平成25年度議事録

平成26年1月29日~1月30日・所管事項に係る県外調査

1 調査日時・箇所・内容

平成26年1月29日(水)
○(株)チャイルドハート(神戸市)
  安心、安全、情報開示による保育の見える化について
○兵庫県庁(神戸市)
  「新ひょうご子ども未来プラン」策定後の成果・課題等について
  「新ひょうご子ども未来プランプログラム2013」の概要について
  「兵庫県子ども・子育て会議」について
平成26年1月30日(木)
○沖縄県庁(那覇市)
 地域医療を担う医師の養成・確保対策について
○沖縄県立総合精神保健福祉センター(島尻郡南風原町)
 認知行動療法を中核としたうつ病デイケアについて
○マザーズスクエアゆいはぁと
 「母子家庭生活支援モデル事業」について
○大浜第一病院(那覇市)
 群星沖縄プロジェクトの概要と効果、今後の課題について
 初期臨床研修医の確保対策、研修の質の向上について

2 調査委員

伊藤(保)委員長、福田副委員長、小谷委員、野田委員、横山委員、濵辺委員、坂野委員(7名)

3 随行者

鳥取県議会事務局調査課 梅林係長、西村主事

 

4 調査報告

 今回は、子育て支援、母子家庭生活支援、精神疾患者への支援及び医師の養成・確保対策をテーマに調査を行った。

 (株)チャイルドハートでは、ポーアイキッズこうべを含めた3保育園にWebカメラやICタグを全国で初めて導入し、「保育の見える化」を実施。また、保育所を設置したい全国の企業や地域等からの相談を無償で受け、地域で子育て支援する仕組みを提案することで、企業や地域、保護者、保育士すべてに喜ばれる事業を営んでいる。それにより同社では保育士の離職率も低く、また出産後の復職率も高いため、保育士は確保できているものの、全県では不足している。充足している幼稚園教諭の保育園での活用を知事に提言するも、保育園への厚労省の補助金がカットされるなどの問題が検討課題となっている。

 兵庫県では「新ひょうご子ども未来プラン」において、結婚から妊娠、出産、育児まで総合的に施策を推進しており、加えて毎年度策定している「新ひょうご子ども未来プランプログラム」において、待機児童の解消を重点施策として位置付け、事業を展開している。しかし、例えば結婚支援において都市部と過疎地域で温度差があるなど、平成27年度からの次期計画において市町村の垣根を越えた対応、地域全体での協力体制の構築に向けた施策展開が必要となってくるようだ。

 他方、沖縄県は母子世帯の出現率が全国の2倍、かつ、離婚率及び児童扶養手当受給率が全国1位であることから、母子生活支援施策が喫緊の課題となっている中、全国初となる「母子家庭生活支援モデル事業」を平成24年度より開始し、住宅の借り上げによる生活支援と自立に向けた就労支援、子どもに対する学習支援を実施している。2年目の現時点において、どの支援においても一定の成果が出ているものの、5年間の時限立法であり、今後、どう継続していくのかが課題となっている。

 精神疾患者への支援として、沖縄県立総合精神保健福祉センターでは認知行動療法によるうつ病デイケアを実施。人の対処パターンが「思考」→「気分」→「行動」の3つから成り立っていることから、認知行動療法はまず思考内側のストレスを治療することが重要と考え、マイナス思考の修正や気分の把握、人間関係の増加をポイントにホームワークに取り組んでいる。

 休職中の患者の63%と無職の患者の30%は就労に転帰しているが、これは行政の協力に加え、事業者人事関係者や上司の理解が広まったことに起因するとのこと。

 また、うつ病患者を支える家族のコツとして、「話を全て聞き流す」「大丈夫と伝える」「外に目を向けさせ、新しいことを始める意欲を沸かせる」という所長の言葉が印象的だった。

 各医療圏に県立病院がある沖縄県の医師の養成・確保対策として、県立病院がハワイ大学の研修システムを活用し、初期・後期研修、診療所での研修等を踏まえたプライマリ・ケア医(総合医)の養成に努めている。これは、離島での1診療所1医師の体制に対応するためであり、先輩研修医が後輩を指導する屋根瓦方式を含めた研修プログラムに魅力があるため、研修医が全国から集まっている。

 一方、群星沖縄臨床研修センターでは、群星沖縄プロジェクトに賛同する7つの基幹型病院と21の協力型病院・施設がそれぞれの特色を活かし、相補的に研修医教育を行っている。「研修事業の主人公はあくまで研修医」、「研修医のための研修ではなく、患者のための研修」という認識の下様々な病院と交流することにより、指導医・研修医ともに成長でき、地域医療へ還元できている。

 また、群星沖縄臨床研修センター、県立病院、RyuMIC(琉球大学)と主体が異なる研修機関の架け橋を県医師会が担い、3者が連携し、オール沖縄で医師の養成・確保対策に取り組んでいることが特徴的であった。

病院の意向が強く、個々が独立している本県において、官・学・民一体となった連携・協力による研修医・臨床医師を確保すること、そのために強いリーダーシップを取りやすい環境を作り出すことの検討が必要であるであろう。

 

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