当な痛みを伴うものである。今回の提案にあたって、現場に出かけ、直接声を聞いたのか。提案者として痛みは感じないのか。今回の提示案では、18歳で採用され、ほぼ10年で最終到達賃金の6割程度に達し、その後なだらかな昇給カーブとなる。30代や40代といった経験を積み、技術も上がってくる年代において、なだらかなカーブとなることは、仕事に対する意欲が減退してしまう恐れがある。また、生活も十分にできる水準ではない。昨日、整理した行政職との均衡、バランスを考慮して決定するという確認事項の観点からしても、バランスが大きく崩れているのではないか。

県:昨日、確認したのは、「現業職給料表設定にあたっては、基幹給料表である行政職給料表との均衡、バランスを考慮して決定すること」であり、給料表設定おける考え方のうちの一つである。組合の言っているような昇給・昇格の運用方法や給与水準のことではない。
    確かに今回の提示案は、相当厳しい提案であり、私も個人的には心が痛むが、現在の極めて厳しい社会情勢や現業職を取り巻く世論を踏まえて、提案しているということも理解して欲しい。現業職を取り巻く環境や諸情勢は、それだけ厳しいということを分かってもらいたい。公務員の給与決定については、法律の規定等に定められているとおり行わなければならず、自由な裁量の余地はない。今回の提案により仕事に対し、意欲が減退し、そのことで現場における業務に支障をきたさないことを信じている。生活ができない給与水準であるというような主張を本当に県民の前で言えるのか。県民に理解されるとは考えられない。

組合:例えば、知事部局の母来寮。ここは高齢者の福祉施設であるが、入所者の重度化が進み、寮母における処遇の困難性は増している。寮母の中にもヘルパー資格やケアマネージャー等の資格を持って、仕事を行っている者もいる。人に対する処遇サービスの提供という面では、児童施設である皆成学園の保母、総合療育センターにおける看護師等と仕事の中味は同じである。福祉施設において、子どもと高齢者の違いはあろうが、同じようなサービスを提供している中で、職務と責任に差はない。しかし、保母は行政職給料表、看護師は医療職(三)を適用され、現業職員のみ、給与水準が民間と比べ高いから見直すというのでは、現場において生じる矛盾をクリアできない。

県:母来寮の寮母と皆成学園の保育士とでは、職務と責任は同じではなく、異なるものである。現業職に限らず、他の給料表においても民間の類似の職種の給与水準との均衡を考慮されて給料表や給与水準が設定されている。組織の目的達成のために、それぞれの職種がそれぞれの立場で働いていることは、民間も公務員も変わりはない。民間においても職種が異なれば給与水準も異なることは常識であり、それを前提に法の規定も定められている。その常識がきちんと守られてきたなら、このような大幅な見直し議論が必要となるような事態には至っていないはずである。民間においてもそれぞれの職種に応じた給与水準が設定され、それを受け入れて労働者はみんなが一生懸命働いているのに、なぜ、公務員だけ、同一職場内であれば同じ給与水準でなければならないのか。そのような主張は、到底納税者である県民の納得は得られないものである。

組合:現在、県内で、企業局はダムを2つ管理している。知事部局では2つ、国では1つ管理している。ダムの規模に差はあるにしても、その役割、危険性はほぼ同じである。その中で、平常時の常駐人員として、国と知事部局の管理するダムにおいては行政職給料表適用者が配置されているのに対し、企業局の管理するダムでは現業職員のみが配置され、同じように業務を行っている。職務や業務内容が同じであるのに、片や行政職、片や現業職を配置するという違いが出ているのはなぜか。これまでは行政職に準じた給料表であったため、職名は異なっても給与水準は同じであり我慢できたが、今回の提案により格差が付き、矛盾が生じてくる。さらに、他県においても同様に、ダム管理に行政職を配置している状況があるが、それについても他県との均衡をどう考えるのか。
 総合療育センターの運転士は、現在、現業主事も兼務してセンター内の修繕や器具の修理も行っているが、今後の障害者施策の展望を見据え、職場において「リハビリテーション工学技術師」の資格を取るように奨められている。「リハビリテーション工学技術技師」の資格を持った者は、民間も含めて県内にはいないにもかかわらず、資格取得しても給与が下がることとなる。新たな施策に向かい、現業職の職務のラインを超えた業務開拓を図ろうとするような者に対しても一律に給与水準を引き下げるのか。

県:ダムの管理業務について、企業局と知事部局では、業務内容も責任の度合いも全く同じであるとは考えられない。仮に、業務内容も責任の度合いも同じという状況であるならば、それは職制を合わせるべきであろう。しかし、それは今議論している給与水準の問題ではなく、どういう管理体制が適切なのかという組織の問題である。
 総合療育センターの運転士については、仮に運転業務に比べて、特殊な技能や資格に対応する職務の比重が高くなっていき、施設運営上、現業職としての職務領域を越えて新たな職種が必要であると判断されるのであれば、それは職種転換の問題となってくるであろう。                   現在の提案により、現場に矛盾が生じる可能性はあるかもしれない。それは先にも述べたように職員の配置体制や職種転換等の問題として対応していけばよい問題である。
 今回の提案の当初から申し上げているが、県政全体の中で近い将来、市場化テスト、アウトソーシングが現実化していく。仮に今回の給与水準の見直しにおいて、給与水準を民間水準まで引き下げることができずに、現行の水準を維持していった場合、現在の現業業務のほとんどが、コスト面において民間との競争に負けて、民間委託をせざるを得ない状態になる。民間水準より高いコストを支払うことを県民が納得するはずはなく、我々県としても高コストを県民に負担してもらうように提案することはできない。そうなれば、現行の現業業務直営体制は廃止せざるを得ない。要するに、給与水準を民間水準まで下げて現在の直営体制を守るのか、又は現在の給与水準を維持して直営体制を廃止、廃業するのか、どちらを選ぶのかという選択を求められている状況である。我々としては、給与水準を下げる方が職員の皆さんにとってもよい選択だと考えて提案しているが、組合としてどちらの道を選ぶのか、組合員の皆さんで十分に話し合って答えを選んで欲しい。それほど、厳しい状況であることを正確に理解した上で、最終的な判断をしていただきたいと願っている。

組合:「主任」は、従来から経験や熟練した技術といったような職務の困難性に応じ、給与上処遇されてきたものであり、なぜそれをやめなければならないのか。職務や責任の度合いが同じ仕事をしているのに、今まで7級相当まで到達していたものを3級まで引き下げること、つまり行政職は従来どおりあれば7級までワタリで処遇されるが、現業職であるが故に3級相当までしか到達しないということは、昭和35年の地方労働委員会の調停案が求めている「行政職との甚だしい開きのないよう」との考え方に反するのではないか。
    また、今は17年度の協約改訂交渉だ。他県の見直しが進んでいないという今の状態を考慮すべきだ。今回の交渉において、組合員の実情、想いを聞いてもなお、県の考え方は変わらないのか。交渉しても当初の提案を変えようとしないのは、県として誠意ある交渉といえるのか。

県:今後、名称は別として、数名の現業職員を実質的に管理、監督する立場として位置づけられる職を、業務執行管理体制上、車庫長などと同様に係長級に相当する職として位置づけることを検討する余地はあるかもしれない。ただし、その職は、一律に年齢によって昇任・昇格するようなものでは絶対にない。
    これまで県側の考え方について十分説明し、誠心誠意議論してきたが、組合側が理解されないのなら誠に残念である。今のような組合の主張や議論が、対外的に県民の納得が得られるものとは到底考えられない。組合自体、給与水準の見直しについてはやぶさかではないといいながらも、現段階においても組合として妥当だと考えている具体的な水準が何であるかを示すことができないでいる。組合側から本日示された最終の論点整理ペーパーを見ても、組合がどこを目指しているのかがさっぱり理解できない。県としては今日示した給与水準に関する最終的な論点整理の最後の項目に掲げている「民間の同種又は類似の労働者の給与水準との均衡を考慮すること」が今回の提示案の核心的な部分である。この考え方を組合側が理解されないなら、今後何をどう議論しても合意点を見つけることはできないであろう。「民間水準との均衡」という考え方を理解するのか、又は従来どおりの考え方を変えないのか、その点を最後に明確に明らかにして欲しい。

組合:これまで組合は交渉権、協約締結権を持って交渉してきて、給与決定の考え方、水準について一定の整理を行ってきた。今回の給与水準の見直し課題は、大変重要、かつ大きな課題でもあり、組合としても当初から絶対反対ではなく、見直しすることにやぶさかではないという姿勢で臨んできた。従来から協約の有効期限内の交渉で合意してきており、今回のように無協約状態になったことはない。組合としても現在の無協約状態を望んではおらず、平和的な労働関係の確立を心から求めているものである。早急に労働協約を締結できるよう引き続き交渉していきたい。
    また、行政サービスを受ける県民からすれば、サービス提供者が非現業職員と現業職員の別によって差が生じるものではなく、納得できるサービスがあればそれに対する賃金が支払われればよいだけで、組合としてその点での納税者に対する姿勢は十分持っている。県職員として、同じ行政目的に向かっているのに、現業職員だからという理由で、水準を見直すのであるならば絶対に納得がいかない。県からの提案を受けて以降、組合員は大きな不安を抱えている。組合としても交渉の議論がなお成熟していない現段階において、交渉を打ち切るのではなく、引き続き交渉を行うことを求めるとともに、民間や国の水準だけを考慮し、他県を考慮しないような、一方的に法の解釈をねじ曲げた提案を再検討し、再提案するよう県に求める。

