本会議で決定した議員派遣について、その概要等を掲載します。(結果報告については、派遣終了後に掲載いたします。

  

議員の派遣状況(21年度)

台湾訪問団

1 派遣期間

平成21年10月19日(月)~23日(金)

2 主な日程

10月20日(火)
 台中県立東勢国民中学校視察
 台中県政府主催交流会(昼食会)
 台中県立瑞穂国民小学校視察
 台中県立頭家国民小学校視察
 台中県議会表敬訪問
 台中県議会主催交流会(夕食会)
10月21日(水)
 社団法人日本観光協会視察
 鳥取いなばフェア視察
 財団法人交流協会台北事務所表敬訪問
10月22日(木)
 野柳地質公園視察
 陽明山地質公園視察
 台湾政府外交部主催歓迎夕食会

3 派遣議員

斉木副議長[団長]、野田議員[副団長]、藤縄議員[秘書長]、山口議員、内田議員

4 随行者

議会事務局  前田主幹、田住副主幹

5 報告

 斉木副議長を団長に、野田・藤縄・山口・内田の鳥取県議会台湾訪問団は、(1)小中学校にける英語教育の取り組み 、(2)県産品の輸出、(3)地質遺産を活用しての観光産業とジオパークの取り組み、(4)鳥取県への観光客誘致、という大きな課題を持って10月19日から23日までの日程で台湾を訪問。
政府外交部や台中県政府並びに議会、日本観光協会台湾事務所との意見交換、財団法人交流協会台北事務所への表敬訪問、鳥取いなばフェアの視察、地質公園へ出向いての現地調査を行って参りました。

 20日は午前8時20分に宿舎を出発、早速、台湾の新幹線に乗り込み高鉄台北駅から台中へ。
最初の調査地として台中県立東勢国民中学校を訪問。校長先生は風邪でお休みでしたが、蔡瑞昌主任から英語教育の実態についてお話を伺いました。
それは、発展し続ける中国との関係、アジアやヨーロッパ、世界を見据えた台湾の長期戦略として、「世界の共通語である英語を学ぶことは、母国語を学ぶと同様に重要なこと」との国策があり、その流れの中で小・中学校でも英語に重きを置いた授業を行っている、というお話し。
実際案内されたクラスでの授業風景も、台湾政府の思惑通り「世界に通用する人づくり教育」の一端を会間見る授業風景でありました。

 次に訪れた瑞穂小学校は、鳥取にも瑞穂小学校という学校がありますが、と尋ねたところ、日本の統治時代からの校名とのことでありました。
此処では、小学4年生のクラスを見学。母国語を一切使わず、全て英語で授業が進められており、公立の小学校でありながら、レベルの高さに多少の驚きを持って参観した次第であります。
授業終了後、山口議員が「放課後は塾に行っているのですか」と尋ねると、全員が手を挙げる正に進学思考のエリート学級で、台中県政府としては、見せたい学校の一つであったのでありましょう。
校舎入り口には孫文の「三民主義」が掲げられ、日本人が忘れかけている中華民国教育宗旨のお話を聞きながら、玄関に整列した生徒達に見送られ、次の訪問校「頭家小学校」へと車を走らせました。

 頭家小学校ですが、訪問予定には入っていなかったものの、台中県政府から「どうしても見てほしい」という強い要請を受け、急遽、視察先に加えた学校であります。
同校は、2002年に創立された非常に新しい学校で、民間の企業家であった錢得龍氏を校長に迎えるや、学校運営の中に企業的手法を導入。わずか8年で生徒数が2000人を越える超エリート校に造り上げていったのです。
越境してでも通いたいというこの学校の特色は、英語教育と水泳に力を入れ、水泳では優秀なコーチ2名、英語教育は国際ボランティアを通じアメリカ・ブラジル・コロンビアから教師を迎え入れていましたし、低学年に於いては、校長自らが手掛けた教科書や教材を使い、CDによる英語への導入を試みるなど、画期的な指導がなされていました。
特に親の教育熱は高く、子どもに対する思い入れから給食はお母さん方のボランティアで賄われ、私どもが学校を訪れた際にも、新型インフルエンザの検査照射を額に受けてから校内へ入る、という危機管理面でも徹底していましたし、急遽の来訪にも関わらず日本の旗を買い求め、台湾の国旗と日の丸で我々を迎え入れて下さる様は、公立学校であっても、リーダーによって此処までの学校づくりが出来るのか、と感心した次第であります。

 続いて台中県議会の訪問でありますが、陳萬通・冉齢軒議員、蔡文雄秘書長の迎えを受け意見交換を行いました。
その中で、「ぎくしゃくしていた梨の穂木輸入について、昨年訪台した小谷団長をはじめとする議員団の皆さんに大変お世話になり、石岡郷の梨農家も安堵している」という御礼の言葉がありました。さらに願わくば「穂木2kg4万円という価格が、もっと安くならないものか」という申し出を受け、これに対し内田議員から「梨農家にとっては、雪降る中の穂木集めは大変。台湾で穂木を集めるツアーを組み、大山でスキーを楽しむ。鳥取県からは、暖かい台湾へのゴルフツアーや修学旅行といった双方向の民間交流を考えては如何か」という新提案で応えたという次第であります。

