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平成18年1月31日交渉

特殊勤務手当等に関する交渉の概要
○日時  平成18年1月31日(火)10:35~13:40、14:25~20:15
○場所  執行部控室(議会棟2階)
○出席者 知事部局:柴田参事監兼職員課長、伊澤給与管理室長、広瀬課長補佐、
          萬井副主幹、斉藤副主幹
          福祉保健課:森田課長補佐、長寿社会課:藤内係長
          農林水産部:安田次長、農政課:竹内課長、藤田課長補佐
県職労:片山執行委員長、山中書記長
現企労:有本執行委員長、谷本副執行委員長、上田書記長 他38名
 
 
<概要>
組合:特殊勤務手当の見直しにあたり、県が尺度を作成したことは、組合からも求めてきたことでもあり、一定の評価はさせていただく。ただし、この基準についても一度作ったから後は見直さないというのではなく、労使で常に見直していくこととしたい。現場の実態調査が不十分で現場の認識と食い違う面もあるので、本日は、今回、県が作成した案について、職場の声を直接聞いてもらい、修正すべき点があれば速やかに修正してもらいたい。今回の見直しは限られた時間の中での交渉となるが、現場の納得がいくよう十分議論して欲しい。
 
県:職員のみなさんがそれぞれの職場で頑張っていることは十分承知しているつもりである。今回の特殊勤務手当の見直しでは、組合からの要望もあり、職種や職域を越えて可能な限り職員の納得性、公平性を得られる客観的な評価基準を新たに設定することで整理しようと努力してきた。現在、提示している案も、現場の意見を聞き、反映させるよう努力したが、現段階でもなお、必ずしも意見が一致していない部分もある。今回、そういった職場からの要望もあって、本日の交渉では直接意見を聞かせてもらう場を設定したものである。
 
1 放射線取扱手当
組合:そもそもの手当の設計の考え方がおかしいのではないか。今の提案では同じ100マイクロシーベルトの被曝を受けたとしても、仮に1日の業務従事でたまたま100マイクロシーベルトに達する者と1ヶ月間で100マイクロシーベルトの被曝を受ける者とが生じた場合を想定し、両者を比較すれば、1ヶ月間で100マイクロシーベルト受けた者の方が手当支給額が多くなるといった不均衡が生じる。もうひとつは、本来放射線被曝は健康に何らかの被害をもたらすものであり、被曝量が増えれば増えるほど危険性は増すものであり、今回の見直しで被曝量という観点を持ち込むのなら被曝量に応じた従量制により支給すべきであると考える。
 
県:確かに業務の様態によって、支給額に不均衡が生じる点については、考慮すべきと考えるので、合理性のある支給方法を検討したいと考えている。具体的な修正案は検討段階なので別途お示ししたい。従量制の考え方については、県としては違和感がある。今回の改正趣旨は、放射線取扱業務の従事者だけでなく、一般人が浴びても許容範囲とされている年間1ミリシーベルト(=1,000マイクロシーベルト)を基準に考え、また測定可能単位を踏まえて1ヶ月100マイクロシーベルト未満の業務を手当対象から除くということである。
 
組合:100マイクロシーベルト単位以下の測定値は精密な測定が困難であることは承知しているが、現実に従事者が業務中に被爆しているのも事実である。許容範囲以下の被曝だから危険ではないというのはおかしい。
 
県:通常生活している中でもテレビなどから発生する放射線なども浴びている訳であり、自然界において受けている量として国際機関で認知されている放射線量は、年間2.4ミリシーベルト(=2,400マイクロシーベルト)といわれ、それに比べても月に100マイクロシーベルト(≒年1ミリシーベルト)という線量は相当程度低い設定となっているものである。
 
組合(中央病院):技術的には100マイクロシーベルト単位以下になると、測定値の信頼度は±10%程度、10マイクロシーベルト単位以下になると、測定値は±50%程度の信頼度となる。しかし、その程度の信頼度でも、被爆している事実の有無は分かるのであり、診療放射線取扱業務に従事する職員は、自然界以外にも放射線を浴びていることを考えれば、健康被害のリスクを負っている。全く検出されない者は全体の4割くらいではないだろうか。
 
