カラスザンショウは、木々が広く伐採された場所などで他の植物に先駆けて初めに生える先駆種(パイオニア種)と呼ばれる植物のひとつです。
妻木晩田遺跡の発掘調査では、竪穴住居跡から1000点を超える多量のカラスザンショウの実が見つかることがあります。こんなに大量のカラスザンショウを住居に持ち込んで何に使ったのでしょう?食べていたんでしょうか?実は、このカラスザンショウの実はお世辞にも美味しいとは言えず…食用ではなく、その成分の分析結果から、コクゾウムシなどの殺虫・防虫剤の役割を果たしていたのではないかと考えられています。
現在、むきばんだ史跡公園にはカラスザンショウはたくさん生えていて、ちょうど今頃の季節になると、果実が熟れて殻が裂け、黒い実が顔を出しています。
このカラスザンショウの殻の部分をつぶしてみると、柑橘系の爽やかさとスパイシーさが混ざる独特な香りが際立つことに気づきました。
そこで、試験的に、しっかり熟した果実の殻だけをつぶして、「むきばんだコーラ」にブレンドしてみることにしました(※むきばんだコーラについて詳細はこちらの投稿をご覧ください→弥生の森講座「弥生のスパイス~むきばんだの森で手作りコーラ~」イベントレポート)。すると、なんともスパイシーで少しビターな大人向けのコーラに仕上がりました。鼻に抜ける独特な香りと、わずかに下に感じるピリリとした辛味がとてもよいアクセントになっています。
「これは美味しい!まさかカラスザンショウでこんな味つけができるとは!」植物の先生の鷲見寛幸さんにも太鼓判を押していただきました。
今回は、コーラづくりでの実験でしたが、カラスザンショウは、もしかしたら弥生時代に料理のスパイスとしての役割も果たしていたのも!?と、想像をかきたてられるような結果となりました。
むきばんだの森の植物と弥生時代の暮らしや「食」との関わりについてこれからも研究を続け、皆さんに報告していきたいと思います。どうぞお楽しみに!

カラスザンショウ

カラスザンショウの実