県:交渉の最終段階における組合の主張はお聞きした。6月30日時点で交渉期限を延長する際に確認したとおり、7月21日以降の再延長を行う考えはなく、したがって、交渉の再々延長期限の設定は行わない。あくまで、本日で交渉期限切れである。ただし、今後一切交渉を行わないと言っているのではない。本日、組合側から示された最終の論点整理のペーパーで主張されている内容を見る限り、これ以上交渉しても合意できる余地はないように考えるが、組合の要求もあるので、交渉の余地があるか否か見極めるため、持ち帰って検討は行いたい。
    今後なお交渉の余地があるかどうかを判断するためには、県の提案の最も中核的な考え方である「民間の同種又は類似の労働者の給与水準との均衡を考慮する」との考え方について、組合として理解し受け入れるつもりがあるのか、又はそのような考えはないのか、その点を必ず明確にして欲しい。先ほども言ったがこの点が理解されなければ、いくら交渉しても合意することはできないだろうと判断せざるを得ない。また、今後なお交渉の継続を求めるのならば、組合として、具体的にどのような事項や部分について、どのような方向で交渉の余地があると考えるのかを明確に示して欲しい。交渉期限の延長は行わないが、なお交渉の余地があると納得できるようなものが示されれば、内容を限定した上で、なお若干の交渉を行うことはやぶさかではないと考えている。いずれにしても、どのような交渉の余地があるのか組合の回答を聞いた上で判断するので、できるだけ速やかに組合の回答を示して欲しい。

●論点整理(県側)(PDF,41.3KB)
●論点整理(組合側)(PDF75.5KB)
○平成17年8月5日(金)
  県(職員課等)と県現業公企職員労働組合との交渉の概要

労働協約改定に関する現業公企職員労働組合との交渉の概要
<現業職の給与水準の見直し>
○日時  平成17年8月5日(金)16時30分~19時30分
○場所  第23会議室(第2庁舎7階)
○出席者 知事部局:浅井総務部次長、伊澤給与管理室長、広瀬課長補佐、萬井副主幹
       企業局:小泓次長、山田総務課課長補佐
       病院局:嶋田総務課長

       現企労:有本執行委員長、谷本副執行委員長、上田書記長
       県職連合:片山委員長                   他34名

<概要>
県:延長後の交渉期限であった先月の21日の交渉において、組合側は、交渉の継続と提案の再検討・再提案を要求されたが、県としては今後の交渉余地を判断するため、「民間給与水準との均衡の考慮が基本」という考え方の受け入れの可否、なお交渉の余地があると考える具体的な事項、内容等を明らかにした最終回答を示すよう組合側に求めた。その後も事務的な折衝等を続け、組合は7月末までに最終回答を示すことを約束していた。
その様な状況の中で、組合書記長から、基本的に県の提案を受け入れることを前提に、(1)4・5級(車庫長、守衛長に相当する係長級の職)に昇格する者を増やせないか、(2)激変緩和の経過措置をもう少し緩和する方向で工夫できないか、(3)今後の雇用確保について県の方針を示して欲しい、の3点の課題について交渉し合意を模索できないか、との意向が示されたため、本日の交渉に向かったものである。
まず1点目について、県として検討した結果は、車庫長や守衛長と同様に現業職の現場責任者として、一定程度の人数の現業職員のまとまりを指示監督する職、いわゆる「職長」と言うべきポスト職の必要性は認めるところである。そこで、現在「職長」が設置されていない所属においても、5名程度の人数を目安に、職員をまとめる現場責任者的な職を新たに設置することについて、前向きに検討していきたいと考えている。具体的な検討に際しては、各職場の業務の実態をよく踏まえた上で、組合の意見も聞きながら今後検討していくこととする。

組合:組合として、地方公営企業法第38条の求める同一又は類似の職との均衡を考慮するという意味において、行政職給料表3級相当の水準への見直しも行わざるを得ないと考えている。ただし、職場によっては少人数職場も存在することもあり、県は現場の実態を十分に把握しているとはいいきれない状況の中、その検証にあたっては、なお十分な業務実態の把握が必要だと考えている。実際の業務遂行にあたっては、現場では様々な職務を臨機応変にこなし、本来の職務の枠を超えて仕事をしていることもままある。そういった現状の中、一律に現業職の職務が3級(主事級)の仕事だけではなく、個々具体的に検証していけば4級、5級に相当する困難な業務を行っている場合もあるのではないかと考えている。職によっては3級の水準でよいものもあろうが、全ての職の水準が単純に3級とはならず、同職種・同職名ということだけでは整理できない職群があるのではないか。まず、業務の実態を把握し、業務に見合った適切な水準を検討していこうと言っているだけである。把握しないままに一律に3級に格付けることは、不平等を生じかねない。

県:組合の主張するように、実際の業務において本来の現業職員の職務の範囲を超えて業務を行っている実態があるかもしれないが、それは職員配置体制の問題であって、現在議論している給与水準とは論点が異なる。職員配置体制の問題は、直接給与水準の見直しと関わるものではないと考えている。しかし、今回の見直しの周辺にある問題であることは確かであり、そういう問題が生じている職場については、組合の意見も聞きながら、配置体制や行政職の業務との整理などの見直しの検討を行っていくことはやぶさかではない。その検討において、職員配置体制の見直しでは整理できず、なお、どうしても当該職務を担当してもらわなければならない場合には、そして、それが給与上でも何らかの措置が必要と判断されるような場合には、当該業務部分に対し付加的な手当等で給与措置を行うことも、今後の課題として検討しなければならないだろう。だが、これも水準とは別な議論である。県としては、係長級である職長の対価となる4級、5級に相当するような困難な業務を行っている職務の状況は、現在のところないと考えている。
 職員配置体制の整理ができなければ、給与水準の見直しに合意できないと組合が主張し続けるのであれば、これ以上の議論はできない。冒頭でもお話ししたが、6月30日からの交渉期限の延長である7月21日からの再延長もしながら、ぎりぎりまで誠意を持って交渉を継続してきた。9月議会までに一定の結論を出さなければ、県民に対しても議会に対しても納得のいく説明ができないと考えている。そのためにも、もうタイムリミットは過ぎていることは事務折衝などでも繰り返し説明してきているとおりであり、来週の月曜日(8月8日)までに組合の最終回答を求める。


組合:第2点目の激変緩和の経過措置についてであるが、考え方の根拠を示して欲しいのと同時に、実際の組合員の生活もあることでもあり、もう少し緩和する方向で工夫できないか検討して欲しい。

県:経過措置の具体的な実施方法として明確に示されている根拠のようなもの、何かに定められているようなものはない。しかし、県の外郭団体における給与水準見直しの経過措置の実施方法、例えば、現給保障期間なしで実質3年間、足かけ4年で引下げ幅全体の25%ずつを毎年逓減させていく方式を今年から始めているような実例等も考慮しながら、今回の提案をさせてもらった。組合員の生活にとって、今回の給与水準の見直しが大きな影響を及ぼすことは理解できるが、交渉の経過の中でも繰り返し説明してきたとおり、今の提案以上に長い経過措置を取ることは県民の理解を得難い状況であることも理解して欲しい。

組合:行政職等のわたり制度の見直し交渉の進展のない現時点において、その経過措置もまだ見えない状況でもあるので、今回の現業職に対する経過措置の中の現給保障が行われる1年間の間に、やり方を検証していくことを要望する。組合としては、昇給、昇格を一時的に凍結してでも、現給保障が行われる18年度末を目処に継続交渉していきたいぐらいの気持ちである。

県:今後わたり制度の見直し議論が進めば、結果として経過措置も提案し検討する時期も来るが、まだ組合との正式な交渉がその段階まで進展していない現段階では、具体的な内容をこの場で申し上げることは控えたい。しかし、敢えて言えば、経過措置については、当然、今回の提案との均衡、バランスを考慮する必要はあると考えている。ただし、現業職の給与見直しの経過措置については、給与水準の見直しと同時に検討し、決めておくべきものであって、経過措置だけを別途継続交渉していく考えはない。


組合:現業職の業務見直しの必要性について、昨日の定例の知事会見の中でも話があったが、給与水準を見直すことにより、業務見直しを行わなくてもよくなるとは組合としても考えていない。現業職の業務見直しについては、組合としてもその必要性を感じ、従来から県に対し要望してきたところでもある。それに対して、県側が十分な対応をしてこなかったことに対しては強い不満がある。給与水準を見直したとしても雇用の問題は発生するのであり、現業職の今後の在り方、それに伴う雇用確保についてどう考えているのか、県の方針を示して欲しい。

県:現在提案しているとおり、給与水準が見直され、ある程度のスピード感をもって給与コストが下がっていくのであれば、雇用維持に対し最大限の努力をしたい。そのためには、現業職内での職種変更や幅広い異動などに、職員や組合側の協力も必要となる。最大限の努力はするが、雇用の保障までは約束できない。

組合:雇用の保障は約束できないとはどういう意味か。県職員として雇用される職員の雇用を守ることは雇用者としての当然の義務であり、組合としては、組合員の雇用確保を強く要求する。間違っても、法に規定があるからといって分限処分により解雇するような人員整理は行わないこと、雇用を保障することを約束して欲しい。

県:そのような事態にならないようにするため最大限努力するということを申し上げている。ただし、雇用の維持も、当然県民の納得が得られるものでなければならないし、また、なお一層の財政悪化など今後どのような事態が発生するか測りきれない面もある。このことは何も現業職に限ったことではなく、他の職種にも共通することではあるが、だからこそ雇用を保障することを約束することはできないことは理解して欲しい。

県:県としても先に述べたように、タイムリミットは到来しているものであり、いつまでも組合の回答を待つつもりはないので、組合内部の意思統一を図り、8月8日には最終回答をいただきたい。

組合:わかった。来週早々には組合としての回答を出すようにしたい。

○平成17年8月11日(木)
  県(職員課等)と県現業公企職員労働組合との交渉の概要
現業公企職員労働組合からの回答の概要
<現業職の給与水準の見直し>
○日時  平成17年8月11日(木)18時50分~20時
○場所  組合本部(本庁舎地階)
○出席者 県:伊澤給与管理室長、萬井副主幹
       現企労:有本執行委員長、谷本副執行委員長、上田書記長

