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刑事に関する共助に関する日本国とロシア連邦との間の条約の発効について(例規通達)

平成23年2月9日
鳥組例規第1号

 刑事に関する共助に関する日本国とロシア連邦との間の条約(平成22年条約第12号)については、平成21年5月12日に署名が行われ、平成22年11月13日にロシア連邦(以下「ロシア」という。)との間で批准書の交換が行われたことにより、平成23年2月11日から効力を生ずることとなった。この条約の概要及び運用上の留意事項は下記のとおりであるので、事務処理上遺憾のないようにするとともに、犯罪捜査のためこの条約を積極的に活用されたい。
                   記
1 条約の概要
 この条約は、刑事に関する共助の分野における我が国とロシアとの間で協力を一層実行あるものとし、そのような協力が我が国及びロシアにおいて犯罪と戦うことに貢献することを目的として締結されたものである。この条約の概要は次のとおりである。
(1)各約国は、他方の締約国の請求に基づき、捜査、訴追その他の刑事手続について条約の規定に従って共助を実施すること等について定める。(第1条)
(2)条約に規定する任務を行う中央当局として、我が国は法務大臣及び国家公安委員会並びにこれらがそれぞれ指定する者を、ロシアはロシア連邦法務省及びロシア連邦最高検察庁を、それぞれ指定すること等について定める。(第2条)
(3)被請求国が共助を拒否することができる場合等について定める。(第3条)
(4)共助の請求の方法、共助の請求に当たって通報することが必要な事項等について定める。(第4条)
(5)条約に基づき請求された共助の実施に当たっては、被請求国は当該共助を条約の関連規定に従って速やかに実施すること、被請求国の権限のある当局は当該共助を実施するためにその権限の範囲内で可能なあらゆる措置をとること等、被請求国が請求された共助を実施するに当たってとらなければならない手続等について定める。(第5条)
(6)請求された共助の実施に要する費用の負担等について定める。(第6条)
(7)条約の規定に従って提供される証言又は供述を文書化し、又は記録した物その他の物件について請求国に課される使用の制限及びこれらに関する請求国の秘密保全等について定める。(第7条)
(8)条約の規定に従って提供される物件の輸送、保管及び返還に関する条件について定める。(第8条)
(9)証言、供述又は物件の取得について定める。(第9条)
(10)人、物件又は場所の見分について定める。(第10条)
(11)人、物件若しくは場所又はこれらの所在地の特定について定める。(第11条)
(12)被請求国の立法機関、行政機関、司法機関その他の国家機関又は地方公共団体の保有する物件の提供について定める。(第12条)
(13)請求国における出頭が求められている者に対する招請についての伝達及び出頭を求める文書の送達等について定める。(第13条)
(14)被請求国の領域において拘禁され又は刑に服している者の身柄の移送であって、証言の取得その他の目的のためのものについて定める。(第14条)
(15)刑事手続に関する文書の送達(第13条1に規定する文書を除く。)について定める。(第15条)
(16)犯罪の収益又は道具の没収及び保全並びにこれらに関する手続についての共助について定める。(第16条)
(17)いずれか一方の締約国が条約に従って送付する書類であって、当該締約国の権限のある当局又は中央当局の押印によって証明されているものは、認証その他の証明なしに、他方の締約国によって受領されること等について定める。(第17条)
(18)条約のいずれの規定も、いずれか一方の締約国が他の適用可能な国際協定又は適用可能な自国の法令に従って他方の締約国に対し、共助を要請し、又は実施することを妨げるものではないことについて定める。(第18条)
(19)両締約国の中央当局は、条約に基づく迅速かつ効果的な共助の実施を促進する目的で協議するものとし、当該目的に必要な措置について決定することができ、また、両締約国は、必要に応じ、条約の解釈又は実施に関して生ずるいかなる問題についても協議することについて定める。(第19条)
(20)条約の批准、効力発生及び終了について定めるとともに、条約の効力発生の日以後に行われた共助の請求(当該請求が条約の効力発生の日前に行われた行為に係るものである場合を含む。)について条約を適用することについて定める。(第20条)
2 条約の実施のための国内措置
 この条約により、被請求国は、共助を拒否し得る場合(第3条)を除き、この条約の関連規定に従って(第5条1)、また、自国の法令に定める方法又は手続により(同条2)請求された共助を速やかに実施する義務を負うこととなる。この点、我が国においては、国際捜査共助等に関する法律(昭和55年法律第69号)等により、条約上の義務の実施の担保することとなる。
3 留意事項
(1)我が国による請求関係
  ア これまでロシアとの間における共助については、条約その他の国際約束がなかったことから、国際礼譲に基づいて行われてきたが、この条約の締結により、我が国が請求する共助がロシアにおいて一層確実に実施されることを確保できるところ、ロシアに共助を請求するに当たっては、この条約を積極的に活用すること。
  イ 共助については、これまで外交上の経路を通じて行うことが一般的であったが、この条約の締結により、共助に関する連絡を各国の指定する中央当局間で直接行うことにより、共助の迅速化が期待される。
    我が国による請求については、警察官又は皇宮護衛官により送付された請求に関連する中央当局は、国家公安委員会又は国家公安委員会が指定する者となる。国家公安委員会は、警察庁刑事局組織犯罪対策部国際捜査管理官(以下「警察庁国際捜査管理官」という。)を中央当局に指定したので、警察庁刑事局の所掌に属する事件に関して、この条約に基づく共助の請求をすることが適当であると認めるときは、警察庁国際捜査管理官に共助の請求を依頼すること。警察庁刑事局の所掌に属する事件以外の事件に関して、この条約に基づく共助の請求をすることが適当であると認めるときは、警察庁主管課を経由して警察庁国際捜査管理官に共助の請求を依頼すること。(第2条関係)
  ウ この条約に基づく共助の請求に当たっては、条約第4条2に掲げる事項を通報すること及び同条3に掲げる事項のうち必要と認めるものについて可能な範囲で通報することとされているところ、共助の請求の依頼に当たり留意すること。(第4条関係)
(2)ロシアによる請求関係
 請求された共助の実施が我が国において進行中の捜査等の手続を妨げると認める場合には、当該実施を保留し、又は必要と認める条件を両締約国の中央当局間での協議の後に付すことができるとされているので、共助の実施が進行中の捜査を妨げるような状況がある場合には、直ちに警察庁国際捜査管理官に連絡し、調整を受けること。(第5条関係)
4 共助の請求の依頼に係る留意事項
(1)共助の請求の依頼を検討する事件を認めた場合は、刑事部組織犯罪対策課長(以下「組織犯罪対策課長」という。)及び警察本部事件主管課長に報告すること。
(2)組織犯罪対策課長は、警察庁刑事局の所掌に属する事件に関して、この条約に基づく共助の請求をすることが適当であると認めるときは、警察庁国際捜査管理官に共助の請求を依頼すること。
(3)警察本部事件主管課長は、警察庁刑事局の所掌に属する事件以外の事件に関して、この条約に基づく共助の請求をすることが適当であると認めるときは、組織犯罪対策課長と協議の上、警察庁主管課長を経由して警察庁国際捜査管理官に共助の請求を依頼すること。
  

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