平成26年度議事録

平成26年9月29日・所管事項に係る県内調査

1 調査箇所
     平成26年9月29日(月)
   ・地方独立行政法人鳥取県産業技術センター(鳥取市若葉台)

2 調査委員
   興治委員長、内田副委員長、前田委員、銀杏委員、砂場委員(5名)

3 随行者
   議会事務局調査課 若松課長補佐、西村主事

4 調査事項 
・業務実績評価書に係るセンターの自己評価方法について

●概要
[山田室長]
<センターの概要> *「鳥取県産業技術センターの紹介」を基に説明。
○センターと県の関わりとして、議会の承認を得た中期目標を県から示され、それに基づき中期計画を策定、承認を受ける。また、県と評価委員会の関わりとしては、センターからヒアリングした業務実績評価を行い、県へ通知することである。
○センターの設立目的は定款第1条にあるとおり、「産業技術に関する試験研究とその成果の普及を推進」及び「ものづくり分野における技術支援、人材育成等を積極的に展開」することで、鳥取県の産業活力の強化と経済の発展及び県民生活の向上に寄与することを目的としている。
○運営費交付金は、当該年度の評価結果が翌々年度の運営費交付金額に反映されるインセンティブルール(△1%~2%)を適用している。

[西村室長]
<評価委員会制度について> *「産技センター評価委員会制度について」等を基に説明。
○評価委員会の主な権限として、各事業年度における業務実績についての評価及び知事が行う法人業務の継続の必要性等について意見すること。
○評価の視点として、業務実施に伴う波及効果を考慮した結果を重視している。
○評価項目の大項目は「法令で定められた項目」、中項目以降は「各法人が定める項目」であり、中期計画や情勢によって適宜見直しを行っている。
○評価委員会やセンターの意見を踏まえ、職員の業務従事時間に応じて評価ウエイトを算出し、決定(H24)している。
○現在、国においては、独法の制度改革として、PDCAサイクルが機能する目標・評価の仕組みの構築などを検討している。
○山口県ではセンターの自己評価の結果を評価委員会が検証する「間接評価」の手法をとっている。

[山田室長]
<センターの自己評価方法について> *資料1を基に説明。
○評価基準は、当センター評価委員会が決定した「各事業年度の業務実績評価方針及び方法」に従っている。
○各部署から取りまとめた実績報告書(原案)を幹部会に諮り、評価点の妥当性や報告内容等の確認を行う。その後、役員会において報告書の内容等を役員全員が承認し、最終原稿を理事長が決裁している。
○自己評価については、特記事項(企業から感謝状を受けた、支援体制を充実した等の優れた実績を上げた取組)を基に決定している。