<概要>
組合:県の提案どおり現業職の給与水準を行政職3級水準へ見直すことは、やむを得ないものと理解する。
   ただし、経過措置についてなお交渉が尽くせておらず、いつまでも継続して交渉し引き延ばそうとは思っていないが、組合の要求を早 急にまとめて提案するので、継続して交渉することを要求する。
   また、4級及び5級の職長ポストの設置について、県も前回の交渉においてその必要性を認めているところでもあり、職長ポスト設置の基本的な考え方を整理するために継続して協議することを要求する。

県:給与水準見直しの基本的部分である水準問題については、県の提案を受け入れていただくことができた、労使で認識を一致することができたということでよいか。

組合:それでよい。

県:現在、9月1日の給料表切替えに向けて準備作業を進めている。水準見直しに合意すればできるだけ速やかに実施すべきであるし、切替発令や定期昇給発令などの事務処理作業の関係からも9月1日に切替(見直し)を実施したい。
   経過措置について、合意に向けてなお継続交渉することは認めるが、9月1日実施に向けて結論を出さなければならない期限は、8月22日の週、25日又は26日が限度である。できるだけ早く結論を得るためにも、組合側から具体的な要求を早期に提示して欲しい。できるだけ早く精力的に協議を進めることが必要。
   職長ポストの設置は、あくまで業務管理上の必要性を基に県が判断する事項であり基本的には交渉事項ではないが、基本的な考え方について労使で整理することはやぶさかでない。具体的な職長の設置については、組合の意見も聞きながら、現場の業務実態も十分に踏まえて平成18年4月設置に向けて検討を行っていくこととしたい。

組合:もう少し時間をかけて交渉できないかとの思いはあるが、9月1日の実施については、分かったので、それに向けて経過措置の交渉を進めることとしよう。経過措置については、組合としての考えもあるので、できるだけ早く組合の提案を示すこととしたい。
   給与の5%カット措置は、本年3月に結んだ覚書にも「給与制度の見直し、社会経済情勢の著しい変化などが生じた場合には、必要に応じて」見直し交渉を行うこととなっている。今回の水準見直しは大きな給与制度見直しであり、したがって、今回の水準見直しの経過措置における現給保障額は5%カット前の額となるように検討して欲しい、18年度は元に戻して欲しいというのが、組合員の思いである。この場で即答せず、持ち帰って検討して欲しい。

県:この春の5%給与カットの交渉の際にも説明したが、「必要に応じて見直し交渉を行う」との覚書の趣旨は、給与制度の構造的な見直し等により恒久的な財源が生じた場合にはその財源見合いを考慮してカット率の引き下げを検討するというものである。したがって、将来的に給与水準が低下することで生じる財源分を先食いしてまで給与カット率を元に戻すことは考えられない。見直しを実施し、経過措置が始まれば、将来は下がるといっても、カットを止めて一時的に給与支給額が上がるようでは県民の理解が得られるとは思わない。基本的な考えは以上であるが、組合側の要望なので、一応持ち帰る。

組合:県から「わたり見直し」が提案されているが、今回の給与水準見直しにおいて、現業職の4級及び5級が係長級相当職という整理ならば、今後のわたりの交渉結果により行政職給料表における係長級が4級から6級と格付けられたならば、現業職も同様に6級までの格付けを創設すると考えればよいか。

県:わたりの見直しで提案しているとおり、係長級の6級の格付けは廃止する考えであり、その考えを変える可能性はない。仮に今後のわたりに関する交渉で、状況が変化した場合には、行政職給料表との均衡、バランスは考慮しなければならないものと考えている。

県:本日の組合の回答を受け、8月19日の県議会常任委員会では「組合も3級水準へ見直すことはやむを得ないものと理解している旨を回答しており、9月1日の切替え実施に向けて経過措置などについて交渉を継続している」と報告することでよいか。

組合:それでよい。

○平成17年8月23日(火)
  県(職員課等)と県現業公企職員労働組合との交渉の概要
労働協約改定に関する現業公企職員労働組合との交渉の概要
<現業職の給与水準の見直し>
○日時  平成17年8月23日(火)14時10分~16時50分
○場所  第2会議室(本庁舎地階)
○出席者 知事部局:柴田参事監兼職員課長、伊澤給与管理室長、広瀬課長補佐、萬井副主幹
       企業局:小泓次長
       病院局:国米総務課課長補佐

       現企労:有本執行委員長、谷本副執行委員長、上田書記長  他48名

<概要>
組合:8月5日の交渉以降、11日と22日に事務折衝を行ってきたが、今回は(1)職長ポストと(2)経過措置の2点に絞って交渉していきたい。

【職長ポストの設置について】
組合:職長ポストの設置については、組合として一律に組合員全員が4級、5級に昇任していくことを求めているわけではない。県の提案しているような一定程度の複数人のリーダー的職としての「職長」の必要性は理解するが、一方で少人数職場など職場環境はそれぞれ異なっており、また、同一職場において「職長」を複数設置できるものとは考えにくい。長年の熟練により技能や知識が高まり、責任を持って仕事を行ったり、その高まった技能や知識を次世代の者に伝承していく、いわゆる「匠」的な職員に対して給与上の処遇は考えられないか。

県:それこそ、業務の職責、困難性に応じた級の格付けではなく、一定の年齢に到達すれば自動的に昇任するような、いわゆる「わたり」制度そのものを残すことになる。業務の職責、困難性に応じた職員体制への見直し、それに応じた給与面の処遇が設定されるよう、現在、非現業職員も含め「わたり」制度の廃止を提案しているところである。技能や知識が経験を積むことにより高まることを評価しないわけではない。給与上でも経験年数に応じて定期昇給により給与が上がるようになっており、評価はされている。しかし、それだけをもって実際の職務の級より上位に格付けすることはできない。

組合:非現業職員の職場では、係長の下に副主幹が設置されたり、副主幹だけの係があったりする。副主幹とはどういった位置づけの職なのか。現業職にも同様に、自分の職に対し責任を持ち、業務を行っている者がいるのではないか。

県:副主幹とは、ライン的な業務とは別に係長級の職にある者でなければできないような困難性や責任のある特命の業務分担を行うために設置されたものであり、現業職業務においては、そういった副主幹的な業務は現在のところ想定できない。4級、5級に任用されるのは、現在のところ「職長」又はそれと同等の職務上の責任を担う者だけであると考えているが、その他にも業務実態に即して設置が必要ということあれば、組合の意見も伺っていく。

組合:現業職には、非現業職の係長の下に1人ないし2人が配置されているような少人数職場もある。また、同一職場に複数人いてもローテーション勤務により実際の勤務時には1人で業務を行っているような現場責任者がいない職場もある。そういった職場については何らかの考慮はなされないのか。

県:ローテーション勤務のような職場において、実際に現場で管理・監督する者がいない日があったとしても、一定の人数を総合的に管理・監督する職としての「職長」を設置することは検討できると考えている。また、現業職1人だけで業務を行っている職場はなく、そういった職場の場合、何らかの形で非現業職員の指揮監督の下で業務を行っている。このような場合には「職長」ポストを設置することはできないと考える。ただし、運転士のように各職場に1名ずつ配置されている配置形態を集中配置・集中管理に移行した上で統括する「職長」の設置を検討することは可能であろう。そういうポストがあれば、そこに知識、経験があり指揮監督ができる人を充てるということになる。

   いずれにしても、どういう職場に管理・監督を行う「職長」を設置するか、組合の意見を聞きながら必要な箇所については前向きに検討するが、あくまで検討に際しては職の設置の問題であることは理解して欲しい。つまり、職の設置自体は交渉事項ではなく、設置される職が具体的にどこの級に格付けされるのか、またそれを労働協約にどのように盛り込むかが交渉事項であると考えている。

組合:具体的にどのような職場に、「職長」ポストを設置するのが妥当なのか、組合としての意見を提出するよう作業を進めていきたい。


【経過措置について】
組合:経過措置について、県は1月19日の「主任、主査等の廃止」の提案時に「職や職務の級・号給の変更(切替)を行った職員に対する給与の支給については、期末・勤勉手当における役職加算を除き、経過措置として現給保障措置を講ずる。」と提案している。2月19日の協約改訂の申し入れ、3月31日の協約交渉期限のいずれの時においても減額については何ら説明もなく、6月30日の交渉期限の1週間前の6月23日になってはじめて減額の経過措置の提案がなされた。組合としては、このような県の提案姿勢に大きな不満があるが、どう説明するのか。

県:6月24日の交渉等でも同様の話が組合側からあり、その際に県の考え方は説明したとおりであるが、「現給保障」には様々な方法があり、1月19日の提案における「現給保障」は、将来に向かって永劫的に保障を行うのではなく、減額の経過措置の中に何らかの現給保障を含んだものという趣旨であった。給与水準の見直しを提案している趣旨、これまでの交渉経過を踏まえてもわかるとおり、提案当初から給与水準の引き下げが必要であるという基本的な考え方は変わっていない。

組合:当初提案に減額する趣旨が含まれているというのは詭弁である。一般的常識人として文面を読めば、「現給保障措置を講ずる」とは、現在受けている給料の額が保障されると解釈するのが適当であり、組合も組合員もそのように受け止めてきた。県民が見てもそう解釈するだろう。減額の経過措置を行うというのであれば、当初提案と異なる提案であり、労働協約改訂申し入れ時に説明がなされるべきであった。今回の提案が当初から減額も含んだものと県が主張するのなら、組合を騙しているものであり、不誠実な交渉であると言わざるを得ない。

県:今回の具体的な経過措置の提案の遅れについては、給与水準の見直しの方向性が定まらない段階で経過措置も具体的に議論できないであろうという考えもあり、提案のタイミングを計っていたためである。給与水準の見直しの交渉が思うように進捗しない状況の中で、交渉期限である6月30日を過ぎての提案はできないため、ぎりぎりの6月23日になったものであることは理解して欲しい。県の提案内容は、あくまで6月23日に提案したものであり、それを基に今日まで交渉してきたものである。

