提案理由の説明に先立ち、過般御逝去されました故松原一男議員の県政に対する 長年の御功績に対し深く感謝申し上げますとともに、議員各位とともに心よりその御冥福をお祈りいたします。

これより、本定例県議会に提案いたしました諸議案につきまして、その概要を御説明申し上げます。

停滞するわが国経済の状況及びこれに伴う今日までの政府の財政政策は、最近の本県財政に直接大きな影響を及ぼすに至っております。歳入においては景気の低迷により県税収入が大幅に落ち込むとともに、小泉内閣の下で進行しているいわゆる構造改革を反映して来年度の地方交付税は相当程度減額されることが予想されます。一方で、バブル崩壊以来国、地方を通じて相次いで実施されてきた景気対策により発行した県債の償還はいよいよピークに近づいてまいりました。かくして、県税収入の落ち込み、地方交付税の減額、公債費の増大という三重苦の中で、これまでになく困難な予算編成を強いられたのが平成14年度当初予算であります。
しかし、経済・財政状況誠に厳しき中にあっても、いや、厳しい折であるが故に、当面県政において対応しなければならない課題もまた山積しております。わけても現下最大の課題は「雇用」であります。今日民間の雇用情勢には大変厳しいものがあり、最近の企業の倒産、リストラ等によりその意に反して職を失った方が数多くおられます。加えて、この春学校を卒業する予定でありながら未だ就職先を見つけることができない高校生も多数存在している状況であります。今後早急に一人でも多くの雇用の確保を図ることが官民あげての最重要課題であるといっても過言ではありません。
もちろん既に政府の方針を受けて、本県においてもこれまで雇用を確保するための各種施策に取り組んでいるところでありますが、既往の施策は総じて緊急かつ臨時的なものに過ぎず、残念ながら現在の深刻な雇用問題を本質的に解決するには不充分な面があることは否めません。本県独自ででも、もう少し本格的な雇用対策を実施することができないか、予ねて私の思いあぐねてきたところであります。
いうまでもなく雇用問題はすぐれて全国的な課題であります。一つの県だけで対応するには限界があることは十分承知しております。しかし、その限界の中においてもできる限りのことはやってみるべきだと考えております。とりわけ、民間による雇用創出に対し、県独自の施策としてもっと大胆に支援することがあってもいいし、教育、福祉分野を中心にこの機会に施策を充実することによって、行政において直接雇用を創出することにも敢えて乗り出すべきだと考えるところであります。
もとよりこれらの施策を実現するには多額の経費を要しますが、三重苦の予算編成の中にあってその財源を見つけることは至難の業であります。そこで、この際県職員に協力を呼びかけ、その給与を特例的に減額することによって必要な財源を調達することにいたしました。これは全ての県職員が県民の皆さんとその痛みを共有することにもつながります。私は、この痛みを共有することに賛同してくれた県職員を誇りに思いますとともに、この場を借りて県職員の皆さんに深い感謝の気持ちを伝えたいと思います。
これら官民が痛みを共有することによって実現させようとする本県独自の雇用創出策を、私は鳥取県版「雇用のためのニューディール政策」と呼びたいと思います。ニューディールとは、1930年代大恐慌によって壊滅的に落ち込んだアメリカ経済を立て直し、雇用を創出すべく、時の大統領ルーズベルトが実施した「新規まき直し策」であります。今日のわが国経済も構造不況に陥り、失業率は近年にない高い水準に達しています。これまで取られてきたような公共事業の積み増しによる景気対策の効用には疑問が投げかけられ、また、緊急・臨時的な雇用創出策の効果にもおのずから限界がある以上、この苦境を乗り切るためには、新しい発想の下に、大胆かつ果敢に雇用を創出することが必要です。すなわち今日のわが国にも「新規まき直し策」が求められているのであります。
本来雇用政策は専ら中央政府の責任に属することであります。聖域なき構造改革を標榜する小泉内閣には、単に予算編成の辻褄あわせや目先の財政再建にのみとらわれることなく、わが国経済や国民の雇用情勢にこそ重大な関心を持ち、これまでにない斬新な雇用政策を全国的に展開するよう強く望むものでありますが、未だそれが実現する兆候は見られません。それならば鳥取県から従来型でない独自の新しい雇用政策を打ち出し、これを自ら実践することを通じて、中央政府の勇気ある行動を促すことが、地方分権時代の今日においては必要なのではないか。県職員全員の痛みによって生まれようとしている独自の雇用政策を敢えて「ニューディール政策」と呼ぶのは、このような思いと願いを込めてのことであります。
この鳥取県版「雇用のためのニューディール政策」を実施することにより、現時の極めて厳しい県内の雇用情勢がいささかなりとも好転することを切に祈りつつ、予算案その他関連の議案を本議会に提案いたしたところでありますので、議員各位、県民の皆様の深い御理解をお願い申し上げる次第であります。

それでは、今議会に提案いたしました諸議案につきまして御説明いたします。
今議会に提案いたしました議案は、
予算関係 18件
条例関係 41件
その他の案件 3件
合計 62件 であります。
  

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