県:放射線を浴びることにリスクがあることを否定するつもりは決してない。一般公衆が浴びる程度として許容されている水準の放射線量について手当を支給することは、対外的に説明し納得を得ることは難しいと考えるものである。
 
組合:一般公衆が浴びる放射線量は、職場におけるフィルムバッジでは検出されないはずだ。業務に従事することによって、一般公衆の場合に加えて特に放射線を浴びる実態がある。本来は、全く浴びなくて済む職場環境であることが求められるはずだ。一般公衆が1ミリシーベルトなら許容できるからというのは論点が違う。少しでも被爆する業務であるなら対象にすべきである。
 
県:許容範囲だから被爆してもよいなどと言うつもりはない。放射線についての研究が進んでいるとはいえ、未知の影響部分があり得ることは否定しない。被爆しないことに越したことはないので、業務として浴びざるを得ない職場ではしっかりした放射線管理が必要であることは前提となると思うが、だからといってすべての放射線取扱業務を手当の対象として評価することは困難である。
   また、健康被害と相関関係が具体的事実として科学的に確認されているのは、100マイクロシーベルトよりも随分高いレベルであると聞いている。
 
組合(中央病院):健康被害の相関関係については、学術的にはそのとおりである。しかし、業務として継続的に浴びていることや放射線量が蓄積することを考慮すべきである。しっかり管理されている職場環境ならば検出されないのであり、事実として放射線が検出されるかどうかが重要である。例えば月に80マイクロシーベルトだから手当に該当しないというのは、10年、20年、30年と継続するに従って被曝線量が加算されていくことを考えると適当ではない。
 
県:危険性についての考え方はそのとおりだと思う。診療放射線取扱業務を含む医療業務には、何らかの危険性が伴っている。医療職は、ある意味、そういう危険性を前提に成り立つ職種だと考えられる。そういった意味で医療職給料表は作成されているのではないのか。一定程度の危険性は基本給に含まれているものと解釈している。
 
組合:県は、国の取扱いに準じているだけではないのか。
 
県:手当の対象とすべき危険性の目安となる被曝放射線量について、国の基準を参考にしたまでである。他の業務にも関連することであるが、特殊勤務手当の支給対象になっていない業務にはすべて特殊性や危険性が全くない訳ではない。むしろどの業務にも多かれ少なかれ何らかの危険性や困難性はあるのであり、今回の見直しにあたっては、一定のレベルに達したものについて特殊勤務手当を出しましょうという整理を行ったものであることを理解していただきたい。
 
組合:県から、同じ被曝線量を受けた者で支給額に不均衡を生じないよう検討するという提案があったので、従量制による支給方法が可能かどうかも含め、再度検討してもらいたい。
 
 
2 困難相談・折衝等業務手当(旧税務手当部分)
組合(西部県税):これまでの税務手当が、国の税務職給料表との水準差を埋める目的で措置され、平成12年の見直しにより定額化されたときも、支給水準が結果的には一定程度維持されたことを考慮すると、国税準拠の考え方によるべきものではないのか、県の考え方を確認したい。
 
県:国税における税務専門官の給料表の運用実態が全て明らかになっているわけではないが、地方自治法上でも、税務職給料表に応じた手当として位置づけられているものではない。かつては、国税準拠の考え方もあったかもしれないが、平成12年度の見直し時にも、特殊勤務手当に該当する業務範囲を限定した。近年、行政職給料表の適用を受ける他の職種の職員の業務もますます複雑化・困難化しており、その中で税務の特殊性とはどのようなものか、国との均衡を考慮しない訳ではないが、鳥取県オリジナルの視点から整理・検討しようとするものである。
 