組合:組合の主張は、県が当初提案したとおり将来にわたって「現給保障」を行うことである。

県:今回の交渉においては、合意に至る一致点を見いだせるかどうかということで経過措置に対する組合の主張をお聞きするということであったので、一応、組合の要求を持ち帰るが、県の考え方もお話ししたとおりであり、お互いの考え方はあまりにかけ離れている。組合の主張は主張として受け止めるが、到底一致点を見い出すことができるとは考えがたい。本日はこれ以上の進展はできないだろう。

組合:次回の交渉において、組合員が納得できるように説明を行って欲しい。

○平成17年8月24日(水)
  県(職員課等)と県現業公企職員労働組合との交渉の概要

労働協約改定に関する現業公企職員労働組合との交渉の概要
<現業職の給与水準の見直し>
○日時  平成17年8月24日(水)15時45分~17時30分
○場所  執行部控室(議会棟2階)
○出席者 知事部局:伊澤給与管理室長、広瀬課長補佐、斉藤副主幹
       企業局:小泓次長
       病院局:国米総務課課長補佐

       現企労:有本執行委員長、谷本副執行委員長、上田書記長  他28名

<概要>
組合: 昨日は経過措置について組合の要求を示したので、これに対する県の考え方を聞かせてもらいたい。

県: 結論から言うと、退職時まで100%現給保障するという組合の要求を受け入れることはできない。
その考え方を、説明させていただく。
6月23日には、切替方法や経過措置についての県の提案内容を具体的にお示しし、少なくともその後2月間の交渉の中では、新しい給与水準へ在職者の方々に移行してもらいたいとお願いしてきた。
民間の給与水準との均衡を踏まえることが公務員給与の根本であり、とりわけ最近は現業職員の給与水準について大きくクローズアップされ、議会からも問題点を指摘されている状況において、納税者の納得を得るには、民間給与との均衡を考慮し、給与水準を引き下げることが必要である。
それは今後採用される職員の給与水準を引き下げるというのではなく、現在在職する職員を含めて引き下げさせていただきたいということを交渉してきたつもりである。
県民の視点を抜きにして現体制の維持はできない。
非常に厳しい決断を求めるものであることは重々承知しているが、県としても、給与コストを下げることにより、必要な業務の合理化を進めつつ、直営体制、雇用の維持に努めていきたいと考えているということは、交渉の中で繰り返し説明し、理解を求めてきた。
8月11日には、経過措置や4級・5級ポストの配置など今後整理すべき課題はあるが、給与水準を引き下げることはやむを得ないという回答が組合から示され、当方としては、大変ありがたいと考えていた。しかし、昨日、経過措置の詳細について議論をするため交渉を行ったところ、組合から100%現給保障をしてほしいという逆提案を受けた。給料の下げ方を議論するつもりが、引き下げはダメだという提案を受けたのであるが、コストを下げないとなると、かねて申し上げているとおり、雇用維持と両立を図ることは困難になる。
県としては、昨日の組合の要求は、県の提案の受け入れを否定するものと受け止めざるをえず、今になってこのような主張をするのなら、これまでの交渉はいったい何であったのかと思う。
水準の見直しは、一定程度のスピード感が必要だが、水準が下がるのであれば場合によっては業務見直しの進度調整もありうる。また、ハードルはあって希望者全員とはならないが、新たな現業職種への職種変更、行政職への転職についても言ってきた。4級・5級も必要なものがあれば組合の意見も聞きながら積極的に検討するとも言った。ぜひ再考してもらいたい。県が提案している給与の引き下げ方がどうなのかということなら、議論できる部分はある。

組合: 経過措置について、県の検討結果を聞かせてもらった。
6月23日以降の交渉では、経過措置を含めた県の考え方を聞いていたが、8月11日の回答は、給与制度を切り替えることについては理解できると回答したものであり、経過措置はその後で議論するつもりであった。昨日の交渉がその議論の始まりであった。
制度の切替は、組合員の生活を大きく変えるものであり、労使双方で決めてきた給与水準から大きく変わるものである。県は、その厳しさを理解しているというが、本当に理解しているのか。2月間交渉してきたというが、これだけ大きな課題は交渉回数だけでは解決しない。
県は、先ほど、雇用をどうこう言っていたが、それは脅しだ。

県: 決して脅しではない。現在の現業職を取り巻く状況をみなさんに冷静に理解していただきたいとの思いで説明しているだけである。雇用の維持が困難になるというのは事実であり、給与コストの削減は絶対に行う必要があるということの説明である。
最終的に組合の合意が得られない場合でも、県民がこれ以上のコストに耐えられないという考え方で、議会がそのように判断して予算を減額承認又は否認すれば、その事業を廃止し、人数を減らすか給料を下げざるを得なくなる。
組合員には、現業職を取り巻く状況を冷静に受け止め、理解し、給料の引き下げに応じていただきたい。

組合:
 現給保障も立派な経過措置である。

県: 公務員だから給料は下がらない、公務員だから雇用は万全という考え方は、県民の理解はとうてい得られない。組合の考え方は、8月11日の回答から大きく変わり県が提案している考え方から大きくかけ離れたものとなっている。

組合: 制度の切替を受け入れる点を大きく変更するものではない。その経過措置について組合から具体的な提案をさせてもらったところである。

県: 県としては、先ほど申し上げたとおり、それを受け入れることはできない。確かに、制度の変更とその経過措置を別々に議論する方法がない訳ではないが、少なくとも2月間の交渉では、在職者の経過措置を含めて不可分のものとして議論してきた。今後採用される職員の給与水準の見直しを延々と議論してきたわけではないことは、組合側も認めざるを得ない事実のはずである。

組合: 県は自分の考えを変えないスタンスであり、誠意ある交渉態度でない。

県: 県は、検討の余地のある部分を最初から明らかにして交渉に臨んでいる。
    組合から、今回の経過措置が在職者にとってあまりに厳しすぎるので、もう少し調整できないかという主張があれば、議論の余地は多少あると思う。しかし、組合が主張するように在職者について給料を引き下げることはまかりならんという考えでは、検討する余地はない。

組合: なぜ、現業職だけ生活を大きく変えられ、給料をもらい過ぎだったので引き下げられたなどと言われるような目にあわなければならないのか。あなた方自身が貰いすぎていたから返せと言われたらどう思うか。

県: 給料をもらい過ぎだなどと言ったことはない。民間労働者の給与水準に下げようという提案がそんなに理不尽なことなのか。組合の主張は県民には理解されないと思う。よく考えてもらいたい。

組合: 現業の給料は県民の理解が得られないというが、非現業についてはどうなのか。何も言われていないのか。

県: 非現業職員の給料については、ご存じとは思うが、人事委員会勧告を踏まえて決定しており、民間との均衡に配慮されている。しかし、県民の中からは、雇用が安定しているのだからその分安くすればよいといった声もあがっている。そうした声を受け止め、非現業職員についても、ワタリ廃止など給与制度運用に問題がある部分もあるのでその見直しを進めている。

組合: 県民の理解も、現業職の仕事の内容を充実すれば、得られるはずだ。

県: 仕事の内容を多少付加したり、見直したりしたとしても、係長でもない課長補佐でもない職員に、係長や課長補佐に相当する給料を支払うことは、絶対に県民の理解は得られない。

組合: 県は、組合員が納得できるよう経過措置を見直すべきである。

県: 組合は、8月11日の回答と正反対の考え方をとっている。
県としては、組合が県の提案を拒否するものと受け止めざるを得ない。これ以上は議論交渉の余地はないものと思う。

組合: 県の考え方は一方的だ、経過措置を再検討すべき。

県: 組合も、給与の引き下げを受け入れられないかを再検討してもらいたい。

○平成17年8月25日(木)
  県(職員課等)と県現業公企職員労働組合との交渉の概要

労働協約改定に関する現業公企職員労働組合との交渉の概要
<現業職の給与水準の見直し>
○日時  平成17年8月25日(木)15時50分~17時
○場所  第2会議室(本庁地階)
○出席者 知事部局:浅井総務部次長、伊澤給与管理室長、広瀬課長補佐、斉藤副主幹
       企業局:小泓次長
       病院局:嶋田総務課長

       現企労:有本執行委員長、谷本副執行委員長、上田書記長  他34名

<概要>
組合: 昨日、再検討するようお願いしたが、再度県の考え方を聞かせてもらいたい。

県: 県の考え方は、最初から一貫して提案しているとおり民間の同じような仕事をしている労働者の給与水準まで、在職者を含めて、ぜひ給与水準を引き下げさせていただきたいというものであり、変わらない。
大きな痛みを伴うものであることは承知しているが、この基本的な考え方を変えることはできない。
組合からは退職まで現給保障することを要求されたが、我々としては受け入れることはできないというのが、最終的な考え方である。

組合: 県民の理解が得られないというが、理解を得られるように、仕事の内容を改めてくことは、雇用者の責任である。

県: 業務改善、ポストの設置に取り組むとの考えを申し上げ、そういうことをしてふさわしい給料をお支払いしたいという気持ちを持っている。
業務改善の必要性は否定しないし、取り組みたいと考えているが、仮に業務の改善、見直しを行ったとしても、現在のように最高で課長補佐級の給料を支払い続けることはできないし、給与が水準をさげなくてよいという理屈にはならない。

組合: 現業の仕事を具体的にどう改善すべきなのか、我々も真剣に考えているし、県も考えるべき。そういう議論なしに給与水準を下げますと言われて、我々組合員は不安であり、すんなり受け入れられるものでないことは県も理解できるであろう。

