知事定例記者会見(2019年8月21日)

令和元年8月21日(水)午前10時~
 県政記者室(県庁3階)
  

録画配信 知事記者会見動画(約75分) ※MPEG4形式

  

1 台風10号の影響と今後の備え、殿ダムの渇水 

●知事


 皆様おはようございます。先般は台風10号が山陰を通過したわけでありますが、ドーナツ化現象という現象だそうでありますけれども、かえって中心が近い所のほうが風あるいは雨の被害が小さめになるといふうな形になりまして、幸い大きな被害はなく済みました。しかし、まだ水の被害が続く時期でもあり、今月[8月]から私どもで例えば土砂災害危険[度]情報については[判定メッシュ(領域)を]5キロメッシュから1キロメッシュに、盆前[8月8日]、改めさせていただき、NHK[鳥取放送局]さんとかそういう所でも情報出していただけるようになりました。いろいろと工夫をして安全・安心を図ってまいりたいと思います。


 ただ、雨が少ないのが逆に殿ダム(鳥取市国府町)の渇水状況にもつながっております。現在[貯水率]30%を切る、そういう水準まで貯水率が下がってきました。地元の農業用水利の方々と協議も経ながら30%まで取水制限を引き上げるということになったところでございます。実は、殿ダムは袋川のほうに[ダムの水を]流すそういうダムでございまして、したがいまして、例えば上水(水道水)とか工業用水だとかほかの水利には実は影響はございません。したがいまして、範囲としては限定的であり、農業のほうもこれからまだ若干水が田んぼのほうで必要でございますけども、その時期を番水という当番で順番に水を回すというようなことで乗り切ることができれば大きな影響は当面はないのかもしれません。ただいずれにいたしましても、そうした意味では一定の降水も必要だというような状況が続いているところでございます。





2 9月補正予算編成 

●知事


 こういう安全・安心の対策なども含めまして、9月の補正予算、これを現在編成作業中でございます。大体規模的には20億円台の半ば程度になるかなというように、今、粗々各部局指示をした事業費の積み上げをしてきているところでございまして、6月[補正予算]のような大きな規模にはなりませんが、そういう安全・安心等を中心としてさまざまな今、事業について予算編成作業の議論をしているところでございます。例えばかねて課題がございました。幼稚園、保育園の児童、園児たちの所で交通事故が起こってしまうと、そういうものをなくすために緊急の[危険箇所の]点検作業をしてまいりました。現在、県の関係の所(県管理道)で39カ所洗い出しをしてきたところでありまして、この緊急性の高い所について6,000万円規模でこうした[県]単独[予算で]ということになろうかと思いますけども、県としても先回りをしながら、手当てをしていこうというようなことで予算を考えているところでございます。


 また、あわせてそうした通学路等ですね、川崎[市で]の[児童等殺傷]事件などもございまして、見守りのボランティアの皆さんに先月[7月]いっぱい[7月12日~7月31日]でアンケートをとりました。そうしたところ、6割の方が通学路の見守り活動に不安があるというような回答でございまして、例えば「防犯ブザー」でいざというときに知らせるとか、それからそのボランティアの方々の「たすき」であるとか、そうした資材についても必要だという声が少なからず挙がってきました。確かに何かことがあったときに、自分1人で何ともならないと思えば防犯ブザーなどで周囲に知らせるということが必要なのかもしれません。こんな資材費なども200万円ほど用意をする必要があるかなというふうに9月補正[予算]の中で子どもたちの安全対策を考えたいと思います。


 また、高齢者の交通事故が課題となってきました。そういう中で高齢者のアクセルとブレーキの踏み間違えでの事故、深刻な事故が数多く報告を全国的にはされています。そういう意味で、この踏み間違え防止装置(ペダル踏み間違い時加速抑制装置)、それを鳥取県としても助成制度を考えようではないかと、実は以前、私どもで交通安全条例[鳥取県支え愛交通安全条例]をつくったときに、こういう高齢者の事故ということも念頭に入れてやっていた時期もあるんですが、今、社会問題化してきておりますので、こういう安全対策を今一度強化をする必要があるかなと、3万円を限度とした定額助成という形で、わかりやすい使いやすい形で場合によってはほぼ負担なく高齢者の方も設置ができるということにもなろうかと思います。装置のいろんな値段はいろんなグレードがありますので、それぞれでありますが、本県としては定額助成の考え方でできるだけ早いタイミングで入れていただく促進措置を取らさせていただいてはどうかなと思います。


 あわせて、今、急速に課題になっていますのは、あおり運転であります。あおり運転の防止がやはり必要でございまして、例えば県政だよりとか、さまざまな広報手段も通じながら我々としてもPR活動を強化をする必要があるかなあと。例えば不当な幅寄せとか、割り込みだとか、それからクラクションを必要以上に鳴らすとか、そういうものは3カ月[以下の懲役]5万円[以下の罰金]といった罰則の対象になってくるわけでございますし、また、危険運転ということになりますと、これは15年[以下の懲役]というようなこともございます。こういう重たいサンクション、罰則もありますよと。こういうあおり運転というのは違法ですよということを改めて周知する必要があるかなというふうに思います。


 それとあわせてクローズアップされてきたのがドライブレコーダーであります。このドライブレコーダーがあおり運転の防止に役立つと。また、万が一のとき、今回もだいぶ映像がさまざまな箇所の映像が流れてきておりますけども、そういうあおり運転の防止装置としてドライブレコーダーというのが防衛上必要になってきているのではないだろうか。また、ドライブレコーダー自体は、例えば万が一事故があったときの過失割合の認定であるとか、それから事故状況の分析であるとか、自らの運転マナーの保持等にも効果はあると言われていまして、そういう多面的な要素もあろうかと思います。ですから、先ほど高齢者の踏み間違え防止装置の話を申し上げましたが、それとあわせて3,000円までの定額助成ということで、このドライブレコーダーの助成措置も合わせて計上してはどうだろうかというふうに考えています。


 県内の運転マナーの向上にもつながるでありましょうし、何よりそうしたドライブレコーダーがあおり運転から身を守る、そういうようなことでもクローズアップされてきているわけでありまして、本県としても全国あんまり例はないかもしれませんが、そういうドライブレコーダーの助成制度というのを始めてはどうだろうかと考えているところでございます。