組合(西部県税):他県でも税務手当を支給しているように、徴税吏員として重い責任を負って常に専門的な業務に従事している特殊性がある。今回の見直しにおいて、調査業務について支給対象が拡大されたことは実情が把握されたものとして評価しているが、業務の特殊性を考慮し、あくまで単独で税務手当として独立させてもらいたい。
   どこの職場でも発生するかもしれないが、税務は電話による催告や庁内におけるトラブルの発生の頻度は多い。また、督促の件数は年間2万件にものぼるが、担当者や組織の取組により、徴収率95.5%と全国的にも高い水準を達成している。調査業務でも、例えば滞納者宅で行うものなど困難性の高いものについては、もう1ランク高い類型の適用があってよいと思う。
   また、移動時間中も次の徴収について考えながら移動しているのだから、業務の一環であり、業務全体を支給対象にしてもらいたい。
 
県:積極的な妨害行為を図る者などに対する徴収業務のように、より精神的緊張度の高い中での業務については、用地交渉や社会福祉業務などの場合と同様、類型3.の業務として整理する考えである。
 
組合(西部県税):税務手当という独立の手当として存続してもらいたい。日額の業務従事時間による割落とし(4時間未満は手当日額の60/100とする)は廃止して欲しい。
 
県:他の手当との考え方の整理、均衡を図ることも必要であり、税務手当だけを特別扱いすることはできない点は理解して欲しい。基本的な考え方を変えることは難しいが、どのような調整ができるのかは一応は検討してみる。
 
3 困難相談・折衝等業務手当(旧社会福祉業務手当)
組合(倉吉児相):見直し案では、所内での相談や一般相談などを支給対象外としているが、それらにも困難性や専門性がある。また、業務の一部を切り出して、特殊勤務手当の対象とすることについては、実際に誰がどのように手当対象であると判断するのか疑問があることなどからも月額支給を要望する。児童における相談業務は、すべてが常にストレスとなり、精神的な疲労や緊張が継続する状態となるのであり、どの部分が特殊な業務かどうか切り出して分けるのではなく、全体を一連のものとして評価してもらいたい。
 
県:児童相談所を含めた福祉現場の困難性は、人を相手にする職場という点では税務とも共通するかもしれないが、複雑、困難なものであると十分承知しているつもりである。
   今回の見直しでは、本来、給料表で措置されるべき業務の範疇を超える著しい特殊性を、職種、職場を越えた客観的な指標を設定し、それぞれの業務にあてはめて整理しようとするものである。現段階における整理が絶対だというつもりはないし、今後も修正すべき部分があれば継続して検討していくつもりである。業務内容も時とともに変わることもあり、それに対応して見直していくべきものであると考えている。
   今回の見直しでは、従来、月額特勤として評価されてきたものであっても、あえて困難かもしれないが、特殊な業務を切り出して手当化する作業を行ったところである。時間がかかるかもしれないが、支給方法も含め、職務の実態を調べながら今後も検討していきたい。
 
組合:滅多にないような業務を切り出すならともかく、日常的な業務、基本的な業務が困難・不快であるのに、その中からさらに個別に困難業務を拾い上げようとすること自体ナンセンスである。これは児童相談所の業務だけではなく、他の特殊勤務手当にも言えることではないのか。また、場合によっては、積み上げた結果をみて自分の仕事の困難性はこの程度しか評価されていないのかと思うような職員が出てくるかもしれない。切り出しにくい業務についてまで、無理にでも切り出せと言うのは乱暴なやり方である。
 
県:特殊性が業務全部に及ぶというのならば、特殊勤務手当の領域を超えているのではないか。業務の全体が給与で措置すべきほど特殊であるならば、それは給料表で措置すべき問題であり、特殊勤務手当の制度に馴染まないものではないだろうか。福祉系の職場における相談業務は全て包括的な評価になるべきだと言われるのか。
 
組合:そういうゆるやかな切り出し方の整理があってもよいのではないのか。
組合(福祉相セ):所内の相談業務が除外されていることについてであるが、もともと児童相談所での相談は、あらかじめ決めた時間に決めた場所(所内)で面談することを基本形としている。むしろ所外で行う相談が例外的なやり方である。同じ相談者であっても所外で聞く場合は手当対象となり、所内で聞く場合は対象外となるというのは、不均衡である。
 
県:たとえ所外における相談業務であっても、一律に手当の対象とするのではなく、そのうち困難なものと認められるものに限定している。所内で行う相談業務等についても、困難性や専門性があることは十分承知しているが、やはり所内と所外においては職員の精神的緊張度は異なるのではないだろうか。
 
