平成22年度の当初予算編成等に当たっての留意事項

H21.10.16
総務部長

  

1.要求の基本的な考え方

  

(1)地域主権確立に向けた積極的な取組

   現在、国においては、民主党・社民党・国民新党の三党連立による新政権において、「地域主権の確立」に向けた取組が進められようとしている。こうした時代の変化を受け止め、鳥取県は地域主権を実現させるべく積極的に国に対する提言を行うとともに、県民本位の行政をさらに推進させるため、平成22年度当初予算の編成に当たっては、今年2月に策定した「鳥取県の将来ビジョン」を念頭に、県民、NPO、住民団体、地域活動を行う者、団体、企業、大学、市町村等の様々な主体と協働・連携して、「活力 あんしん 鳥取県」の構築に向け、積極的に諸課題に取り組むこととしたい。
 また、引き続き厳しい雇用、経済情勢の建て直しに取り組む一方で、環日本海国際定期貨客船の就航、鳥取自動車道の開通、米子空港滑走路延長など「大交流時代」の到来を見据えて、近畿圏域、東京・名古屋、更には、北東アジア地域とも情報・戦略を共有し、国内外に向かって打って出る施策を展開するとともに、「とっとり発グリーンニューディール」を踏まえた環境指向の県内産業活性化など様々な政策の実現に取り組むこととし、地域にセーフティネットを張ると同時に、未来を展望した施策にも果敢に挑戦していくこととしたい。
 

(2)県財政を取り巻く不安定な状況

 しかしながら、地方の税財源の面における新政権の政策は、自動車関係諸税の暫定税率の廃止と整理・統合、ひもつき補助金の一括交付金化、一括交付金と地方交付税の統合による新たな地方財政調整・財源保障制度の創設、消費税の年金財源化など県歳入の根幹である県税、地方交付税、国庫補助金等の動向を左右するドラスティックな改革の方向性が示されているだけであり、その具体的な内容は明確になっておらず、今後の県財政の運営は、非常に不安定な状況におかれている。 
 さらに、県内の景気動向に鑑みれば、昨年末の米国発の金融危機により県内の雇用、経済情勢は深刻な状況に直面し、県内の雇用経済情勢の低迷状況は続いており、県税収入の回復も不透明な状況である一方、公債費は600億円近くの水準が続き、依然として県財政の圧迫要因ともなっている。
 こうしたことから、平成22年度においても、非常に厳しい財政状況が続くものと考えられる。  

(3)徹底した事業の棚卸しと見直しの断行

 新政権下での地方の税財源の見通しが極めて不透明な状況にあって、平成22年度末の「財政運営の誘導目標」達成に向けて着実に財政健全化を進める厳しい制約の中で、諸課題、諸政策の実現を図るためには、既存事業の徹底的な見直しと大胆な選択と集中が必要となる。
 そのため、予算編成作業において、例年どおりの要求査定と前後平行して、「各所属の政策目標達成の年次工程(いわゆる「工程表」)」の進捗状況を基に事業棚卸しを実施することにより、より効果的な事業の再構築や新たな施策に対する財源の確保に努めることとする。
 よって、予算要求に当たっては、これまで以上に新規事業、継続事業にかかわらず全ての事業について、費用対効果、必要性・緊急性等を検証するとともに、公共関与のあり方、持続可能性、国や市町村との役割分担などの視点で再度、思い切った事業の取捨選択を行っていただきたい。
 また、取捨選択の結果、実施すると判断した場合でも、様々な主体との協働・連携、手続き等の簡素化・省力化、業務の外部委託化・集約化等、最少の経費で最大の効果が上がるよう、より良い手法がないかどうか検討した上で要求していただきたい。
  

2.要求に当たっての留意事項

  

(1)事業の評価を踏まえた要求の徹底

 「将来ビジョン」や「工程表」に留意しつつ、すべての事業について、これまでの取組と成果について評価を行い、ゼロベースで見直しを行った上での要求を徹底すること。
 そのため、「工程表」の進捗状況に基づく主な事業の評価、棚卸しを新たに設置する「事業棚卸しプロジェクトチーム」が行うこととし、「事業棚卸しプロジェクトチーム」による事業の検証結果を可能な限り反映した要求を行うこと。

