平成18年度会議録・活動報告

平成18年7月24日(月)~26日(水)

教育民生常任委員会 県外調査の概要報告

1 調査日時
  平成18年7月24日(月)~26日(水)
 
2 調査箇所
  ・標津サーモンパーク (北海道標津郡標津町北1条西6-1-2)
  ・知床自然センター  (北海道斜里郡斜里町岩宇別531)
  ・斜里町立知床博物館 (北海道斜里郡斜里町本町49)
 
3 調査委員
  前田委員長、安田副委員長、米井委員、銀杏委員、伊藤委員、初田委員、
  湯原委員、野田委員
 
4 随行者
  鳥取県議会事務局議事調査課  主幹 野川ひとみ、副主幹 吉多英男
 
 今回は北海道における教育、環境分野に関して、全国的に先駆的な取り組みを行っている事例の調査を行った。

サーモンパーク


「サーモンパーク」では、町内外の小中高大学生及び一般を対象にしたサケに関わる様々な教育活動の取組み状況の調査を行った。
  知床が世界遺産に登録された要因のひとつに海の生態系と陸の生態系の複合的な相互関係があると言われ、その中心的な役割を果たしているのが「サケ」であるとのこと。産卵を終えた「サケ」の死骸が森に果たす役割が注目されている。知床に暮らす人々にとって「サケ」は単なる魚ではなく、自分たちが住んでいる知床の森や大地を守っている「宝」として、学校教育を通じて子どもたちに教えている。
  魚離れが進んでいる子どもたちに、小さいうちから魚の生態、仕組みを教えると同時に、郷土の自然の恵みなどを体験させる学習は、本県の子ども達にも是非体験してほしい取組みである。本県でも「かにっこ館」などの施設を活用した教育活動を検討する上で大変参考になった。


しれとこ100平方メートル運動ハウス


知床


「フレペの滝」遊歩道

 「知床自然センター」では、世界遺産に登録されたことによる効果の検証について調査を行ったが、現場の担当者の声は課題の方が多かった。
 まず、今回の調査を行うにあたり斜里町役場に依頼したところ、「世界遺産登録後の視察が大変多く、町役場では手がまわらない。特に登録1周年を迎えるこの時期の視察依頼については、8月いっぱい全てお断りをしている。」とのことであった。そのため、知床財団が行政視察や観光客案内を一手に引き受けている状態であり、この日も多くのガイドが大、小様々な団体を案内し、前の団体が進むのを待って出発するなど、交通整理が必要な状態であった。スライドで世界遺産登録直後の状況を見たが、当時の知床の混雑は車、人の両方とも想像を絶するものであり、本来の世界遺産登録の目的である「知床の自然のすばらしさを守り続ける」ということと逆効果になってしまい、従来からの知床ファンの知床離れを助長する結果となってしまったようだ。登録によってリピーターを失ったことが知床の一番大きな損失であるとのこと。
 また、一時はホテルもパンク状態で、ホテル側が旅行社に違約金を支払うなど、ホテル経営者もかなりのダメージを受けたとのことである。それに加え、観光客のマナー低下、営利目的のにわかガイドの出現などにより、斜里町の産業である観光のイメージダウンにつながるとの危惧があり、観光関係者から「立入禁止」「マイカー規制」などの規制を設けるべきとの声がでてきているのも当然のことである。地元関係者の中では、このブームも2~3年で落着き、その後はまた元の知床に戻るであろうから、もう少しの我慢だと見ている声もあるようだが、その2~3年の間に簡単に自然は壊れてしまう。動物に観光客が餌付けをしてしまえばもう元に戻すには至難の業だ。一刻も早く「規制」を設ける必要がある。
 また、観光収入を環境保全に還元するシステムの構築については今後注目したい。
 今回の調査では、世界遺産登録による地域活性化を図るためには、登録後の対策についても、長期的なもので、地元だけでなく、その周辺も含めて広域的に考えておくことの必要性を痛感し、現在行われている鳥取県での「三徳山」世界遺産登録運動を推進していく上で大変参考になった。
 

知床博物館

知床博物館

 「斜里町立知床博物館」では、博物館運営だけでなく、傷病鳥獣保護施設としての取組みについて調査を行った。
 今年の春(2~5月)にも知床海岸に大量の油汚染鳥類が漂着し、これまでに5568羽もの海鳥が回収されており、町は知床自然センターやボランティアと協力して対応に追われた。博物館の建設時に町内の1軒から2000円ずつの寄付を集めるなど、自然保護に対する住民の理解は昔から深く、今も理解はあるようだが、町の財政状況からみると人件費削減など、今後の博物館運営はかなり厳しいものがある。
 博物館への道からの支援は全くないとのことであるが、傷病鳥獣保護については、斜里町だけで解決できるものではなく、今後は道や国との連携が必要と思われる。世界遺産登録を受けて、鳥獣保護の推進を一層図る必要がある一方で、人員などの体制整備強化はなかなか難しく、世界遺産登録への課題を認識することができた。
 

 今回の調査では自然保護に対する町総力での取組みなど、全ての調査事項について各委員から積極的な発言、質問がなされ大変有意義な調査となった。また、第1日目には夕食後にも一般のエコロジーツアーに参加し、知床の夜の自然の生態系や自然保護の実態を深夜まで調査するなど充実したものであった。
 今回調査したこれらの取組みについては、今後の委員会活動の参考としていきたい。

 

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