●質疑
(委 員)玄関に産業技術センターの看板がない。機構が目立つのでセンターも目立たせるよう看板を設置すること。
(センター)目立つよう早速に整備する。
(委 員)独法のメリットがないと考える。中期計画4か年と固定化してよいのか。技術革新は毎年変わっているので、予算時期に県民・産業界のニーズを把握して盛り込むべき。
また、行政と研究所は車の両輪だと考えており、行政の意向が研究所に即反映され、研究所の成果が行政に反映されないといけない。農林水産部は議場で論議して組織改正させた。精緻な評価をするよりも、山口県のような評価方法を取るべき。
センターと県、評価委員会等との関わりがあるが、これは形骸化している。本来業務である研究を進めてもらうべきであり、事務に忙殺されていると感じる。独法として継続していくかどうかを考える時期ではないかと考えるが。
(センター)中期計画については、県が示す中期目標を基に作成するもの。しかし、経済情勢の変化も鑑み、企業へのアンケートを実施しながら、毎年度、年度計画を作成している。
 センターの自己評価はあくまで県が設置する評価委員会の方針に従って行っているものである。
 センターの形骸化については、自分も認識しており、委員の言われる事務の煩雑さがなくなることは好ましい。
(委 員)評価の事務量は。何人役/月程度か。
(センター)業務実績報告書は膨大であり、年度終了後3カ月程度要して作成されるが、企画室から各所→各室に報告書の作成を依頼し、企画室の職員4名が取りまとめ事務に当たっている。
(委 員)評価委員が要する日数は。
(センター)センターから意見を聴取する委員会と評価書を取りまとめる委員会の2回開催しており、その間は事前に送付した実績報告書の評価をしてもらっているが、計10日程度要していると考える。
(委 員)独立行政法人であることのメリットは。
(センター)理事長として在籍している間で感じたことは、技術相談対応の件数が増えたこと、民間感覚を取り入れやすくなったこと、自己資金で機器・設備整備を早急に対応(理事長権限)できることが挙げられる。最たるものとして、酒のプラントを補正対応で早急に建設できたことである。
(委 員)このメリットは理事長のマンパワーによるものが大きいかと考えるが、県直轄になることで、そのメリットはなくなるのではないかと考えるが。
(センター)自分はぐいぐい引っ張っていく方であり、またこれまで築いてきた人脈もあるので、確かにマンパワーによるものもあると思う。
(委 員)第3期中期目標はいつ頃議会に上程されるのか。
( 県 )11月定例会に上程する予定。議会承認後、センターにおいて中期計画を策定していただく。
(委 員)センターの諸収入10億円のうち9億円が交付金等の補助金。企業訪問・相談を積極的に実施した上で、企業ニーズを把握することはよいことであるが、それが県の施策に反映されていない。これまで中期目標をしっかり議論してこなかった議会にも非はあるが、事前に見させていただいて、しっかり研究した方がよい。
(センター)県の成長戦略等は第2期中期計画には挙がっていないが、年度計画には県の施策を鑑みたものを作成している。
(委 員)県施策が反映されたかどうかについて、現在の評価項目の中に入っているのか。
(センター)全く同じものはないが、2.1(3)(1)「研究テーマの設定と実施」が意味合いとして含まれている。
(委 員)評価委員会は県の施策が頭に入った上で評価しているのか。
( 県 )県の経済再生成長戦略の話はしているものの、県全体の施策や課題等の話までは及んでいないため、反省すべき点はある。
(委 員)センターは企業ニーズをしっかり把握されているので、県施策に反映されていないのでは全く意味がない。反映すれば県施策は別のものになると考える。
(委 員)独法化したことによって、不都合等が生じたことがあれば教えていただきたい。
(センター)マンパワーが足りない。独法化してから常勤職員は増えていない。そのためスタッフ制を取っていて、自己財源でスタッフを雇っている。また、学位を持った専門性の高い職員がたくさんいるが、その職員に異分野への方向転換、見識を広げてもらうことは難しい。ただ、広げた上で企業訪問なりをしてもらうよう指示はしている。
(委 員)センターが企業訪問や相談により把握している企業ニーズが県の施策に反映されていると感じるか。
(センター)適宜、企業ニーズを県に情報提供しており、県の施策に反映してもらっていると考える。
(委 員)県の主導で情報提供しているものか。
(センター)基本的には県主導である。
(委 員)県と連携して情報提供、県施策への反映をもっと進めた方がよいと考えるか。
(センター)確かに、もっと進めた方がよいと考える。ただ、県の主な事業(液晶の人材育成)は県と協働して進めているので、全くないと言うことではない。
(委 員)評価ウエイトの算出方法が、職員の従事時間で按分と説明を受けたが、これが適切かどうか、正確な算出方法かは疑問である。事業・研究の多寡や予算規模によって決定した方がよいのではないか。
(センター)テーマの設定から付けられる予算までを独自の評価委員会に提示して、要望の多いテーマに予算を付けてもらっている。民間の発想でいくと成果主義の方がやりやすいと会議では話しているが、公務員型を取っているためそれはできない。
 新採職員にはスタートアップ研修を実施し、県内の企業情勢、研究内容を把握してもらうように努めている。
(委 員)評価方法については今後考える必要がある。
( 県 )現在、国において簡素化の動きもあるので、出来るものは出来るだけ早く取り入れていけるようにしていく。

●所感
 今回は、地方独立行政法人鳥取県産業技術センターにおける自己評価方法をテーマに調査を行った。
 現在の評価基準は、法の規定に基づき県が設置する評価委員会が決定した「各事業年度の業務実績評価方針及び方法」に従っており、評価ウエイトは職員の業務従事時間に応じて算出している。また、評価委員会は業務実施に伴う波及効果を考慮した結果を重視し、業務実績報告書を基に評価を決定している。そして、その評価結果が、翌々年度のセンターへの運営費交付金額に反映されるインセンティブルール(△1%~2%)となっている。
 現在の手法に対し、委員からは「事務量が膨大であるため、山口県のように間接評価(センターの自己評価を評価委員会が検証)した方が簡素化するのではないか。」「評価ウエイトの算出方法を業務従事時間ではなく、事業・研究の多寡や予算規模に応じたものにすべきではないか」といった意見が出たが、県としては国の制度改革の動向を踏まえ、検討するとのことであった。 
 また、今回の調査で委員より問題提起された以下の点について、今後の委員会で検討していくこととした。
(1)センターのあり方について(独立行政法人として継続していくかどうか)
(2)県が11月定例会に上程予定の第3期中期目標の事前調査について


 

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