組合:切り出すことが困難な業務があることは県も認識していると思う。切り出しが困難な業務についてまで無理に切り出しを行わなくてもいいのではないか。こういった視点を持って再度、検討してもらいたい。
 
4 社会福祉業務手当(喜多原学園)
組合(喜多原):県内唯一の児童自立支援施設として非行少年を預かり、24時間体制で運営している。近年はADHG(注意欠陥・多動性障害)などの障害をもった子どもも増えてきている。県からは、他の職場に比べて高い評価をもらっていると認識しているが、それでもなお、現場は、評価が低いと感じている。少年院と異なり、開放型の施設であり、逃走のおそれや外部からの侵入もありうる。交替制で休日も勤務しており、心身の疲労やストレスのさらなる加算要因として評価してもらいたい。
   身の危険を感じながら仕事をする状態が一年を通じてある。年末年始も交替で勤務し、不測の事態があれば呼び出しに応じて出勤し、子どもが暴れていたら体を張って制止するなどしている。このため現場から評価が十分でないという声が出ている。
 
県:施設面にしても人員配置にしても必要であれば引き続いて環境を整えていくが、以前に比べれば随分と体制整備されてきているものと認識している。そのような状況でも、なお困難性は高いと認識しており、他の所属に比べても、最も高い評価区分に位置づけている。
 
組合(喜多原):24時間・365日体制で不規則な勤務体制で従事する困難性は、規則的な勤務体制の人には理解されにくいかもしれない。物理的に評価が5点までつく可能性がある中で3点以上が同じ単価(評価)になることは不合理ではないか。
 
県:3点を900円、4点を1,200円と単価を区別する方法も考えなかった訳ではないが、評価が3点以上になるのは、いずれにしても特殊性が複合している特別なケースであり、そのレベルでの特殊性を区分することはかえって妥当ではないと考えたものである。現実問題として加算要因を含めても4点となる業務はなかったし、5点に達することは想定できない。
   24時間交替制勤務という特殊性に関しては、現在、それぞれ休日勤務手当、夜間勤務手当や宿日直手当が支給されている。特に夜間の特殊性については、時間外勤務手当の単価に特殊勤務手当が算入されていることで反映されているものと考えている。
 
組合(喜多原):今後業務内容によっては、4点の区分の単価を創設する可能性はあるか。
 
県:現在の判断指標は、評価方法も含め今後も必要に応じて見直しを図っていくものであり、将来的な見直しの可能性は否定しない。
 
組合:最上級の特殊性の設定については議論があるところだと思うが、今後どうするのかも含め別途の課題としたい。
 
5 調整額(母来寮)
組合(母来寮):皆成学園、喜多原学園は、調整額廃止で特殊勤務手当が新設されている。母来寮の入所者には、認知症や精神障害など地域での日常生活が困難な方が多く、処遇にあたっては同様に困難である。なぜ児童施設には特殊勤務手当が措置されるのに、老人施設にはないのか。
 
