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                            海事職給料表の導入に対する交渉の概要

○日時 平成20年1月28日(月)15時30分~17時30分
○場所 第1会議室(本庁舎地階)
○出席者 知事部局:伊澤職員課長、萬井給与管理室長補佐、難波主幹、前田副主幹
            県職労:片山執行委員長、山中書記長、河津書記次長 他15名

<概要>
:長年の懸案であった海事職給料表について、いよいよこの度導入しようとするもの。
    昨今県職員の給与は様々な見直しを行っている。
    これまで当然として、いわば見過ごしてきたものも、これまでそうだったから、というだけで続けていくのではなく、将来に向けて様々な見直しを行っている。
    その中には、例えばいわゆる「わたり」の廃止など厳しいものもあるが、給与を下げることだけが給与の見直しの本来の目的ではない。
    海事職給料表についてもこれまで、県有船の数が必ずしも多くないことや、県有船を所有している他の都道府県においても海事職給料表を導入していない状況もあること等から長年導入してこなかった経緯はあるが、この度、人事委員会の勧告もいただき、いよいよ実現へ向けて検討すべき段階となったものである。
    この機会に全ての課題を、完全に解決することは無理かもしれないが、課題が一歩も二歩も整理できるのではないかと期待している。
    海事職については、これまで必ずしも協議の機会等が十分であったとはいえないこと、また、我々も十分に船員の特殊性についての専門的な知識を持ち合わせていないことからも、現場の職員の皆さんにこの機会に教えてもらうべきところは教えてもらい、どういう整理が海事職給料表の出発点として望ましいのか、また、引き続き検討すべき課題の検討、整理も含め、よく話をしたいのでよろしくお願いしたい。

      組合からの要求書(PDF)      県からの回答書(PDF)

【要求項目2、3について(海事職の職務評価、職位設定について)】
組合:組合としても、海事職給料表の導入そのものは肯定的には考えている。しかし、現実的には、わたりの廃止を踏まえ、職位をどう整理するかが賃金や労働条件に直接響いてくる。
    鳥取県としても初めてといっていい新たな給料表の導入、しかも、特殊性の高い海事職の導入という点を踏まえ、以下の3点を要求したい。
  (1) 船長は管理職としての責任を負っているものであり、管理職としてほしい。
  (2) 県から提示された「級別標準職務表」の案には、海事職3級に「士長」という職が設けられているが、ピンとこない。船舶に乗り組む職員としては、「一等航海士」という名称が馴染んでいるが、この「士長」とはどのような職なのか、また、2級と3級との差は何なのか説明してほしい。
  (3) 船長、機関長が3級と4級の複数級に格付けられているが、その具体的な任用基準を示してほしい。

:一般的にいえば、「管理職」とは所属の施策の企画立案、分析、次年度への反映等総合的な管理を行う組織の長という位置づけとして考えている。
    確かに、船長について管理、監督としての役割があることは理解できるが、現在の組織体系においても各所属の中の一組織であること、総合的な施策の決定に際しては当該所属長が行うことを考えれば「管理職」として設ける必要は今のところ考えていない。
    任用について、「級別標準職務表」は国の海事職俸給表の標準職務を参考に、県の現行の格付けを基に「わたり」廃止に伴う職制の見直しを踏まえ設定したものである。
    人事委員会から示された切替表によると、新たな海事職給料表においては1級、2級が主事・技師級、3級が係長級、4級が課長補佐級、5級が課長級である。
    「どうすれば3級になれるのか」という点については、「士長」はその部門の効率的な業務遂行のため一定の進行管理を行う職員を想定している。行政経営推進課では3~5名の職員を掌握する、その部門の長との考え方をしている。
    複数格付けの場合の任用については、現在のところ経験年数などで単一の基準を設けることはなかなか困難であり、職務の困難性等を各人ごとにみながら判断するものと考えている。

組合員:船長、機関長の3級、4級については、各人ごとに格付けを行うということか。

:登用の選考としては各人ごとに行うということである。

組合員:具体的にはどのような運用となるのか。

:例えば昨年行政経営推進課が各職場における整理点検用として作成した「各職階が担う役割基準案」における係長級、課長補佐級の基準に照らし、その職員の知識、経験、技術などを見ながら判断するしかないと思う。

組合員:「士長」というのは、「一等航海士、一等機関士、一等通信士」のことと考えていいのか。

:「一等航海士、一等機関士、一等通信士であれば士長になれる」というものではない。航海、機関などの単位ごととなるであろうが、一定の職群の進行管理を行える職員を「士長」に任用することを考えている。