県: 必要な業務の見直しやポストの設置を含めて検討を行うことの必要性は、我々も認識している。この点についての考えはお互い相違ない。具体的な内容については、今後、お互いがそれぞれの立場から意見を出し合えばよい。
給与水準を見直すことは納税者から求められている課題であり、それに答えを出さずに今の状況を乗り切ることはできない。

組合: 県は1月19日の最初の提案では現給保障をすると言っていたはずだ。

県: これまでも何回も説明したので、詳しくは繰り返さないが、県は1月の提案時点から永久的な現給保障を考え、提案していた訳ではない。退職までの現給保障の要求は、我々の提案の根本的な内容と相容れず、到底受け入れられるものではない。
少なくとも6月23日以降、給与水準の引き下げがどういう背景で必要とされているか説明し、その課題にどういう解決を求めるか延々議論をしてきた。組合は、これから採用される職員の給与水準がこれまでの議論のメインであったというが、そうではなかったはずだ。今後の採用者の水準が下がれば課題がクリアできると本気で考えているのか。今いる職員の給与を引き下げないという考え方が変わらないならば、残念ながら、組合は県の提案を受け入れないものと受け止めざるを得ない。

組合: 受け入れられなければどうするのか。

県: ぜひ提案の背景を理解し、在職者の引き下げに応じていただきたいこと、引き下げ方法としての経過措置の議論には応じることができることを組合に繰り返し言ってきた。

組合: 県は、組合に考えろ、考えろと言うが、組合がこうして考えて逆提案したものを否定することしかしない。

県: これまでの交渉で積み上げてきたものを無駄にしないためなんとか労使合意が得られないかと、交渉で再三お願いしているが、どうしても考え方を変える余地がないというのならやむを得ない。

組合: 他県でも、給与の見直しが行われているが、20数%も下げるところはない。鳥取県だけ引き下げるというのは、組合として納得できる訳がない。

県: 民間と競争してその職を守るためには、業務のスリム化、コスト削減をしなければならない。県の外郭団体も指定管理者制度の導入に向けて、血のにじむようなコスト削減努力を行っている。民間にできるものは民間でという大きな流れの中で、高コストなものは見直していかなければならない。

組合: 民間にまさる技術や能力を身につけていけば、県民への行政サービスの向上ができる。

県: どのようにしたとしても、今のような高コストのままでは雇用の維持は困難である。

組合: それは脅しだ。県は勝手に職員の首が切れるのか。

県: 法律上は事業等の廃止の際にはそういう手段が予定されているが、そういう事態になる前に給与コスト削減など最大限の努力を払わなければならないと考えて、給与水準の引き下げを提案している。
民間の労働者や県民から見て、係長や課長補佐ではない人に同じだけの給料がを支給していることを理解されるとは思えない。現業職員が怠けているというのではない。民間労働者も仕事の見直しに取り組み一生懸命仕事をしている。
行政の給与コストが民間より高くなるようなら、そうまでしてその業務を直営で行わなければならないのか、いっそその業務を廃止して民間にさせたらよい、と言われることになる。

組合: 私は、県立の福祉施設で勤務しているが、県立施設に求められるものは、民間施設と違うのではないかと思う。施設で県民と日々接しており、よく業務を見直しコストを下げろとも言われるが、削るような業務はなく、もし無理に行事などを削ればサービスが低下する。朝8時30分から夜8時30分まで毎日仕事をし、夜勤ではナースコールがしょっちゅう鳴るので一睡もできない。こういうことを県は理解してくれているのか。

県: 我々が言っているのは、人減らしではない。サービスを充実させるため本当に必要なら、人員配置を充実する上でも、給与を引き下げて民間並みのコスト体質にしなければならない。
民間と県立施設とで求められるものが違うというが、必ずしもそうではない。民間施設も責任をもってサービスを提供している。もともと社会福祉法人が行う福祉は、営利というより、行政サービスの一端を民間が担っているものである。

組合: 直営だろうと委託だろうと行政事務については、最終的に行政にその責任がある。その点から、業務を受託した場合でも現場責任者は県の職員が努めるのが本来の姿だと思う。

県: 委託をしていても現場監督は県職員がする必要があるものもあるという話は違和感がないが、受託した民間が責任を持たない訳ではない。行政が直営でする必要がある仕事は何かという観点で、業務を見直していく必要がある、という思いは組合と同じである。だが、なぜ同じ仕事をしているのに県の給与コストは高いのか、そこは県民の理解が得られない。

組合: 県は、業務の見直しをしないでおいて、給与だけ見直そうとしている。

県: そうではない。業務の見直しをしようと言っている。

組合: それを今後1年かけて議論すればよい。

県: その間は給与水準を引き下げないという意味か。

組合: 組合としては、業務見直しができてから給与水準の見直しをすべきと言いたいところだが、今はそうも言っておれない状況であり、給与水準見直しと業務見直しを並行して行うしかない。これまで労使で積み上げてきた議論をムダにしないためにも、並行して見直すしかない。

県: 市場化テストなどにおいて、民間とのコスト比較をするとき、給与水準の設定によって結果は大きく変わる。並行して見直すと言うが、コストを一定の速度で下げることを前提にしなければ、民間にたちうちできない。
職員課には、今年から、民間の派遣会社の社員を導入している。その方がコストが安いからである。我々事務職においても、民間との比較が始まっている。そういった状況だということを理解しなければならない。
業務見直しができてから給与を引き下げるのでは遅い。今が大きな分かれ目である。

組合: 業務見直しが行われなければ、組合員は納得しない。

県: 公務員の給与は民間の給与水準を意識したものでなければならないという点は共通認識ができている。
それを具体的にどう形作るのか、より責任の重い仕事に就いてもらっているとか、長年意欲をもって勤務し成果をあげている職員にどう報いていくのか、これは我々の重要な課題だと認識している。短期に解決できるものもあれば、すぐに答えを出せないものもある。
しかし、その課題が解決されなければ給与の引き下げはできないという考え方は受け入れることができない。

組合: その最後の部分で平行線になる。正常な労使関係がなくては今後の業務見直しも円滑にできない。

県: その点は同感である。

組合: 
どうしたら正常な労使関係を保ちながら、検討を進めていけるのか、県も考えてもらいたい。ここで一旦中断したい。


(17時 組合から一時中断の申し入れ。その後、再開されず。)

○平成17年8月29日(月)
  県(職員課等)と県現業公企職員労働組合との交渉の概要

労働協約改定に関する現業公企職員労働組合との交渉の概要
<現業職の給与水準の見直し>
○日時  平成17年8月29日(月)15時20分~17時45分
○場所  執行部控室(議会棟2階)
○出席者 知事部局:柴田参事監兼職員課長、伊澤給与管理室長、広瀬課長補佐、
          萬井副主幹、齋藤副主幹
       企業局:小泓次長、山田総務課課長補佐
       病院局:嶋田総務課長

       現企労:有本執行委員長、谷本副執行委員長、上田書記長  他48名

<概要>
組合:8月25日の交渉の段階では、4、5級の昇格ポストの設定と給料表の制度切替えによる経過措置の2点について議論したが、県と組合との間では意見が大きく異なっていた。8月25日の交渉は一旦中断という形で終わったので、本日はここから議論を開始したい。
    前回までの交渉において、4、5級の昇格ポストの設定については、「職長」と同じ職務責任があれば、給与上も同様の処遇を行う、少人数職場であっても業務実態を検証した上で、必要であれば設置するという共通認識はできた。しかし、新給与水準に基づく新給料表への適用移行に際し、現行の「主任」と「現業主幹」の廃止が必要となるが、今年1月19日の「主任、主査等の廃止」の提案についてもまだ交渉が進んでいない段階である。組合としては当然、主任・主査等の廃止、いわゆる「わたり」廃止の議論を踏まえた上で結論を出すべきものであると考えている。また、県は「職長」ポストの設置については、今後組合の意見を聞きながら検討を行うとしているが、「職長」ポストの設置は給与水準を考える上で大きな要素であり、そこがはっきりしない段階で組合としての給与水準に対する判断は行えない。
    また、経過措置については、平均して給料が25%も減額されるということは、組合員の生活設計を大きく変更せざるを得ず、到底合意できるような内容ではない。
    組合としては、議論が尽くされているとは言えないので、引き続きこの2点について合意に向けて交渉を継続することを要望する。

県:現業職の給与水準の見直しの背景については、提案当初から説明してきているが、民間の同一又は類似の職種の給与水準と均衡が図られることが法律上求められており、現在の状況はこの水準と大きく乖離している状態である。現在、指定管理者制度の検討においても同様であるが、県が直営で行っている部門でも費用対効果、つまりコストの高い業務の見直しが迫られている。その比較検証の中で人件費コストは重要な要素であり、県が直営で継続して業務を行っていこうとすれば、現在の給与水準を民間並に下げなければ納税者たる県民に対して、到底説明できるものではない。
    一方、現業職以外の給料表については、毎年、民間給与実態調査に基づく人事委員会勧告を踏まえて決定されるものであり、その意味で民間の給与水準との均衡が考慮されている。その点からして、今回の現業職の給与水準見直しの提案は、給与制度の運用として職務と給与上の処遇が一致していない部分、つまり職務を超えて給与上の処遇が行われている「わたり」制度について適正な運用に改善しようとする「主任、主査等の廃止」の提案とは、趣旨が異なっているものである。
今回の提案は組合として厳しい選択であることは理解しているが、民間でもリストラや給与コストの見直しが進み、また、県の外郭団体においても給与水準の見直しが進みつつある状態の中で、現在の現業職の給与水準の高さから、県職員についても見直しを行わざるを得ないことは理解して欲しい。

組合:現業職員の給与の支給については、給与条例適用者との権衡が考慮されるよう求められているが、降格の場合、「職員の初任給、昇格、昇給等の基準に関する規則」第8条の5によれば同額又は直近下位への切り替えになるのではないか。

