防災・危機管理情報

    タイ王国及び他の東南アジア諸国の経済・産業動向、社会動向報告書

    1. 東南アジア各国と日本の新型コロナウイルスの感染状況
    2. 東南アジア各国の入国制限・渡航制限状況
    3. 日本ータイ間の渡航通常化への見通し

なお、全文版ではタイの経済統計を1ページにまとめた「ワンページタイ経済」も併せてご覧いただけます。

  

タイ王国及び他の東南アジア諸国の経済・産業動向、社会動向報告書

 こんにちは。鳥取県東南アジアビューローの辻です。

 日本でも徐々に日常を取り戻しつつあるようですが、タイでもまだ非常事態宣言下ではあるものの、禁止されていた飲食店内での食事や、県境をまたいだ移動などの規制が緩和され、少しずつですが日常が戻ってきました。しかし、タイや東南アジア各国では、外国人の入国を厳しく規制しており、国をまたいだ往来はできない状況が続いています。

  今回は東南アジア各国の新型コロナウイルス感染状況や渡航規制についてと、日本-タイ往来の通常化への見通しについてお伝えします。

1.東南アジア各国と日本の新型コロナウイルスの感染状況

国名 累計
(6月8日時点)
直近1週間
(6月2日~8日)
人口
(万人)
1万人あたり
(人)
タイ 感染者 3,119 37 6,980 0.45
死亡者 58 1 0.01
インドネシア 感染者 31,186 4,713 27,352 1.14
死亡者 1,851 238 0.07
ベトナム 感染者 329 1 9,734 0.03
死亡者 0 0 0.00
ミャンマー 感染者 242 18 5,441 0.04
死亡者 6 0 0.00
マレーシア 感染者 8,322 503 3,237 2.57
死亡者 117 2 0.04
シンガポール 感染者 37,910 3,026 585 64.80
死亡者 25 2 0.04
フィリピン 感染者 21,895 3,809 10,958 2.00
死亡者 1,003 46 0.09
カンボジア 感染者 126 1 1,672 0.08
死亡者 0 0 0.00
ラオス 感染者 19 0 728 0.03
死亡者 0 0 0.00
日本 感染者 17,174 290 12,648 1.36
死亡者 916 24 0.07

出典:人口は国連、感染者数・死亡者数は世界保健機関

2.東南アジア各国の入国制限・渡航制限状況

国名 渡航・入国に関する規制
タイ 外国人の入国は原則禁止。ただし、労働許可証を有する外国人、外交団、国際機関の職員、政府の代表等に限り、健康証明書(出発の72時間以内に発行されたもの)及び出発地のタイ大使館/総領事館が発行するレター(労働許可証を有する外国人の場合のみ)の提示があれば、入国は可能。
※6月30日まで政府手配の在外タイ人帰国専用機を除き、国際線旅客便受入を停止中。
インドネシア PCR検査の結果が陰性であることが記載された健康証明書を有する者は、入国時に空港での迅速抗体検査(Rapid Test)を行い、新型コロナウイルス感染症特有の症状がない場合でも、14日間の自主隔離が必要。健康証明書に該当の記載がない場合は、入国時にPCR検査を行い、結果が判明するまで指定されたホテルにおいて最大4日程度待機し、陰性の場合は14日間の自主隔離が必要。陽性が判明した場合は病院へ搬送される。
ベトナム 外国人の入国は原則禁止。但し、外交旅券、公用旅券所有者、特別な場合(重要な外交活動に参加する外国人、専門家、企業管理者、高技能労働者等)に対しては、必要性を検討し査証を発給する。その場合でもCOVID-19陰性証明書が必要。
ミャンマー 6月15日まで商用旅客航空便の着陸を禁止。陸路による外国人の入国を無期限に禁止。
マレーシア 外国人の入国は原則禁止。永住者、外交官、マレーシアにおいて必要不可欠なサービスに従事する駐在者パス保有者、マレーシア・マイ・セカンド・ホーム(MM2H)パス保有者に限り入国を許可されるが、入国後、指定の施設で14日間の隔離が必要。「到着後の強制隔離の宿泊費用の支払いに関する約定書」の事前提出が必要。
シンガポール 長期滞在ビザ保有者以外の入国、トランジットは禁止。長期滞在ビザ保有者も再入国前に当局による承認が必要(事前承認がなくシンガポールに到着した場合、ビザの永久剥奪処分の対象になる)。労働ビザ及び帯同者ビザ(EP、S Pass、DP等)保有者については現在一部を除きシンガポールへの入国・再入国は許可されない。
フィリピン 日本を含む査証免除対象国からの入国を停止。全ての在外公館における新規査証発給を停止。発給済みの査証は3月19日の時点でフィリピン国内に滞在している者と駐在外交官を除き無効(フィリピン人の外国人配偶者・子弟及び船舶・航空機の乗務員を除く)。
カンボジア 全ての外国人渡航者に対し観光ビザ、e-visa、アライバルビザ(到着時に申請・取得が可能なビザ)の発行を停止。カンボジアへの渡航を希望する者は、海外のカンボジア大使館・総領事館等で事前のビザの取得が必要。渡航の72時間前以内に居住国の保健当局から発行された新型コロナウイルス陰性を証明する健康診断書及び保険額が5万米ドル以上の保険証書を提示しなければならない。到着時に検査を受けるとともに、検査の結果が出るまで指定の場所で待機すること。検査の結果、同一フライト等の乗客に陽性者が確認された場合、その便の乗客全員はカンボジア当局指定の施設で14日間の隔離対象となる(指定施設の宿泊費は自己負担)。同一フライト等の乗客全員の陰性が確認された場合でも、地元当局および保険当局等の観察下において、14日間の自主隔離が求められるとともに、隔離13日目に再度検査を受けなければならない。
ラオス 各種重要事業に従事し、入国する必要がある外交官、専門家、技術者及び労働者を除き、日本を含む新型コロナウイルス流行国から渡航する一般外国人への査証発給停止。入国者は渡航前にラオス外務省から入国許可を得た上で、在外のラオス大使館等で査証を取得し、到着時に所定の健康申告書及び出発72時間以内に医療機関により発行された新型コロナウイルス陰性証明書を提出することが必要。入国後に政府が指定した場所において検査及び14日間の隔離が要請される。