県:母来寮については、従来から勤務環境も厳しい面があると認識しており、勤務体制について一定の改善を図ったところである。皆成学園、喜多原学園における入所対象者は、人格形成期段階の児童であり、いわば児童の親代わりになって育て、人格形成に責任を負うという特殊性、困難性がある。高齢者介護が大変でないと考えているわけではないが、特殊勤務手当支給にあたっての判断指標として、一定の困難性を図る指標として対象者の年齢による関わり方の違いを評価、判断したものである。
組合(母来寮):大人になってからも人格は形成され続けている。加齢に伴い頑固、排他的な性格になり、地域生活ができなくなって入所という人への指導や金銭感覚がなくなりいつでも福祉がなんとかしてくれるという人に対する倹約指導を行うなど、日々その人の人格形成に携っている。
県:入所施設において施設は入所者の生活の場であり、入所者の心に寄り添ってケアするというのは基本である。これは児童施設であっても高齢者施設であっても同じであろう。昼夜を問わず、児童の親代わりになって育てるという責任に対し、困難性を認め、特殊勤務手当の対象としているのである。
組合(母来寮):高齢者施設であっても入所者の家族となり、家族の一員として一生懸命やっているのに評価されないというのは納得できない。障害者の施設であっても、入所対象が大人であれば、特殊勤務手当の対象にならないということか。
県:そう考えている。
組合:母来寮は、単純な養護老人ホームではなく、入所者の中には知的障害者や精神障害者もいる。総合的な勤務条件の中で、今やっている現場の仕事がどんなに大変かという観点に立てるかどうかだと思う。
県:勤務条件の整理、改善については、本年度から交替制勤務を取り入れるなど努力してきたつもりである。それでもなお現場が大変だというのであれば、その要因が何かよく検討し、さらなる改善を図っていくことが必要であろう。母来寮の寮母の勤務に全く困難性がないとは思っていない。業務に対する困難性は、どの職場における職員も大なり小なり抱えているものであり、特殊勤務手当というのは、その中でも極めて高い困難性に対して支給されるものである。
組合:健康面の被害もあり、病気休暇の職員が多数いるのは労働条件の厳しさから生じるものであり、特殊事情の一つとしてみてあげてほしい。入所者の中にハンディキャップを持っている人が多くなっている。その対応の困難性と高齢者といえども人格形成に携る困難性の部分と判断指標のいくつかの項目にまたがるものを複合的にみることはできないのか。
県:各項目がそれぞれ0.5点であわせて1点とする考え方はとれないかということか。制度設計自体の基本的な考え方を変更する話でもあり、全体の再検討が必要となることから困難である。
組合:今回対象にならなかった業務について、今後新たに新設というのは難しいのではないかと思う。職員が納得する形で十分議論して欲しい。
県:今日の職場からの実情を聞く限り、新しい要素があったとは受け止めていないが、どういう整理が可能なのか勤務環境の改善なども含めて検討してみたい。
 
6 特殊現場作業手当(道路維持作業)
組合:今回、なぜ視界不良の中で行われるものに限定することになったのか。
県:交通遮断することなく行う維持作業自体の危険性を否定するわけではないが、その中でも特に危険なのは視界不良の中で行われる業務であると判断した。
組合:従来から要求していたが、道路上の動物の死体処理手当は、不快性という面で判断指標に該当するものであり、是非手当化して欲しい。
県:確かに中には、内臓が出ていたり、腐敗しているものもあり、不快性の面ではそうだと思う。ただし、死体取扱であれば全て該当するものではないので、どのようなものに対して支給すべきか検討してみたい。
 
7 特殊自動車運転等業務手当
組合(園試):トラクターの運転自体に危険性はないのだが、夏場におけるビニールハウス内での作業は異常な高温で、かつ粉塵、排気ガスが充満し、不快性、不健康性にあたる作業である。
組合(園試):夏場におけるカッパを着てのスピ-ド・スプレヤーのファンによる薬剤散布は、異常な高温で、かつ騒音下での4~5時間作業でもあり、不健康、劣悪環境作業である。
組合(畜試):牛の堆肥を堆肥舎に4~5ヶ月間ストックしており、いい堆肥を作るために月2回程堆肥をひっくり返して酸素を入れる切り返し作業を行っている。堆肥舎の中での作業中はアンモニアなどによる悪臭が充満しており、また機械の騒音も著しいことから不快性、不健康性にあたる作業である。
組合:特殊車両を動かすことによる危険性について、見直しを図ることには理解するが、グレーダーなどの特殊車両は車両自体の騒音、振動は相当なものであり、過酷で健康的にもかなり悪い。現場の声にもあるように当該特殊車両を使って行う作業環境の厳しさについても評価して手当化を検討して欲しい。
県:実際に現場での確認作業も必要であり、適切な時季における調査結果を踏まえ、不快性、不健康性の判断を行っていきたい。
組合:農薬散布は、危ないといわれるものを体に浴びながら作業している。この金額で妥当なのか。また、対象となる農薬の範囲を広げてほしい。
県:今回の見直しにあたっては、特殊性を金額として計る指標として、行政職給料表における1号分の間差額の平均日額相当である300円を設定した。点数により手当額を300円、600円、1,200円に振り分けたものであり、考え方に意見はあるかもしれないが、妥当な金額であると考えている。全ての農薬について危険はあるのであろうが、特殊勤務手当を支給する程危険な農薬とは、毒物劇物取扱法第2条に規定する毒物等を含有するものと定義したものである。これに相当する危険性があるのであれば実証データ等を示しながら説明して欲しい。その段階で判断したい。
 
