2019年3月 タイ王国及び東南アジア諸国の動向

    タイ王国及び他の東南アジア諸国の経済・産業動向、社会動向報告書

    1. 日本語人材について
    2. 日本語人材の給与相場と日本語レベル
    3. 人材募集の方法
    4. 5月~6月にタイで行われる主な展示会・見本市

なお、全文版では、タイの経済統計を1ページにまとめた「ワンページタイ経済」も併せてご覧いただけます。

  

タイ王国及び他の東南アジア諸国の経済・産業動向、社会動向報告書

 こんにちは。鳥取県東南アジアビューローの辻です。

 先月の当報告書でもお伝えしました通り、3月24日に総選挙が行われました。即日開票が行われ、小選挙区の議席ではタクシン派のタイ貢献党が350議席中138議席を獲得し勝利宣言をしましたが、比例区の150議席についてはまだ結果が発表されておらず、まだ各党の獲得議席が確定していません。最終的な公式発表は5月6日までに発表されると報じられていますが、軍政派、タクシン派、反タクシン派のいずれの勢力も単独過半数を獲得できないと見られており、今後の連立の行方が注目されています。

 日本では年度が変わる3~4月、町中には新社会人の姿も多く見られるのではないでしょうか。今月はタイの求人事情についてレポートをお届けします。

1.日本語人材について

 タイには5,000社以上の日系企業が進出しており、業種も多岐にわたっています。多くの企業では、意思疎通に時間をかけていられないのが実情であり、日本語ができるタイ人の人材を必要としています。英語を採用条件にしている企業もありますが、日本人は日本語英語、タイ人はタイ語英語であることが多く、仮に一方がネイティブ並みに話すことができたとしても意思疎通がうまくいかないことがあります。タイ語は声調や発音が難しく、赴任前もしくは赴任後に少し勉強した程度ではなかなか仕事で通じるレベルにならないこと、長年住んでいて話すことができたとしても、文字を正確に読める人はあまりいないことから、必然的に日本人とタイ人従業員との間で使用される言語は日本語になることが多くなります。

 タイ進出企業が実際に採用する人材に求める日本語能力は「自己紹介や身の回りのごく簡単な会話ができるレベル」「ゆっくりとしたスピードであれば日常会話ができるレベル」「自然に近いスピードでの社内会話やメールのやり取りができるレベル」「通常のスピードでの聞き取りや会話、通訳ができるレベル」等です。そこで、それを判断するひとつの基準として、タイにおいても日本語能力試験(JLPT)の段階評価がよく使われています。JLPTにはN5(5級)からN1(1級)までの5段階のレベルがあり、数字が小さくなるにつれレベルは上がります。

2.日本語人材の給与相場と日本語レベル

実務経験 給与相場
大卒新卒者 18,000~25,000THB
1~3年 23,000~35,000THB
3~5年 30,000~50,000THB
5~10年 50,000~70,000THB

表1 ※2018年AAP調

 日本語関連の学科がある一般的な大学(※表2)の学生は卒業までにN3の取得を目指しています。名門のチュラロンコン大学やタマサート大学になると、日本語関係の仕事に就くことを視野にいれている学生のほとんどが卒業までにN2を取得しています。

 例えば、N3取得者の場合、右表(※表1)が給与の目安になります。そこに、N2やN1を取得してい る、英語が堪能である、海外への留学経験(大学/日本語学校)がある、勤務先がバンコク近郊や地方であってもよい等の条件が加わると、さらに5,000~20,000THB程度アップすると考えていいでしょう。

日本語関連の専攻課程を開講している主な高等教育機関

表2 ※2018年AAP調

大学名 所在地
1 チュラーロンコーン大学 国立 バンコク都/中部
2 タマサート大学ランシット校 国立 バンコク都/中部
3 カセサート大学 国立 バンコク都/中部
4 シーナカリンウィロート大学 国立 バンコク都/中部
5 スワンスナンター・ラチャパット大学 国立 バンコク都/中部
6 チャンカセーム・ラチャパット大学 国立 バンコク県/中部
7 キングモンクット工科大学ラーカバン校 国立 バンコク都/中部
8 ラチャモンコン・クルンテープ工科大学 国立 バンコク都/中部
9 ラチャモンコン・ラタナコーシン工科大学 国立 バンコク都/中部
10 ラームカムヘーン大学 国立 バンコク都/中部
11 タイ国立開発行政研究員/NIDA※大学院大学 国立 バンコク都/中部
12 泰日工業大学 私立 バンコク都/中部
13 タイ商工会議所大学 私立 バンコク都/中部
14 サイアム大学 私立 バンコク都/中部
15 トゥラキットバンディット大学 私立 バンコク都/中部
16 ランシット大学 私立 パトゥムタニー県/中部
17 イースタンアジア大学 私立 パトゥムタニー県/中部
18 パンヤーピワット経営大学 私立 ノンタブリー県/中部
19 アサンプション大学 私立 サムットプラカーン県/中部
20 シラパコーン大学 国立 ナコムパトム県/中部
21 プラナコーンシーアユタヤー・ラチャパット大学 国立 アユタヤ県/中部
22 ラチャパット・ラーチャナカリン大学 国立 チャチェンサオ県/中部
23 カンチャナブリー・ラチャパット大学 国立 カンチャナブリー県/中部
24 ペッチャブリー・ラチャパット大学 国立 ペチャブリー県/中部
25 テープサトリー・ラチャパット大学 国立 ロッブリー県/中部
26 ブラパー大学 国立 チョンブリ県/中部
27 チェンマイ大学 国立 チェンマイ県/北部
28 チェンマイ・ラチャパット大学 国立 チェンマイ県/北部
29 ピブーンソンクラーム・ラチャパット大学 国立 ピサヌローク県/北部
30 ナレースワン大学 国立 ピサヌローク県/北部
31 チェンライ・ラーチャパット大学 国立 チェンライ県/北部
32 ナコンサワン・ラチャパット大学 国立 ナコンサワン県/北部
33 ペッチャブーン・ラチャパット大学 国立 ペッチャブーン県/北部
34 パヤオ大学 国立 パヤオ県/北部
35 ウッタラディット・ラチャパット大学 国立 ウッタラディット県/北部
36 ナコーンラーチャシーマー・ラチャパット大学 国立 ナコーンラーチャシーマー県/東北部
37 マハーサーラカーム大学 国立 マハーサーラカム県/東北部
38 ラーチャパット・マハーサラカム大学 国立 マハーサラカム県/東北部
39 ウボンラーチャターニー大学 国立 ウボンラーチャタニー県/東北部
40 ウボンラーチャターニー・ラチャパット大学 国立 ウボンラーチャタニー県/東北部
41 コンケン大学 国立 コンケン県/東北部
42 シーサケート・ラチャパット大学 国立 シーサケート県/東北部
43 タクシン大学ソンクラー校 国立 ソンクラー県/南部
44 プリンス・オブ・ソンクラー大学パッタニー校 国立 パッタニー県/南部