県:今回の給料切り替えは、給与水準の見直しを目的に、新しい給与体系に移行する制度の切り替えであり、分限処分として下位の職へ降格させる場合とは違うものである。

組合:8月11日の段階で、水準の見直しについては組合として一定の理解はすると回答したのは確かだが、最終的には4、5級の昇格ポストの設定と給料表の制度切替えによる経過措置の2点が納得、確認できなければ合意できない。現場の業務実態を把握せず、水準だけを見直すという提案では、組合員の納得は得られない。

県:「職長」ポストの設置は、給与水準の見直しの周辺に存在する問題としては認識するが、基本的に給与水準とは別問題である。今後の進め方としては、まず給与水準の見直しを合意し、具体的な職の設置については組合の意見も聞きながら平成18年4月1日に向けて業務の在り方、体制とともに検討していきたいと考えている。

組合:県の提案している在職者の減額措置について、減額後の給与水準というか最終的な減額の幅を変更する考えはないということなら、組合の現給保障の考え方と歩み寄る余地はない。継続して交渉を続けることができない場合、これから県としてはどのように進めようとしているのか。

県:交渉の余地がある限り、最後の最後まで組合には県の提案を理解して欲しいという基本姿勢は変わっていない。しかし、組合として業務見直しの姿が見えなければ合意できない、またどうしても退職時までの現給保障を要求するというのであれば、これ以上交渉を長期化させることが解決に向かうとは考えられない。これまでも6月30日の交渉期限を延長し、さらにその後も延長を繰り返して今まで誠心誠意交渉を重ねてきたが、平成18年度の業務体制を具体的に検討しなければならない時期となっており、期限がぎりぎりまで迫っている。今後の組織体制、定数の検討にあたっては給与水準が重要な要素となってくる。給与水準を現状のまま現給保障していくとするならば、平成18年度は現在の情勢から見ても民間委託への移行を中心とした組織体制等を考えざるを得ない。

組合:民間委託は県が一方的に行うことはできない。労使で交渉すべき課題である。

県:法的にも組織の改廃については県が決定できる選択肢はある。現段階においては、給与水準を維持し続けるのか、雇用の確保を図るのか組合の選択肢はその2つしかない。具体的な職の設置は給与水準の見直しとは別の議論であり、組織体制、定数が固まった段階でなければ検討できない事項であることは、組合も理解して欲しい。

組合:労働協約が無協約状態となっているが、現在、現業職の給与は何を根拠に支給されているのか。

県:民間における就業規則に該当する「現業職員の給与に関する規則」、企業局及び病院局においては同様の企業管理規程に基づき支給している。労働協約を直接根拠として支給している訳ではない。

組合:従来の判例を見ても労使合意のない賃金の不利益変更については許されないと思うが、労働協約の改訂について、労使合意ができないまま、給与規則改正は行えるのか。

県:最高裁で確定した判例の考え方として、一定の考慮すべき事項を満たし、一定の合理性を有すれば、交渉し尽くしてもなお労使合意に至らない場合でも、規則の変更は可能であると考えている。最終的に個々の具体的なケースについての判断は司法に委ねられているものと考える。

組合:業務見直しと給与水準の議論は別であるというのは県の判断であり、組合としては業務の見直しは給与水準に関わっており、交渉を打ち切る理由にはならないものと考えている。以前は誠心誠意交渉した結果のみを公表してきた経緯からすると、交渉経過を途中段階からホームページに掲載したりすることなど県の姿勢は正常な労使関係にとって不満の残るものである。
    ただし、6月30日以降も交渉課題を整理し、引き続き議論を尽くしてきた県の姿勢には敬意を表するものである。組合としては、今後も引き続き交渉を継続することを強く要望する。

県:県は県民から与えられた見直しに使える時間は限られていると考えており、この限られた時間の中で判断せざるを得ないことは理解して欲しい。本日の交渉経過をもってしても、これ以上継続して議論を行っても進展は望めないだろうというのが現段階における判断である。今回の県の提案は、現在の社会情勢を踏まえて給与水準を見直した上で、新たな業務体制の見直しを進めていくことが、現業職員にとってよりよい選択であると考えての提案であるという趣旨を是非よく理解していただきたい。

組合:県の説明は繰り返し聞いているのでもうよい。組合が合意しないとした場合、一方的に規則改正などについて県の判断として手続きを進めるのか。

県:どうしても合意いただけないのなら、県の判断と責任において進めていくこととなるだろう。実際、事務折衝の時にも既にお話ししているが、9月1日実施に向けて作業は進めている。規則改正は議会の議決事項ではないが、人件費の減額補正予算案を提案し、議会においても十分に議論していただく考えである。ただし、あくまで本日の交渉の結果を踏まえて最終的な判断を行いたいと考えている。

組合:組合としてはあくまで交渉の継続を要望する。

県:県としては首尾一貫して、大きな見直しであることを理解しながら、組合の意向にも最大限に配慮し、是非合意したいとの思いで今日まで議論してきた。しかし、この時期においてこのようにお互いの主張に大きく隔たりがある中で、これ以上議論する余地がどれだけあるかと言わざるを得ない。

組合:組合の継続交渉の要求は変わらないが、本日の交渉を終えてもなお合意に至らないことを受け止め、必要であれば、あとは事務レベルで話を進めていくこととしたい。

○平成17年9月1日(木)  
  現業職の給与水準見直しの実施について

1 見直しの実施内容(9月1日実施)
 ◎国や民間における同一職種又は類似職種の給与の状況等を考慮して、現業職の給与水準の見直し(現業職給与規則等の改正による給料表の改正、職務の級の切替等)を9月1日に実施し、給与水準を国の行政職(二)の水準相当まで引き下げたこと。

  ・現業主事:行政職1級~5級相当                          ⇒行政職1級~3級相当(4、5級廃止)
  ・主任:行政職6級相当<廃止>                          ⇒行政職1級~3級相当(4、5級廃止)
  ・現業主幹:行政職7級~8級相当<廃止:8級相当はH13年度から凍結> ⇒行政職1級~3級相当(4、5級廃止)
                                                   又は行政職4級~5級相当
  ・車庫長等:行政職6級相当                              ⇒行政職4級~5級相当

 ○激変緩和を図るため、5年間(H22年度末まで)の経過措置を講じたこと。
  ・切替差額(見直しによる給料月額の減額分)に次の率を乗じて得た額を9月1日時点での給料月額に加算した額を経過措置による給料月額として支給。
     H17年度 100%      H20年度  60%
     H18年度 100%      H21年度  40%
     H19年度  80%      H22年度  20%
・H22年度末までの間であっても、今後、昇給や昇格により決定される切替後の給料月額が経過措置による額以上となった場合には、その時点で経過措置は終了。
  ・手当等(期末・勤勉手当、時間外勤務手当等)の額及び給与特例措置(給与カット)の額の算定においても、経過措置による給料月額を計算基礎として扱う。

 ○今回の実施対象:教育委員会所管以外の現業職員386人
      (内訳:知事部局298人、企業局15人、病院局48人、警察22人、議会3人)
※教委所管の現業職員(52人)については、労働協約の有効期間が異なる(最終有効期限12月27日)ため、現在もなお教委が組合と交渉を継続中

 ○最終的な見直し効果(経過措置終了後の影響額等の推計)
  ・見直し(引き下げ)率  △約23%
  ・削減総額(年額)   △約6億円

2 現業公企職員労働組合との交渉の状況
 ○県の最終的な説明・主張等
 ・現業職に限らず公務員の給与水準は民間の類似職種との均衡が基本であり、県民の理解を得るためにも、速やかにこの基本に沿った見直しの実施が必要である。
 ・現在の厳しい財政状況等を踏まえれば、今後の市場化テスト等も視野に入れながらある程度のスピードで民間水準相当まで在職者の給与水準を引き下げなければ、現行の直営業務体制と雇用の維持を図ることは極めて困難である。
 ・期限延長を繰り返して交渉に努めてきたが、これ以上交渉の余地はないと考える。市場化テスト等も含めて、来年度以降の業務体制見直しの検討を具体的に進めなければならない時期であり、これ以上交渉を延長することは困難である。
 ・職長ポストは、本来は給与水準とは別問題であり、あくまで業務上の必要性を基に検討すべきもの。交渉事項ではないが、今後、組合の意見も聞きながら検討したい。
 ○組合の最終的な主張等
 ・大幅な給与の減額であり、組合員(職員)は生活設計を大きく変更せざるを得なくなることから、在職者の退職時までの現給保障の要求を変える考えはない。
・経過措置(現給保障)、4~5級昇格ポストの2点について納得できなければ合意はできない。この2点について、あくまで交渉の継続を要求する。

 ◆主な交渉経過等
 *16年11月:給与水準の見直しを行う方針を組合に提示
 *17年 1月:主任、主査等(わたり)の廃止と併せて、上記の見直し内容を組合に提案
 *〃 2月:上記の見直し内容について、改めて労働協約改定を組合に申し入れ
 *3月24日~8月29日の間に19回(延べ約46時間)の協約改定交渉を実施
 *6月30日(第8回交渉):労働協約の有効(暫定延長)期限切れ
       →労使双方の主張を論点整理した上で、7月21日まで交渉期限を延長
 *7月21日(第14回交渉):延長後の交渉期限、合意に至らず
       →労使双方の最終的な主張を論点整理し、相互の主張を確認
 *8月 5日(第15回交渉):4~5級職長ポスト、経過措置、雇用確保に関し交渉
 *8月11日:組合から回答「給与水準の見直しについて県提案を理解し受け入れる」
       →9月1日の実施に向けて、経過措置等を交渉継続することを確認 
  *8月23日(第16回交渉):組合が在職者について退職時までの現給保障を要求
       →組合の姿勢が大幅に後退、在職者の給与水準引き下げを拒否
 *8月29日(第19回交渉):9月1日の実施に向けた最終交渉 →合意に至らず
      ※組合と交渉を尽くしたが合意できず、交渉の余地もないと判断
 *9月 1日:現業職給与規則等を改正(給料表等改正) →級号給の切替等を発令