(2)重要施策への的確な対応

 県政の重要施策を実現するにあたっての課題を体系的に把握し、課題への対応の達成状況を踏まえながら、必要な事業が漏れていないか十分に検討した上で要求すること。

(3)国の制度・施策に関する情報収集の徹底

 新政権下において、道路、ダム等の各種公共事業の見直しなど国の既存の制度・施策の厳しい見直しが予想されるため、様々なチャンネルを使って国の制度・施策についての情報収集・分析を徹底し、的確に予算要求に反映させるとともに、国庫補助金などの財源措置についてもできる限り適切な見積もりを行った上で要求すること。

(4)県民、各種団体など県庁内外からの意見・施策提案への的確な対応

 様々な施策が展開されている現場や県民からの声を常に意識し、各種団体からの意見や提言に素直に耳を傾けて、それらを反映した事業を検討するとともに、若手職員サブチームなど職員からの提案についても、各担当課において十分検討の上、予算要求を行うこと。

(5)各部局横断的事業と事業手法の多面的な検討

 県政全般を見通し、他部局の施策、政策課題との関連について部局間で十分協議した上で、整合性のある事業を検討するとともに、施策の立案の際には、異なった手法による複数の案を作成するなど、より効果的・効率的な手法がないか、できる限り多面的な比較検討を行った上で要求すること。

(6)市町村の役割への配慮

 市町村が住民に一番身近な地方公共団体であり、住民生活に密着した行政を行っていることに鑑み、県の施策実施に当たってもその自主性を尊重するとともに、市町村との役割分担を踏まえ、市町村への大幅な業務移管を検討すること。
 また、市町村が関連する事業については、事前に十分相談、調整を行い、市町村における予算措置等が円滑に行われるよう配慮すること。
  

3.その他の留意事項

  

(1)日々の業務改善

 日々の業務改善は、一時的には手間を要することもあるが、結果として、無理・無駄がなくなり、県民のためになることはもちろん、職員の負担軽減にも繋がる。
 例えば、ポスター・チラシ等の広報媒体については、必要性、費用対効果等の観点から無駄が生じていないか、安易に活用していないか等の点検を行い、廃止も含めた見直しを徹底し、活用する場合には、最小の経費でPR効果が最大となるように活用方法や掲載内容等を工夫するとともに、その活用の実態について確認するなどのアフターフォローを行うこと。
 このように、予算要求に当たっては、今一度、こうした認識を共有し、日々の業務を十分に点検すること。
 なお、業務改善の実践事例については、改善コンペを実施し、その取組を広く周知することとする。

(2)新たな財源の確保

 県有資産の処分、県有資産の有効活用による広告料収入の確保、受益と負担の公平の観点から費用を徴収すべきものがないか等、新たな財源の確保について積極的に検討すること。

(3)助成財源の積極的活用

 国庫の財源措置のみならず、各種公益法人等からの事業内容に応じた助成も含めて、当該助成制度が本県の実情や具体的事業に適合したものかどうかを十分に検証した上で積極的に活用すること。
 なお、有利な助成財源があることのみをもって必要性緊急性の低い事業を行うことがないようにすること。

(4)環境への配慮とコスト意識

 エネルギーの転換など、環境への負荷を軽減し、かつ、コスト削減に繋がるようなアイディアは積極的に取り入れて、事業を検討すること。
 また、環境方針を尊重し、グリーン購入の推進、ペーパーレス化の推進等について、予算要求段階から配慮すること。

(5)県内資源の活用

 県産品・県産材の活用に努めること。また、県内在住・県出身の人材、県内事業者の活用についても検討すること。

(6)予算編成過程の透明化

 予算要求段階から、予算編成過程を公開するので、事業名も含め県民へのわかりやすさを第一義的に考えて要求書を作成することとし、特に文言については、いわゆる行政用語を用いないよう注意すること。
  

 

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