平成18年度会議録・活動報告

平成18年7月18日(火)~20日(木)

経済産業常任委員会 県外調査の概要報告

1 調査日時
  平成18年7月18日(火)~20日(木)
2 調査箇所
 ・株式会社和歌山リサーチラボ
 ・JA紀の里ファーマーズマーケット
 ・農産物流通センター(選果場)
 ・和歌山マリーナシティ
 ・鳥取県大阪事務所
 ・からほり倶楽部
 
3 調査委員
  横山委員長、興治委員、伊藤委員、浜田委員、山根委員、鉄永委員
4 随行者
  鳥取県議会事務局議事調査課  主幹 田中重信、副主幹 橋本久雄
 
 今回の県外調査は、大阪市内、和歌山県和歌山市・海南市に経済産業常任委員会所管の事項である経済・農林水産業分野のうち商工業、農林水産業分野について県の行政機関、民間企業、関係団体の所に出かけ、今の現状や取り組み状況について調査を実施した。

和歌山リサーチラボ


 商工分野については、「和歌山リサーチラボ」、「和歌山マリーナシティ」及び「からほり倶楽部」を調査した。
 「和歌山リサーチラボ」は、地理的な関係で言えば鳥取県産業技術センターと同じように市の中心街から少し離れた新興住宅地の近くに立てられた施設であり、起業家支援、企業のスキルアップのための施設として平成2年に設立された第3セクターの会社である。経営的には若干の黒字を計上しているが、第3セクターであるために公共目的を追求する一方で株式会社としての利益を追求しなければならないという相矛盾した目的遂行のため運営が難しい現状である。起業家支援を行っているが、発想のおもしろい企業はあるのだが成功する会社はなかなかいないとのことであり、企業の成功はどこの地域でも難しい現状である。また、ISO審査登録機関の業務を行い、収入を得る手だてとし、黒字経営に努力をするなど第3セクターの問題点と起業家支援の難しさの理解を深めることができ、今後の県内の起業家支援の参考となったものである。


和歌山マリーナシティ

 「和歌山マリーナシティ」は、海浜埋め立て地に遊園地の「ポルトヨーロッパ」、海産物の販売・食事の「黒潮市場」、リゾートホテル、釣り堀、マリーナ、リゾートマンション等を擁する施設であり、近くに人口40万人の和歌山市、その後ろに大阪等の関西圏を有する場所に位置している。この施設は、年間200~250万人の観光客が利用している。人を引きつけるにはストーリーが必要であり、ただ豪華な施設を作っただけでは、1回は来てもリピーターにはならない。リピーターになってもらい、何回も来てもらわなければ経営は成り立っていかないということであった。ストーリーを持たせ人を引きつける方法については、関西から山陰は遠いイメージがありなかなか山陰まで足をのばそうと思わない人、企業を鳥取に呼び込む方策の一つであると感じたところである。これから鳥取県において魅力あるストーリーをどのように作っていくかが課題となると感じたところである。
 

からほり倶楽部

 「からほり倶楽部」は、古いまち並みの残った商店街を活性化することを目的として組織された団体である。新しいビルが建ち並び、その結果としてこれまで残ってきた古いまち並み、地域の良さが失われて行く状況を見て、このままの状況でよいのかという思いで活性化事業に取りかかったものである。この活動により、まちのイメージ、住民の意識も少しは変わったのではないかと感じるとのことであった。この地域と同じ状況に置かれているまちは県内においても見られるものであり、今後のまち並み、商店街の活性化の参考になるものと感じたところである。 

 農林水産業については、「JA紀の里ファーマーズマーケット」、「農産物流通センター」を調査した。
 「JA紀の里ファーマーズマーケット」は、平成12年にオープンした農産物販売施設であり年間23億円の売り上げ実績がある。和歌山県の農業はJAがしっかりしており、行政の農業指導体制も年々弱体化してきていることから行政に頼らないでJAの指導により生産等を行っている面が多々ある。国の農業に対する考え方は、大規模農家を支援する、だから大規模農家になりなさい、この方向で進んでいるが、小さな農家でも、年間数十万円の売り上げの農家でもJA紀の里は守っていく考えである。小規模農家は老人が行っている農家が多くあるが、少しでも農産物を売る事に対して老人の方は生き甲斐を感じている部分もある。このような人を守っていく、小さな農家でも守っていく、国の方針とは違うがこの考え方で進められている。国の考え方とは異なった方針で農業を考えられ、販売をしている事に対して、今後の農業の進んでいく方向について考えさせられる事例となり参考となった。

農産物流通センター  「農産物流通センター」は、一言で言うと年中稼働している大変大きな選果場である。 選果場はある特定の果物のみを対象としているため、その対象果物の収穫時期が過ぎてしまえば休眠状態になることが普通であるが、こちらの選果場は、もも、かき、みかん、キウイフルーツ、八朔等の収穫時期の異なる果物に対応できる施設となっているため年間11ヶ月稼働している。色々な果実に対応できる理由は、扱っている果実の大きさがほぼ同じであるために対応が可能であるとのことであった。稼働時間が少なく無駄の多い施設であるという選果場の認識が変わった調査となった。
 「大阪事務所」では、関西圏における鳥取県PRの実施状況を調査した。大阪市北区の大阪駅前に事務所を構え、関西圏の情報収集、鳥取県の情報発信を行っている行政機関である。鳥取県の情報発信は、広報予算が少ないこともありお金を使わずに人脈を使って、新聞記者、県人会の方と連絡を密にとって広報しているところである。鳥取県から大阪に移り住んでいる人は、かなりの人数がいるはずであり、この人達を大いに広報媒体として情報交換することは必要なことであると感じたところである。
 関西から見ると鳥取県は、まだ遠い場所というイメージがあり、もっと広報することにより鳥取県へ訪れる人、企業が多くなると思われ、引き続き鳥取県が身近な県であることをPRする必要がある。
 農産物の取り扱い金額が減少してきているが、これは、鳥取県の農産物生産額の減、鳥取県での地元消費の増、野菜単価の減によるものである。また、水産物の取扱額を見ると関西よりも関東の方が多く、近くより遠くに水産物が流れていることから考えるともっと水産物に関するPRが必要なのではないかと感じたところである。
 今回調査したこれらの施策、取組については、今後の委員会活動の参考としていきたい。
 

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