出典:外務省海外安全ホームページ、各国日本大使館、各国在日大使館

   WHOの発表によると、東南アジアでは感染拡大が続いている国と収束に向かっている国に分かれますが、人口比による感染者数ではマレーシア、シンガポール、フィリピン以外の各国は日本を下回っています。外国人の入国についてはほとんどの国で原則禁止となっている上、滞在ビザ保有者でも入国後に14日間の強制隔離が義務付けられるなど、在住者にとっても厳しい制限が課せられています。

3.日本ータイ間の渡航通常化への見通し

   感染状況の表にもあるとおり、タイの新規感染者は直近1週間で37人、1日平均にすると5.28人と少なくなっています。しかも、これらの新規感染者は全て海外からの帰国者で、国内の新規感染者は15日連続で0人が続いています。このため、タイ政府は非常事態宣言下での規制を徐々に緩和しつつありますが、海外からの渡航者による感染拡大第2波の発生を警戒し、外国人の入国には厳しい条件を課したままの状態が続いています。

   先日、日本政府がタイを含む4カ国からの入国規制緩和に向けた協議を進めているという報道がありましたが、タイ側は慎重な姿勢を崩していません。経済政策を担当するソムキット副首相は、「政府は外国人の入国規制の緩和について、今年の第3四半期(7月~9月)か第4四半期(10月~12月)で検討を進めている。国内経済が低迷している中、観光を促進することが経済のV字回復に必要だが、同時に感染再拡大を防止することも最優先に考えなければならないので、外国人の入国制限緩和には慎重でなければならない。」と語り、新型コロナウイルスの感染拡大が収束している国から、優先的に規制を緩和していく見通しを示しました。またタイ観光庁は、海外からの観光客が検疫・隔離などの条件無しでタイ入国ができるようになる時期を「想定している最善のシナリオで10月」としており、タイ-日本間の渡航が通常化するまでは、まだ時間がかかるかもしれません。今後、規制緩和の動きがありましたら、またこちらの報告書にてお知らせいたします。

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鳥取県東南アジアビューロー 担当:辻 三朗 (TSUJI SABURO)

TEL/FAX:+66-(0)2-260-1057+66-2-260-1057
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鳥取県商工労働部通商物流課 担当:村上

TEL:0857-26-76600857-26-7660
FAX:0857-26-8117
E-mail:tsushou-butsuryu@pref.tottori.lg.jp

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タイを中心に、ベトナム・インドネシア・インド・メキシコにて主に日系中堅・中小企業様の海外進出や進出後の会計税務法務を中心とした運営支援業務を行っております。

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