3.人材募集の方法

 タイでも日本と同様に、職業安定所(タイ労務省職業斡旋局)、人材紹介会社、求人サイト、ジョブフェア、ポスター(工業団地の事務所掲示板、会社入口等への掲示)、新聞広告やフリーペーパー等が利用されています。近年では、Facebook、Instagram、TwitterといったSNSを活用している企業が増えており、中でもFacebookのタイ国内の利用者数は人口の7割を超えているため、タイにおいては有効であると言えます。

 主な利用先の特徴を以下に紹介します。

◆職業安定所(タイ労務省職業斡旋局)

 利用者数はそれほど多くありませんが、最近では求職者のWEB登録も出来るようになり、登録者が増えてきています。外国語対応がなく、基本的にタイ語であるため、タイの企業が主な利用者です。求人掲載料が無料であることから、外資系の企業でもタイ語対応が可能で、且つ採用までに時間的な余裕がある企業にとっては利用価値があるでしょう。

◆人材紹介会社

 タイ企業から外資系企業まで様々な人材紹介会社が存在します。日系企業向けサービスを行っている人材紹介会社では、日本人の担当者、もしくは日本語対応可能なタイ人の担当者が基本的に常駐しています。特に進出したばかりの日系企業は言葉の問題があることから、募集条件等の詳細を日本語で伝えることが出来る人材紹介会社を利用することが多いようです。また、タイの求人関連の知識や現地情報のサポートをしてもらえ安心であることも理由のひとつとなっています。日系の人材紹介会社は成功報酬制のところが多く、ある会社では採用した人材の年収の20~25%前後にあたる金額を手数料として設定しています。人材が早期に退職してしまった場合には、代わりの人材を探したり、在籍日数に応じて返金したりと何らかの保証を設けているところもあります。求める人材がすぐに見つかるとは限らないため、複数の人材紹介会社への登録がお勧めです。

◆求人サイト

 求人情報の掲載期間やポジション数、レジュメ(職務履歴書)検索可能数によってプランを選ぶことになります。掲載料金はプランによって数千バーツから数十万バーツです。大手求人サイトは、英語のページもあり日本人でも比較的利用しやすく、採用担当のスタッフがいる企業であれば、求職者と直接連絡が取れることから、採用人数や職種によっては、人材紹介会社ではなく求人サイトを利用するのも良いでしょう。

◆ジョブフェア

 小規模なフェアでも1千人、大規模になると2万人程度が来場します。主な実施団体には求人サイトや大学、バンコク日本人商工会議所があげられますが、出展料はブースの大きさにより設定されており、数万バーツです。来場した多くの求職者に自社のアピールができるため、タイ企業、外資系企業問わず利用されています。一度に何人もの採用を予定しているのであれば、出展を検討してみてはいかがでしょうか。採用コストの削減にも繋がるケースもあります。

◆求人ポスター(工業団地の事務所掲示板、会社入口等への掲示)

 マネージャークラスの募集ではなく、主にワーカークラスを募集する際に活用されているようです。お金と手間を掛けずに募集をかけられるというメリットがある一方で、自社で初期の段階から応募者すべてに目を通さなければならないというデメリットがあり、採用には労力と時間が掛かるケースが多いようです。

5月~6月にタイで行われる主な展示会・見本市

  • ASEANbeauty 2019
  • INTERMACH + SUBCON THAILAND + SEET METAL ASIA(併催)
  • THAIFEX-World of food
  • ASEAN SUSTAINABLE ENERGY WEEK + ENTECH POLLUTEC ASIA(併催)
  • ProPak Asia
  • Mfair バンコクものづくり商談会 + ASSEMBLY & AUTOMATION TECHNOLOGY + SURFACE & COATING + InterPlus Thailand + InterMold Thailand + AUTOMOTIVE MANUFACTURING(併催)

上記展示会・見本市の詳細については、2019年1月報告書をご覧ください。

⇒報告書バックナンバー一覧

  

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