 そのほかにも、例えば喫煙の受動喫煙の防止ということ、こんなことでも400万円ほどモデル事業など取り組まれる事業所さんだとか、あるいは医師会等に支援していくようなそういう制度であるとか、さまざまな事業を、今検討中でございまして、こういうものをいろいろと積み上げてまいりますと、20億円台の半ばぐらいになるかなあと。これから作業をさらに進捗をさせまして9月の県議会で、県議会の皆様と協議をさせていただきたいと考えております。





3 ジャパンディスプレイ、江崎グリコによる子会社統合、大山ハムの親会社の変更の状況 

●知事


 産業関係では、最近話題になっていますJDI(株式会社ジャパンディスプレイ)については、先週[前回の会見で]も申しましたが、このたび第1クォーター(第1四半期)の決算が出されました。早速会社のほうに問い合わせてみますと、既定方針にあまり大きな影響はないんではないだろうかと、こういうようなお話でございまして、我々としては引き続き鳥取[県]の事業所におきます車載用パネル、これを中心とした生産・継続・発展、拠点としての充実、こういうことを会社のほうには求めたところでございます。


 また、江崎グリコ[株式会社]の本社のほうにも鳥取グリコ[株式会社]という子会社の統合話が今、急浮上してきていますので、先般鳥取グリコのほうには盆前に当県のほうからも要請させていただきましたが、来週[8月]27日かな、江崎グリコ本社のほうにも要請活動に向かわせていただこうというふうに考えております。また、あわせまして、今日[8月21日]、大山ハム[株式会社]が「春雪(しゅんせつ)さぶーる[株式会社]」の子会社になると、春雪さぶーるという北海道の会社だそうでございますが、子会社になるという、そういう公告が出されました。この件につきましても本県として関係先のほうに要請もしていかなきゃいけないかなというふうに考えております。実は大山ハム自体は、例えば百貨店での贈答品など非常に好調に販売もされていますし、事業を拡大しようという方向性で伯耆町のほうに新しい工場を30億[円]ほどかけて建設をしようという話もあり、本県としてもそれを助成していかなければならないなという準備を進めているところでございます。私どもとしては大山ハム、こういうように事業も好調でございますし、拡張の方向でもございますので、製造や販売においてこの鳥取県西部の拠点、これを大切に使っていただけるように申し入れ、要請ということもし、ざっくばらんな意見交換もしていかなきゃいけないかなというふうに考えているところでございます。





4 観光人材、若年建設技能者の育成 

●知事


また、こうした産業人材の育成という観点では、観光人材の育成事業を私どもの県の[産業]人材育成センターのほうで開始をすることにいたしまして、募集しましたところ30名を上回る応募がございました。定員は20名でございますので選考させていただきましたが、8月30日から[米子市]皆生[温泉]の[米子市]観光センターのほうを会場(訓練場所)として研修を開始することにいたしたところでございます。また、若手の建設技能者への育成、例えば型枠工だとか、そうした大工さんのお仕事等でございますが、そうしたものについても新しい研修をスタートをさせようと、これはいろいろと御意見を聞きますと、そうした研修という修業を外部化したいというような、そういう事業者の声が非常に強かったものですから、このたび8月29日から開始をすることになります。これについても締め切りをさせていただきましたが、7名の応募がございまして、研修を今年初めてスタートをさせることになりました。





5 梨シーズンの到来 

●知事


 また、いよいよ梨の季節になってまいりました。初出荷は[8月]26日と定められ、[8月]27日に大阪の市場(大阪市中央卸売市場)のほうで初売りがあります。私もそちらのほうに参ることにいたしております。また、それに引き続いて30日だったと思いますが、東京(東京都中央卸売市場大田市場)のほうでも初売りがあり、いろんなキャンペーンもこの機会に展開をしていこうということになります。「新甘泉(しんかんせん)」[鳥取県で開発された梨の品種]については、ハローキティの新幹線の中で8月24日ですね、試食キャンペーンをしようということも取り組ませていただき、「二十世紀梨」のみならず、そうした「新甘泉」など新品種も含めていよいよ梨のシーズンが本格到来します。鳥取県を、アピールをしてまいりたいと考えております。





6 共和水産第28光洋丸新船の竣工 

●知事


 また、水産では「第28光洋丸」(近海まき網漁船)がこのたびできまして、お披露目ということになります。これもまき網船団の中核をなすものでございまして、本県のマグロ漁等々、1船団で20億[円]とか、そういう大きな水揚げになる、そういう強力な部隊でございまして、それもスタートをするということになります。





7 子牛取引価格日本一、和牛遺伝資源の保護 

●知事


 また、あわせまして、今、畜産でいいニュースが飛び込んでまいりました。和牛については先月[7月]淡路、兵庫県淡路の市場を抜きまして、本県の子牛市場の平均価格が97万2,800円というような、そういう値段がつきまして、この[全国41市場の]首位をとったということになりました。このように本県、「白鵬85の3」という県外に出していない牛を中心としまして、非常に引き合いがあるということであり、これが鳥取[和牛]のブランド力というものを維持・向上させてきておりまして、最近の勢いにつながっています。ただ、残念ながら、現在、契約で一定程度の縛りはかけていますが、それでも県外への流出ということもある実態がございまして、こういうことを何とか食い止めていかなければならないわけであります。


 先般[8月19日]、検討委員会(鳥取県和牛遺伝資源の流通に関する検討会)が開催をされまして、弁護士の先生方等も交えて話し合いもさせていただきました。条例制定につきましては、国のほうの改正の[家畜改良増殖法の改正の]検討がずれ込んでいまして、10月以降の臨時国会で審議をされるということになり、そこにトレーサビリティー(追跡可能性)等の話など、我々が検討するに当たっても関連することが入ってきそうなところがございまして、我々のほうの条例も年度いっぱいを目標にというふうにスケジューリング(予定や日程を組む)させていただこうかなというような話し合いもさせていただきました。


 また、強く検討会のほうでも出されましたのが、まずは契約のやり方を改めるべきだと。現在の契約だとまだ強さとして十分でないところもあったり、それから射程ですね、範囲内、範囲としてももっと強化をする必要があるのではないかというお話が次々と出されたところでございます。そうした声を受けまして、今月[8月]末から来月[9月]にかけて早急に関係方面と意見調整をした上で、契約のやり方を変更させていただこうかなと、これは鳥取型独自の規制のやり方になろうかと思います。1つには従来、私どもで大事な種雄牛ですね、その種雄牛、「白鵬85の3」といった県外に出していないものについて、こうしたものの精液だけでなくて、それに基づく受精卵、これも流通し得るわけでございます。これも規制の対象になるように契約の内容というものを改める必要があるのではないかということでございます。