8 家畜保健衛生業務手当
組合(倉家保):今回、調整額から特殊勤務手当に移行される食肉衛生検査所におけると畜検査が類型3.でなおかつ月額であるのに、明らかに病原体をもってリスクを伴う家畜の疾病に関する検査、糞便、血液採取、解剖検査などの困難性、不快性を理解をしていただいていないことに困惑するとともに、均衡が取れていないと思
う。
組合(西家保):是非とも類型3.を希望したい。
組合(倉家保):と殺は高度の特殊技能を必要とし、大きな牛を殺すときは、いきなり暴れてけがをすることもある。また、殺処分には身体的な危険の他に、動物を殺すという精神的なもの、土曜日に死んだ牛を月曜日に解剖するときには腐敗が進んでいるといったような場合には悪臭など相当厳しい環境下で行われる不快性、不健康性、困難性の高い作業である。
組合(鳥家保):真夏でもかっぱを着て作業するなど不健康性も高く、食肉衛生検査所以上に悪臭がしている。解剖以外に不快性が認められていないが、血まみれ、糞まみれになるのはかなり不快である。
組合(倉家保):1回の作業は短時間であっても、1日に何回も作業をやるという面は、今の評価の仕方では評価してもらえないのか。
県:所管課を通じて、危険性、不快性以外の他の評価項目に該当するような業務はないか確認してきたが、それはないという回答だった。一般的な意味での不快性がないとはいえないが、今の基準としては該当しないものと判断している。
組合:食肉衛生検査所は確認しているようだが、家畜保健衛生所も一度、現地を確認して不健康性の検証を行ってもらえないだろうか。また、食肉衛生検査所の業務にはない「殺処分」の特殊性も併せて検討してもらいたい。
県:調整が必要な部分があるのかどうかは検討してみたい。また、現場の実情は、いずれ確認させていただきたいと考えている。
 
