2019年10月 タイ王国及び東南アジア諸国の動向

    タイ王国及び他の東南アジア諸国の経済・産業動向、社会動向報告書

    1. タイのEC市場
    2. 主なeコマースプレイヤー
    3. ECの配送事情
    4. 2020年2月~4月に行われる主な展示会・見本市

なお、全文版では、2020年2月~4月に行われる主な展示会・見本市の詳細やタイの経済統計を1ページにまとめた「ワンページタイ経済」も併せてご覧いただけます。

  

タイ王国及び他の東南アジア諸国の経済・産業動向、社会動向報告書

 こんにちは。鳥取県東南アジアビューローの辻です。

 日本では今年10月の消費増税を機に、急速にキャッスレス化に進んだようですが、タイでも各銀行がスマートフォン用のアプリを作ったり、通信会社Trueが決済アプリを立ち上げるなどキャッスレス化に向かいつつあります。しかし、世代間での意識の差はまだ大きく、交通機関のICカードの共通化もなされていないなど順調とは言えません。

 2018年10月18日(木)~20日(土)ドイツ発祥の有名なIoT・デジタル技術等に関する展示会「CEBIT」が、「CEBIT ASEAN Thailand」としてASEAN地域で初めてタイ・バンコクにて開催されました。タイのデジタル経済社会省と科学技術省の肝いりで誘致された展示会です。

 対象となる分野はIoT・デジタル技術全般、データ・クラウド、フィンテック、IoT・スマート技術、サイバーセキュリティ、人工知能(AI)、モビリティ、仮想現実(VR)など多岐にわたります。今回は、このイベントの中でも関心を集めていたタイのEC市場の現在についてお伝えします。

1.タイのEC市場

 展示会の中で、タイEC協会会長からタイの2017年の電子商取引実績は1,500億バーツ(約5,170億円:1バーツ=3.44円) 前年比29%増という発表がありました。タイのeコマースの特徴はSocialMedia (LINE, facebook, Instagramなど)のシェアが40%を占めるという点です。日本であればおそらくAmazonや楽天、Yahooなどの大手サイトで50%近くを占めているところですが、これはタイのネット普及率によるところが大きいです。2015年の調査ではありますが、オンラインで商品を購入するあるいは商品のリサーチをする際のデバイスは都市部で34%、郊外では85%の人が携帯を使っていると答えています。

 売上の上位を占めるのがゲームなどのメディア製品、次いで家電製品、食料品・飲料と続きます。ネットを通して購入しても品質が変わらないものがやはり人気のようです。

図:タイのeコマースの特徴

2.主なeコマースプレイヤー

<ECモール>

LAZADA(http://www.lazada.co.th/)

タイの主要なオンラインショッピングサイト。不動産、美容商品、生活用品、家電、ファッション雑貨など幅広い商品を取り扱う。シンガポール、マレーシア、インドネシア、ベトナムなど東南アジア各国で展開中。

Kaidee(https://www.kaidee.com/)

タイ国内のアクセス数ランキングTop20にも入る、CtoCのフリーマーケットサイト。中古車、宝石・アクセサリー、二輪車、モバイル・タブレット、不動産、ファッション・バッグなどが利用上位。

Pan Tip Market(https://www.pantipmarket.com/)

新品と中古の両方を扱うCtoC及びBtoBtoCのショッピングサイト。取扱商品は車・バイク・電子機器など多様な商品を扱う。

Central Online Shopping(http://www.central.co.th/)

タイのショッピングモール大手のセントラルグループが運営するサイト。

<ネットスーパー>

Big C(https://www.bigc.co.th/)

タイの大手スーパーマーケットBig Cが運営するサイト。家電やリビング用品、食料品などを取り扱う。午前11時までの注文で翌日配送。

Tops(https://www.tops.co.th/en/)

バンコクに92店舗、郊外に55店舗を展開するTops marketのオンラインショップ。食料品をはじめ、ワインや美用品、健康関連食品を取り揃えている。注文してから24時間以内に配送。

Happy Fresh(https://www.happyfresh.co.th/)

2014年設立のインドネシア・ジャカルタ生まれのネットスーパー。マレーシアでも既にサービスを開始しており、今後も東南アジアを中心に展開する予定。タイ国内の様々なスーパーと提携しており、自分の好きなスーパーの商品を注文することができる。最短で1時間以内に配送可能。

<フードデリバリー>

Foodpanda(https://www.foodpanda.co.th/)

2012年設立。26カ国に展開。日本語対応も可能。提携レストラン数1100店以上。

LINE MAN(https://www.facebook.com/linemanth/)

フードデリバリーだけでなく、コンビニ商品の配送なども依頼できる。配送サービスは24時間利用可能。

Grab food ※アプリのみ対応

TaxiやBike taxiの配車サービスアプリから始まり、現在はフードデリバリーも展開。タイ語メニューが多い。

3.ECの配送事情

 ECを利用するに当たって、タイの渋滞事情をご存知の方には配送時間は守られるのか?という点は気になるところだと思われますが、概ね守られるといえます。というのも、ネットスーパーやフードデリバリーの配送手段はバイクだからです。ある程度の渋滞は回避可能ですが、車での配送が必要なものの場合はその限りではありません。ドライバーのスキルや意識にもばらつきがあり、道に迷って遅れたり、勝手にキャンセルをされることもあるようなので、今後は人材の育成が課題になると思われます。

 ECモールの大手のLAZANAはタイの複数の物流会社、郵便局、自社物流、日系、韓国系、グローバル大手などを使い分けて対応しているようです。なかでもKERRY EXPRESSという2006年に創業したタイの物流企業はLAZANAとの取引を皮切りに他の人気ECモールと提携し、急成長を遂げています。

 タイEC協会の会長はEコマースはタイ人にとってエンターテイメントそのものだと講演の中でコメントしていました。自宅でショッピングをして、それが翌日に届く、その経験は今までにない楽しい経験だということです。バンコクは800万人以上の人口が集中し主な駅ごとにショッピングモールがあるような場所ですが、少し郊外に出ればそのような光景は見られなくなります。その環境において物流が今後益々改善されていけば、ますます娯楽としてのEコマースは成長していくように思います。

2020年2月~4月に行われる主な展示会・見本市

タイ

インドネシア

ベトナム

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