 また、単純な譲渡にしてしまうのが、これ、全国通じてこの精液等の流通の状況でございますけども、譲渡ですと所有権が移ってしまいますので、所有権があるということになりますと、本来自由な処分権が民法的には設定をされるわけであります。そういう意味で、規制として十分発揮できないところもあるのではないかという、そういう御意見も強く出されました。そこでイメージ的には、譲渡契約ではなくて使用権の許諾の契約ということにして、授精士さんのほうに渡すというふうにしてはどうだろうか。そうしますと所有権までは移らない。ただ、やっていることは一緒でありまして、授精士さんは別にそれを持って干渉しようというわけではございませんし、家財道具にしようということでもございません。要は使うためにそれを取得をするわけでありますので、それを受精させるという、その使う権利というものを認めるという形にして、所有権は留保すると。


 そういう中で、そうすると農家に種付け行為、種付けをするわけでありますが、その農家さんのほうともその種付け後の取り扱いについての契約を結ぶことも、[鳥取]県側としても可能になる。ですから、そういうふうに使用権を許諾する、そういう契約ということにして、その使用権設定での、その後の使い道の際の農家とも一定の契約を結ぶというような形をとることができないだろうかと、これを基本線として考えてはどうだろうかと思います。受精卵についても同じような形でございまして、この受精卵が出ていくというとき、それにも契約上の制限を課していくというようなことが、これで可能になってくるんではないだろうかということであります。そんなような見直しを、条例制定の検討と並行して速やかに行わせていただき、条例が若干年度末にずれ込むかもしれませんので、その前に今できる範囲のことは切り出していこうというように考えているところでございます。





8 健康経営セミナー、難病の子ども等の地域生活支援施設の整備 

●知事


 明日[8月21日]は健康経営のセミナーを行うことになります。この健康経営のセミナー、実は私どもは「健康[経営]マイレージ[事業]」というのを企業さんと協定を結んで進めてきております。これは協会けんぽ[全国健康保険協会鳥取支部]さんとの協定に基づくものでございます。それで、急速に今、数が増えてきているわけでありますが、こうしたことを背景にして健康づくりを鳥取県からもしっかりと進めていく、そういうセミナーを明日[8月21日]、予定をさせていただいております。


 また、難病の子どもさんたち[への支援、]そうした対策も大事であります。特定疾患の児童の一時預かり事業というのをこの夏、博愛病院[医療法人同愛会博愛こども発達・在宅支援クリニック](米子市)のほうで開始をしました。それとまた軌を一にして同じようにこうした子どもたち等に対する対策をやろうと。東部のほうでこのたび[公益財団法人鳥取県]看護協会のほうで行うことが決まりました。それで日本財団さんのほうの支援も受けながら、施設を整備をして開業しようということになる運びとなりました。ここで、例えば、放課後の預かりデイサービスとか、放課後デイとか、それからさらにはもう少し年齢が上のかたの生活介護等も含めましてやっていこうという計画でございまして、西のほうの博愛病院さんとあわせて東にもそうした拠点ができるということになります。ぜひこのような形で安全・安心、それを鳥取県からもつくってまいれればと考えているところでございます。





9 日韓関係の影響と今後の海外観光誘客 

●知事


 海外との関係では、昨日[8月20日]、大韓航空の発表もありましたが、エアソウルのほうも例えば富山便とか、熊本便だとか、[山口]宇部空港とか、そうした所の運休ということを発表をされるなど、非常に大きな影響が出てきているところであります。そういう意味で受入先の多角化を図る必要がございまして、台湾との関係でもチャーターフライトを例のない形で用意をしようと。それで現実にプロモーションもかける必要があり、今週「TouchTheJapan」という週末に台湾のほうで大規模な日本関連のイベントがございます。そちらのほうに私どもも参加をしようということになりました。


 また、このたび向こうからモニターツアー、これも受け入れまして台北や台中から、今、多くの方々にチャーターフライトでやって来ていただこうと考えておりますが、そのプロモーションを進めてまいりたいと考えております。また、そのほかにも東南アジア方面とか中国とかいろいろ働きかけを今後も継続強化をし、韓国関係につきましてもできる範囲の情報発信等を進めていこうということにいたしているところでございます。





10 米子市との庁舎共同整備 

●知事


 このたび、米子市におきまして[米子市議会]全員協議会で[市役所]庁舎問題について計画が示されたと報道がございました。正直、私ども詳細を伺っていたところではございませんでしたけれども、その報道のほうも拝見をさせていただき、これからの関連する我々の部分もございますので、協議をする必要があれば私どももそれに応じてまいりたいと考えております。現在、鳥取県では福祉保健局(米子市東福原)について庁舎を、これを現状の米川の所のものを廃止をしまして、[西部]総合庁舎を[米子市]糀町のほうに集めて来ようと、こういう計画を考え、米子警察署の旧庁舎などを取り壊して、それで、新しい新庁舎整備をやろうと。従来の[西部総合事務所の]本館ですとか新館と呼ばれているものを壊すわけではありませんが、新しいものを、また新棟、設置をしていこうと。ここに米子市も建築部局、都市計画関係が入ろうということで合意をした所でございます。


 それで、これについてPFI[民設民営方式]でやることになりますので、この9月の[定例]県議会のほうにアドバイザリー[業務委託]契約(アドバイスを求めるために結ぶ契約)、これを結ぶための予算を提出をしようというふうに考えたところでございます。この9月補正[予算]での議論も今後進んでくるかと思います。そこでの議会の考え方なども当然踏まえた上でということになりますが、米子市のほうでいろいろと思いもあるということでありますので、米子市と[鳥取]県との間での、こうした[JR米子]駅周辺の庁舎についての協議機関、協議組織というものも作らせていただき、このアドバイザリー契約が仮に結ばれるということになれば、具体的に、じゃあ、どういうような注文つけながらPFIの構想を練っていくかということになります。その具体化の中で関連したことも考えていける体制にしようと。


