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刑事に関する共助に関する日本国と中華人民共和国香港特別行政区との間の協定の発効について(例規通達)

平成21年11月2日
鳥捜一例規第32号

 改正 平成21年鳥務例規第3号

 刑事に関する共助に関する日本国と中華人民共和国香港特別行政区との間の協定(平成21年条約第6号)については、平成20年5月23日に署名が行われ、平成21年8月25日に中華人民共和国香港特別行政区(以下「香港特別行政区」という。)との間で公文の交換が行われたことにより、同年9月24日から効力を生ずることとなった。この協定の概要及び運用上の留意事項は下記のとおりであるので、事務処理上遺憾のないようにするとともに、犯罪捜査のためにこの協定を積極的に活用されたい。
                    記
1 協定の概要
 この協定は、刑事に関する共助の分野における我が国と香港特別行政区との間の協力を一層実効あるものとし、そのような協力が我が国及び香港特別行政区において犯罪と戦うことに貢献することを目的として締結されたものである。この協定の概要は次のとおりである。
(1)各締約者は、他方の締約者の請求に基づき、捜査、訴追その他の刑事手続についてこの協定の規定に従って共助を実施すること等、この協定に基づく共助の実施に関する基本的な原則について定める。(第1条)
(2)この協定に規定する任務を行う中央当局として、我が国は法務大臣若しくは国家公務員会又はこれらがそれぞれ指定する者を、香港特別行政区は法務長官又は同長官が指定する者を、それぞれ指定すること等について定める。(第2条)
(3)共助の請求を受けた締約者(以下「被請求締結者」という。)が共助を拒否することができる場合等について定める。(第3条)
(4)共助の請求の方法、共助の請求に当たって通報することが必要な事項等について定める。(第4条)
(5)この協定に基づき請求された共助の実施に当たっては、被請求締結者は当該共助をこの協定の関連規定に従って速やかに実施すること、被請求締結者の権限のある当局は当該共助を実施するためにその権限の範囲内で可能なあらゆる措置をとること等、被請求締結者が請求された共助の実施に当たってとらなければならない手続等について定める。(第5条)
(6)請求された共助の実施に要する費用の負担等について定める。(第6条)
(7)この協定の規定に従って提供される証拠等について共助の請求を行った締結者(以下「請求締約者」という。)に課される使用目的の制限及びこれに関する請求締約者の秘密保全等について定める。(第7条)
(8)この協定の規定に従って提供された物件の輸送、保管及び返還に関する条件について定める。(第8条)
(9)証言、供述又は物件の取得について定める。(第9条)
(10)人、物件又は場所の見分について定める。(第10条)
(11)人、物件若しくは場所又はこれらの所在地の特定について定める。(第11条) 
(12)被請求締約者の当局の保有する物件の提供について定める。(第12条)
(13)請求締約者の関係当局への出頭が求められている者に対する招請についての伝達について定める。(第13条)
(14)拘禁されている者の身柄の移送であって、証言又は捜査、訴追その他の手続における協力のためのものについて定める。(第14条)
(15)請求締約者の関係当局に出頭することに同意した者又は請求締約者の管轄内に身柄を移されることに同意した者につき与えられる保護措置等について定める。(第15条)
(16)裁判上の文書の送達について定める。(第16条)
(17)犯罪の収益又は道具の没収及びこれに関連する手続についての共助について定める。(第17条)
(18)この協定のいずれの規定も、いずれか一方の締約者が他の適用可能な国際協定又は適用可能な自己の法令に従って他方の締約者に対し、共助を要請し、又は実施することを妨げるものではないことについて定める。(第18条)
(19)両締結者の中央当局は、この協定に基づく迅速かつ効果的な共助の実施を促進する目的で協議するものとし、当該目的に必要な措置について決定することができること、両締結者は、必要に応じ、この協定の解釈又は実施に関して生ずるいかなる問題についても協議するものとし、合意に達するようあらゆる努力を払うこと、この協定の解釈又は実施から生ずる紛争は、外交上の経路を通じて解決することについて定める。(第19条)
(20)この協定の効力発生及び終了について定めるとともに、この協定の効力発生の日以後に行われた共助の請求(請求された共助がこの協定の効力発生の日前に行われた行為に係るものである場合も含む。)についてこの協定を適用することについて定める。(第20条)