組合員:「士長」を置くかどうかは部下の人数だけにより決まるものか。

:「士長」は、職務の長という役割として考えるものであって、人数だけで考えているのではない。ただし、一般的に係長級の職員の一定の進行管理ができる範囲を3~5名程度と考えているいうことである。

組合員:一名職場でも「士長」はあり得るのか。

:行政事務においても、一名職場であっても負っていただく役割に応じて副主幹の設置はあり得る。「絶対に部下が何名いなければ士長になれない」ということではない。

組合:行政経営推進課の組織査定理由を見ると人数のみで職を判断しているのではないか。

:昨年夏の現地調査や組織要求時の聞取り等で、はやぶさは、出港する場合は基本的には全員乗船し、その場合航海部門の指揮命令は船長が行っていること等を確認し、船長の下に部門の長を置く必要を認めなかったものだと聞いている。

組合員:船長が全責任を負うというのはどの船でも同じであり、第一鳥取丸とはやぶさを区分する理由にはならない。第一鳥取丸には「士長」を置き、はやぶさには置かないというのは、単に両船の人数の差ではないのか。

組合員:一等航海士は船長が不在のときは「代理船長」として、全責任を負って出港する。これは両船とも同じであり、区分を設ける理由はない。

:はやぶさにおいては、そのような、船長不在時に一等航海士の指揮命令で出港する運用形態があるとは聞いていない。本当に船長不在で出港できるのか、また、出港した実績があるのか、あるなら最近の実例はいつあったのか。

組合員:近年実際にそういった事例はないが、ケースとしてはあり得る。逆に、船長不在時は通報を受けても出動しなくてよいということか。

:可能性はあるとしても現実にない話で議論することはやめよう。
    例えば、船長が病気等により長期不在となるようであれば、その間の職務代行者を発令するなど人事上等の措置は行うし、また、ドック入り等で出動できないようなときには近県や海上保安庁などとも取締りのバックアップ体制がとってあるはずではないのか。

組合員:現実にないといわれるが、船員手帳にも「代理船長」と書いてあり、いつ何時責任を負うこととなるかわからない。また、人事上の発令などを待っていられないこともある。それらの点を考慮してほしい。

:事前にはやぶさについて所属に確認したところ、確かに運輸局へは一等航海士等の登録は行っているが、船長不在でも法的に出港を命令できるかは確認できなかった、また、実際にそういった運用の実態もないとのことで、船長以外に士長を置く必要はないと判断したとのことである。

組合:県の職制上は「副船長」という職も「一等航海士」という職も設けられていない。しかし、実際には該当する職員はその意識の下に日頃から業務に携わっているのである。洋上で船長が倒れたらすぐ代理を務めなくてはならない、そういう職なのである。

:それでは、そのような職員はみな船長、機関長並みの3級にせよ、ということか。

組合員:「一等航海士等」を2級、3級の複数に格付ければよいではないか。

:船長の代理が通常の職務だというなら理解できるが、可能性として想定できるからというだけで3級の職務として格付けることは考えていない。

組合員:はやぶさにおいては、巡回のパターンを察知されないよう、巡回(巡視)の運航は船長に一任されている。そういった意味で、船長不在時に一等航海士の指揮命令で出港する運用例がこれまでなかったのかもしれない。

:そうであれば想定されることではないのではないか。
    本来あるべき組織を検討するに当たり、どういった指揮命令系統が業務を遂行するに当たり最適なのかを考えていくべきであり、本来は船長のものである職務を特例的に行うというだけでは、新たな職(ポスト)を設置することは困難、一定の限界はあるだろう。

組合:あるべき姿、というのであれば、船長不在時に一等航海士の指揮命令で出港する運用がない、というよりも、船長は不在でも必要なら一等航海士の指揮命令で出動できる体制をとるべきであり、そうであれば、一等航海士等に3級の格付けを認めてほしいということである。

:はやぶさは現場となる職場が大きくないので、別に長を設けなくても船長が一括して管理できるのではないか。

組合:はやぶさ乗組員は、公用車による内水面(河川)の取締りも行うが、そのような際は船長が同行せず、取締部門が複数置かれることもある。

:そのような業務が年に何回程度あるのか。

組合員:年にもよるが10日くらい、多いときはそれ以上と思う。ただ、河川によっては分かれて巡視等を行うので、延べ回数としてはもっと多くなる。

:「主たる業務」は何か、ということである。

組合:そういったことを踏まえ、所属からは一等航海士と一等機関士について係長級に格付ける要望が出ていたはずである。また、はやぶさについても、船長一人で取締りを行うわけではない。行政経営推進課資料ではそのような分担も責任も考慮されず、人数のみで判断と思わざるを得ない。適切な職務評価が行われているのか、大いに疑問である。