 例えば今後長い目線で庁舎を、これ正直20年、30年という先の話だと思いますが、そういうことも考えた上で、じゃあ、この建物はどの場所にその[米子市]糀町の敷地の中で建てる[の]がいいかとか、そうしたことなども考えていかなきゃいけないかもしれませんし、さらに言えば、県と市が同居するという全国でもあまり例のない庁舎になりますが、この庁舎の設置にあたりまして中の仕様とか、どういうようなカスタマイズ[使用者に応じた設定変更]をすべきなのか、そういうことを話し合う場も必要かなというふうに思います。そんな意味で、県・市の協議機関、協議組織というのもこの9月補正[予算]の成立後は考えていく必要があるのかなと、こんなようなことなど米子市の動きも注視をしてまいりたいと考えております。ちなみに私どものちょっと米子[市糀町]の総合庁舎[西部総合事務所]も取りざたされて書かれてはいますが、本館や新館、今のところ建て替えるということについては全く白紙の状態でございまして、特に考えはない、ノーアイデアというのが現実でございます。





11 政務調査費不当利得返還請求訴訟の判決確定に伴う返還金の納入状況 

●知事


 また、このたび最高裁まで争われていました政務調査費の返還請求、[鳥取]県のほうで[返還対象者に返還請求を]出させていただきましたが、これについては全額ですね、8月9日に、対象の方々から順次返還がありまして8月9日返還が完了しました。[県]議会のほうでも縷々そうした裁判の経緯なども踏まえた適正な執行に努めていただきたいというふうに考えております。





12 星空関係イベント、第30回全国「みどりの愛護」のつどい植樹会場「令和みどり広場」のお披露目 

●知事


 夏休みもいよいよ終わろうとしております。この8月24日には県立博物館(鳥取市)におきまして夏の星を見る会が行われます。ぜひ鳥取の今終わろうとしている夏、それを最後に子どもたちも含めて感じていただければなというふうに思います。


 また、本日は、5月[18日に]令和の幕開けとともに行われました[第30回]全国「みどりの愛護」のつどい、それを記念としてその成果を後世へと引き継いでいく、そういう広場を、これからオープニングセレモニーをすることになります。秋篠宮皇嗣同妃両殿下をお迎えしまして行われました大会を受けまして、例えば緑の伝道師という緑の愛護を進めていく人たちを任命をしていったり、また、緑の交流会としてそうした関係者の方々の意見交換の場なども本日は設けさせていただくなど、愛護のつどい、そのレジェンドを引き継いでいくことにいたしたいと思います。





13 大山保全のための受益者負担の仕組みの検討に向けた社会実験 

●知事


 同じような意味で大山[開山]1300年祭が行われていますが、[8月]24日から環境省だとか、それから山の関係者と大山町とも一緒になりまして、社会実験の実行委員会によります入山協力料金的なそういうものを収めることはいかがですか。それで、収められるなら幾らぐらいですか、ということで実地にその場でも徴収をして、これを山の管理費に当てていくということをこれから11月にかけてやっていこうということになりました。場所はいろいろと変えながら、そういうアンケートやそういう協力金の徴収ということをしてみようと。これは実験事業でございまして、どういうふうにこれが評価されるのか、これからフォローしてまいりたいと思います。


 そうしたことの結果を踏まえながら、大山1300年祭で私たちは大山さんの恵みということをみんなで確認をしたわけであります。その大山さんの恵み、それを子や孫の代へと引き継いでいくためにも、みんなで守っていく、そのために今までも一木一石運動(登山者に木や石を一人ひとつずつ持って登山してもらう運動)などございましたが、そういう協力金であるとか、場合によっては法定外目的税ということもあるかもしれません。そうしたことを研究する、検討する、そういう重要な契機とさせていただき、今後、場合によってはそうしたことが評価されれば、大山への入山の協力金、あるいは法定外目的税、そういうことも早急に検討をさせていただき、1300年祭の次の時代に向けて大山を守る活動に役立てていければというふうに考えております。私のほうからは以上です。





14 米子市との庁舎共同整備 

○朝日新聞 鈴木峻 記者


 質問ある社はよろしくお願いします。


○山陰中央新報 桝井映志 記者


 すいません。米子市の庁舎のことで教えてください。今、お話があった米子市の建設部が入ることが決まったということでいいんでしょうか。


●知事


 これは米子市側と合意ができました。それで、建築関係のところについては、私どものその関連部局とあわせて同じ庁舎で意見交換も十分できるような環境にして仕事をしようじゃないかと。それで、米子市は米子市で多分、その庁舎を今後どうするかというような長い目線での議論があって、一部そうした形で庁舎を求めていたということもあったんだと思います。それで、私どもも[鳥取県西部総合事務所]福祉保健局の居場所をつくるという意味で庁舎をつくらなきゃいけないということがありまして、そのタイミングが合ったということであり、要は合築をするような形になるかと思うんですけど、つくることになりました。これは決まっている話でございまして、向こうのほうの議会[米子市議会]も含めた了解事項になっていると思います。この夏に入って、8月の何日かで、はい。


○山陰中央新報 桝井映志 記者


 米子市が西部総合事務所の所を移転の候補地にしておるという話が出ておるですけど、スペースを考えても全部が行くのはもともと無理だろうと思って、鳥取県はやっぱり分庁舎というか、一部の部門までは受け入れられるけども、それ以上は無理だということでいいんですか。


●知事


 いえいえ。ちょっと伊木[隆司米子]市長の詳細な発言まで私ども承知しているわけではないんですけど、要は20年、30年先に大体建設時期が来るんではないかという思いだと思うんですね。それで、私どもの本庁舎[本館]、西部[総合事務所]の本庁舎[本館]は昭和40年に建てたものでございまして、それは耐震改修をしましたけれども、だから、今[は地震などの揺れに対して]もつ構造にはなっていますが、そういう古いものであると。また、新庁舎[新館]のほうです。新館のほうは米子の市役所とほぼ同じ時期に建っているんですね、ですから、米子の市役所を今たたんでしまうということに現実になるときには、うちのほうの新館もそういう意味では建設時期に入るんではないかと、こういうようなストーリーの中で、あちらの庁舎の計画の中に鳥取県の西部庁舎[西部総合事務所]のある糀町を挙げられたんではないかなというふうに捉えております。