○平成17年9月5日(月)
  組合からの抗議申し入れについて
  現業公企職員労働組合からの抗議申入れの概要
<現業職の給与水準の見直し>
○日時  平成17年9月5日(月)14時40分~14時55分
○場所  職員課協議室
○出席者 知事部局:柴田参事監兼職員課長、伊澤給与管理室長、広瀬課長補佐
       現企労:有本執行委員長、谷本副執行委員長、上田書記長

<概要>
組合: 
今回の現業職員の給与水準見直し交渉において、組合の合意のないままに、規則改正、切替発令など県が取った一連の対応に対しては、到底納得できないし、労働協約に定める交渉の精神やこれまで保ってきた労使関係からも、大変遺憾であり、この組合の意を伝えるため、知事への抗議文を持参した。
    水準見直し以外の課題も山積しているので、今後も労使で協議すべきことは協議していきたいという気持ちだが、今回のことについては到底納得できない旨を知事に伝えてもらいたい。

県: 知事には伝えたい。双方が長期間話し合ってきて、折り合えば一番良かったのであろうが、交渉でも説明したとおり時間的に先延ばしできない状況でもあり、残念ではあるがこういうこととなった。

組合: 県が速やかに実施したいということはわからなくもないが、組合の要求という点からは、継続して交渉し、12月議会に向けてでもよいではないかと思っている。県にもできれば合意したいとの気持ちがありながら、一定の担保を取った上でないと、ポストや業務見直しの具体の話ができないというのは納得できないし、闘争委員会や組合組織としての理解が得られない。

県: それに対しては、これまで説明してきたことなので繰り返さない。まだいろんな課題があるのであり、それらについて労使で協議をしながら進めていきたい。 今日の主旨は、今回の県の対応についての抗議ということで、きちんと知事に伝える。

●組合からの抗議文
○平成17年9月12日(月)
  組合の抗議文の問題点とこれに対する県の考え方の提示

     鳥取県現業公企職員労働組合から9月5日に示された
     「抗議文」に対する県の考え方

                   平成17年9月12日
    鳥取県総務部参事監兼職員課長 柴田正顕

◆組合抗議文:現在に至っても労使合意ができていない状況であるにもかかわらず、一方的に交渉を打ち切り、労働基準法上本人の同意を必要とされる賃金の切下げを、一片の通知文書で済ますという暴挙を行った。
 このことは、法で定められる労働協約締結権の侵害という労働組合に対するものと、労働者個人に対する同意確認の不実施という二重の不当労働行為である。

○県の考え方:法の趣旨を逸脱している状況などを踏まえて、速やかに現業職員の給与水準を是正する必要があるとの認識のもと、交渉期限の延長も繰り返しながら最後まで誠心誠意組合の理解を求めて交渉に努めたが、最終的にどうしても合意できないことやこれ以上歩み寄りの余地がないことを確認した上で交渉を終えたものであり、けして一方的に交渉を打ち切ったものではない。
 勤務条件の不利益な変更については、どうしても合意が得られない場合でも一定の合理性が認められるものであれば有効に行い得るとの最高裁判例に基づき、実施可能なものであると考えており、現業職員の雇用維持の問題なども総合的に勘案した上で、給与水準の見直しを実施することがより適切かつ合理的な選択であると判断したところである。
 また、「不当労働行為」については、労働組合法第7条にその定義が厳格に定められているが、同条の規定に該当するような事実はまったくない。
*現業職の給与水準については、国や民間の類似職種の給与水準との格差が極めて大きくなっている状況を踏まえ、地方公営企業法第38条第3項の趣旨からも早急に是正する必要があるとの認識のもと、昨年11月に見直しの基本方針を鳥取県現業公企職員労働組合に提示して以降、本年1月に見直しの具体的内容を提案し、さらに2月には労働協約の改定を申し入れて、その後8月下旬まで同組合と合計19回、延べ46時間にわたって交渉を重ねてきた。その間、6月末日で労働協約の有効期限が切れた後も、組合の理解を求めて交渉期限の延長を繰り返しながら合意をめざして努力したが、最終的に組合の理解を得ることはできなかったことは、誠に残念である。
*組合との交渉においては、次のような情勢の中で、現在の直営による業務体制を維持 し雇用の確保を図りながら必要な業務体制の見直しを順次進めていくためにも、民間類似職種の給与水準を基に設定されている国家公務員の行政職(二)の給与水準相当まで現業職の給与水準を引き下げることの必要性を繰り返し説明したが、組合の理解は得られなかった。
 ・現業職、非現業職のいずれであろうと公務員の給与水準は民間の類似職種との均衡が図られることが基本であり、そのことが費用負担者である県民の理解と納得を得る上からも不可欠であること。現在の現業職の給与水準は、民間の水準との均衡を大きく逸脱した状況であり、できるだけ速やかに是正する必要があること。
 ・現在の社会経済情勢や厳しい財政状況の中で、歳出削減に向けて行政コストのあり方、とりわけ人件費コストのあり方が厳しく問われており、民間でできることは民間に委ねることを基本的な考え方としながら市場化テストなど民間とのコスト比較を踏まえた業務体制見直しを進めていかなければならない状況であること。
*県としては、最終交渉として臨んだ8月29日の交渉において、交渉期限の延長も含めて既に相当な時間をかけて交渉を重ねたが基本的な部分の議論が平行線であり、これ以上交渉を重ねても議論が進展する余地がないと判断せざるを得ないこと、また、 来年度以降に向けて市場化テスト等も含めた業務体制見直しの具体的な検討を進めなければならない時期を迎えている状況なども伝えた上で、どうしても合意できないのかどうか最終的に組合に確認した。しかし、現時点で支給している給与額を退職時ま で完全保障することを要求し、在職者の給与水準を見直し後の水準(国家公務員の水 準)まで引き下げることはどうしても認められないとする組合の主張は最後まで変わらず、お互いがこれ以上歩み寄りの余地がないことを確認した上で交渉を終えたもの であり、けして一方的に交渉を打ち切ったと抗議されるような交渉経過や状況ではなかったと認識している。
*労働条件の不利益変更は、労働者(組合)と合意した上で行うことが原則的な姿であるものの、どうしても合意が得られない場合であってもその変更の必要性や内容に合理性が認められる場合においては有効(適法)に行い得るとの考え方が最高裁判例により認められている。今回の給与水準の見直しは、地方公営企業法第38条第3項の規定に基づき、国や民間の類似職種の給与水準を考慮した水準に是正を図ろうとするものであることなどから、この最高裁判例により示されている考え方に基づき有効に実施 することができるものであると考えている。県としては、最終的に組合の合意は得られなかったが、現業職員の雇用維持の問題なども総合的に勘案した上で、給与水準の見直しを実施することがより適切かつ合理的な選択であると判断したところである。
*労働協約については、その締結が法的に義務付けられているものではなく、あくまで労使が合意して労働協約を締結すれば一定の法的な効果が発生するものである。今回の交渉において、県から協約改訂(給与水準の見直し)を申し入れたが合意できなかった部分については、従前から締結していた労働協約に定める協約改訂及び協約の有効期間に関する規定により、既に6月30日をもって有効期間が切れて失効しており、この部分についての労働協約の締結に関して組合が権利を主張する法的根拠はないものと考える。
*「不当労働行為」については、組合員であること等を理由とした不利益取扱い、正当な理由がない団体交渉の拒否、組合運営に対する支配介入など、労働組合法第7条にその定義が厳格に規定されているが、同条の規定に該当するような具体的な事実はまったくない。


◆組合抗議文:今回の当局提案では、これら現業業務に対する将来展望もまったく示すことなく、また数多い現業業務の実態を精査することもなく、現業職という名のみをもって最大25%にも及ぶ賃金の引き下げを提案しただけであった。学費やローンも含めた生活設計の大幅変更を、全現業職員に一律に迫るもので、職員の選択肢が全くなく、生存権さえも脅かす内容に終始したことに強い憤りを感じる。

○県の考え方:現業業務の見直しと給与水準の是正の問題は、あくまで別の問題として議論すべきものである。
 現業業務の見直しは必要であると認識しており、今後、具体的な見直しを進めていく予定であること、交渉事項ではない部分も含まれるが、職長ポストの設置について組合の意見も聞きながら今後検討していきたいと考えていること、行政職への転職も検 討することなど、今後に向けた県の考え方は交渉の中で可能な限り説明したとおりである。
 生活設計の変更が必要となるなど、現業職員にとって大きな影響が生じる見直しであることは十分に認識しているが、今回の見直しは、一定の激変緩和も図りながら、法の趣旨に沿って民間労働者の給与水準を考慮した給与水準に是正するものであること から、「生存権さえも脅かす内容」だとは考えていない。
*組合は、交渉においても、現業業務の見直し、中でも特に行政職の係長相当職として4~5級に格付ける職長ポストの設定について具体的な見通しが立たなければ判断できないなど、給与水準の見直しと業務体制見直しを絡めた議論が必要であると主張し たが、業務体制の見直しはあくまで業務遂行上の必要性を基にして検討すべきものであり、別問題である。交渉事項ではない部分も含まれるが、職長ポストの設定について組合の意見も聞きながら今後検討していきたいと考えていること、行政職への転職 も検討することなど、今後に向けた県の考え方は可能な限り交渉の中で説明したとおりである。
*仮に、給与水準の問題と絡めて議論した場合には、職員の給与水準の維持や処遇確保の観点から職長ポストなどの業務体制が検討されることに繋がりかねず、結果として、業務上の必要性の程度を超えて職員を給与上処遇することを目的としたいわゆる「わたり」と類似したものを存続させることになりかねない。そのような観点からの主張や議論は、絶対に県民の理解と支持を得られないものであることからも、両者はあくまで別問題として検討すべきであることは、交渉においても繰り返し説明し、理解を求めてきたところである。
*現在の社会経済情勢や厳しい財政状況などを踏まえれば、給与水準の抜本的な見直しを行わずに現在の直営での業務体制を継続することは極めて困難な状況である。県としては、現業職員にとって生活設計などに大きな影響が生じる見直しであっても、雇用確保の問題なども考慮すれば、給与水準の見直しを行うことが是非とも必要であることについて、民間や国家公務員の給与水準の状況なども具体的に示しながら繰り返し説明したが、組合の理解は得られなかった。
*雇用の確保も考慮しながら、法の趣旨に沿って民間労働者の給与水準を考慮した給与水準にまで一定の激変緩和も図りながら是正する見直しが、どうしても受け入れることができない見直しで、「生存権さえも脅かす内容」だというような組合の主張が、 民間の労働者をはじめとする県民の多くに支持されるものだとは考えられない。