:行政経営推進課においても、昨年夏に人事委員会と現地に赴いてヒアリングを行い、水産課の組織要求も踏まえた上で総合的に判断したところと承知している。査定資料に書ききれることには限界もあり、資料に記載されている事項だけで査定を行っているわけではないことは理解してほしい。

組合員:第一鳥取丸の一等航海士は3級格付けが可だが一等機関士は不可など、甲板部と機関部に格差が設けられているが、仕事は両部とも同じである。これも人数だけで差をつけているのではないか。
    また、第一鳥取丸とはやぶさにも格差が設けられている。困難性は同じであるのに、驚いた。

:それは、行政経営推進課が12月に行った、「わたり」廃止後の新たな職の設置要求に対する組織査定に基づく話だと思うが、組織査定は現在も進行中である。また、この度職員課が提示した「級別標準職務表」案でも中型船舶の取扱いに差は設けていない。

組合:行政経営推進課から、第一鳥取丸とはやぶさで取扱いの異なる組織査定が出ている以上、「『級別標準職務表』では中型船舶の取扱いに差は設けていない」では通らない。

:県としても職の分類について両船に格差を設ける気はない。はやぶさの機関長の4級格付けについては、現在の組織査定案では認める方向に変更されていると承知しているし、それに基づいた「級別標準職務表」案となっているはずである。

組合員:それでは、はやぶさの一等航海士についても3級に格付けられるよう見直されているのか。

:所属からの、係長級の一等航海士、一等機関士配置要求に対し、行政経営推進課は、12月の時点では第一鳥取丸の一等航海士のみ配置するとの査定を行ったところである。
    しかし、この度の係長級の「士長」設置の検討に当たっては機関士の職を除外しているものではない。組織上必要なら職の業務実態に応じて置ける、というものである。

組合員:この度海事職の給料表を導入して、海の特殊な業務については海の独自の物差しを設けようとするのに、人数や業務遂行など、ここだけ行政の物差しに照らして判断というのは筋として通らないのではないか。

:船員の職務についても行政の標準職務を基準として考えていくことになる。それは医療職や研究職でも同様である。

組合員:先ほど説明された、「船長が管理職にならない理由」は行政の物差しに照らしたものではなかったか。

:行政組織体としての一般理論を説明したものである。

組合員:海事職については、今回行政職給料表から適用を変えるというのに矛盾しているのではないかと感じる。例えば、国の海事職俸給表でも船長と機関長は全て並びになっている。これが海の物差しである。ところが、はやぶさでは船長と機関長の格付けに差を設けるのは、行政の物差しだと思う。

:「級別標準職務表」では国と同様、船長と機関長の取扱いに差は設けていない。

組合:行政経営推進課の査定資料では、はやぶさの船長と機関長の格付けに差が設けられている。これは行政経営推進課が作成した職務評価基準に基づき同課が査定を行うものだが、海事職についてはこの職務評価基準が作成されておらず、行政職の職務評価基準が使用されている。
    海事職の職務評価基準が作成されないまま、いわゆる「わたり」が廃止された結果、「士長」の職務とは何かがわからなくなっている。
    船には万国共通の職があるので、鳥取県だけが独自の職というわけにはいかない。
    何を以て士長とするのか、その基準は何か。職務の基準がないのに「○○のポストに何人」と提示されても議論できないではないか。だからこそ、県も組合もお互いに人数の単純な話しかできないのではないか。
    「何かよくわからないが士長は、第一鳥取丸には一人で、はやぶさにはなし」というのでは説明になっていないし、それで「士長は3級」と言われても理解できない。
    「士長」が悪いというのではなく、職位の基準を示してほしいということである。

:職務分類基準は、そのそれぞれの級について代表的な職を入れて作成している。
    「行政職でいう『係長級』というのはこのようなレベルの職」というものがあり、全てをそれに合わせて考えることはできないが、「士長」は行政職の係長級に相当する職として考えている。

:行政職は確かにモデルケースではあるが、だからといって行政職だけを対象にするものではない。
    海事職の「士長」については、2級の航海士等の上に立つ職員を想定している。