 ただ、先ほど申しましたように、その本館とか新館を建て替える計画は、今、正直当方にはございませんで、白紙でありノーアイデアです。ただ、今回新棟を建てるに当たりまして、ただ将来20年、30年先を見越して例えばどういう建物配置が今の現段階ではよいのかということもありましょうし、米子市側のちょっと思いも聞いてみなきゃいけないところもあろうかと思いますので、私どもがアドバイザリー契約をしてPFIの主体にはなりますが、最終的にはこれ、事実上区分所有をするような形で米子[市]と私ども鳥取県とで持ち合いをするような建物になりますので、その辺はいわば共同出資者の御意見が反映されるようなそういう協議組織を持つ必要があるんじゃないかなと、そういう問題意識でございます。したがいまして、将来20年、30年先のことを今から決めるわけでもないのが我々の状況でありますから、それ以上受けませんよとかそういう意味ではなくて、そこはまだ我々も白紙ですし、多分向こうもそこまでは決めているわけじゃなくて、幾つか候補地のある中の1つとして当盤をされたんじゃないかなと思いますので、そこは冷静に考えたいと思います。ただ、それであっても将来いずれかのときに建て替えるのであれば、そのときのことも考えて、今から建築計画は新棟、新しい建物については配置場所とか、それから機能だとか考えましょうっていうことはリーズナブル[理にかなったこと]だと思いますので、そういう協議はできるようにしたいということであります。


○山陰中央新報 桝井映志 記者


 実際、こうして一部の部門でも入ったとしたら、当然将来どうなるかわからんですけども、もう既に一部の部門がいるからそこに行ったほうがいいということに話としてはなりやすいのかなというふうに思うので、米子市としては布石を打ったみたいな形なのかもしれませんね。


●知事


 そこはちょっと私もわかりかねるところです。正直、今回は、報道自体が寝耳に水的なところありまして、[8月20日の]朝ビックリしたというとこです。





15 日韓関係の影響と今後の海外観光誘客 

○山陰中央テレビ 勝部正隆 記者


 すいません。よろしいですか。海外誘客のところでちょっとお尋ねしたいんですが、韓国とか香港がああいう状況でなかなか難しいので東南アジアとか、中国本土とかっていう所を誘客先として方向転換されようとしているんですけれども、何かそれはあくまで中長期的な話なので、やっぱり県内の宿泊施設とかは、どちらかというと韓国とか香港に重きを置いて今までいろいろおもてなしやってきたと思うんですけども、ただ、一部やっぱりこういった米子ソウル便の減便が固定化されそうな感じになってくる状況の中で県として行政として何らかの支援とかということを考えなくちゃいけないような、いう声もあるんですけれども、どのようにお考えですか。


●知事


 それについては、もちろん我々としても対策を怠るわけではありません。例えば香港でいえば、深センだとかそうした所[へ]の[観光誘客]プロモーションなどもこの時期やろうと。もちろん香港[に]もプロモーションかけているんですけども、あちらの事情で、これはデモの関係があってちょっと[観光客は]減り気味だと。ただ、韓国ほどには減ってないです。だから、多分どっちかというと、韓国のお客さんのほうの減りぐあいのほうが旅館さんには影響が強いんじゃないかなと。そういう意味で、他方で私どもは特別の融資を始めることにいたしましたけれども、それとあわせて、今、台湾のチャーターをもってきたり、それから東南アジアの送客をやると。これ中長期的にももちろん視野に入っていますが、短期的にも今年、このシーズンもお客様を何とか取り込めるように、今、働きかけもしているところです。ただ、本来でいえばやっぱり日韓関係が今後正常化されてきて、それで通常の交流ができるというのが本来の姿だと思われますけども、ただ、それに向けて、それを待つまでもなく、例えば日本からの送客であるとか、それからFIT[海外個人旅行]、個人客の中でも根強く日本に来られる方もいらっしゃいますので、そういう人たちが読むような[ウェブ]サイトであるとか、その辺[へ]の情報発信はしていこうと。この辺よく情勢を判断しながら進めていこうと考えておりまして、韓国や香港を例えばこの際捨ててしまうっていう意味では全然ありません。むしろ、そのベースは大切に育てながら、ただ、いろんなこれから動きも出てくるかもしれませんし、正直、万博[2025年日本国際博覧会(略称:大阪・関西万博)]に向けてこの西日本エリアというのは海外のお客様を呼び込むチャンスでもありますので、中長期的な視野でこの際、ウィングを広げていこうという発想で向かっていきたいと思っています。





16 江原道との交流 

○NHK 渡邊貴大 記者


 あわせて日韓関係についてなんですけども、25周年節目の式典に関して、その後何かお考えの進捗とかあれば教えていただければなと。


●知事


 これについては繰り返しこれの質問ございまして申し上げている通りでございますが、現在、江原道庁と意思の疎通をきちんととっております。それで、私どもとしては何らかの形で今後の交流の継続発展に向けたお互いの確認をする、そういう行事を考えるべきではないだろうかと、そういう意味で今、最終的な調整をしています。できれば、可能であれば9月にそうしたことをやる方向で、今、検討していますが、今日段階ではまだ決着はついていないということであります。なお、江原道も恐らく気持ちは通じていると私ども思っていまして、例えばこのたび初めて大学生交流をするわけでありますが、これは向こうでの受け入れが決まっておりますし、それからそのほかにも写真での交流、これ倉吉のほうでありますけども、そういうものもあったり、これ東海(トンヘ)市とやるんですが、江原道の中のですね。


 ですから、そういうもののいろいろと、実は続いている交流のほうはあんまり報道されてない面がありますけども、鳥の劇場の安山(アンサン)市は出ましたけれども、実はそういうふうに続けて、まだちゃんと続けている交流も実は今年も、今シーズンもこざいまして、そういうものも他方ではあると。他方でやはり中止されたものもやっぱりあるわけですけども、そういう意味で向こうが完全に気脈を切ってしまうという趣旨ではないんではないかと我々は捉えていますし、そういう流れの中のコミュニケーションもできていると思っています。だから、何らかの形でこういう国と国の非常に対立状況が顕在化した中であればあるほど、地域と地域、人と人との信頼関係というのは維持をしていく、それが我々地方外交レベルの責務ではないかと思っております。


○NHK 渡邊貴大 記者


 何らかの形というのをもう少し具体的にいただけるとありがたい、向こうでということか、こちらでということかというところなど教えていただければ。


●知事


 そこはだから、今まだ調整中ですね。はい。当初のいろんな話し合いもあることを前提としながらやっていますが、ちょっと議会のほうは交流が無期延期ということになりました。ただ、無期延期であって中断ではないという趣旨だと思います。ですから、そういうふうにいろいろ微妙な時期なのかもしれないわけでありまして、その辺は今、慎重に先方と協議をしているということであります。





17 大山ハムの親会社変更の状況 

○山陰中央新報 桝井映志 記者


 すいません。大山ハムのことでお尋ねですけども、鳥取県として関係先に要請をされるというのは鳥取での事業を引き続きやってくださいよということの念押しをしに北海道の会社に行くという意味でいいでしょうか。