9 訓練指導手当(農大、高等技術専門校)
組合(倉技専):産業教育手当の見直しは今どういう状況なのか。また、高等技術専門校の職業訓練指導員の業務と高等学校の教員の業務内容の違いをどう考えているのか。
県:産業教育手当は教育委員会において廃止する方向で教職員組合と協議を進めている。また、学校の教員と比較して、ある一部分について見れは業務の類似性があると認識している。
組合(倉技専):類似性があるからこそ指導員に対しても訓練指導手当を支給してきた経緯がある。そもそも現在適用されている行政職給料表は指導員の業務内容に見合っていないのではないか。業務内容に類似性があると言われるなら、教育職給料表(一)の適用を検討していただきたい。
県:給料表の適用の議論を否定するものではないが、今の段階では適用を変えることは考えられない。元々この手当は産業教育手当に源を発している。特勤で考慮しているのは産業教育手当との均衡である。あくまで産業教育手当という加算的な手当との均衡を配慮して、訓練指導手当がある。産業教育手当が廃止される情勢の中では訓練指導手当も廃止せざるを得ない。教育職給料表(一)の適用については、今回の手当の廃止とは同じテーブルで議論すべき問題ではない。
組合:農業大学校に対しての考え方はどうか。以前、農大は産業教育手当との均衡ではなく教員との均衡により定率で払われていたのではないのか。
県:教員との均衡ではなく、農業改良普及員との均衡で措置されたものである。今回の手当の廃止と教育職給料表の適用をセットで議論するつもりはない。実技・実習などは工業高校でも行っているという面においては類似性はあると思う。ただし、学校の教員は発達段階にある生徒の人格形成の面も指導している。いわゆる生徒指導といったような、そういう面は専門校や農大にはないと考える。
組合:農大は全寮制であり、日々の生活の中で人格形成の部分も指導している。必ずしも技能習得だけをやっているわけではない。特勤は給料表で措置できない部分を補うという意味で措置されてきたのではないか。県の職務の中で類似したものがあれば、まずそれとの均衡をはかるべきである。指導員の職務を評価した上で教育職に類似しているのであれば、教育職給料表の適用の議論にならないのはおかしいのではないか。
県:検討の余地がないとは思わないし、実際に検討もした。その結果、全く類似性がないとは言えないが、先ほども言ったような教員の仕事との比較を考えると、技能習得という指導員の主な役割に対して教育職を適用するという考えには今の段階では至っていない。国の農大も行政職でやっている。国ですら行政職でやっていることの評価も含め、教育職への変更を考えていく前段においては、県としてはまず、本来それぞれの機関が今後どのような役割を担っていくものなのか、その基本的なあり方を十分整理、検討する必要があると考える。そこからの議論、検討となると、現段階において具体的なスケジュールをお示しすることができない。また、批判もあると思うが、コストの議論もせざるを得ない。何に対してどういうコストを払っていくかを考えていかないといけない。その点については今回の見直しとは切り離して今後検討していきたい。
組合(倉技専):今後検討すると言って、いつするのか。本当に検討するのであればきちんとスケジュールを示してやっていただきたい。
県(農林部):率直にいうと、県民が農大に求めているのは就農者を増やすこと。そして就農者に対し技術を授けるということである。農家がきちんとした経営ができる技術を身に付けさせるのが農大の役割だと考える。
組合(農大):ニートやフリーターが増える中で、就農への意識を高めることは重要だと考えている。単に技術を教えるだけでは就農者は増えない。精神的に強い人間を育てていく必要がある。そうしないと就農率は上がらない。
組合(倉技専):専門校も同じである。ニートやフリーターへの対応にも力を入れてやりたいと思っている。県から示されている判断指標に基づけば訓練指導手当の廃止は止むなしと考えている。特勤にこだわっているのではなく、今後も教育職の適用も含めて検討していきましょうということについて、現実的には現場との意見交換も含めてやっていくという確認が取れれば、特殊勤務手当の廃止と教育職給料表適用の検討時期が一致しなくても構わない。
県:農大と高等技術専門校については、それぞれの機関の今後の役割、あり方を整理、検討する中で、今後の機能に応じて給料表の適用のあり方も併せて検討するという整理でよいか。
組合:それでよい。
 