(21)この協定第1条1⑷及び第12条に関し、日本国及び香港特別行政区のそれぞれにおける「当局」の範囲について定めるとともに、この協定の第3条4の規定は、同条1の規定が日本国の国際捜査共助等に関する法律(昭和55年法律第69号)第2条第2号に規定する「条約に別段の定めがある場合」に該当するとの解釈を妨げるものではないことについて定める(合意された議事録)
2 協定の実施のための国内措置
 この協定により、被請求締約者は、共助を拒否し得る場合(第3条1)を除き、この協定の関連規定に従って(第5条1)、また、自己の法令に定める方法又は手続により(第5条2)、請求された共助を速やかに実施する義務を負うこととなる。この点、我が国においては、国際捜査共助等に関する法律等により、条約上の義務の実施を担保することとなる。
3 留意事項
(1)我が国による請求関係
  ア これまで香港特別行政区との間における共助については、条約その他の国際約束がなかったことから、国際礼譲に基づいて行われてきたが、この協定の締結により、我が国が請求する共助が香港特別行政区において一層確実に実施されることを確保できるところ、香港特別行政区に共助を請求するに当たっては、この協定を積極的に活用すること。
  イ 請求された共助が当該共助に係る犯罪について被請求締結者(香港特別行政区)の管轄内において確定判決を受けたことにある者の訴追に関連すると認められる場合には、被請求締約者(香港特別行政区)は共助を拒否するという「一時不再理の原則」を採用しており、我が国において香港特別行政区において有罪判決を言い渡された日本人について同じ犯罪について訴追するため必要な証拠の提供を香港特別行政区に求めた場合、共助を拒否されることとなるので留意すること。(第3条関係)
  ウ 共助については、これまでの外交上の経路を通じて行うことが一般的であったが、この協定の締結により、共助に関する連絡を我が国と香港特別行政区がそれぞれ指定する中央当局間で直接行うこととなり、共助の迅速化が期待される。我が国による請求については、警察官又は皇宮警護官により送付された請求に関連する中央当局は、国家公安委員会又は国家公安委員会が指定する者となる。国家公安委員会は、警察庁刑事局組織犯罪対策部国際捜査管理官(以下「警察庁国際捜査管理官」という。)を中央当局に指定したので、警察庁刑事局の所掌に属する事件に関してこの協定に基づく共助の請求をすることが適当であると認められるときは、警察庁国際捜査管理官に共助の請求を依頼すること。警察庁刑事局の所掌に属する事件以外の事件に関してこの協定に基づく共助の請求をすることが適当であると認められるときは、警察庁主管課を経由して警察庁国際捜査管理官に共助の請求を依頼すること。(第2条関係)
  エ この協定に基づく共助の請求に当たっては、協定第4条2に掲げる事項を通報すること及び同条3に掲げる事項のうち必要と認めるものについて可能な範囲で通報することとされているところ、共助の請求の依頼に当たり留意すること。(第4条関係)
(2)香港特別行政区による請求関係
  ア この協定第3条1⑹は、請求締約者(香港特別行政区)における捜査等の対象となっている行為が被請求締約者(我が国)の法令によれば、犯罪を構成しないと認める場合(いわゆる双罰性を欠くと判断される場合)には、「共助を拒否することができる」としているが、この協定において同条1の規定は、我が国の国際捜査共助等に関する法律第2条第2号の「条約に別段の定めがある場合」に該当し、裁量的拒否事由とすることが適当と考えられており、香港特別行政区からの請求が双罰性を欠く場合であっても、我が国の裁量により共助を実施することができることに留意すること。(合意された議事録2)
  イ 請求された共助の実施が我が国において進行中の捜査等の手続を妨げると認める場合には、当該実施を保留し、又は必要と認める条件を両締約者の中央当局間での協議の後に付することができるとされているので、共助の実施が進行中の捜査を妨げるような状況がある場合には、直ちに警察庁国際捜査管理官に連絡し、調整を受けること。(第5条関係)
4 報告・共助の依頼
(1)共助の請求を検討する事件を認めた場合は、刑事部組織犯罪対策課長(以下「組織犯罪対策課長」という。)及び警察本部事件主管課長に報告すること。
(2)組織犯罪対策課長は、警察庁刑事局の所掌に属する事件に関して、この協定に基づく共助の請求をすることが適当であると認めるときは、警察庁国際捜査管理官に、共助の請求を依頼すること。
(3)警察本部事件主管課長は、警察庁刑事局以外の局部の所掌に属する事件に関して、組織犯罪対策課長と協議の上、この協定に基づく共助の請求をすることが適当であると認められるときは、警察庁主管課長を経由して警察庁国際捜査管理官に、共助の請求を依頼すること。
  

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