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【民話】湖山長者

湖山(こやま)長者(ちょうじゃ)

 むかし。因幡(いなば)一円(いちえん)の富(とみ)と幸(しあわ)せを一身(いっしん)に集(あつ)めた長者(ちょうじゃ)に、湖山(こやま)長者(ちょうじゃ)がいました。

 長者(ちょうじゃ)の所有(しょゆう)する田(た)んぼは、千(せん)へクタールにも及(およ)ぶといいますから、おどろきです。この年(とし)も、近(ちか)くの老若男女(ろうにゃくなんにょ)をかき集(あつ)めて田植(たう)えをしました。大(だい)動員(どういん)です。

 ひるすぎ、親(おや)ザルが子(こ)ザルを逆(さか)さまに背負(せお)って、あぜ道(みち)でたわむれ始(はじ)めました。田植(たう)えの手(て)を休(やす)め、ひとびとは大笑(おおわら)い。このハプニングのため、作業(さぎょう)は遅(おく)れてしまい、気(き)がつくと、太陽(たいよう)が西(にし)に沈(しず)もうとしているではありませんか。例年(れいねん)、長者(ちょうじゃ)の田植(たう)えは一日(ついにち)で終(お)えるきまりがありました。

湖山長者の画

 長者(ちょうじゃ)は金(きん)の扇(おうぎ)を取(と)り出(だ)すと、高(たか)殿(どの)にあがり、太陽(たいよう)を三度(さんど)招(まね)きました。「太陽(たいよう)よ、もどれ!」すると、いまにも沈(しず)み切(き)ろうとしていた太陽(たいよう)が、あともどりし始(はじ)めたのです。ひるのように明(あか)るくなりました。田植(たう)えは、無事(ぶじ)に終(お)わりました。

 あくる日(にち)。自慢(じまん)の田(た)んぼを見(み)ようと高(たか)殿(どの)にあがった長者(ちょうじゃ)は、びっくりしました。きのう植(う)えたはずの早苗(さなえ)は消(き)え失(う)せ、青々(あおあお)とした水(みず)がさざ波(なみ)を打(う)っていたのです。それがいまの、湖山(こやま)池(いけ)です。

湖山池の位置

とりっ子通信第13号より

  

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