●知事


 まず、大山ハムのほうにちょっと事情も聞かなきゃいけませんし、お願いに行こうと思います。その上でいろいろ情勢判断をしながら。もともとはエア・ウォーターという会社が今、親会社になっていました。それで、そのエア・ウォーターの子会社が春雪さぶーるという北海道の会社でありまして、これはどうもエア・ウォーターグループの中の食品の中心部門のようではございます。そこで私どもは多分拠点性としてこの大山が好調でありますので、ここをどうのこうのということにならないと期待をしていますし、また、今、事業拡張しようという話も出てきておりますので、我々としてはぜひ生産の拡大や、販売拠点の維持といったことをお願いしていきたいなというふうに考えております。





18 踏み間違い防止装置及びドライブレコーダーの購入助成 

○毎日新聞 野原寛史 記者


 9月補正の分で踏み間違えの防止措置やドラレコの助成をされるということですけども、これの対象や規模感どのようにお考えかをちょっと伺いたいんですけど。


●知事

 大体合わせて1,000万[円]ぐらいかなという方向で、今ちょっと調整をしております。踏み間違え防止装置は大体いろいろなグレードがありますけども、値ごろ感のあるもので3万円ぐらいで買えますので、それで、3万[円]ぐらいで定額で出せば非常に使いやすい制度になるのかなというふうにも思います。また、ドライブレコーダーのほうは、何ですかね、こう、ちょっとカメラの箇所の問題もあるんですけども、要はあおり運転のことを考えますと前部後部つけるというふうなことが必要なそうでございまして、そうすると安いもので大体9,000円ぐらいでできるんじゃないかなと。大体その3分の1ぐらい、要は呼び水的に助成をするというふうなイメージでの3,000円ということであります。それ合わせて大体1,000万[円]規模ぐらいでのこういう交通安全対策というものを考えてはどうかなという、今、ちょっと、まだちょっと調整中ですけども、そんな形で、今、協議しています。


○毎日新聞 野原寛史 記者


 踏み間違え防止装置に関しては例えば年齢で区切るとか、そういう形になっていくんでしょうか。


●知事


 これは高齢者を対象としています。


○毎日新聞 野原寛史 記者


 例えば70歳以上とか。


●知事


 そうですね。ちょっとそこの細部も今、考えたいと思います。ただ、ドライブレコーダーのほうは、これは年齢制限の問題ではないと思いますが、事業所はもう実は助成制度もございまして、ですから我々ターゲットにしたいのは自家用車ということであります。





19 大山ハムの親会社変更の状況 

○日本海新聞 岡宏由紀 記者


 すいません。大山ハムとの関係なんですけど、実際に行って話し合われるのっていうは大体いつごろになるんですか。


●知事


 ちょっと、先方の都合もあるでしょうから、今日公告されまして、そういうふうに明らかになったところでございますので、私どもとしては冷静にちゃんとお話をさせていただきたいということですが、やはり今ちょうどその事業拡大に向けて話し合いをしている真っ最中でございますので、ぜひそうした生産拡大であるとか、それから雇用の維持、拠点の維持というものを訴えさせていただきたいなというふうに考えておりまして、早ければ今週中にも、大山ハムのほうにまずはお伺いをしたいと思います。





20 地方税財政の充実強化に向けた国要望 

○時事通信社 今泉悠 記者


 9日なんですけれども、総務省の鈴木副大臣に対して要望活動されたと思うんですが、その中で地方税財源の充実強化を求めたと思うんですけれども、その具体的な内容とどのような結果だったかという御報告をいただきたいのと、また、知事連盟として、今後、例えばその税制改正など国の動きを見据えて行動される予定っていうのはありますでしょうか。


●知事


 この8月9日は、具体的に私どものほうでは平成25年から30年、31年にかけて一般財源減っていると。やはりこれは、我々としても社会保障負担が本来できるように地方消費税引き上げた経緯も考えれば、とても容認できるものではないと。こうした状況を打開していただきたいと。これから10月に消費税引き上げということになりますので、そういう悪夢が2度も繰り返されないようにと、こんな趣旨でございますけども、そういうことで申し上げました。[鈴木淳司総務]副大臣のほうは趣旨はよくわかったと、検討してみたいということで、具体的なお話まではその日はなかったですけども、ただ、検討していくという、そういう姿勢は我々、私どもとしては感じることはできたかなというふうに思っています。


 それで、今11県になりましたけども、11道県の知事連盟[地方創生実現財政基盤強化知事連盟]のほうでは、具体的な事務ベースでこういう状況にあるとか、それから交付税の算定の考え方等について、その政府のほうに情報提供をしたり、働きかけを、今、しているところでございます。いよいよ消費税が、もう一月強で引き上げられることになるわけでございますが、それに基づく財源が本格的に入ってくるのはやっぱり新年度[令和2年度]になろうかと思います。ですから、新年度の予算編成の中で、こうした部分が十分に考慮されるように我々としては連帯をして要請活動をしてまいりたいと思います。具体的に、何日に例えば要請活動をするというところまで、まだ日程調整まではできていませんけども、今、[令和2年度の]概算要求がされていますが、我々既に総務省、それから内閣府のほうに要請活動1回させていただきました。また、[令和元]年末に、そうした[令和2年度の]予算編成の最終段階に入ってきますので、それに向けてやはり改めて要請活動をする必要があると私は考えておりまして、仲間の知事にも相談してまいりたいと思います。





21 和牛遺伝資源の保護 

○共同通信社 遠矢直樹 記者


 和牛のところでお伺いしたいんですが、使用権許諾の契約に変えることで、変えるのとあわせてその受精卵についても規制を広げていくということでおっしゃっていましたが、その使用権の許諾に変えることで、その各農家と県の畜産改良協会のほうで、今、契約は結んでないと思うんですが、直接には。それによって今後直接結ぶようになるということですか。


●知事


 従来のその全国的にやっている、こういう精液流通について、確かに課題があるなというふうに今回研究会の中でも明らかになったのは、譲渡契約で[家畜人工]授精師さんに[精液を]渡してしまうんですね。それで、授精師さんはその所有権を得ますから、所有権の処分権、絶対的な処分権を手にすることができるわけです。だけど例えば、自動車であれば割賦販売のようなときは所有権を留保して販売をするという形をとり、それを最終的には完済されたら所有権譲渡をするとかいうことがあります。また、場合によっては、譲渡担保っていうようなやり方も我が国の場合いろんなものであるんですけども、渡すけれどもそれを買戻し特約をつけて、それをいわば担保のような形で差し出すというようなやり方もあります。つまり所有権というものが必ずしも移転しなくてもいいわけですよね。例えば、割賦販売の車、自由に運転できます。


