こんにちは。鳥取県東南アジアビューローの辻です。
この報告書の5月号でタイにおける日本食についてお伝えしましたが、今月は 5月29日~6月2日に行われたタイ最大級の総合食品見本市「THAIFEX 2018」に行ってまいりましたので、今回はその様子と日本からタイへの食品の輸出事情についてお伝えします。
1.THAIFEX 2018
今回で15回目となるTHAIFEX 2018は東南アジア最大規模の国際総合食品見本市で、今年は46カ国から2,500社を超える出展企業が集まり、開催期間中に6万人以上のバイヤーが会場を訪れました。日本食ブームが続くタイの外食市場を反映するように、日本食向け食材業者のブースも数多く出展されていました。JETRO(日本貿易振興機構)が開設したジャパンパビリオンには78の企業・団体が出品し、タイ市場への販路拡大をめざして日本産食品の品質の高さや魅力をアピールしました。出品された商品も日本酒、和牛、魚、インスタントラーメン、珍味、さつまいもなどなど、バラエティに富んだ商品が並び、訪れたバイヤーと商談を交わしていました。
2.日本からタイへの食品の輸出事情
タイは日本からの農林水産・食品の輸出先国ではASEAN 諸国第2位、世界第7位に位置付けられます。2017年、日本からの輸出額は約391億円(対前年比18.7%増)、さらにタイ国内の日本食レストラン数は2,774店(対前年比2.2%増)にのぼります。輸出額が伸びている要因のひとつは、タイの地方都市の日本食レストランの普及です。数年前までは日本食レストランは日本人が多く住むバンコクに集中し、地方都市ではそれほど多くはありませんでしたが、近年ではバンコクで市場が成熟して店舗数の増加率が鈍化したのとは反対に、地方での日本食レストラン数が飛躍的に増えており、今後もさらなる需要が期待される成長市場といえるでしょう。
また、右の表は2017年に日本からタイ向けに輸出された農林水産物・食品輸出の上位10品目と輸出額です。1位の豚の皮は食品としてではなく、靴やかばんなどに使用されるもので、中国での環境規制の強化を受けて、今まで中国にあった革製品の生産拠点をタイに移転する傾向が増え、2017年には輸出総額の約7割をタイ向けが占めたほど増えています。10品目中4品目に魚が入っていますが、注目したいのは7位の牛肉です。以前はタイでは信仰上の理由や質のいい牛肉が生産されていないなどの理由から牛肉はあまり食べられていませんでした。しかし、2000年ごろから続く日本食ブームの中でしゃぶしゃぶ・すき焼きの食べ放題のお店が繁盛したり、大手牛丼チェーンが出展したり、最近ではステーキハウスも流行するほど牛肉を食べる食文化が広がりをみせています。日本からタイへの牛肉の輸出は2011年に解禁、2016年に月齢制限を撤廃して規制緩和が進んでおり、2015年と2017年の比較では約50%増と上昇傾向を続けています。
今後もタイの日本食市場は成長が見込まれています。展示会への出展や現地での市場調査などご希望の方は、ぜひ当ビューローへご相談ください。
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