10 農林漁業改良普及手当
組合:提案にあるように、普及手当を職務内容の特殊性ごとに個々に切り分けて特勤化するようなことは考えられない。
県:普及事業の特殊性、現場の普及員の皆さんが努力していることを決して評価していない訳ではない。職務の困難性を判断する基準を、普及員以外の職員に対しても、また、県民に対してもきちんと説明できるように統一性、一般性のある基準を作成していくべきだということを労使で共通認識としながら、今日まで協議してきたはずである。これまでの主張のように普及員は特別であるという主張だけでは理解できない。県民も他の職員も納得しないと思う。議会も社会の情勢を踏まえて見直しを行う必要があると指摘している。
組合(米子改):まず農業改良助長法という法律があって、それに基づいて手当が義務づけられている。2年前の法改正時には国会において付帯決議がついている。そのことをどう考えているのか。全国で鳥取県だけ廃止することの意味、国会の判断と違ったことをすることの意味は何なのか。
県:法律はあくまで支給することが「できる」という規定になっている。つまり、支給するかどうかは自治体の判断に委ねられているということである。もし全国一律で支給する必要があるのであれば、義務規定になっているはずではないのか。あくまで地方の判断に委ねられている現在の法の規定を踏まえ、本県は本県の判断として手当を廃止するという考えである。それが法に反するとは思わないし、また、他にも廃止を提案している県もある。
組合:国の協同農業普及事業を担う機関として改良普及所が設置され、その改良普及所には法律に基づき普及員が配置され、普及事業を行うこととされている。その普及事業を行う普及員には普及手当が措置される仕組みになっている。普及員に支払うべき手当は法の判断からしても普及手当のみである。法律の解釈については言われた通りかもしれないが、国の事業としてやっていること、国会の付帯決議がついていることについてどう考えるのか。
県:付帯決議の趣旨は、「優秀な人材の確保は必要」であるということだと理解している。ただし、手当がないと優秀な人材が確保できないかというとそれは違う。確かに業務は定型的なものが少なく、一般行政とは違う側面もあるが、一般行政でもかつてより業務が複雑化してきていて、皆が苦労しながらやっている。その中で普及員だからといって一律に12%の手当を支給するのは他の職種の理解も得られない。
組合(日野改):付帯決議にもあったが、我々はより高度な業務を求められている。覚えなければならない事項の範疇が多く、他の一般行政職をはるかに超えている。農家の意見を吸い上げ、また、時には教育し、その結果次第では農家に責任を求められたりもする。状況に応じて色々な取組が求められており、その手法は県が進めているCS活動などの参考になっているのではないか。我々普及員は一般行政職のようにマニュアルにのっとって仕事をすればよいというわけではない。
県(農林部):普及員に限らず誰もが異動すれば一生懸命に仕事を覚え、やらなければならないのは同じことだ。色々な取組があると言ったが、それを含めて普及事業なのではないのか。教育する必要があると言ったが、普及員の仕事は基本は農家に選択肢を示すことであり、責任まで求められるものではない。そういった考え方は止めた方がよい。
組合:繰り返しになるが、国と地方との協同農業普及事業として普及活動があり、普及員を置いている。またそのために人件費に交付税措置もされている。そういった枠組みの中で普及員に支払われる手当は普及手当しかないのである。その理解がないと中身の議論には入れない。そのことを組合として要求しているのである。
県:県としての廃止の方針は変わらない。
組合(米子改):新規採用の職員は普及員志向が低い。普及員になるための試験勉強も負担になっている。それだけ敷居が高いということ。そのような状況の中でこれから先、普及員としてのモチベーションを維持させることが大事なのではないか。それが表に現れるのが手当などの処遇面である。
県(農林部):手当がなくなることでモチベーションが下がるのであれば、人事異動で代わってもらうしかない。
組合:県は普及員に何をさせたいのか分からない。何が大変かと聞かれると、個々には説明することができるが、それを言葉で説明するとなると難しい。今、県は普及員に対し何を求めているのか。専門家の集団としてどのような業務をやらせたいのか。それが分からないと業務の困難さも説明しづらい。
県(農林部):確かに普及員の仕事を言葉にしようとすれば難しいだろう。あえていうならば昨年の3月に「協同農業普及事業の実施に関する方針」で示した経営指導などを基本としながら、相手の求めに応じて対応するということだが、包括的で漠然としたものにしかならない面はあるだろう。
組合(気高改):普及員の業務をあえて言葉にすると「繁雑」ということ。一般行政に比べ県民に接することが多く、また相談をどこか別の部署に投げることもできない。特に集落営農は普及員が手を離すとだめになってしまうのではないか。
県(農林部):集落営農は県だけで対応すべきものではない。市町村、JAなどその他の機関とも連携しながらやっていかなければならないと考えている。知事からも県が先走ることのないように連携してやっていきなさいと言われている。
組合:地方の農村は「貸した」「借りた」の気質が強い、今だに「菊と刀」の世界の面もある。その中で普及員がどこまでかかわっていけばいいか、悩みながらやっている。引っ張っていかないと動かないような農家を相手にする困難性を理解していただきたい。
県(農林部):これまで普及員は大きな役割を果たしてきたし、これからもそうあってほしいと願う。役割の大きさを十分認識していることは理解してほしい。他の職種に比べて異質な業務があることも分かった上での結論であることを理解してほしい。
組合:普及員の仕事は困難でも農家に誉めてもらえるいい仕事だと思っている。ただその困難さへの評価は他の手当ではなく普及手当しかないということを分かってほしい。もし普及手当ではない手当を払うというなら、いっそのこと農林技師にしてくださいと言いたい。こちらの要求は率とか金額ではない。普及手当を残してほしい、その一点である。

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