組合員:2級の航海士等の上に立つ職員、というのがつまり一等航海士ではないか。

:一等航海士なら全員が3級になれる、とは考えていない。

組合員:それでは何人くらいが士長、即ち3級になれると考えているのか。

:現在の行政経営推進課の組織査定案では、第一鳥取丸で1名だけである。

組合員:若鳥丸の部員は士長になれるのか。

:教育委員会の所管ではあるが、現段階では士長は免許職に限る考えと承知している。

組合員:「士長」の職務を聞くと、一等航海士の職務のように思えるが。

:一等航海士の中の、その任にある方、いわば「筆頭一等航海士」的な職を想定している。

組合員:「一等航海士」という職名ではダメなのか。

:一等航海士だから全員が3級に昇任・昇格できるとは考えていない。

組合員:第一鳥取丸で1名だけが士長、ということであれば、一等航海士1名は3級になることができるが、一等機関士は3級に昇任できないということか。一等航海士と一等機関士のレベルに優劣はないものと考える。

:職制上は、一等航海士と一等機関士の取扱いに差はない。あとは士長設置の組織上の必要があるかという問題である。

組合員:それでは結局人数だけの議論となってしまい現場は納得できない。一等機関士による代理機関長の実績もある。

:年に何回程度、そういった職を行う場合があったのか。やはり業務のボリュームを考えることも必要であり、「1回でもそういった実態があれば3級の職」というものではないと思う。

組合員:一等航海士、一等機関士は、いつ、いかなるときでも船長、機関長の代理を予期していなくてはならない。

:しかし、そのような責任代行は船員以外でもある。しかし、だからといって全員の職を上位に格付けることはできない。

組合:行政職の場合に課長の職務を課長補佐が代行するのと、一等機関士が機関長の職務を代理するのとは事情が違う。
    「船長、機関長を代行できるだけの能力があるのに、士長の位置づけがないからずっと2級」というのでは納得できない。
    行政職の「主幹」も「課長補佐が務まる能力のある人」として置いているのではないか。

:主幹は、常時課長補佐級と同等の役割を持って業務を行っている職員である。

組合:代行できる能力があってもずっと2級どまりなのか。だから3級に昇任・昇格する基準と、昇任・昇格できる人数を示してほしいと要求しているのである。

:代行の職責があることは否定はしないが、昇任に当たってはそれだけが要件ではない。能力が認められても昇任しない職員は船員以外でもある。
    評価は職責で行うべきであり、代行という職責が本当に法律等で明確に定められているのであれば3級への格付けもあり得るが、「能力があるから給与も3級で同等」という考えはない。

組合員:第一鳥取丸、はやぶさの双方について、一等航海士、一等機関士とも3級に各1名職を設けてほしい。

:それだけの職責があれば検討を行う。

組合員:それだけの職責があるから法律で登録が義務づけられているのではないか。
    船員手帳にも代理船長、代理機関長であることははっきりと書いてある。

:一等航海士、一等機関士としての登録と、県の職制の中での位置づけとは別である。
    職責があれば職の設置はやぶさかではないが、今のところそれだけの必要を認めていないということである。

組合員:県はあれほどコンプライアンス、法令遵守といいながらなぜ法律上定められた一等航海士、一等機関士という職を置かないのか。士長ではなく、一等航海士、一等機関士という職名にしてもらいたい。

:一等航海士などの職名と職位は別だということは理解してほしい。

組合員:一等航海士、一等機関士の設置は法律上義務づけられており、設置しなければ出港できない。

:それを県の職制上どう位置づけるかは別の問題である。「海事職3級の一等航海士、一等機関士がいなくては出港できない」ということではなく、国の海事職俸給表でも2級の一等航海士、一等機関士と3級の一等航海士、一等機関士がいる。
    一等航海士、一等機関士の免許が技能職であること、資格免許制度であることは事実である。しかし、それを2級に位置づけるか3級に位置づけるかは、技能資格とは別の問題である。

組合:一等航海士、一等機関士は、実態として業務に差はない。

組合:海運登録を行えば法的義務を有する。責任の指標として登録はやはり大きな要素である。
    責任だけを与えられて、給与は2級のままでは納得できないとの主張は、そう的外れなものではないはずである。

:法的な職の必置規制、位置づけについては、所属等にも再度確認することとしたい。
    法律上登録が必要なのは何人なのか。

組合員:はやぶさの場合、船長1名、機関長1名、一等機関士1名の計3名である。

:それなら、一等航海士など他の船員は法的に義務づけがあるわけではないということなのですね。登録の仕方の問題だけのような気がするが、その辺のことも含めて法的な根拠等をよく確認してみたい。