 翌21日は台北に帰り、日本観光協会台湾事務所の井久保(いくぼ) 敏信 所長を訪ね、観光交流についての議論を深めました。
中でも、日本に台湾の観光客を受け入れる際の条件として、行程は4泊5日程度。長時間の移動や見学は国民性として好まないので、1時間程度での移動や観光場所を設定することが肝要。自分たちが手掛けている旅行は、エージェントがお世話をした時代から、個人の時代へと変わってきている。富裕層もかなりいるので、その人達をターゲットとする企画を立ててはどうか、その際、土地勘のない人が個人で旅をするわけだから、関西空港から安心して鳥取へ到着出来るシステムづくりであるとか、ウェブサイトでの紹介が必要。
幸い鳥取県には国際交流員が二人もいるわけだから、台湾人の感覚として「見たいと思える場所、1万円くらいで買いたいと思うものを参考にツアーを組めば、ニーズに応えた旅を企画できると思う。
現在、日本への旅行先は1番が東京、2番が北海道、3番目がアルペンルートとなっており、台湾からの直行便を降り、全て1時間以内の場所が観光スポットとなっている。
鳥取の場合、関空から鳥取までの所要時間が大幅に掛かるので、この点の解消として1時間程度で何処かを見学し鳥取へ誘導する工夫。それも、他の地域に無い新しい魅力を売り出すべきだ。あるいは、米子空港の乗り入れも十分検討する余地がある等々、沢山のアドバイスをいただきました。

続いて太平洋そごうでの「鳥取いなばフェア」を視察。昨年はあたご梨・あんぽ柿・米と限られた品目でしたが、今回は、いなば農協の職員だけでなく現地のスタッフも加え、二十世紀梨・豆腐竹輪・あご竹輪、現場で揚げたあご天・イカ天、梨酢に黒豆茶と県産品が並べられ、買い物客も試食をするなど好評を博しているようでありました。
中でも台湾の人々の健康志向は強く、私どもを案内したガイドさんも梨酢を購入し喜んでいましたし、黒豆茶の売れ行きにも多少驚きました。
お米については、県産品の輸出促進ということから一般のお米の売り場へも行ってみました。しかし、そこには新潟産や岩手産、宮城産は並んでいるものの、昨年あった鳥取米が棚から消えていました。
この経緯について、通訳を通じ尋ねてみたところ、店員さんからは回答が得られませんでしたが、実際のところ「売れないから」というのが本音のようでありました。
努力により築いて来たルート、何もしないで途絶えるというのは甚だ残念。問題があればそれを解決し、持続できるよう農協関係者にも対処を促す必要があると、強く感じた次第であります。

 22日は野柳地質公園と陽明山地質公園へ視察に行って参りました。両地質公園とも、国家観光局が関わり国家風景区に指定、「台湾ジオパーク」と銘打っているだけに初めて訪れた私どもにとっては、目を見張る景色でありました。
特に野柳地質公園は、200万年前には海底に沈んでいたと言われる地層が隆起し、長年の浸食崩壊で様々な奇形怪石がつくり出す芸術美は、日本には無い驚きの海岸風景でありました。
また陽明山ですが、この日は生憎の大雨と強風に見舞われ、噴火する様やその地形を見ることは出来ませんでしたが、館内で放映されるテレビ画像を見ながら説明を受けたという次第であります。  
なお、私どもはジオパーク参入への道を学ぶべく訪れたのでありますが、世界ユネスコへの登録認可は、全参入国の賛同が必要というルールがあるようで、度重なる申請はしているものの中国の賛同が得られず、やむなく台湾ジオパークと銘打って観光振興に努めているということでありました。
以上のような次第で、山陰海岸のジオパーク登録を願う私どもにとっては、その方法を学ぶことは出来ませんでしたが、観光客受け入れの為の館内や遊歩道はかなり整備されており、ガイド役、清掃される方など、雇用面では大きく貢献しているように見受けました。

 最後の交流は台湾政府外交部であります。鳥取県では、台湾の国際交流員を2名採用しているということから、地方議会の視察調査としては異例とも思える台湾政府外交部の計らいがあり、親しく交流を深めることが出来ました。
その意見交換の中で、貿易額640億円、往来250万人の一翼を担っていただいている鳥取県には、人口最大の都市・台北との交流も考えていただきたいし、この晩餐会がパートナーシップ推進元年にしたいとのお話しもあり、リップサービスの部分はあるにせよ、政府外交部と交流が出来たことは訪台の大きな成果でありました。

 総括でありますが、わが国にとって台湾は、治安・親日性・消費力・近距離という条件を満たし、経済交流環境の整った国であります。
地方主権が求められる時代にあって、地方政府との交流を基本に5年先・10年先の戦略を立て、平井知事の打ち出す大交流時代の共栄が図れる台湾となるよう、真摯な交流を推進すべきとの認識を強くした次第であります。

 

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