◆組合抗議文:労働協約改定申し入れ期限が2月18日であったにもかかわらず、在職者の減額措置の提案が6月23日であったり、1月19日の給与制度の見直し交渉で提示された「現給保障を講ずる」との説明が、8月23日になって「現業職については当初から減額する考えだった」など、交渉当事者としての誠意を強く疑うものである。
さらに、一方的解釈によるホームページでの交渉経過の公開、議会に対して交渉が妥結していないにもかかわらず、「受け入れた」など虚偽の説明をすることにより、事実と違うマスコミ報道を招かせるなど、世論操作的な県側の姿勢は極めて不誠実である。この不誠実さが、本交渉を難航させた主原因であると考える。

○県の考え方:今回の交渉に誠心誠意対応し、最後まで組合の理解を求めて交渉に努めたことは、前記のとおりである。
 1月19日の主任、主査等のいわゆる「わたり」廃止の提案の際に「経過措置として現給保障措置を講ずる」と提案した趣旨は、本来、一定期間で終了することが基本である経過措置の中において何らかの現給保障措置を講ずる考えであることを示したも のである。組合が主張するように全員を退職時まで永久に現給保障することを提案したものではなく、その後に考え方を変更したものでもない。
 在職者に対する経過措置の具体的な内容の提案が6月23日となったのは、給与水準に関する交渉の進展などの諸情勢を見極めた上で提案することが妥当であるとの考えによるものである。
 8月11日の組合からの回答を基に、県議会常任委員会において交渉の進行状況を報告したが、その際に交渉が妥結したかのような虚偽の説明をしたことなど世論操作的な対応をした事実はまったくなく、「県の姿勢は極めて不誠実」だとする組合の抗議 は事実に基づかないものである。
 ホームページでの交渉経過の公開は、県民の理解と支持を得るために有効かつ必要な取組であると考えている。
*現在の社会経済情勢や厳しい財政状況、さらには国家公務員の給与との不均衡問題が県議会で指摘された状況などの諸情勢を踏まえれば、給与水準の抜本的な見直しは不可避な課題であり、民間とのコスト比較を前提とした市場化テストへの対応なども含めて、在職者の給与水準を国や民間の水準相当までできるだけ速やかに引き下げる必要があることを交渉の早い段階から繰り返し説明し、組合の理解を求めてきた。しかし、組合からの抗議の内容を見る限り、このような厳しい情勢にあることが理解され ていなかったと受け止めざるを得ず、そうだとすれば極めて残念である。
*本来、経過措置とは、暫定的な特例措置など一定期間で終了することが基本であり、1月19日の提案の際にはそれを前提として、経過措置の中で何らかの現給保障措置を講ずる考えであることを示したものである。経過措置としての現給保障措置にも様 々な方法が考えられる中で、具体的な方法を6月23日に提案したものであり、このような県の考え方については少なくとも6月23日の提案の際や翌日24日の交渉の際にも説明しており、8月23日になってから説明したものではない。
*経過措置の具体的な内容の提案を6月23日に行ったのは、今回の給与水準見直しに 関する組合交渉の進展をはじめとする様々な諸情勢を見極めた上で、具体的な経過措 置を提案することが妥当であるとの考えによるものである。前記のとおり、給与水準 を国や民間の水準相当までできるだけ速やかに引き下げなければならない情勢の中にあって、今回の交渉は、初期の段階では「昭和35年の地労委の調停案の解釈」など従来からの基準とすべき考え方に関する議論から行う必要があるとの組合の主張を基に交渉が進行したことから、基準的な議論が中心となり、給与水準の見直しについて具体的な議論が進展しなかったが、少なくとも6月23日に経過措置の内容を提案した以降においては、在職者を平成22年度末までの経過措置を経て見直し後の給与水準まで引き下げるという県の提案を基に交渉が進行したところである。
*8月11日の組合からの回答については、「給与水準を見直すことについては県の提案内容をやむを得ないものと理解し受け入れる。ただし、なお交渉が尽くされていない経過措置と4~5級の職長ポストの設置について、9月1日の実施に向けてなお交 渉を継続する」という内容であったと認識している。この内容を基に、8月19日の県議会常任委員会においてはあくまで交渉の進行状況を報告したものであり、妥結したかのような説明をした事実はない。そもそも、県議会常任委員会への報告内容のうち最も重要な部分である「8月11日に組合と確認した基本方針」については、事前にその内容(文言)を組合に伝えており、そのような経過を踏まえず、事後になってから、県が県議会に対し虚偽の説明を行ったなどと主張し、「世論操作的な姿勢は極めて不誠実」だとする抗議は、まったく事実に基づかない非難であり、絶対に認めることはできない。
*8月11日の組合からの回答について、その後の交渉において、組合は「給与水準を見直すことを理解すると回答した意味は、あくまで給与制度を切り替えることについて理解すると回答したものであり、在職者に対する経過措置はその後改めて議論する 考えであった」と主張し、在職者については現給保障として退職時まで現給水準を完全保障する措置を要求するに至った。しかし、このような組合の対応や主張は、次のような一連の交渉経過からすれば、8月11日の回答の後に組合がそれまでの姿勢を 大きく変化させたことによるものだと受け止めている。
 ・前記のとおり、給与水準を国や民間の水準相当までできるだけ速やかに引き下げる必要がある情勢の中で、少なくとも6月23日に経過措置の内容を提案した以降においては、在職者について一定の経過措置を経て見直し後の給与水準まで引き下げ  るという県の提案を前提に交渉を進めたところである。在職者に対する措置を棚上げにして、当面採用の見込みもない状況の中で、今後採用される職員に対する給与水準を制度論として延々と交渉したものではないことは、交渉の経過からも明らかであること。
 ・7月21日の延長後の交渉期限切れの際やその後の事務折衝の際に示した、これ以上交渉期限の延長を繰り返す考えはないとの県の方針を受けて、組合側は7月末までに組合としての最終回答を示すことを約束していた。そのような状況の中で、8月1日に組合側から「基本的に県の提案を受け入れることを前提に、(1)4~5級職長ポストの増設、(2)激変緩和経過措置をもう少し緩和する方向で工夫できないか、(3)今後の雇用確保について県の方針を示すこと、の3点の課題について、なお交渉し合意を模索できないか」との意向が示されたことを受けて、8月に入っても交渉を続けた経過がある。そもそも、この3点の課題は、仮に在職者について退職時まで現給保障を行うことを前提とするなら、議論の必要性がなくなる又は議論の内容  が大きく変化することとなる内容であり、在職者に対する経過措置と切り離すことのできないものであること。
*ホームページでの交渉経過の公開は、交渉段階から労使双方の主張や争点を明らかにするなどできるだけ交渉内容の透明性を確保することで、より一層、県民の理解と支持を得ることができる有効かつ必要な取組だと考えている。今回の交渉の一連の経過 についても、この反論で述べている事項の根拠となるような事実も含めて、可能な限り公開しているところである。一方的な解釈によるホームページでの交渉経過の公開が極めて不誠実であるかのような抗議であるが、県としては事実と反するような内容を公開しているものはないと考えている。仮に、公表内容に異議があれば具体的な修正等を要求すべきであるし、反論等があれば組合の主張や意見を公表するなど、組合としての対応方法は十分に確保されていると考えている。


◆組合抗議文:使用者(提案者)には職員を「今後想定される変化に対応した全体像を説明し、納得させる」責任がある。そのために業務の検証・県民に理解される現業業務の必要な見直しなど、2課題について交渉を継続して労使双方が納得し合意
ができるよう努力することが誠意ある団体交渉である。
これまで積み上げた交渉経過を議会等に説明し、問題解決のために継続して交渉を行うことが知事(使用者)として県民と職員に対する責任ある姿勢である。

○県の考え方:給与水準の見直し問題については、県としては、合意は得られなかったものの実施せざるを得ないと判断し、9月1日に実施するという形で既に結論を出したものであり、今後、交渉の余地が生じるような状況の変化などがない限り、合意できなかった内容と同様の内容について県から再び交渉を求めていく考えはない。
 現業業務の見直し等についての基本的な考え方は、交渉の中でも繰り返し説明したとおり(その要点は前記のとおり)であり、今後も必要な事項については組合と協議、交渉していく考えである。
 交渉経過については、従来から議会や県民に公表してきているが、今後も交渉経過や県としての認識などについて、県議会等に十分に説明していく考えである。
 今回の交渉においては、困難な局面が多い状況の中で、労使双方が合意を求めて誠心誠意最後まで対応したと認識している。組合側にどのような考え方があるにしても、以上に述べたような交渉経過等を十分に踏まえずに、このような抗議を受けることは、極めて残念であり、理解に苦しむものと言わざるを得ない。
 今回の交渉では、結果的に組合と合意することはできなかったが、組合と合意をめざして交渉することの重要性に対する認識は従来と何ら変わるところはなく、今後も組合と必要な協議、交渉を行っていく考えである。

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