参考資料:標準職務表(海事職)

【要求項目4、5について(特殊勤務手当、旅行手当について)】
組合:特殊勤務手当について、人事委員会の報告にあった「所要の見直し」は進んでいるか。

:航海手当について、警察においては検討が行われていると承知しているが、その他で知事部局としては特段の検討は行っていない。

組合:人事委員会には申し入れたところであるが、はやぶさの航海手当について問題点があると認識している。
    この度の航海手当の見直しについて、荒天時の航海・操業と夜間の操業は特殊勤務手当の対象として残るはずである。
    はやぶさは、取締等業務手当が支給されるため、ということで航海手当の支給対象になっていないが、荒天時の巡視については、この度の航海手当の見直しとのバランス上も支給されるべきものと考える。

:特殊勤務手当を見直した際、4指標のうち、取締等業務手当は取締業務の危険に加算的要素を加えて判断したものである。見直し後の航海手当は荒天時の危険に対応するものではあるが、はやぶさの場合、取締業務と荒天の2つの危険が重なっても指標の危険性としては一つとして判断するものである。

組合:はやぶさが荒天時に巡視を行っても取締等業務手当は支給されない。
    取締等業務手当は、取締業務の危険にしか対応していないので、同手当の支給されない荒天時の巡視に対し、航海手当を支給してほしい。

:荒天時の巡視に対し、見直し後の航海手当相当の支給をしてほしいという要望はお聞きした。

組合:航海手当の見直しは、荒天時以外の航海については給料表で既に考慮されている、という趣旨と思われるが、海事職給料表で考慮されている特殊性にはそもそもどの要素までが含まれているのか、勤務形態も船もそれぞれ異なるが、同給料表が考慮している「特殊性」とは具体的には何か。

:これとこれに相当するといったように具体的な構成要素はわからないが、海事職の給料表も民間の船舶乗組員の給与の実態等を考慮され設計されたものであり、勤務の特殊性も含めて船員の職務に見合うものと考えている。

組合:困難とは思うが検討してほしい。特殊勤務手当を見直すにしても、「この特殊性のラインから離れるから特殊勤務手当で対応」ということがわかるようにしてほしい。

組合員:若鳥丸のように1月半洋上勤務と、はやぶさのようにほぼ日帰り勤務というように勤務実態に非常に差がある中で、一つの給料表で特殊性を全部対応させるというのは乱暴だと思う。

:国の海事職俸給表においても、職の格付けにおいて大型、中型、小型、その中でさらに一類、二類、三類など細かい区分を設けており、船の大きさや航行区域の違いを考慮、反映させるものとなっているのだと思う。

組合員:国の区分に基づけば、第一鳥取丸もはやぶさも同じ扱い、ということなのか。

:確かに国の区分に基づけば、第一鳥取丸もはやぶさも同じ「中型船舶(二種)」に含まれるが、同じ枠の中にも幅はあるので、必ずしも同じ枠内だから全て同じ扱いというわけではないと思う。

組合:その点、旅行手当は距離に見合っていたのである意味妥当な制度であったと思う。旅行制度本来の趣旨とは異なると思うが、船ごとの違いにはやはり配慮をお願いしたい。

:問題点を整理すると、(1)はやぶさには法律上義務づけられた登録者が3名あること、(2)実際にはその他にも登録を行っている職員がいること、(3)これらの職員と職の格付けのマッチングが課題であること、であり、これらの点について再度点検してみたい。
    また、他にも一定以上の業務のボリュームがあり、職責として評価すべきものがあれば教えてほしい。

組合員:差別や格差はやめてもらいたい。

:差別ではなく、船の大きさの違いやそれに伴う部下職員の人数の差は、上に立つ人の職責に影響をもたらすということである。

組合員:仕事の特殊性も考慮してほしい。はやぶさでは暴力団や酔っぱらいにも対応しなくてはならない。

組合:3人の仕事が2人になれば、1人当たりの仕事は増えるので、県もあまりボリュームや頻度ばかりをいわないでほしい。

:主たる業務は何かを考えなくてはならない。年に一度程度の業務まで含めると際限がない話になる。

:あらかじめ論点はある程度詰めて、お互いに完全でなくても合意できる所まで考え方の違いを埋めていきたい。引き続き検討が必要となる課題もあろうが、長年の懸案がやっと解決、前進しようとしているものであり、何とか合意したいと考えている。よろしくお願いしたい。

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