 それと同じことでありまして、[精液の]所有権がなくてもその使用権があればそれで授精させることができると、それで十分授精師さんも商売ができますし、実はそんな所有権があったって、目に見えるものじゃありませんから問題はそんなにないと。ただ、その所有権が仮に、じゃ、県側に留保されたとします。留保された場合には、県の持っている精液が農家に[おいて]授精されるということになります。したがいまして、県との法律関係[が]生まれるわけですね。だから、このタイミングで農家のほうにも契約等で何らかのオブリゲーション[義務]を課すことが県とも直接できるようになるんじゃないかと。所有権を譲渡させなければ県[の関与]が残った形になって、要は[精液に]名札がついた形でそれが生きますので、その名札がついた県のものという精液の授精段階、このタイミングでの契約等の法律関係が生じ得るわけだと思います。そこを上手に利用すれば、従来よりもいわば規制力が強くなるのではないかと、こういうような考え方でありまして、早急に契約関係を見直してみたいと考えております。


○共同通信社 遠矢直樹 記者


 それに関連して、所有権が県に残った場合、牛は当然種付けして、当然子どもなりが産まれてというふうに次の世代、次に世代につながっていくと思うんですが、県の所有権だとどこまでカバーできるものなんですか。


●知事


 これは非常に実は法律的には難しいところだと思います。どっかでやっぱり[所有権が]消えてしまうんだと思うんですね。恐らく[牛の]母体の中に入った段階でやはり母親のほうの所有者のほうに行って[母親のほうの所有権となって]しまうということになるのではないかなと思います。精液というのはこういう、いわばペレットの中に入っていますから、非常に明確なんですけども、これが体内に入ってしまうといわば符合というんですか、そちらのほうにくっついてしまうことになって、消滅するのではないかというふうにも思われます。ただ、多分、法律的には非常に解明が難しいところでございますけども、そこはそういう意味で例えばここで[所有権が]消えてしまうということであれば、その入る[授精の]タイミングで契約を結んで、これ、種付けをする際のこういう条件を守ってくださいねというオブリゲーションを農家側にお願いするということは可能になるんではないかなと思います。


○共同通信社 遠矢直樹 記者


 そうすると、今、知事がおっしゃった形だと種付けされた時点で所有権が移ってしまうということなんですが、そうすると妊娠牛、妊娠した雌牛に対する規制というのは、契約では難しいのかなと思ったんですが、その辺いかがお考えですか。


●知事


 だから、そこのところの契約の作り方だと思うんです。実は、受精卵をまた採取することも実務的には行われています。その場合は、もう1週間とか割りと短い期間で出してしまうわけですね。それで、そのときにはまだ受精卵に対しても、それを例えば県外に売ってはいけませんよとか、そういうようなことを例えばオブリゲーションを課すと、これ、種付けするときに。それからまた母体に入ってしまって、それでいずれはそちらのほうになって[所有権が移って]しまいますから、そのときは多分処分権は向こうに移るんだと思うんですが、ちょっと農家が問題にしていたのは今回、県外から持ってきて、それで、種付けをしてすぐに出してしまうと、つまり育ててないと、県内で、県内の農家がですね。だから、要は種付けのためだけに[県内に]来ると、これつまり、県外へ持って行って精液を授精させるのと実質上同じことをやっている、そういう実務があるんじゃないかということを問題にされていまして、そういうものは排除することは可能になろうかと思います。


 だから、例えばすぐに持ち出してはいけませんよと、1年間は使用義務がありますよと、飼う義務がありますよというようなことを書いておくとか、そういう形でその種付けをする相手方の農家の方にやはりオブリゲーションを課すということは可能になってくるんじゃないかなということです。ただ、もちろん契約でありますので限界があります。契約違反に対して損害賠償すればそれで終わってしまうとかいうような世界になってしまいますから、やはり条例でしっかりとした法的ルールをつくるとはやはりレベルが違います。ですから、今時点でできる最小限のこととして、そういう契約での規制という[も]のの強化、これを急いでやっておいて、さらにそこに法規制をかけていくと、条例を考えるというようなことで二重にセーフティーネットを張っていく必要があるんじゃないかと思います。


○中国新聞 小畑浩 記者


 すいません。その関連なんですけども、まず、契約を変えるということを時期的な目途としていつごろ考えていらっしゃるのかということと、あと、白鵬85の3を父親とする種雄牛が県外でも誕生しているという例が出ている中で、それが起こったことというのは契約の不備とかと関連があったのかどうかというところも含めて教えていただきたいんですけども。


●知事


 契約であるが以上、やっぱり限界があるのは事実なんですね。例えば、強制力のある罰則等とは違いますので、そういう意味で心理的抑制効果というのも契約の場合はどうしても薄まってしまう面があります。ただ、ないよりはあったほうがそれはサンクション[制裁]をかけることが可能になりますので、例えば、現状であれば違反した方にはもう5年間取引しませんよというようなことがサンクションに事実上なっているわけであります。こういうようなことをやはりやっていく意味はあるとは思うんですが、それでも破られる人がいたというのが、今、残念ながら足元の状況であります。ただ、幸いなことに私ども鳥取県は規模が小さいですから、だから関係者がルールを守ればそれで終わるところもございますので、しっかりとやはり周知活動、PR活動も徹底していく必要があるだろうと思います。前回の研究会でもそこは強調されまして、なぜこう種雄牛を守らなきゃいけないのかというのを、やはりもっと県民の皆様に理解していただく必要があるんじゃないかと。それは私どもでも例えば県政だよりの11月号とか、そうしたところにも掲載をして訴えかけを強めさせていただき、そういうマナーというものを確立、これも考えていく必要があるのかなというふうに思います。確かに限界があってそういう事例が過去あったというのは事実でございます。実はそういう違反事例、違反事例というか、不適当な事例があったので契約にしたという経緯もございました。ただ、それでも破られてきているというようなことですね。この辺は、だから我々としても条例が必要じゃないかと言っている農家や授精師さんの協会のお考えの原点になっています。


○中国新聞 小畑浩 記者


 じゃ、契約の時期的な、知事の采配は。


●知事


 時期については大体8月の末から9月にかけて早急に意見調整をして、それでできるだけ早くまとまり次第契約のやり方を変えていきたいと思います。





22 性的マイノリティへの対応 

○時事通信社 今泉悠 記者


 先日、東京都の職員の方々で性的マイノリティの方々が、東京都の人事委員会に対して同性パートナーがいる職員に対して東京都が結婚休暇や介護休暇、家族用職員住宅の利用を認めないのは不当だとして、平等に処遇するよう求める要望書を提出しました。まず、このことについてどのように評価されるのかということと、あと、性的マイノリティの県職員という方もいらっしゃると思うんですけれども、ほかの職員と同じく処遇されるための取り組みというのを何かされているのかっていうことと、なければ今後取り組まれるお気持ちはありますでしょか。


●知事


 私どもではまだちょっとそこはちょっと顕在化していないというのが実態でございます。そういう意味でそういう事象があれば、それは率直に職場のあり方についても考えていくべき事柄であろうと思います。実は、私どもは人権尊重の社会づくりを進めていまして、その中の計画のテーマに性的マイノリティの問題を前回の改定時に加えさせていただいておりまして、そういう問題にも我々としてはしっかり県民挙げて対処していこうという方針を出しています。であるが以上、実態があれば、それに即した対応というもの今後は考えていく必要があるかなというふうに考えております。現状ちょっとまだその段階に来てないというふうに御理解をいただければと思います。


○時事通信社 今泉悠 記者


 すいません。追加でなんですけども、まずその実態というのは何をもって実態とされるのかということと、あと、その基本人権施策基本方針の中で当事者が自尊感情を持って自己決定、自己選択できる社会の実現というのを謳っているわけですけれども、例えばその権利を、当事者の権利を保障するっていうような制度っていうのがそもそもなければその自己決定とか選択というのはできないと思うんですけれども、その事象が生まれる前にそういうものを予め用意していくことによって、今まで顕在化してなかったものが顕在化してくるっていう考え方もあると思うんでが、いかかでしょうか。


●知事


 そこは卵が先が鶏が先かということかもしれませんが、私どもは柔軟にいきたいというふうに思っておりまして、そういうことが例えば職場での不利益などは生じないように、そこはぜひとも配慮してまいりたいと思います。基本方針はそういうことでありますので、あとは具体の事例に即して考えていくことかなと思っております。


○時事通信社 今泉悠 記者


 すいません。また追加なんですけども、現状県の施策しては性的マイノリティに対する理解の促進という啓発活動がメインになっていると思うんですけれども、それ以外で、例えば取り組まれる予定っていうのはありますか。


●知事


 そうですね、最近は例えば高校の制服の問題だとか一部そうした取り組みも始まっていると思います。まだ本県の場合は確かに緒についたところかもしれませんけども、先ほどおっしゃった職員の問題については我々内部で決定できることでありますので、柔軟に取り組んでいきたいと思います。



23 大山保全のための受益者負担の仕組みの検討に向けた社会実験 

○NHK 渡邊貴大 記者


 すいません。大山の社会実験についてなんですけれども、こちら今月の24日から実施して、週末に実施していって具体的にはこれいつまでに結果を出して、協賛金の導入ですとか、法定外税の導入というふうな結論、導入するかしないかの結論というのを出していきたいと考えていらっしゃいますか。


●知事


 これ、これから始まるところでその結果を見てみないと私どももちょっと決めかねるところではございますが、今、いろいろサイト(場所)を移しながら11月くらいまで順次この山のシーズンに入山について、要はトイレだとか、そういういろんな負担があるわけですよね。それで、そういうものについて拠出することのお気持ちはありますかと、それを使うんだったら使い道はこういうことにしてほしいということは何ですかとか、そういう質問も合わせながら御協力いただける金額を出していただこうということであります。実は下調査もやっていまして、以前アンケート調査をしたときに、大体入山するに当たって二千数百円くらい負担してもいいというアンケート[結果]もかつてありました。ただ、これ現実にはお金を払うとなると、大体相場感からするとその3分の1くらいになるんだそうです、納得できる範囲はね。だから、何もお金を払う前提でなければちょっと多めに出るそうなんで、そうすると数百円ということなのかもしれませんが。富士山でいえば今1,000円取っておられますし、白神山地が300円取っておられる例など全国で出てきています。


 大山も同じようにそうした大山の恵みを我々受けているという、そういう考え方が浸透しているところでもあり、いわば聖なる山でもありますので、それを守るために社会的な投資も必要でありますからその辺をみんなで分担しようじゃないかと、こういう考え方を理解が得られるかどうかであります。仮にその理解が得られるということになれば、11月ごろまで調査は続きますが、それが早ければ来年の夏山シーズンから、まずは、試行的にやってみようとかいうことはあるかもしれません。ちょっと現段階でまだ調査も始まっていませんので何とも言えないという状況であります。


○NHK 渡邊貴大 記者


 少なくとも調査の結果、理解が得られれば来夏シーズンからということも検討されている。


●知事


 早ければですね、早ければ。


○NHK 渡邊貴大 記者


 早ければ。


●知事


 ただ、そこでいろんな意見が出るじゃないのかなとも思われますし、それから関係者の意見も総合していかなければなりません。また、方式としても全国的には例えば岐阜[県]の乗鞍[岳]のように駐車場なんかが入るもんですから、そういうところで法定外目的税という形式で取っているそういうところがあったりしますし、いろいろとやり方は区々に分かれると思うんですね。屋久島もやっぱりそうした入山料的なものを法定外目的税取っているんですけれども、あそこの場合は結局、送迎バスがないと行けないもんですから、こないだ水害でそのバスのお客さんが救出されるということがありましたけども、結局、そのバスに乗る段階で徴収できるということで法定外目的税でやっている所もあるんですけどもね。いろんなやり方がありますのでその辺も研究してみなければいけないだろうと思います。まず、山に登られる方々がそういう私ども一木一石運動などやってきていること、そうして大山1300年祭を迎えたわけでありますが、大山に対する私たちのやっている取り組み、そういうものに対して理解をしていただけるのかどうか、一定のそういう拠出ということを考えていただけるのだろうか、この辺の意識調査が一番肝になると思います。まずそれをこの秋に確認してみたいということであります。


○朝日新聞 鈴木峻 記者


 ほかに質問のある社はいらっしゃいますか。そうしましたら、どうもありがとうございました。


●知事


 はい。どうもありがとうございました。




  

 ※広報課編集
  [ ]については、広報課で補足説明しています。

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